「王道くんと、俺。」番外編

葉津緒

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清い交際(後編)

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<SIDE:飛鳥>


この俺様に猫耳だと?
ふざけるな。
何が

「だって会長、可愛いし」

だよ、テメーの方がめちゃくちゃ可愛いに決まってんじゃねーか郁人このやろう!

苛立つまま乱暴に、己の頭にあったブツを掴み外す。
それをさっき押し倒したばかりの相手、恋人である郁人の頭へ。


な……。
何なんだこいつ、ありえねぇ。
たかが猫耳をつけたくらいで一気にエロくなり過ぎじゃねーか!

郁人の白い肌と淡い色の茶髪。
そこへ黒が入るだけで説明がつかない程、エロく妖艶な姿に見えちまう。
しかも切なげに揺れる瞳で見上げながら……って、お前は俺様を悩殺する気かよ!?

そもそも郁人の親衛隊どもから逃げた後、気付いたら今の美味しい状況になってた訳だが。
無意識とはいえよくやった、さすが俺様。
そんじょそこらの俺様とは訳もスペックも段違いだぜ。

つか、恋人の部屋のベッドで組み敷かれる意味くらい、こいつにも分かってる筈。
なのに拒否してこねーってことはつまり、良いんだよな?



 ゴクリッ



くっそ、心臓の音がバクバク煩せぇ。


「あのね会長、俺の猫耳はちゃんと他に有りまーす。見てほら白猫セット! 可愛いでしょ。だから黒いのは会長がつけなきゃ駄目なん、だ、よっと」

「……!」


ニッコリと満足げに笑う郁人。
その頭には何故か真っ白な猫耳。
は?
こいつ、いつの間に。
いやそれよりも何だこのムラムラする感覚。
黒耳ん時のエロさが消え、清純無垢な印象を与えてくる白耳は……逆にやべえ。
今すぐ目茶苦茶に犯し、身体も心も汚してやりたくなる。そんで思いきり泣かせてみてぇ。


――って、あ、アホか!
この俺様がたかが猫耳ごときに、んな変態くせぇ興奮の仕方とかする訳ねーだろ。
ま、まあ……ふわふわな白耳が郁人によく似合って可愛い、とは思うがな。

しかし郁人の奴、白猫セットとやらを一体どこから出しやがったんだ。
あ?
何か紙袋を片手に持ち、ガサガサやってんな。まさか親衛隊どもと居た教室からここまで、ずっとそれ抱えてたのかよ。


「会長ぉ、尻尾もつけたいからちょっと退いてー」

「あ? ああ」


半ば呆然と、言われるまま相手の腰を跨いでいた脚をずらせば、上半身を起こしベッドに座りながら作業を続ける郁人。
見る間に白く長い尾っぽと鈴のついた首輪、先程の白耳を装着した白猫郁人が完成する。


「じゃじゃーん♪ 会長どぉ、俺と会長あわせて白黒にゃんこ。一応セットみたいになってるんだよ。ふっふっふ、ねぇこれ可愛いでしょお? 俺達にゃんこコンビー!」


もちろん優ちゃんや親衛隊の皆が猫耳をつけた時の可愛さには、絶っ対に負けるけどね。
俺と会長は、やんちゃなワイルド路線を目指せば大丈夫だし? にゃははー。


……と、悪戯が成功したかのような笑顔。
すげー楽しそうじゃねぇか、おい。

つか、ちょっと待て。
さっきまでの良い雰囲気どこ行った。
は?
白黒にゃんこコンビだ?
何だそのガキ臭い思考。
大体お前のどこがやんちゃでワイルドだよ。無駄に人を誘うような凄まじい色気を振り撒きやがったくせに。

ちきしょう俺様の期待を返せ。
既に痛いくらい反応しちまった息子をどうしてくれる!(下品)

散々おちょくりやがって。
……ハッ、いいぜ待ってな郁人。
今から俺様が仕置きしてやるよ。



<SIDE:飛鳥/終>


.
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