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燃焼
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土曜日の昼間に河川敷でバーベキューをするという人たちは結構多かった。家族連れ、職場のレクリエーション、大学のサークルなど、結構な人たちがいて、その客を狙って屋台まででているようだ。
「亜美。会費って三千円で元が取れるの?」
ビールを受け取った倫子は、肉を用意している亜美に聞いていた。亜美も今日はチューブトップの肩を露出させたものを着ている。右肩には入れ墨が見えていた。
「そのあとうちに流れ込んでくれればね。」
「昼間のうちに飲んでて、夜もそんなに飲むのかしら。」
「倫子。あなたは来なさいよ。」
「仕事したい。」
「ったく、仕事の虫なんだから。牧緒、そのローストビーフもう休ませてあげて。」
ホイルに包んだ肉を焼いている。それを少し火から離して、しばらく休ませるとローストビーフが出来上がるのだ。
周りを見れば簡易的な合コンのように、男が話しかけたり、女はそれに嫌な顔をせずに受け答えている。その中には伊織の姿もあったが、伊織は男の人とばかり話をしているようだ。どうやら、気が合うDJでもいたのだろうか。
「ねぇ。あの伊織って子は、ゲイなの?」
「え?」
「さっきから男の人としか話してないわ。」
「そんなことを言ったら、私も亜美としか話してないわよ。」
「倫子は仕方ないわ。」
「何で?」
露出させたような格好をしているがそこには入れ墨が沢山入っている体があり、いくら男好きな体をしているとはいっても近寄りがたいだろう。ヤクザの情婦に見えないこともない。
「一緒に住んでて、あの子は何もないの?」
「何もないわねぇ。」
何かあるのだったら、忠告してやろうと思っていたのにその必要はないのだろう。
「亜美。ビール頂戴。」
「はーい。」
持ってきているサーバーからビールをカップに注ぎそれを手渡すと、向こうで見覚えのある人がやってきた。それは編集者の男だ。藤枝春樹。倫子がデビューをした頃からずっと世話になっている男だと聞いている。
「こんにちは。楽しそうなイベントがあるというので、様子を見に来ましたよ。」
「いらっしゃい。藤枝さん。」
「会費はいくらかな。」
「三千円ですよ。それで食べ放題で飲み放題ですから。」
「豪勢ですねぇ。」
「まぁ、飲み放題といってもアルコールはビールとハイボールくらいしかないし、ソフトドリンクはコーラかウーロン茶、トニックウォーターくらいしかありませんけどね。何にします?」
「あ、じゃあ。ウーロン茶を。」
「飲まないんですか?」
「昼飲むと、回るんですよ。歳ですかね。」
カップにウーロン茶と氷を入れて、春樹に手渡す。そのときふと亜美は、その手元を見て違和感を覚えた。指輪があったはずだ。なのに今はそれがない。
「藤枝編集長。」
焼けた肉を取り分けてもらっていると、春樹は声をかけられてそちらをみる。そこには加藤絵里子の姿があったからだ。
「どうしたんですか。こんなところで。」
「食事だよ。そういうイベントがあると聞いたからね。君はここの常連かな。」
「いいえ。友人につれてこられて。」
少し離れた所に友人という女性たちがいる。春樹を見て何かこそこそと話しているようだ。おっさんだとか何だかんだと言っているのだろう。
「そうだったね。この間の飲み会でも二次会はここだった。知らないわけがないよね。」
「えぇ。あぁ、さっき小泉先生も来ていましたよ。」
「挨拶はした?」
「見かけてまたどこかへ行ってしまったようなので、挨拶をしそびれてしまって。編集長。私挨拶をしたいので、あとで話してもらっても良いですか。」
「良いよ。君のことも知っておいてもらった方が良いだろうし。」
そのとき向こうにいたのが倫子を見かけた。思わず春樹はそこへ足を延ばしかけようとする。だが倫子の隣にいるのは伊織だった。普段の倫子とは違う。やはり歳が近い人といるといいのかもしれない。
笑いがあったり、時には倫子の方から伊織の肩に触れたりしている。それを見て、少し春樹は取り残されたような気分になった。
「……編集長。あの……。」
すると春樹はそこから視線をはずして、川の方をみる。子供達が川の水で涼みながら遊んでいるようだった。
「ずいぶん涼しそうだ。子供が羨ましいね。」
いつもより蒸し暑いのは、嵐の前だからだろうか。
伊織の紹介で話をしたDJは、クラブでの出来事を話してくれた。この間、捕まったDJは芸能人とも繋がりがあったらしく芋蔓式に薬で検挙されると言っていた。
大きな騒ぎになるかもしれない。
そんか中、敬太郎が紹介した女性と倫子は話を聞いていた。敬太郎の友人の中には、トランスジェンダーの人がいる。女性に見えるが、戸籍上では男性だ。
「まともな職なんて付けないでしょ?だからバーにいるんだけどね。」
この街には繁華街の一角にLGBTの人たちが集うところがある。公園で待ち合わせをして、そのままホテルに消える。つまり恋人と出会うところでもあるが、体を売る人たちもいるのだという。
「男相手の売春ですか。」
「えぇ。ウリセンって言うの。知らなかった?」
「話には聞いてますけど……縁はなかったので。私の周りにはそういった人はいなかったし。」
「そう……今度いらして。小泉先生みたいな人だったら、人気かもしれないし。」
「私、男性が良いです。」
「あら。新しい世界が開けるかもしれないわよ。」
苦笑いをして、ビールを少し飲む。そのときだった。
「先生は、女性も趣味ですか。」
聞きなじみのある声がして、倫子は少し笑った。そこには皿とウーロン茶をもった春樹の姿がある。
「藤枝さん。いいえ。私は男性の方が良いです。」
「俺も女性の方が良いですね。おや。もう飲んでるんですか?」
「さすがにビールばかりだと、そんなに飲めませんね。
まるで春樹が倫子を守っているようだった。二人の様子を遠くから見て、伊織は悔しそうにビールを飲んだ。守ってあげているような気がしたからだ。
だが、その実情は全く違う。
「何の話をしてたんですか?」
春樹はそう言って倫子にその内容を聞こうした。すると倫子は上機嫌に女性に話をする。
「思ったよりもディープな話で、今度詳しい話を聞きたいわ。麗子さん。今度、おすすめのソフトを教えてください。」
「あぁ。ゲイビの?良いわよ。」
コレもネタを集めるためだったのか。あきれたように春樹は倫子を見ていた。
「亜美。会費って三千円で元が取れるの?」
ビールを受け取った倫子は、肉を用意している亜美に聞いていた。亜美も今日はチューブトップの肩を露出させたものを着ている。右肩には入れ墨が見えていた。
「そのあとうちに流れ込んでくれればね。」
「昼間のうちに飲んでて、夜もそんなに飲むのかしら。」
「倫子。あなたは来なさいよ。」
「仕事したい。」
「ったく、仕事の虫なんだから。牧緒、そのローストビーフもう休ませてあげて。」
ホイルに包んだ肉を焼いている。それを少し火から離して、しばらく休ませるとローストビーフが出来上がるのだ。
周りを見れば簡易的な合コンのように、男が話しかけたり、女はそれに嫌な顔をせずに受け答えている。その中には伊織の姿もあったが、伊織は男の人とばかり話をしているようだ。どうやら、気が合うDJでもいたのだろうか。
「ねぇ。あの伊織って子は、ゲイなの?」
「え?」
「さっきから男の人としか話してないわ。」
「そんなことを言ったら、私も亜美としか話してないわよ。」
「倫子は仕方ないわ。」
「何で?」
露出させたような格好をしているがそこには入れ墨が沢山入っている体があり、いくら男好きな体をしているとはいっても近寄りがたいだろう。ヤクザの情婦に見えないこともない。
「一緒に住んでて、あの子は何もないの?」
「何もないわねぇ。」
何かあるのだったら、忠告してやろうと思っていたのにその必要はないのだろう。
「亜美。ビール頂戴。」
「はーい。」
持ってきているサーバーからビールをカップに注ぎそれを手渡すと、向こうで見覚えのある人がやってきた。それは編集者の男だ。藤枝春樹。倫子がデビューをした頃からずっと世話になっている男だと聞いている。
「こんにちは。楽しそうなイベントがあるというので、様子を見に来ましたよ。」
「いらっしゃい。藤枝さん。」
「会費はいくらかな。」
「三千円ですよ。それで食べ放題で飲み放題ですから。」
「豪勢ですねぇ。」
「まぁ、飲み放題といってもアルコールはビールとハイボールくらいしかないし、ソフトドリンクはコーラかウーロン茶、トニックウォーターくらいしかありませんけどね。何にします?」
「あ、じゃあ。ウーロン茶を。」
「飲まないんですか?」
「昼飲むと、回るんですよ。歳ですかね。」
カップにウーロン茶と氷を入れて、春樹に手渡す。そのときふと亜美は、その手元を見て違和感を覚えた。指輪があったはずだ。なのに今はそれがない。
「藤枝編集長。」
焼けた肉を取り分けてもらっていると、春樹は声をかけられてそちらをみる。そこには加藤絵里子の姿があったからだ。
「どうしたんですか。こんなところで。」
「食事だよ。そういうイベントがあると聞いたからね。君はここの常連かな。」
「いいえ。友人につれてこられて。」
少し離れた所に友人という女性たちがいる。春樹を見て何かこそこそと話しているようだ。おっさんだとか何だかんだと言っているのだろう。
「そうだったね。この間の飲み会でも二次会はここだった。知らないわけがないよね。」
「えぇ。あぁ、さっき小泉先生も来ていましたよ。」
「挨拶はした?」
「見かけてまたどこかへ行ってしまったようなので、挨拶をしそびれてしまって。編集長。私挨拶をしたいので、あとで話してもらっても良いですか。」
「良いよ。君のことも知っておいてもらった方が良いだろうし。」
そのとき向こうにいたのが倫子を見かけた。思わず春樹はそこへ足を延ばしかけようとする。だが倫子の隣にいるのは伊織だった。普段の倫子とは違う。やはり歳が近い人といるといいのかもしれない。
笑いがあったり、時には倫子の方から伊織の肩に触れたりしている。それを見て、少し春樹は取り残されたような気分になった。
「……編集長。あの……。」
すると春樹はそこから視線をはずして、川の方をみる。子供達が川の水で涼みながら遊んでいるようだった。
「ずいぶん涼しそうだ。子供が羨ましいね。」
いつもより蒸し暑いのは、嵐の前だからだろうか。
伊織の紹介で話をしたDJは、クラブでの出来事を話してくれた。この間、捕まったDJは芸能人とも繋がりがあったらしく芋蔓式に薬で検挙されると言っていた。
大きな騒ぎになるかもしれない。
そんか中、敬太郎が紹介した女性と倫子は話を聞いていた。敬太郎の友人の中には、トランスジェンダーの人がいる。女性に見えるが、戸籍上では男性だ。
「まともな職なんて付けないでしょ?だからバーにいるんだけどね。」
この街には繁華街の一角にLGBTの人たちが集うところがある。公園で待ち合わせをして、そのままホテルに消える。つまり恋人と出会うところでもあるが、体を売る人たちもいるのだという。
「男相手の売春ですか。」
「えぇ。ウリセンって言うの。知らなかった?」
「話には聞いてますけど……縁はなかったので。私の周りにはそういった人はいなかったし。」
「そう……今度いらして。小泉先生みたいな人だったら、人気かもしれないし。」
「私、男性が良いです。」
「あら。新しい世界が開けるかもしれないわよ。」
苦笑いをして、ビールを少し飲む。そのときだった。
「先生は、女性も趣味ですか。」
聞きなじみのある声がして、倫子は少し笑った。そこには皿とウーロン茶をもった春樹の姿がある。
「藤枝さん。いいえ。私は男性の方が良いです。」
「俺も女性の方が良いですね。おや。もう飲んでるんですか?」
「さすがにビールばかりだと、そんなに飲めませんね。
まるで春樹が倫子を守っているようだった。二人の様子を遠くから見て、伊織は悔しそうにビールを飲んだ。守ってあげているような気がしたからだ。
だが、その実情は全く違う。
「何の話をしてたんですか?」
春樹はそう言って倫子にその内容を聞こうした。すると倫子は上機嫌に女性に話をする。
「思ったよりもディープな話で、今度詳しい話を聞きたいわ。麗子さん。今度、おすすめのソフトを教えてください。」
「あぁ。ゲイビの?良いわよ。」
コレもネタを集めるためだったのか。あきれたように春樹は倫子を見ていた。
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