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進展
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香水のデザインは結局、明日菜のデザインが採用された。どうも女性的だといわれている伊織のデザインだが、女性をターゲットにしたものはやはり女性の方が有利だと思う。伊織のデザインはよく言えばジェンダーレスで、悪くいえば女らしくも男らしくもない。社長である上岡富美子それで良いと言っていたが、それでも男らしい女らしいデザインを一度作らないといけないかもしれない。
今度のデザインは、ケーキ屋の包装紙。人気のあるケーキ屋で、うまく行けば全国展開するかもしれない。それだけ気合いが入る。
「伊織。」
部屋の外から声がかかる。泉の声だろう。
「どうした?」
ドアを開けられると、泉はもうTシャツとハーフパンツの姿だった。もう寝るのだろう。
「冷蔵庫のアイスって、伊織が買ってきたの?」
「うん。急に食べたくなって。倫子には言ったけど泉も食べて良いよ。」
「そう。ありがとう。冷たいものが食べたかったから。で、倫子はどっか行ったの?」
「え?まだ帰ってきてない?」
「うん。まぁ……いつもどっかふらっと居なくなるから、別にいいんだけど。亜美のところかな。」
春樹とコンビニで待ち合わせをしていたはずだ。そのままどこかへ行ったのだろうか。どこかというのは、男と女なのだから一つしかない。春樹が既婚者だというのは、何も考えていないのだろうか。
シャワーを浴びてリビングに戻ってくると、先にシャワーを浴びた倫子はソファーの上でシャツ一枚の姿で本を読んでいるようだった。それは妻である未来のお気に入りの本で、恋愛小説だった。事故で半身が不自由になった男とそれを支える看護師の話で、事実を元にして作られたものだった。
今はこの男性はリハビリの成果が出て、杖をつきながら歩くことは出来る。そして子供も出来た。美しい美談だと思う。
「……努力は必ず報われるって書いてるわね。」
「あぁ。俺はそう思わないけどね。」
「どうして?」
「必ず報われるなら、もっといい作品が世に出ていいと思う。でも大半は埋もれているよ。」
「そうね。私は運が良かったのかもしれないわ。」
春樹の妻が倫子を見いだしたのだ。それを今からすることで、裏切る行為にならないだろうか。そう思えて仕方がない。
「倫子。また暗くなってる。」
「え?」
この行為は裏切りだ。そう思えて仕方がない。しかし自分でここへやってきたのだ。そしてここで奥さんとセックスをしたのだろうに、ここで自分としようとしている春樹の心がわからない。
「俺だけ見て。」
春樹はそう言って倫子が座っているソファーに乗り上げた。そして唇を重ねる。音を立ててその舌を味わった。その音にも興奮しているのだろう。倫子の頬が赤くなる。シャツをめくって、下着越しから胸に触れた。柔らかくて、張りのある胸だ。
「んっ……春……。」
「直接見るよ。」
大きめのシャツは春樹のものだ。それを脱がせて、下着を取った。すると上半身はもう裸だ。いつも見ている左の首筋から右の胸にかけて黒いシルエットの竜がある。そしてそれをよく見ると、火傷のあとが無数にあった。そこを隠したいと思っていたのだろう。だから入れ墨を入れた。
その跡すら愛しい。
春樹はその入れ墨に唇を這わせる。
「やっ……。」
唇を這わせて、尖りつつあるピンク色の乳首に触れて、口に含んだ。
「そんなに吸わないで……あっ……。」
口を押さえて、倫子はその衝撃をこらえていた。だが音を立てて吸い上げられ、もう片方の胸は乳首をこね回されている。それだけでも痛いくらい堅く、でも辞めないでほしいと思った。
「あの下はこんなにやらしい形になってたんだ。」
「あの下?」
「起き抜けの君の部屋に行った。コレが見えそうだったから焦ったよ。こんなに簡単に堅くなってたら、誰でも誘われているって思うだろうね。」
意識は半分朦朧としていたが、おそらく胸が見えそうなくらい薄着だったのだろう。
「想像させたの?」
「ずっと頭から抜けなかった。どんな形をしてるんだろうとか、どんな色をしているんだろうとか。どんな風にしたら感じるのかって。」
「んっ……引っ張らないで……。」
乳首を引っ張ると、そこをぐりぐりとこね回す。痛いのに、やめないで欲しい。トロンとした顔になってきて、息も荒くなってきた。これだけで感じているのだろう。
「ベッド行こうか。」
倫子を抱え上げると、隣の部屋のドアを開ける。そこにもベッドのほかにクローゼットはあるが、目立つのは本棚だろう。図書館でも出来そうなくらい本がある。
エアコンは効かせてあったので暑くはない。倫子をベッドに寝かせると、下着に手をかけた。
「え……もう?」
「濡れそうだから。」
「あなたは何も脱いでないのに。」
すると春樹は下着を取ったが、濡れそうだというのはすでに遅かったらしい。下着がもう濡れている。
「もう濡れてたのか。」
「……バカ。」
倫子の顔が赤くなる。恥ずかしかったのだろう。その様子に春樹もまた上着を脱ぎだした。割といい体をしている。歳では中年かもしれないが、中年に見えない。思わず倫子は聞く。
「鍛えてるの?」
「たまに泳いだりするくらいだよ。」
そう言って春樹はジャージのズボンとを取り、下着を脱いで倫子の寝ているベッドに乗りかかった。もうすでにそそり立っているそれに、倫子は視線を逸らした。
「倫子。こっちを見て。」
それを感じ、春樹は倫子の体を抱き起こすとまたキスを繰り返す。妻が相手でもこんなにキスをしたりしなかっただろう。妻は喫煙者ではなかった。だからキスは嫌がっていたのだ。煙い、臭いと言い始めたのは、最初のセックスからずっとあとのことだった。きっとずっと我慢していたのだが、時がたつに連れて我慢していたのを押さえきれなくなったのだ。
それが恋ではなく、愛に変わったときだろう。
倫子もそれがわかるときが来るのだろうか。感情のないと言い聞かせているこの状況で、セックスをして何が変わるのだろう。
「倫子。嘘でもいい。このときだけ、好きだと嘘を付いてくれないか。」
すると倫子は少しうつむいて春樹にいう。
「私もそう思ってた。言わないと今までのことと何も変わらないと思うから。」
倫子は涙を溜めて、春樹に言う。
「好きよ。あなたが好き。」
「俺も。俺も好きだよ。」
涙を拭って、またキスをする。唇を離すと、春樹はまたその体に触れ始めた。
今度のデザインは、ケーキ屋の包装紙。人気のあるケーキ屋で、うまく行けば全国展開するかもしれない。それだけ気合いが入る。
「伊織。」
部屋の外から声がかかる。泉の声だろう。
「どうした?」
ドアを開けられると、泉はもうTシャツとハーフパンツの姿だった。もう寝るのだろう。
「冷蔵庫のアイスって、伊織が買ってきたの?」
「うん。急に食べたくなって。倫子には言ったけど泉も食べて良いよ。」
「そう。ありがとう。冷たいものが食べたかったから。で、倫子はどっか行ったの?」
「え?まだ帰ってきてない?」
「うん。まぁ……いつもどっかふらっと居なくなるから、別にいいんだけど。亜美のところかな。」
春樹とコンビニで待ち合わせをしていたはずだ。そのままどこかへ行ったのだろうか。どこかというのは、男と女なのだから一つしかない。春樹が既婚者だというのは、何も考えていないのだろうか。
シャワーを浴びてリビングに戻ってくると、先にシャワーを浴びた倫子はソファーの上でシャツ一枚の姿で本を読んでいるようだった。それは妻である未来のお気に入りの本で、恋愛小説だった。事故で半身が不自由になった男とそれを支える看護師の話で、事実を元にして作られたものだった。
今はこの男性はリハビリの成果が出て、杖をつきながら歩くことは出来る。そして子供も出来た。美しい美談だと思う。
「……努力は必ず報われるって書いてるわね。」
「あぁ。俺はそう思わないけどね。」
「どうして?」
「必ず報われるなら、もっといい作品が世に出ていいと思う。でも大半は埋もれているよ。」
「そうね。私は運が良かったのかもしれないわ。」
春樹の妻が倫子を見いだしたのだ。それを今からすることで、裏切る行為にならないだろうか。そう思えて仕方がない。
「倫子。また暗くなってる。」
「え?」
この行為は裏切りだ。そう思えて仕方がない。しかし自分でここへやってきたのだ。そしてここで奥さんとセックスをしたのだろうに、ここで自分としようとしている春樹の心がわからない。
「俺だけ見て。」
春樹はそう言って倫子が座っているソファーに乗り上げた。そして唇を重ねる。音を立ててその舌を味わった。その音にも興奮しているのだろう。倫子の頬が赤くなる。シャツをめくって、下着越しから胸に触れた。柔らかくて、張りのある胸だ。
「んっ……春……。」
「直接見るよ。」
大きめのシャツは春樹のものだ。それを脱がせて、下着を取った。すると上半身はもう裸だ。いつも見ている左の首筋から右の胸にかけて黒いシルエットの竜がある。そしてそれをよく見ると、火傷のあとが無数にあった。そこを隠したいと思っていたのだろう。だから入れ墨を入れた。
その跡すら愛しい。
春樹はその入れ墨に唇を這わせる。
「やっ……。」
唇を這わせて、尖りつつあるピンク色の乳首に触れて、口に含んだ。
「そんなに吸わないで……あっ……。」
口を押さえて、倫子はその衝撃をこらえていた。だが音を立てて吸い上げられ、もう片方の胸は乳首をこね回されている。それだけでも痛いくらい堅く、でも辞めないでほしいと思った。
「あの下はこんなにやらしい形になってたんだ。」
「あの下?」
「起き抜けの君の部屋に行った。コレが見えそうだったから焦ったよ。こんなに簡単に堅くなってたら、誰でも誘われているって思うだろうね。」
意識は半分朦朧としていたが、おそらく胸が見えそうなくらい薄着だったのだろう。
「想像させたの?」
「ずっと頭から抜けなかった。どんな形をしてるんだろうとか、どんな色をしているんだろうとか。どんな風にしたら感じるのかって。」
「んっ……引っ張らないで……。」
乳首を引っ張ると、そこをぐりぐりとこね回す。痛いのに、やめないで欲しい。トロンとした顔になってきて、息も荒くなってきた。これだけで感じているのだろう。
「ベッド行こうか。」
倫子を抱え上げると、隣の部屋のドアを開ける。そこにもベッドのほかにクローゼットはあるが、目立つのは本棚だろう。図書館でも出来そうなくらい本がある。
エアコンは効かせてあったので暑くはない。倫子をベッドに寝かせると、下着に手をかけた。
「え……もう?」
「濡れそうだから。」
「あなたは何も脱いでないのに。」
すると春樹は下着を取ったが、濡れそうだというのはすでに遅かったらしい。下着がもう濡れている。
「もう濡れてたのか。」
「……バカ。」
倫子の顔が赤くなる。恥ずかしかったのだろう。その様子に春樹もまた上着を脱ぎだした。割といい体をしている。歳では中年かもしれないが、中年に見えない。思わず倫子は聞く。
「鍛えてるの?」
「たまに泳いだりするくらいだよ。」
そう言って春樹はジャージのズボンとを取り、下着を脱いで倫子の寝ているベッドに乗りかかった。もうすでにそそり立っているそれに、倫子は視線を逸らした。
「倫子。こっちを見て。」
それを感じ、春樹は倫子の体を抱き起こすとまたキスを繰り返す。妻が相手でもこんなにキスをしたりしなかっただろう。妻は喫煙者ではなかった。だからキスは嫌がっていたのだ。煙い、臭いと言い始めたのは、最初のセックスからずっとあとのことだった。きっとずっと我慢していたのだが、時がたつに連れて我慢していたのを押さえきれなくなったのだ。
それが恋ではなく、愛に変わったときだろう。
倫子もそれがわかるときが来るのだろうか。感情のないと言い聞かせているこの状況で、セックスをして何が変わるのだろう。
「倫子。嘘でもいい。このときだけ、好きだと嘘を付いてくれないか。」
すると倫子は少しうつむいて春樹にいう。
「私もそう思ってた。言わないと今までのことと何も変わらないと思うから。」
倫子は涙を溜めて、春樹に言う。
「好きよ。あなたが好き。」
「俺も。俺も好きだよ。」
涙を拭って、またキスをする。唇を離すと、春樹はまたその体に触れ始めた。
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