王道くんと、俺。

葉津緒

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第一部/第一章

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去年俺と一緒にこの学園へ入学した、数少ない外部生仲間でもあるんだ。
普段は猫被りしてて、笑顔とか話し方とか超可愛い!
……んだけど。


「あいつら、マジうぜぇ(俺はバリタチだっつーの!)朝から俺の視界に入ってくんじゃねーよ、気色悪りぃ」


うん。また俺にしか聞こえない声で本性さらけ出してますね。正直ちょっと怖いデス。
しかも顔、可愛く笑ったままだし。

まぁ俺も、ヘラヘラ笑いながら優ちゃんの肩にあごを乗せて、背中に抱きついたまま歩いてるけど。
優ちゃん力持ちだし、これ結構楽なんだよねー。とか思ってると。


「郁人サマ、あの、は、恥ずかしいです」
(訳:歩きにくいんだよ、テメェ!)


思っきし腕をつねられました。
可愛く頬染めながら。ヒ、ヒドイッ。



 ***



「あ、あのっ」
「ふふふ、郁人様」
「おお、おはようございます!」


顔で笑って心で泣いてた俺の前に、救いの天使達が現れた。

えっと、説明するね。
なんだかんだ言いつつ生徒玄関口に到着後。
優ちゃんと離れて下駄箱(あ、ここじゃ扉と鍵付きのロッカーなんだけど)の前で靴を履き替えてたら、いつの間にか目の前には可愛いチワワちゃん達がいました。

つまり、俺の親衛隊の子達三人が真っ赤な顔して朝の挨拶に来てくれたんだよぉ。
ん・もぉ
かーわーいーいー♪
(※ちなみに俺は今、ブラック優ちゃんによるストレスで若干、壊れ気味なのだ)


「お、は、よっ」

「え」「あぅ」「にゃっ」


うはぁ、癒される。
やっぱ小っちゃくて可愛い子って、存在自体が癒しだね。思わず順番に皆ハグしちゃった。えへへ。
ところで今何か可愛い声も聞こえたような。
……って、あれ。
三人とも黙ったまま俯いちゃってる。
耳まで真っ赤になって固まってるけど、え、もしかしてハグ嫌いだった?
俺、セクハラしちゃった?!

そそそ、そうだよね。
どんなに可愛くても男の子だもん。女子供、ましてや小動物扱いされたら嫌だよね。
もぉ、俺の馬鹿。

三人の前にしゃがみ込んで首を傾げながら見上げると、ようやく目が合った。
あ、ちょっとびっくりしてる……かな。


「急にハグしてごめんなさい」


反省して謝ったら、なんか悲しくて泣きそうになっちゃった。ううー。


(なっ?)
(ふ、郁人様)
(かかか、可愛いっ!?)

.
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