守るべきモノ

神崎

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素直

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 栄輝が出てきたであろうラブホテルがどちらなのかわからない。数件あるうちの一つできっと情事をしたのだ。
 倫子の小説の中には、同性愛者が出てくることが多い。だから、倫子は資料としてゲイ向けのAVやレズ向けのAVも観たことがある。あの行為をしているのだろうと思うと、複雑な気分になる。
 シャワーを浴びて、倫子は煙草を吹かしながらテレビのチャンネルをかえていた。ラブホテルでは、ペイチャンネルが無料で観れることが多い。
「テレビを見たいの?」
 休憩で取った部屋はあまり時間がない。のんびりテレビを見ている時間はあまりないようだが、倫子がそれを望んでいるなら仕方がないだろう。春樹はそう思って、倫子の隣に座った。
「んー。ペイチャンネルが観れないかと思って。」
 民法のバラエティ、ニュース、歌番組などが映る。やっていないのかと思ってテレビを消そうとした。
「こっちじゃないよ。こっちのチャンネルだ。」
 そういって春樹は、チャンネルをかえる。そしてリモコンを操作すると、少し画像が荒いがセーラー服姿の女性が、男達に手足を押さえられて、そのセーラー服の前を力付くで脱がされていた。
 全部は脱がさないようだが、そのセーラー服の下につけてある白い下着をとられると、ピンク色の乳首が見えた。だが女性は「嫌、嫌」といってずっと泣き叫んでいる。
「レイプものね。本当に高校生でもないのに。」
「それに同意の上だよ。演技だ。」
 別にこんなものが観たかったわけではない。そう思って倫子はテーブルにあった番組表を目に写す。
「ゲイ向けのものはやらないのかしら。」
「しないだろう。普通じゃやらないと思う。」
 急にゲイ向けと言ってきたのは、おそらく栄輝のことがよぎったからだ。そう思って、春樹はまたテレビに目を移す。
「レイプものもぎりぎりだと思うけどね。真に受けた人が本当に実行しようとして捕まったの知らない?」
「そういうこともあったわね。」
「AVがそういうことをしているから真に受けて現実世界でも実行しようとする。だからAVは犯罪を促しているって言う人も多いんだ。」
「真に受けたのがバカなのよ。いやよいやよは、本当に嫌なんだから。」
 今日、それがわかった。政近とのキスは嫌気しかない。キスをされたいのはこの人だけだ。
 倫子は煙草を消すと、春樹の体に体を寄せる。
「どうしたの?」
「こうしたいだけ、っていったら幻滅する?」
 いつか泉が言っていた。女から手を出すなんてはしたないと母から聞かされていたと。泉はそれを聞かされて育ったから、好きな人が出来たと言っても行動に移さなかったのだ。
 春樹もそう思うのだろうか。ずっと受け身でいた方がいいのかもしれないが、自分だって触れたいと思う。
「ううん。君もそうしたいと思ってたのか。俺だけかと思ったよ。」
 後ろ頭をなでて、春樹は体を寄せられた倫子の体に少し違和感を感じる。
「ん?下着つけてない?」
「汚れたら履いて帰れないから。」
 バスローブのようなものを羽織っているだけだ。それを感じて、春樹はその胸に手を寄せる。バスローブの向こうに、たやすくその柔らかくて温かいものに触れられた。
「んっ……。」
 胸に触れるだけで倫子の顔が赤く染まってきた。倫子の手が、春樹の体に触れてくる。
「もう立ってきてる。」
 今日は酒が入っている。だから立たないかもしれないと思っていた。まだ春樹が独身の時、飲み会のあとに誘ってきた女にほいほいついて行ったことがあったが、結局立つことはなく女からは「不全だ」と罵られたこともあって、飲んだあとはそれを控えていたのだ。
 だが今日は押さえきれない。立たなくてもいい。倫子が満足してくれればいいのだ。
 乳首に指が触れると、倫子はビクッと体を震わせた。軽くなぞるだけで感じ始めているのだ。
「すごい綺麗だね。」
 バスローブが乱れ、だが体のほとんどを覆っている。バスローブの襟刳りから少し見える胸が白い。
 その紐に手を伸ばすと、肩だけにバスローブがかかっているだけだった。それをよけるとさっきまで触れていた乳首が顔を出す。もう堅く尖っているようだった。
「敏感。もうこんなになってる。」
 テレビの女は、寝かされながらも男の性器を口に入れられている。そしてその両手には別々の男の性器が握られ、違う男はその体に射精をした。セーラー服を汚すような行為がたまらないのだろう。
 倫子を誰にも渡したくない。政近にも、そして伊織にも。
「少し離して。」
 体にしがみついている倫子を少し離すと、ソファーの上に足を上げさせた。まだ乳首しか触れていないのに、性器はもうバスローブを濡らし始めていた。
「この格好……。」
 ソファーは狭い。なので、足を思いっきり開かないと、足は乗らないのだ。なのに春樹はその床に膝を突くと、その性器に指を這わせた。
「あっ……。」
 恥ずかしいと思った。なのにそこに触れた瞬間、どうでも良くなった。表面を触れるだけで、水の音がした。その性器の上、そのごりっとしたところに触れるだけで倫子はさらに声を上げた。
「そこ……変になる……んあっ……。」
「クリも相当立ってる。まだそんなにしてないのに。倫子。足持って。」
 足を広げて、その足の裏を支えるように手で押さえると、性器がさらされる。みているだけで次々と愛液が溢れ、もう何でも受け入れられそうだ。
「あっ……あっ!駄目!」
 そこを指でいじり、中に指を入れた。中も相当濡れているようだ。指を抜く度に、卑猥な水の音がする。
「倫子の中、指なのに相当締めてくるね。ここ?ここが気持ちいいんだよね。」
 少し指を曲げて、なで上げる。すると倫子は背もたれにもたれながら、声を上げた。
「あっああああ!」
 指をよけると、テーブルにまで汁が飛び散った。ここまで感じることがあっただろうか。ぐったりとしている倫子に春樹は、少し立ち上がるとキスをする。
「大丈夫?」
「どうにかなりそう……。」
「こんなに感じてたかな。敏感なのは知ってたけど。」
 今日は少し異常だ。すぐ失神してしまいそうだと思う。
「好きだから……。」
 言葉にしたことで気持ちも素直になったのだろう。もう頭の片隅にも、未来の顔がよぎらなかったから。
「俺も好き。倫子……。」
 そういってまた倫子の唇にキスをする。とぎれそうな意識の中、倫子はその感触だけが愛しいと思った。
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