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オムレツ
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明かりを付けるとエアコンのスイッチを入れる。そしてコートとジャケットを脱ぐと、洗面所で手を洗いうがいを済ませるとダイニングにやってきた。
この部屋にはリビングが無く、ダイニングがあるだけだった。ソファーでゆっくりするようなことは出来ない。そのかわりダイニングの横にもう一つ部屋があり、そこがベッドルームになっている。洋服なんかも全てそちら側にある備え付けのクローゼットに入れるようになっているのだ。だが棗がいるとその部屋に行くのもためらってしまう。男をベッドルームに入れるような真似はしたくないし、入れるのは一馬やもし可能なら芹で十分だと思っているから。
ダイニングの椅子に荷物やコートを置いていると、それを見た棗がその衣類や荷物を手にして隣の部屋へ行ってしまった。
「ちょっと……。」
「気にするなって。コートはしわにならないだろうけど、ジャケットはしわになるだろ?」
「そんな問題じゃ無いです。」
「ベッドがでかいな。セミダブル?」
「別に良いでしょ?」
不機嫌そうに沙夜はベッドルームへ足を運び、棗からさっさと荷物を受け取るとクローゼットにしまい込んだ。
「意識すんなって。こんな時間まで仕事をしているような女なんて女じゃねぇよ。」
ずいぶん失礼なことを言っているようだが、隠すとか、オブラートに包むとかそういう事が出来ない男なのかもしれない。だから経営者なのだ。案外こういう男の方が人が付いてくるのだろう。沙夜もそう言う男の方がやりやすいとはわかっていた。
この家を借りたのはキッチンが広いから。おそらく新婚とか、そういう人が住むような間取りになっている。一人暮らしには贅沢な広さだと思った。
キッチンにある備え付けのコンロは三ツ口で、誰かをもてなすのに便利だろう。
「これ、味見てよ。」
ダイニングテーブルに使い捨てのタッパーを置いて、それから続けて取り出したのは、別のタッパーだった。
「何ですか?
エプロンを身につけてそのタッパーの蓋を取ってくれた。そこにはベージュ色のぷるんとしたモノがタッパー一杯にある。
「ジーマーミ豆腐。こっちの方ではピーナツ豆腐って言うよな。タレも付けてるんだ。」
「作ったんですか?」
「帰ってきてから。お前が帰ってくるの遅いし。店の試作もしたかったし。」
おそらく後者が本音だろう。この男は料亭や居酒屋、食堂などを何店舗も経営している実業家であり、本当だったらこんな片隅の小さなアパートに住んでいるような人では無い。ただ住んでいるところにこだわりが無いと言うだけなのだ。住むところにこだわるよりも、会社の新製品を開発するのが一生懸命なのだろう。沙夜も大抵仕事人間だと言われることが多いが、この男には負けると思った。いい歳なのに結婚もしていないし、子供も居ない。会社を大きくするのが楽しいのだ。だから辰雄から変わり者だと言われているのだろう。
「ピーナツ豆腐って作れるんですね。」
「向こうの人は家庭で作るところもあるし。手間はかかるけど、作り置きが出来るのは良いな。」
もう料亭だか居酒屋だかで出すことを、想定しているのだ。
寿司とジーマーミ豆腐。そして寿司と言っても混ぜ寿司のようだ。と言うことはオムレツを作ると言ってもケチャップで味を付けるようなモノは、食事に合わない。そう思って沙夜はキッチンへ行くと冷蔵庫を開けた。タマネギはあるが、今日はタマネギを使わないでおこう。白ネギを使うと良い。それから椎茸。ジャガイモを入れると一気に食べ応えがあるだろう。
「何だよ。その材料。オムレツって言ってんじゃん。」
「和風のオムレツですよ。」
「へぇ……。お前自信があるんだな。」
「は?」
「和食のプロに和風のオムレツを出すなんてな。」
「食べて嫌なら食べなくても良いです。その時はまた洋風のオムレツでも作りますから。卵が沢山あるし。残れば明日の朝にでも食べますから。」
沙夜が一貫して言っていることだった。嫌なら食べなければ良いし、食べたければ食べれば良い。好きで作っているモノだから、好きにやってもらって良いのだと。
「作れって言って食わないって事ある?俺、そこまで横暴じゃ無いわ。」
「でも手間はかかってませんよ。顆粒だしを使うし、みりん風の甘い調味料を使うし。白だしの代わりにめんつゆを使ったりしますから。」
「上等だよ。家庭の料理でだしを一から取れとかいうヤツって、頭悪いよ。だから顆粒だしってのが出てるんだし。」
ガチガチの頭というわけでは無いらしい。そう思いながら、沙夜はまずジャガイモの皮を剥きさいの目状に切るとそれを少し水にさらした。その間に白ネギをみじん切りにする。
卵は形が不揃いだ。小さすぎるモノもあれば大きすぎるモノもある。大きいモノはおそらく黄身が二つ入っているのだ。それを見ながら中の具材の量を考える。
「……手際が良いよな。」
キッチンはダイニングと対面式になっていて、その行程はそこからでもよく見えるのだ。その様子に沙夜はため息を付いて言った。
「テストをされているみたい。」
「テストだったらもっと口を挟まないな。黙ってマルとかバツとか付けるし。」
ただ、家庭料理だと言っているが手際が良すぎて職人かと思う。棗が最初に出した料亭の料理長がこういうタイプだった。一人で何でもしていて、他の従業員からはいぶかしげに取られていたに違いない。だがそれを気づかせてくれた人がいる。それからは他人とのコミュニケーションが取れるようになった。だからその店を任せようとしたのだ。
水にさらしているジャガイモを打ち上げると、耐熱皿に並べ、ラップをすると電子レンジに入れた。電子レンジは茹でる手間が省ける。
あらかたの材料を切り終えるとフライパンを用意した。その横には小さな鍋を用意する。その中には水が少し張られていた。
「その水は何にするの?」
「オムレツですからね。和風の。」
「あー……。」
それは考えもしなかった。和風のオムレツと言うことは卵焼きになりがちだが、沙夜はそう思っていないらしい。発想力もあるようだ。
「この間さ。」
「何ですか?」
フライパンを熱して油を入れる。そしてその中に切った鶏肉を入れた。もも肉でとても脂がのっていそうだと思う。
「紫乃からお前付けられてたじゃん。」
「ちょっと事情があって。」
「事情ねぇ……。恨みでも買われてる?まさかあいつと男の取り合いなんかしても、絶対勝たないからな。」
「そんなことはしてませんよ。紫乃さんから付けられていたのは、他のことです。」
「他?」
「詳しくは言えません。」
木べらで鶏肉を炒める。色が変わり始めると今度は椎茸のみじん切りを炒めていく。そして白ネギも加えた。
その間に隣の鍋の水が沸騰してきた。それを見て顆粒だしを入れる。そして塩、醤油を入れて少し濃いめのお吸い物くらいに味を調えた。
「あいつがトラブルメーカーになってるのは相変わらずなんだな。」
「……昔からですか?」
「俺の店を一軒潰してるからな。あいつ。しかもちょっと思い入れのある店舗を潰されたし。」
電子レンジが温め終わったとアラームが鳴る。だが手がまだ離せない。すると棗がこちらに来て電子レンジの扉を開ける。
「鍋つかみ無いのか?」
「無いです。濡れ布巾で。」
「わかった。でも鍋つかみくらいあった方が良いよ。」
「そうですね。百鈞でも買えるモノですし。いずれ。」
「百鈞……。」
そう言われて棗は少し笑う。キッチンが広いからこの部屋を借りたと言っている割には、お金をかけるところとかけないところの差が激しい。おそらく電子レンジはオーブンレンジだし、包丁は少し良いモノを買っている。それに砥石もあるようだ。最近の料理人は、業者に包丁を研ぎに出す人もいるのに、沙夜は砥石で研いで使っているのだろう。
なのに皿なんかはおそらく百円で買えるモノだ。ポットも安いモノに見える。湯が沸けば良いと思っているし、皿は食材が乗れば良いと思っている。
だがその戸棚にあるコップに目を留めた。違和感があったからだ。北の方の有名な焼き物の産地のモノに見える。誰かのお土産だろうか。だとしたら相当センスのいい人のモノだと思った。
「ジャガイモ火が通ってるわ。」
「ありがとうございます。」
そう言って沙夜はそのジャガイモもフライパンで炒める。もう火が回っているので少し馴染むくらいで良いのだ。そして火を止めると、ボウルを取り出した。
この部屋にはリビングが無く、ダイニングがあるだけだった。ソファーでゆっくりするようなことは出来ない。そのかわりダイニングの横にもう一つ部屋があり、そこがベッドルームになっている。洋服なんかも全てそちら側にある備え付けのクローゼットに入れるようになっているのだ。だが棗がいるとその部屋に行くのもためらってしまう。男をベッドルームに入れるような真似はしたくないし、入れるのは一馬やもし可能なら芹で十分だと思っているから。
ダイニングの椅子に荷物やコートを置いていると、それを見た棗がその衣類や荷物を手にして隣の部屋へ行ってしまった。
「ちょっと……。」
「気にするなって。コートはしわにならないだろうけど、ジャケットはしわになるだろ?」
「そんな問題じゃ無いです。」
「ベッドがでかいな。セミダブル?」
「別に良いでしょ?」
不機嫌そうに沙夜はベッドルームへ足を運び、棗からさっさと荷物を受け取るとクローゼットにしまい込んだ。
「意識すんなって。こんな時間まで仕事をしているような女なんて女じゃねぇよ。」
ずいぶん失礼なことを言っているようだが、隠すとか、オブラートに包むとかそういう事が出来ない男なのかもしれない。だから経営者なのだ。案外こういう男の方が人が付いてくるのだろう。沙夜もそう言う男の方がやりやすいとはわかっていた。
この家を借りたのはキッチンが広いから。おそらく新婚とか、そういう人が住むような間取りになっている。一人暮らしには贅沢な広さだと思った。
キッチンにある備え付けのコンロは三ツ口で、誰かをもてなすのに便利だろう。
「これ、味見てよ。」
ダイニングテーブルに使い捨てのタッパーを置いて、それから続けて取り出したのは、別のタッパーだった。
「何ですか?
エプロンを身につけてそのタッパーの蓋を取ってくれた。そこにはベージュ色のぷるんとしたモノがタッパー一杯にある。
「ジーマーミ豆腐。こっちの方ではピーナツ豆腐って言うよな。タレも付けてるんだ。」
「作ったんですか?」
「帰ってきてから。お前が帰ってくるの遅いし。店の試作もしたかったし。」
おそらく後者が本音だろう。この男は料亭や居酒屋、食堂などを何店舗も経営している実業家であり、本当だったらこんな片隅の小さなアパートに住んでいるような人では無い。ただ住んでいるところにこだわりが無いと言うだけなのだ。住むところにこだわるよりも、会社の新製品を開発するのが一生懸命なのだろう。沙夜も大抵仕事人間だと言われることが多いが、この男には負けると思った。いい歳なのに結婚もしていないし、子供も居ない。会社を大きくするのが楽しいのだ。だから辰雄から変わり者だと言われているのだろう。
「ピーナツ豆腐って作れるんですね。」
「向こうの人は家庭で作るところもあるし。手間はかかるけど、作り置きが出来るのは良いな。」
もう料亭だか居酒屋だかで出すことを、想定しているのだ。
寿司とジーマーミ豆腐。そして寿司と言っても混ぜ寿司のようだ。と言うことはオムレツを作ると言ってもケチャップで味を付けるようなモノは、食事に合わない。そう思って沙夜はキッチンへ行くと冷蔵庫を開けた。タマネギはあるが、今日はタマネギを使わないでおこう。白ネギを使うと良い。それから椎茸。ジャガイモを入れると一気に食べ応えがあるだろう。
「何だよ。その材料。オムレツって言ってんじゃん。」
「和風のオムレツですよ。」
「へぇ……。お前自信があるんだな。」
「は?」
「和食のプロに和風のオムレツを出すなんてな。」
「食べて嫌なら食べなくても良いです。その時はまた洋風のオムレツでも作りますから。卵が沢山あるし。残れば明日の朝にでも食べますから。」
沙夜が一貫して言っていることだった。嫌なら食べなければ良いし、食べたければ食べれば良い。好きで作っているモノだから、好きにやってもらって良いのだと。
「作れって言って食わないって事ある?俺、そこまで横暴じゃ無いわ。」
「でも手間はかかってませんよ。顆粒だしを使うし、みりん風の甘い調味料を使うし。白だしの代わりにめんつゆを使ったりしますから。」
「上等だよ。家庭の料理でだしを一から取れとかいうヤツって、頭悪いよ。だから顆粒だしってのが出てるんだし。」
ガチガチの頭というわけでは無いらしい。そう思いながら、沙夜はまずジャガイモの皮を剥きさいの目状に切るとそれを少し水にさらした。その間に白ネギをみじん切りにする。
卵は形が不揃いだ。小さすぎるモノもあれば大きすぎるモノもある。大きいモノはおそらく黄身が二つ入っているのだ。それを見ながら中の具材の量を考える。
「……手際が良いよな。」
キッチンはダイニングと対面式になっていて、その行程はそこからでもよく見えるのだ。その様子に沙夜はため息を付いて言った。
「テストをされているみたい。」
「テストだったらもっと口を挟まないな。黙ってマルとかバツとか付けるし。」
ただ、家庭料理だと言っているが手際が良すぎて職人かと思う。棗が最初に出した料亭の料理長がこういうタイプだった。一人で何でもしていて、他の従業員からはいぶかしげに取られていたに違いない。だがそれを気づかせてくれた人がいる。それからは他人とのコミュニケーションが取れるようになった。だからその店を任せようとしたのだ。
水にさらしているジャガイモを打ち上げると、耐熱皿に並べ、ラップをすると電子レンジに入れた。電子レンジは茹でる手間が省ける。
あらかたの材料を切り終えるとフライパンを用意した。その横には小さな鍋を用意する。その中には水が少し張られていた。
「その水は何にするの?」
「オムレツですからね。和風の。」
「あー……。」
それは考えもしなかった。和風のオムレツと言うことは卵焼きになりがちだが、沙夜はそう思っていないらしい。発想力もあるようだ。
「この間さ。」
「何ですか?」
フライパンを熱して油を入れる。そしてその中に切った鶏肉を入れた。もも肉でとても脂がのっていそうだと思う。
「紫乃からお前付けられてたじゃん。」
「ちょっと事情があって。」
「事情ねぇ……。恨みでも買われてる?まさかあいつと男の取り合いなんかしても、絶対勝たないからな。」
「そんなことはしてませんよ。紫乃さんから付けられていたのは、他のことです。」
「他?」
「詳しくは言えません。」
木べらで鶏肉を炒める。色が変わり始めると今度は椎茸のみじん切りを炒めていく。そして白ネギも加えた。
その間に隣の鍋の水が沸騰してきた。それを見て顆粒だしを入れる。そして塩、醤油を入れて少し濃いめのお吸い物くらいに味を調えた。
「あいつがトラブルメーカーになってるのは相変わらずなんだな。」
「……昔からですか?」
「俺の店を一軒潰してるからな。あいつ。しかもちょっと思い入れのある店舗を潰されたし。」
電子レンジが温め終わったとアラームが鳴る。だが手がまだ離せない。すると棗がこちらに来て電子レンジの扉を開ける。
「鍋つかみ無いのか?」
「無いです。濡れ布巾で。」
「わかった。でも鍋つかみくらいあった方が良いよ。」
「そうですね。百鈞でも買えるモノですし。いずれ。」
「百鈞……。」
そう言われて棗は少し笑う。キッチンが広いからこの部屋を借りたと言っている割には、お金をかけるところとかけないところの差が激しい。おそらく電子レンジはオーブンレンジだし、包丁は少し良いモノを買っている。それに砥石もあるようだ。最近の料理人は、業者に包丁を研ぎに出す人もいるのに、沙夜は砥石で研いで使っているのだろう。
なのに皿なんかはおそらく百円で買えるモノだ。ポットも安いモノに見える。湯が沸けば良いと思っているし、皿は食材が乗れば良いと思っている。
だがその戸棚にあるコップに目を留めた。違和感があったからだ。北の方の有名な焼き物の産地のモノに見える。誰かのお土産だろうか。だとしたら相当センスのいい人のモノだと思った。
「ジャガイモ火が通ってるわ。」
「ありがとうございます。」
そう言って沙夜はそのジャガイモもフライパンで炒める。もう火が回っているので少し馴染むくらいで良いのだ。そして火を止めると、ボウルを取り出した。
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