「王道くんと、俺。」番外編

葉津緒

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清い交際(後編)

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【後編】



「覚悟は当然できてんだろーな、郁人」

「へ?」


俺の恋人、橘 飛鳥こと生徒会長さまの寮部屋……の寝室。ついでにベッドの上。
ただ今押し倒され中です、俺が。


「えっと、会長もしかして怒ってる?」

「違う風に見えるのか、お前は」


いや、見えないです。
俺を睨みながらも、若干潤んだ瞳が可愛い……じゃなくて怖いし。
よっぽど黒猫姿が恥ずかしかったんだね、会長の照れ屋さんー。

親衛隊による撮影会終了と同時に、俺を担いでここまでダッシュした会長。
そりゃもう、あの優ちゃんの制止も振り切る素早さと勢いには俺も少しびっくり。

羞恥と怒りの感情が最優先したせいか、それとも単に一秒でも早く皆の前から逃亡したかっただけなのか。
おかげで肝心の装備を外し忘れたまま、未だに黒猫姿なんだよー?
ぷぷ、可愛い♪

途中ですれ違った何人かの生徒達も驚いてたしね。俺が笑いながら口に人差し指をあてて、シーッてやったら顔を真っ赤にしてコクコク頷いてくれたけど。

もーわざわざ自分で猫耳姿をさらしちゃうんだもん、会長ってば。俺がフォローしたげないと後で噂とか凄い事になるよぉ?
でも何か……。
普段は俺様なのにそゆちょっと抜けてるとこ、俺好きかも。


「…………何、笑ってやがる」

「えー? だって会長、可愛い」


仰向けの状態で目の前にある黒い猫耳に手を伸ばす。ふふっ触り心地、最高♪


「チッ」

「あー! 待って取らないでー……うう、会長酷い。せっかく似合ってたのにさ、黒ニャンコの耳ぃ」

「るせえ、郁人お前は俺様を何だと思ってやがんだ。そんなに猫耳が好きならテメエがつけとけ……っ……!?」


ようやく自分の姿に気付き、頭から猫耳カチューシャを外す会長。
で、今度はそれを俺の頭へ勝手に装着。
途端に何故か、ピキンと固まっちゃったんだけど。
あ、そういや優ちゃんから

「黒い猫耳は(郁人を異常にエロく見せて色々やばいから)絶対につけるな!」

って注意されたんだよね。
そんな絶句しちゃうほど似合わないのか。
まあ仕方ない、だって俺だもんね。
……実は少しだけ悲しいなぁとか思ってないよ?


「んー。あのね会長、俺の猫耳はちゃんと他に有りまーす。見てほら白猫(長毛種)セット! 可愛いでしょ。だから黒いのは会長がつけなきゃ駄目なん、だ、よっと」

「……!」


会長が固まってるうちに黒耳を再装着させて、と。
入れ替えに、俺の頭には白猫のふわふわな耳が生えました。にゃっはー♪


.
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