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第一部/第一章
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しおりを挟む年末年始。
私は実家に帰ることになった。
というか、何度断っても「帰ってこい」という父からの電話が絶えなかったため、帰らざるを得なかった。
正直、私は両親が嫌いだ。
そして…怖い。
"普通じゃない"から。
小学2年生になったばかりの私は
新しく買ってもらった白いスニーカーを履いて
近所の公園に遊びに来ていた。
いつもなら小さい子どもや、その母親が何人かいるのだが、今日は誰もいなかった。
1人、ブランコに座り、
買ってもらった新しい靴を眺める。
"ママ!私、このピンクの靴が欲しい!"
"アナタにはこっちのほうが似合うわ。パパもそう思うでしょう?"
"そうだな、白いほうにしなさい"
"私、白じゃなくてピンクのほうが…"
"白のほうが素敵よ、こっちにしましょう"
(私が欲しいと言ったものを
買ってくれることは、一度もなかった)
爪先から目線を少しずらすと、紫色の一輪の花が、小さく咲いているのが目に入った。
その花を摘み取り、家に持ち帰った。
"パパとママにプレゼントだよ!"
"……お花?"
"そうだよ!公園で摘んで来たの!"
"……汚いわ"
そう言うと母は、窓から花を投げ捨てた。
そして、父は
"公園ではちゃんと1人で遊んだか?いいな、友達なんか作るんじゃないぞ"
とだけ言って、書斎に向かって行った。
(私がプレゼントするものに
喜んでくれたことは、一度もなかった)
ただ、このくらいの対応であれば日常的だったし、
多少の寂しさはあったものの、両親を"嫌い"とまでは思わなかった。
しかし、ある出来事をきっかけに
私は両親に、極度の「恐怖心」と
「嫌悪感」を抱くことになる。
もう思い出すのはやめよう。
帰省の準備を終わらせなければならない。
私は、タンスの引き出しに手をかけた。
私は実家に帰ることになった。
というか、何度断っても「帰ってこい」という父からの電話が絶えなかったため、帰らざるを得なかった。
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新しく買ってもらった白いスニーカーを履いて
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"パパとママにプレゼントだよ!"
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そして、父は
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とだけ言って、書斎に向かって行った。
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ただ、このくらいの対応であれば日常的だったし、
多少の寂しさはあったものの、両親を"嫌い"とまでは思わなかった。
しかし、ある出来事をきっかけに
私は両親に、極度の「恐怖心」と
「嫌悪感」を抱くことになる。
もう思い出すのはやめよう。
帰省の準備を終わらせなければならない。
私は、タンスの引き出しに手をかけた。
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