守るべきモノ

神崎

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嫉妬

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 シーツはもう愛液や汁で濡れていた。少し休んだり、シャワーを浴びてからも政近は倫子をずっと求めていたからだ。倫子の体は求めれば求めるほど欲しくなる。少し女日照りだったからかもしれないが、それでもここまで夢中になれると思ってなかった。縛ってもないし、道具を使っているわけでもないのに、どうしてここまで好きになれるのだろう。
「倫子……。俺の形、覚えておけよ。あいつとしても良いけど……俺の忘れるな。」
「あっ……奥……に……。」
「奥まで入ってるよな。んっ……。やべ……また締まってきた。」
 抜き差しする度に、水の音がする。うつ伏せになって膝を立てている倫子は、尻だけを政近に向けていた。その太股にも汁が垂れていて、中に入る度に気が狂いそうだ。
「倫子。このまま体を起こして。」
 奥に入れ込んだまま、政近は倫子の体を抱き上げる。それだけで角度がまた違うところに当たったらしく、声を上げた。
「あっ……。」
「ここが好きだよな。」
 手を伸ばして、その性器の上にある堅いところにも指をはわせた。コリコリと感触がして、片手では乳首に触れられている。両方責められてどうにかなりそうだ。
「そんなに締めるなよ。すぐ出して欲しいのか?」
 もう何も考えられない。好きだとか、何だとか、わからない。
「いいっ……。あっ……。い……。んーーーー!」
 腰を捕まれて、膝で立ったまま後ろから突かれた。膝ががくがくと痙攣して、それでも政近は止めない。
「気持ちいいんだろ?俺の……。」
「政近……。」
 そのとき床に置いてあった政近の携帯電話がなる。プライベートの方の携帯電話だ。そう思って政近はいったん倫子から抜くと、倫子を仰向けで寝かせた。そして手だけでその携帯電話に手を伸ばす。相手は意外な人だった。
「んー?どうした?」
 まさか電話に出ると思ってなかった。倫子は驚いたように政近の方をみる。すると政近は電話の対応をしながら、倫子の足をあげる。そしてその性器にまた性器をあてがった。
「ちょ……。」
 声を出せば電話の主に倫子のことがばれてしまう。そう思って倫子は口を自らふさいだ。だが無情にも政近はその中に入ってくる。
 顔を赤くして口をふさいでいる。感じているのも我慢しているようだった。その姿を見て、さらに政近は腰を打ち付けた。さっきよりも濡れているのは、我慢しているからだ。水の音が電話の主に聞こえないだろうか。
「んー?居るよ。別に変なこと何かしてねぇから……。仕事の話してた。これじゃ売れないなんか言われたら、意地になるだろ?だからネームやり直して……。んっ……。あ……いや何でもない。設定が壁から落ちてさ……。」
 打ち付ける度に胸が揺れ、顔が赤くなる。手で押さえているその隙間から吐息が漏れて我慢すればするほど感じるようだった。だからそこも締まってくる。政近もまた射精しそうなのを我慢していたのだ。
「朝までに帰って来いって?わかったよ。そうする。あー。それから……。」
 わざとか。話を続けようとして、我慢させている。だからサディストなのだ。
「そっちの方に連絡してって言っておいてくれるか。うん……。何にもしてねぇから。してたとしても関係ねぇだろ?今度またそっちの店行くよ。安くしろよ。常連なんだし。じゃあな。」
 電話を切ると、そのまま倫子の手をはずす。すると倫子は今までの我慢が吹っ切れたように声を上げた。
「ああああ!イく!イく!イっちゃう!あーーーー!駄目!うんんんん!」
 シーツを掴んでいる。その手をふりほどかせて、政近の手を握らせた。するとぎゅっと倫子もそれに答えるように手を握る。
「あっ……俺も……イく……んっ……ああああ!倫子。り……。」
 温かいものがお腹の奥に感じた。倫子もがくがくと体を震わせて、その手を握る。
 政近は倫子の上に覆い被さるように体を横たえて息を切らせた。倫子の体が熱い。そしてまだ少し震えている。
「倫子……。」
 倫子も顔を赤くさせて、息を切らしていた。その唇にキスをすると、政近はその髪をよける。外気は寒いのに、汗をかいているようだ。
「感じまくったな。」
「バカじゃない。」
 まだ倫子の中に政近が入っているのに、倫子はそう悪態を付いた。
「何だよ。」
「電話にでるなんて……。」
「昔からの知り合いだよ。お前のことを心配した同居人が、つてつてでここまでたどり着いたみたいだけどな。」
「だからってこんな時にでるなんて何を考えてるの?」
「すごいイってたのに?一回目の時より、イってたじゃん。どっかネジが外れたかと思ったわ。」
「あなたは外れっぱなしでしょ?」
「お前の体、超いいんだよ。癖になるわ。これ。」
 体だけと言われているようだ。不機嫌そうに腰を避けようとした。まだ入っているからだ。
「もう一回するか?」
「精力バカ。」
「お前は淫乱だろ?それか……。」
 さっきのプライベートの電話ではなく、政近はベッドの上にあった携帯電話を手にする。
「藤枝編集長に連絡しようか?」
「やめて。」
 この表情だ。いつもいらついているように見えるのに、焦っているその表情がたまらない。
「ガキが出来るまでするか。そうすれば……。」
 春樹とも別れられるし、自分のものになる。どちらにしても自分の思い通りだ。
「出来ないわ。」
「何で?」
「ピル飲んでるから。」
 その言葉に政近は、抜きかけた性器をまた入れ込む。時間をおかなければ出来るわけがないのだが、それでもそんなことを言わなかった倫子に腹が立つ。
「やりまくれるようにしてんのか?」
「んっ……。違うわ。こっちにはこっちの事情があるのよ。」
 その事情を一つ一つ説明することはない。恋人ですらないのだから。しかし政近は一度性器を抜くと、コンドームをとる。そして倫子の体を起こすと、そこに触れさせた。
「掃除してよ。」
「……。」
「イヤなのか?あいつにはしてんだろ?あいつには生でもさせてんだろ?舐めろよ。」
 嫉妬しているように、政近はまだ少し固さが残る性器に口を付けさせた。あいつもこの体を好きにしたのだ。
 感じやすい体も、自分を呼ぶ声も、抱きしめる温もりも、手の感触だって自分のものではない。政近はそう思いながら、自分の股間に顔を埋める倫子の後ろ頭を見ていた。
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