「王道くんと、俺。」番外編

葉津緒

文字の大きさ
上 下
10 / 24
バレンタインデー(前編)

しおりを挟む
飛鳥「お前、理事長と知り合いなのか?
(しかも名前呼びだと!?)」

歩「え、そうなのか郁人」

郁人「うん。聡さんとは腐仲間……やっぱ秘密ぅ」

千葉「チッ」

優馬「(サラっと自爆しかけてやがるし、この馬鹿)それで理事長様が何の御用ですか」



理事長「いやぁ、郁人くんが何やら楽しそうな集いを開いてるみたいだし、見学に来てみたんだけどね。
ザワザワしてるからここは一つ提案を」

隊員たち「提案?」



理事長「ジャジャーン。さて注目、ここに美味しいチョコが五個あります。今から郁人くんにはこれ以外のチョコ受け取りを禁止しまーす」

郁人「ええぇーっ?」

優馬「何、勝手な真似を」

飛鳥「だったら早くそれ寄越せ――」

理事長「というわけで各自、今持ってるチョコを食べ切った人から順にこれをGET出来まーす。先着五名様、待った無し」

千葉「あ?」

祥太郎「それ本当っスか!?」

隊員たち「じゃあ僕らにもまだチャンスが……」

理事長「はーい、レディーGO!」

飛鳥「な!? ちょっ待、クソッ」



 バリボリ パキッ ガリゴリ



郁人「うわぁ教室中の男子高校生が黙々と真剣にチョコを食べ続ける姿って、結構不気味」

優馬(異様な光景すぎて夢に見そう……何だ、この状況)




飛鳥「げふっ、よし食ったぞ!」

千葉「俺もだ。しかし、やたら甘ぇチョコだったな」

祥太郎「バリボリ、ゴクン。た、食べましたーっ」

理事長「うんうん流石に早いねぇ。おや? そこの君達は食べないのかな」


親衛隊員xyz「あ」「えっと」「僕達はその」

優馬「君達、まさかチョコの中に変な薬とか混ぜてないよね」

親衛隊員xyz「い」「いやあのっ」「こ、これは」

優馬「ふうん。そっかぁ、――君達もう親衛隊の集いには来なくて良いから。ていうか除名するね」

親衛隊員xyz「ヒッ!?」



 ガラッ



律「話しは聞いたぞ。大丈夫か、郁人」

郁人「ええッ、りっちゃん先輩まで?」

律「そのブツは証拠品として風紀が預かろう。おいそこのお前、これを鑑識に回せ」

親衛隊員A「へ?」

優馬「……風紀委員長さま、鑑識って何処ですか」

飛鳥「ケッ、馬鹿が」



理事長「うーん流石は鬼の風紀委員長こと、五十嵐 律くん。学園の秩序を守る姿勢が立派だねぇ。残念ながら鑑識は無いけど成分を調べられる部なら知っているから、私がそこへ送っといてあげよう」

歩「す、凄い。そんな部が!」

郁人「わぁ~瞳を輝かせてる歩くん、可愛い♪ ギュッてして良い? て言うかむしろ、バ会長か千葉ちゃんがギューッてやれば良いよ」

歩「ふ、郁人が俺をギュッ……//// え? え?」

飛鳥「誰がバ会長だ、テメ。やるわけねーだろ」

千葉「いいぜぇ、郁人。希望通りお前を思う存分ギューッてしてやるからこっち来な?」ニヤリ

郁人「(ひいッ!? 千葉ちゃんの笑顔が怖いぃ)い、いやあの、ごめんなさい。やっぱギュッしなくて良いです」

優馬(自業自得だ、バカ)




飛鳥「ぐっ!? 急に体が、な、何だこれ」

祥太郎「うあっ、頭が」

千葉「チッ、俺も……めまいがしてきやがった」

理事長「ん? そろそろチョコレートに仕込んでおいた薬が効いてきたかな」



優馬・律・隊員たち「は?」



歩「叔父さ、理事長先生がチョコに薬を仕込んだ?」

理事長「はっはっはっ驚いたかい。実はさっき話した部に、私が個人的に頼んで研究・開発中だった薬があってね。それをチョコレートに混ぜて、この教室の近くで売って貰ったんだよ」

優馬(何でわざわざ……)


郁人「ええッそれって人体実験? ダメだよ聡さん、捕まっちゃうよぉ」

理事長「いやいや大丈夫、別に媚薬とかじゃないからね。被験者も丈夫そうな人を選んでもらってるし。そもそも薬なんだから人体に悪い影響は無い筈だよ、多分?」

隊員たち(そこで何故、疑問系!?)



郁人「じゃあ大丈夫だね……って、あれ? 何か俺も目が回る……」

優馬「郁人さま!?」


歩「ど、どうしよう、俺もさっき廊下でチョコ買った。郁人にあげたやつ!」

律「何だと!?」

優馬「(くそ、こいつ俺に隠れてチョコ食いやがったな)郁人さま、しっかりしてください!」

理事長「あー……これは予想外の事態だねぇ。さすがの私も少しばかり困ってしまうかな」

隊員たち(絶対に困ってないだろ、くそ理事長おぉぉ)



 シクシクシク



優馬「え、会長が……泣いてる!?」

歩「うわっ、千葉先生も泣き始めた」



飛鳥「うう、理事長ひどいです。僕が何をしたって言うんですか」グスッ

.
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ワンコとわんわん

葉津緒
BL
あのう……俺が雑種のノラ犬って、何なんスか。 ちょっ、とりあえず書記さまは落ち着いてくださいぃぃ! 美形ワンコ書記×平凡わんわん ほのぼの全寮制学園物語、多分BL。

王道学園の冷徹生徒会長、裏の顔がバレて総受けルート突入しちゃいました!え?逃げ場無しですか?

名無しのナナ氏
BL
王道学園に入学して1ヶ月でトップに君臨した冷徹生徒会長、有栖川 誠(ありすがわ まこと)。常に冷静で無表情、そして無言の誠を生徒達からは尊敬の眼差しで見られていた。 そんな彼のもう1つの姿は… どの企業にも属さないにも関わらず、VTuber界で人気を博した個人VTuber〈〈 アイリス 〉〉!? 本性は寂しがり屋の泣き虫。色々あって周りから誤解されまくってしまった結果アイリスとして素を出していた。そんなある日、生徒会の仕事を1人で黙々とやっている内に疲れてしまい__________ ※ ・非王道気味 ・固定カプ予定は無い ・悲しい過去🐜のたまにシリアス ・話の流れが遅い

王道くんと、俺。

葉津緒
BL
偽チャラ男な腐男子の、王道観察物語。 天然タラシな美形腐男子くん(偽チャラ男)が、攻めのふりをしながら『王道転入生総受け生BL』を楽しく観察。 ※あくまでも本人の願望です。 現実では無自覚に周囲を翻弄中♪ BLコメディ 王道/脇役/美形/腐男子/偽チャラ男 start→2010 修正→2018 更新再開→2023

学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語

紅林
BL
『桜田門学院高等学校』 日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である

平凡な365日

葉津緒
BL
平凡脇役(中身非凡)の王道回顧録 1年間、王道連中を遠くから眺め続けた脇役(通行人A)の回想。 全寮制学園/脇役/平凡/中身非凡・毒舌 start→2010

全寮制男子校でモテモテ。親衛隊がいる俺の話

みき
BL
全寮制男子校でモテモテな男の子の話。 BL 総受け 高校生 親衛隊 王道 学園 ヤンデレ 溺愛 完全自己満小説です。 数年前に書いた作品で、めちゃくちゃ中途半端なところ(第4話)で終わります。実験的公開作品

それはきっと、気の迷い。

葉津緒
BL
王道転入生に親友扱いされている、気弱な平凡脇役くんが主人公。嫌われ後、総狙われ? 主人公→睦実(ムツミ) 王道転入生→珠紀(タマキ) 全寮制王道学園/美形×平凡/コメディ?

とある金持ち学園に通う脇役の日常~フラグより飯をくれ~

無月陸兎
BL
山奥にある全寮制男子校、桜白峰学園。食べ物目当てで入学した主人公は、学園の権力者『REGAL4』の一人、一条貴春の不興を買い、学園中からハブられることに。美味しい食事さえ楽しめれば問題ないと気にせず過ごしてたが、転入生の扇谷時雨がやってきたことで、彼の日常は波乱に満ちたものとなる──。 自分の親友となった時雨が学園の人気者たちに迫られるのを横目で見つつ、主人公は巻き込まれて恋人のフリをしたり、ゆるく立ちそうな恋愛フラグを避けようと奮闘する物語です。

処理中です...