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Ep.1
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寒い、寒い。
冷たい、冷たい。
凍る、凍る。
そんな冬がまたやってきた。
でも、私はそんなの関係ない。
叶わないであろう夢を見て、
一歩一歩歩いている。
起きて、朝食を食べて、家事をして、
アルバイトをして、お風呂に入って寝る。
その繰り返し。
夢って言ったってそんなちっぽけなものじゃない。
私は・・・・・・“歌手”を夢見ているのだから。
いつか、歌手になったら憧れの人に会いたい。
今、日本中の女性達を虜にさせている人。
川本廣・25歳・歌手
でも、夢はそう簡単には実らない。
そう、思っているのは自分だけだろうか。
「あっ、やばい。卵がない。買ってこないと」
でもな・・・・・・“今日の最低気温-マイナス5度”
「はぁ・・・・・・行くか」
ドアを開けた途端。
雪が嵐のように降っている。ーー寒いーー
よし、こういう時はアレを聞こうーー
“君のHeartは・・・・・・
僕のKissで奪ってみせる・・・・・・”
やっぱり、かっこいい。川本廣。
1度で良いから会ってみたい・・・・・・
「1度だけ・・・・・・」
前を向いた瞬間だった。
“ガンっ”・・・・・・!
「!?・・・・・・痛った・・・・・・」
「っ・・・・・・」
「あ、大丈夫ですか。私、前を見ていなくて。ごめんなさい」
「いえ。俺こそ急いでいたもので」
怪しい男。
黒い帽子に眼鏡、全身寒色系でまとめている。
あ・・・・・・!
「怪我してるじゃないですか!」
「あ、大丈夫ですよ。このくらい」
「でも、手当しないと。私の家まで来てもらえますか」
一瞬、男の表情が曇った気が・・・・・・
「はぁ・・・・・・。分かりました」
「なら、行きましょうか。近くなので」
私たちは歩き出した。
私はまだこの時、男の正体に気づいていなかった・・・・・・
「痛・・・・・・っ」
「男なんですから、しっかりしてください」
「・・・・・・」
それより・・・・・・
「顔赤いですけど、そんなに暑いですか」
「えっ。いや・・・・・・そんなことないですよ」
「そうですか・・・・・・?」
私の予想だが、この男風邪をひいている気がする。
私の気のせいだろうか。
「はい、終わりましたよ」
「ありがとうございます、わざわざ」
「良いですよ、礼なんて」
「では、俺はこれで・・・・・・」
その瞬間。
バタッ・・・・・・!?
「えっ!あの、大丈夫ですか!?」
意識がない。軽くおでこを触ってみると。
「熱い。高熱だ」
私は、自分のベッドに男を運び、コートなどを脱がせた。
帽子も取って・・・・・・眼鏡も・・・・・・えっ
「え・・・・・・川本廣?」
どう見てもあの川本廣だ。
でも、もしかしたらそっくりな人かもしれない。
「あっ。冷えピタ貼らないと」
もし、あの川本廣だったら嬉しい・・・・・・正直。
ーー1時間後ーー
「んっ・・・・・・」
んっ・・・・・・? あっ!
「大丈夫ですか?」
「俺、まさか倒れてた・・・・・・?」
「はい、簡単に言うと」
「マジかーーまあ、いいや」
「さっき、急ぎがあるとか言ってませんでした?」
「あ、大丈夫。マネージャーがどうにかしてくれてると思うよ」
マネージャーって・・・・・・なら、まさか!?
「あの、もしかして川本廣さんですか?」
「うん、そうだよ」
「本当に!?凄く嬉しいーーサインください」
まさか、あの川本廣が自分のベッドにいるなんて。
「いいよ。今回は迷惑かけたからサービスで」
「ありがとうございます!」
嬉しい、凄く嬉しい。顔がニヤける。
「あとさ、お願いがあるんだけど・・・・・・」
お願い・・・・・・?私に・・・・・・?
「何でしょうか」
「1ヶ月だけここにいてもいい?」
ーー今、何て?ーー
「えっ。自分の家は?」
「ないんだ。実は」
えっ・・・・・・
「お願い。1ヶ月でいいからさ」
芸能界ではダメだと思う。でも私は・・・・・・
「1ヶ月で良いなら・・・・・・」
「やった!じゃ、よろしくね!」
「はい・・・・・・」
こうして同居することになった私たち・・・・・・
冷たい、冷たい。
凍る、凍る。
そんな冬がまたやってきた。
でも、私はそんなの関係ない。
叶わないであろう夢を見て、
一歩一歩歩いている。
起きて、朝食を食べて、家事をして、
アルバイトをして、お風呂に入って寝る。
その繰り返し。
夢って言ったってそんなちっぽけなものじゃない。
私は・・・・・・“歌手”を夢見ているのだから。
いつか、歌手になったら憧れの人に会いたい。
今、日本中の女性達を虜にさせている人。
川本廣・25歳・歌手
でも、夢はそう簡単には実らない。
そう、思っているのは自分だけだろうか。
「あっ、やばい。卵がない。買ってこないと」
でもな・・・・・・“今日の最低気温-マイナス5度”
「はぁ・・・・・・行くか」
ドアを開けた途端。
雪が嵐のように降っている。ーー寒いーー
よし、こういう時はアレを聞こうーー
“君のHeartは・・・・・・
僕のKissで奪ってみせる・・・・・・”
やっぱり、かっこいい。川本廣。
1度で良いから会ってみたい・・・・・・
「1度だけ・・・・・・」
前を向いた瞬間だった。
“ガンっ”・・・・・・!
「!?・・・・・・痛った・・・・・・」
「っ・・・・・・」
「あ、大丈夫ですか。私、前を見ていなくて。ごめんなさい」
「いえ。俺こそ急いでいたもので」
怪しい男。
黒い帽子に眼鏡、全身寒色系でまとめている。
あ・・・・・・!
「怪我してるじゃないですか!」
「あ、大丈夫ですよ。このくらい」
「でも、手当しないと。私の家まで来てもらえますか」
一瞬、男の表情が曇った気が・・・・・・
「はぁ・・・・・・。分かりました」
「なら、行きましょうか。近くなので」
私たちは歩き出した。
私はまだこの時、男の正体に気づいていなかった・・・・・・
「痛・・・・・・っ」
「男なんですから、しっかりしてください」
「・・・・・・」
それより・・・・・・
「顔赤いですけど、そんなに暑いですか」
「えっ。いや・・・・・・そんなことないですよ」
「そうですか・・・・・・?」
私の予想だが、この男風邪をひいている気がする。
私の気のせいだろうか。
「はい、終わりましたよ」
「ありがとうございます、わざわざ」
「良いですよ、礼なんて」
「では、俺はこれで・・・・・・」
その瞬間。
バタッ・・・・・・!?
「えっ!あの、大丈夫ですか!?」
意識がない。軽くおでこを触ってみると。
「熱い。高熱だ」
私は、自分のベッドに男を運び、コートなどを脱がせた。
帽子も取って・・・・・・眼鏡も・・・・・・えっ
「え・・・・・・川本廣?」
どう見てもあの川本廣だ。
でも、もしかしたらそっくりな人かもしれない。
「あっ。冷えピタ貼らないと」
もし、あの川本廣だったら嬉しい・・・・・・正直。
ーー1時間後ーー
「んっ・・・・・・」
んっ・・・・・・? あっ!
「大丈夫ですか?」
「俺、まさか倒れてた・・・・・・?」
「はい、簡単に言うと」
「マジかーーまあ、いいや」
「さっき、急ぎがあるとか言ってませんでした?」
「あ、大丈夫。マネージャーがどうにかしてくれてると思うよ」
マネージャーって・・・・・・なら、まさか!?
「あの、もしかして川本廣さんですか?」
「うん、そうだよ」
「本当に!?凄く嬉しいーーサインください」
まさか、あの川本廣が自分のベッドにいるなんて。
「いいよ。今回は迷惑かけたからサービスで」
「ありがとうございます!」
嬉しい、凄く嬉しい。顔がニヤける。
「あとさ、お願いがあるんだけど・・・・・・」
お願い・・・・・・?私に・・・・・・?
「何でしょうか」
「1ヶ月だけここにいてもいい?」
ーー今、何て?ーー
「えっ。自分の家は?」
「ないんだ。実は」
えっ・・・・・・
「お願い。1ヶ月でいいからさ」
芸能界ではダメだと思う。でも私は・・・・・・
「1ヶ月で良いなら・・・・・・」
「やった!じゃ、よろしくね!」
「はい・・・・・・」
こうして同居することになった私たち・・・・・・
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