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聖夜
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普段だったらコートやジャンパーは掛けておく。脱いだものもきちんと畳んでおくはずだ。だがそんなことを考える余裕は今はない。ベッドサイドの明かりだけ付けると、春樹は自分が着ていたセーターを脱いで床に置く。そこには倫子のセーターもあった。
きちんとしないといけないと気が済まない性分なのに、今はそんなことを考える余裕すらない。ただ抱きたい。忘れさせてやりたいと思う。
「熱かっただろう。」
そう言って倫子のその左手に手を重ねた。
「……うん……。それに……入れ墨で誤魔化しているけれど……結構ひどいのよ。」
「入れ墨越しでもわかる。」
最初にレイプされてセックスをされてから倫子は、それからずっとだれも許していなかった。中学、高校と制服のある学校へ行ったが、その手の火傷の跡を理由にずっと肌を露出させていなかった。
だが美人であるために言い寄る男が多かったのは事実で、しかし倫子は誰ともつきあう気はなかった。地元であれば倫子が淫乱だと吹聴する噂も飛び交っているのだから。
「好きかもって思った人もいたの。でも……結局この跡を見て、「萎える」って言われたわ。」
「……。」
「その程度だと思ってたの。」
しかし作品のために濡れ場を入れないのは不自然だ。だから誤魔化すように入れ墨を入れて、わざと肌を露出させた。すると今度はセックスの時に薬を使おうとした男が近づいてきた。
「それもまたネタになったよね。」
「えぇ。あれはあれでね。でも……全部作品のため。春樹。今は作品のために寝るんじゃないの。」
「あぁ。」
「……好きよ。」
「俺も好きだ。」
倫子を包んでいた最後の布をとり、そして春樹も下着をとる。そして春樹は倫子の唇にキスをした。
この唇が好きだった。作家として作品にだめ出しをするのも、最初に書籍になってお祝いを言われたのも、そして愛を告げられる声も、全てが好きだった。
「もっと……して。」
「倫子……。」
忘れたい。政近の痕跡も、伊織の痕跡も全て消して欲しい。口を開けて、舌を絡ませる。倫子の頬に唾液が伝い、それでもやめられなかった。
「積極的。」
「嫌?」
「望むところだ。」
胸に手を触れると、その乳首を摘む。すると倫子はぐっと喉を鳴らした。
「痛い?」
「痛くないの……。あっ……。」
強めに引っ張る。そのたびに顔が赤くなる。その表情を見るだけで固くなってきそうだ。
「あっ……。」
舌で刺激を与え、わずかに歯で噛むとまた声色が変わる。
最初は強引に寝たようなものだった。なのに今はこんなに求めてくれる。だがわずかに違和感はあった。
「倫子。こっちを見て。」
すぐに目を閉じてしまう。誰か他の人を見ているかのように。
「春樹……あっ駄目。こんな格好したら……。」
足を上げられて性器も尻の穴も全部さらされる。その格好に思わず手で隠した。
「何で隠すの?」
「だって……。」
「良いから見せて。」
足を広げられて、そこに顔が近づいてくる。手を避けて見ると、そこはもうさわる前から濡れ始めていた。
指で広げると、ピンク色のそれが物欲しげに汁が滴ってくる。
「や……春樹……そんなに見ないで。」
思わずそこに舌をはわせる。すると倫子はさらに声を上げた。
「あっ……あっ……。」
音がする。水の音がして、生温かいものがそこに這っているのがわかる。音をたてれるほど汁が溢れ、その上も指で触れるとごりっと言う感触がした。
「あ……来ちゃう……春樹!んっ……。」
すると倫子はびくびくと体を震わせた。息を切らせ手枕に顔を埋めている倫子に、春樹は優しく唇を重ねた。そして倫子の体を起こすと、手を自分の固いところに持ってくる。
「触って。」
その言葉に、倫子はゆっくりとそこに手を這わせた。そして体をおると口の中にそれを含ませる。
「ん……。」
同じ石鹸を使っているし、同じシャンプーを使っているはずだ。なのにとてもいい匂いがする。それはおそらく男特有の匂いなのかもしれない。
口を離して、倫子は春樹の方を見上げる。すると春樹は少し笑って倫子の唇にキスをした。
「入れたい。」
「うん……。」
「……でも思い出さないか。あんな話をした後で……。」
その言葉に倫子は少し笑って春樹の体に体を寄せた。
「ううん……。むしろ払拭して欲しい。」
「倫子……。
倫子は春樹の膝の上に乗ろうと体をよじらせる。だが春樹は首を横に振った。
「ゴム付けないと。」
「うん……。」
ベッドサイドのわずかな光を頼りに、ベッドの舌にある引き出しからコンドームを取り出す。そしてその中の一つを手にすると、それを破ろうとした。そのとき倫子がその手に手を重ねる。
「付けさせて。」
「あぁ……良いよ。」
ベッドに腰掛けると、倫子はその袋からゴムを取り出して春樹の性器に付けていく。根本まで被さると、倫子はその春樹の膝の上に乗りかかった。
「……辛くないか?」
「どうして。」
「……。」
「話をしたのを気にしているの?気にすればするほど、こっちが気になるわ。」
「強がっていない?」
「だったら……あなたが全部払拭させてくれるの?」
「……責任重大だな。」
「面倒な女でしょう?」
すると春樹は倫子の手を引いて、その唇にキスをする。
「いいや。俺しか考えられないほど、払拭するから。」
その言葉に倫子は少し虚を突かれたように、春樹をみる。何もかも知っているような口調だった。
「春……。あっ……。」
ぐっと入り口が押されるような感じがした。
「倫子……んっ……。」
春樹は倫子の腰を支えながら、少しずつ入れ込んでいく。温かくてぬめぬめしたその感触に、思わず早々に射精しそうになる。
「あっ……入って……春樹のが……。」
「倫子。こっちを見て。」
春樹はそう言って、倫子をみる。奥までたどり着いて、春樹はキスをした。
「倫子……あまり絞めないで。」
「そんなの……。」
息を切らせて倫子は春樹の体にもたれていた。入れただけで絶頂に達してしまったらしい。
「倫子……んっ……。」
少し落ち着くと、倫子は自ら腰を動かし出した。そのたびに胸が震えて、体に感触が伝わってくる。
「あっ……あっ……。」
駄目だ。こんなに良かったらすぐに出てしまう。それに主導権を握られる。
「あっ……春樹?」
奥に入ったままの倫子の体を持ち上げて、そのまま倫子をベッドの上に寝かせる。抜けてしまった性器にまた押しつけると、また音を立てて入れ込まれた。
「あっ……奥……。」
「倫子……好き。愛してるよ。」
「私も……あっ……。あ……。春樹……。い……イク……イっちゃう!あっ……。ああああ!」
体にぎゅっと回る手が愛しい。
そしてこの体を好きにしたという男たちへの怒りが、沸々と沸いてきた。
きちんとしないといけないと気が済まない性分なのに、今はそんなことを考える余裕すらない。ただ抱きたい。忘れさせてやりたいと思う。
「熱かっただろう。」
そう言って倫子のその左手に手を重ねた。
「……うん……。それに……入れ墨で誤魔化しているけれど……結構ひどいのよ。」
「入れ墨越しでもわかる。」
最初にレイプされてセックスをされてから倫子は、それからずっとだれも許していなかった。中学、高校と制服のある学校へ行ったが、その手の火傷の跡を理由にずっと肌を露出させていなかった。
だが美人であるために言い寄る男が多かったのは事実で、しかし倫子は誰ともつきあう気はなかった。地元であれば倫子が淫乱だと吹聴する噂も飛び交っているのだから。
「好きかもって思った人もいたの。でも……結局この跡を見て、「萎える」って言われたわ。」
「……。」
「その程度だと思ってたの。」
しかし作品のために濡れ場を入れないのは不自然だ。だから誤魔化すように入れ墨を入れて、わざと肌を露出させた。すると今度はセックスの時に薬を使おうとした男が近づいてきた。
「それもまたネタになったよね。」
「えぇ。あれはあれでね。でも……全部作品のため。春樹。今は作品のために寝るんじゃないの。」
「あぁ。」
「……好きよ。」
「俺も好きだ。」
倫子を包んでいた最後の布をとり、そして春樹も下着をとる。そして春樹は倫子の唇にキスをした。
この唇が好きだった。作家として作品にだめ出しをするのも、最初に書籍になってお祝いを言われたのも、そして愛を告げられる声も、全てが好きだった。
「もっと……して。」
「倫子……。」
忘れたい。政近の痕跡も、伊織の痕跡も全て消して欲しい。口を開けて、舌を絡ませる。倫子の頬に唾液が伝い、それでもやめられなかった。
「積極的。」
「嫌?」
「望むところだ。」
胸に手を触れると、その乳首を摘む。すると倫子はぐっと喉を鳴らした。
「痛い?」
「痛くないの……。あっ……。」
強めに引っ張る。そのたびに顔が赤くなる。その表情を見るだけで固くなってきそうだ。
「あっ……。」
舌で刺激を与え、わずかに歯で噛むとまた声色が変わる。
最初は強引に寝たようなものだった。なのに今はこんなに求めてくれる。だがわずかに違和感はあった。
「倫子。こっちを見て。」
すぐに目を閉じてしまう。誰か他の人を見ているかのように。
「春樹……あっ駄目。こんな格好したら……。」
足を上げられて性器も尻の穴も全部さらされる。その格好に思わず手で隠した。
「何で隠すの?」
「だって……。」
「良いから見せて。」
足を広げられて、そこに顔が近づいてくる。手を避けて見ると、そこはもうさわる前から濡れ始めていた。
指で広げると、ピンク色のそれが物欲しげに汁が滴ってくる。
「や……春樹……そんなに見ないで。」
思わずそこに舌をはわせる。すると倫子はさらに声を上げた。
「あっ……あっ……。」
音がする。水の音がして、生温かいものがそこに這っているのがわかる。音をたてれるほど汁が溢れ、その上も指で触れるとごりっと言う感触がした。
「あ……来ちゃう……春樹!んっ……。」
すると倫子はびくびくと体を震わせた。息を切らせ手枕に顔を埋めている倫子に、春樹は優しく唇を重ねた。そして倫子の体を起こすと、手を自分の固いところに持ってくる。
「触って。」
その言葉に、倫子はゆっくりとそこに手を這わせた。そして体をおると口の中にそれを含ませる。
「ん……。」
同じ石鹸を使っているし、同じシャンプーを使っているはずだ。なのにとてもいい匂いがする。それはおそらく男特有の匂いなのかもしれない。
口を離して、倫子は春樹の方を見上げる。すると春樹は少し笑って倫子の唇にキスをした。
「入れたい。」
「うん……。」
「……でも思い出さないか。あんな話をした後で……。」
その言葉に倫子は少し笑って春樹の体に体を寄せた。
「ううん……。むしろ払拭して欲しい。」
「倫子……。
倫子は春樹の膝の上に乗ろうと体をよじらせる。だが春樹は首を横に振った。
「ゴム付けないと。」
「うん……。」
ベッドサイドのわずかな光を頼りに、ベッドの舌にある引き出しからコンドームを取り出す。そしてその中の一つを手にすると、それを破ろうとした。そのとき倫子がその手に手を重ねる。
「付けさせて。」
「あぁ……良いよ。」
ベッドに腰掛けると、倫子はその袋からゴムを取り出して春樹の性器に付けていく。根本まで被さると、倫子はその春樹の膝の上に乗りかかった。
「……辛くないか?」
「どうして。」
「……。」
「話をしたのを気にしているの?気にすればするほど、こっちが気になるわ。」
「強がっていない?」
「だったら……あなたが全部払拭させてくれるの?」
「……責任重大だな。」
「面倒な女でしょう?」
すると春樹は倫子の手を引いて、その唇にキスをする。
「いいや。俺しか考えられないほど、払拭するから。」
その言葉に倫子は少し虚を突かれたように、春樹をみる。何もかも知っているような口調だった。
「春……。あっ……。」
ぐっと入り口が押されるような感じがした。
「倫子……んっ……。」
春樹は倫子の腰を支えながら、少しずつ入れ込んでいく。温かくてぬめぬめしたその感触に、思わず早々に射精しそうになる。
「あっ……入って……春樹のが……。」
「倫子。こっちを見て。」
春樹はそう言って、倫子をみる。奥までたどり着いて、春樹はキスをした。
「倫子……あまり絞めないで。」
「そんなの……。」
息を切らせて倫子は春樹の体にもたれていた。入れただけで絶頂に達してしまったらしい。
「倫子……んっ……。」
少し落ち着くと、倫子は自ら腰を動かし出した。そのたびに胸が震えて、体に感触が伝わってくる。
「あっ……あっ……。」
駄目だ。こんなに良かったらすぐに出てしまう。それに主導権を握られる。
「あっ……春樹?」
奥に入ったままの倫子の体を持ち上げて、そのまま倫子をベッドの上に寝かせる。抜けてしまった性器にまた押しつけると、また音を立てて入れ込まれた。
「あっ……奥……。」
「倫子……好き。愛してるよ。」
「私も……あっ……。あ……。春樹……。い……イク……イっちゃう!あっ……。ああああ!」
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