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チゲ鍋
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奏太が唯一身内で連絡を取るのは兄である望月雅。その雅が奏太に連絡もせずにテレビ局へやってきたというのは、奏太にとって予想外だった。そしてその理由も奏太は知っている。雅から前々から連絡があったから。
「父さんの調子が悪いのも知ってるよ。兄からずっと連絡があってたし。」
「それならお母様が居ないときにでも、会いに行くことは出来るんじゃ無いのかしら。」
パソコンからカメラを取り外しながら沙夜はそう言う。その間にもパソコンの画面の中でSNSの画面は通知が収まらない。いいねを押されたりコメントが書き込まれているのだ。そのコメントに返すことは無いが、あとでまとめてみるようにしている。批判的なコメントが無いかとチェックしているのだ。だが大まかに見てみると、そこまで批判的なモノは無い。パクリと噂をされてもそれを沙夜が否定することは無く、むしろ批判されるのはやはりファンだったりするのだから。それだけファンの質が良くなったのかもしれない。
「あのさ。お前も母親に強制されていたんだろ?モデルの仕事を。」
「幼い頃よ。ピアノは自分の意思で弾いていたから。」
「でもプロになるように強制されていたんだろう?」
「その期待はあったみたいだけど、コンテストなんかでは結果をずっと残せなかったし。まぁね……。この会社に就職をすると言ったときには、不服そうだったけれど。」
近所にもピアノが得意な子供が居た。親が熱心でピアニストにさせようと思っていたらしい。おそらく沙夜がピアニストになりたいと言って反対をしなかったのは、養子の問題もあるがその子供の母親から嫌味を言われていたからだ。コンテストに出ても沙夜は賞を取れない。しかも規定通りに弾かない事もチクチク言われていたようで意地になっていたところがある。
だがその子供は、親の望み通りにピアニストになったようだが、食べていけるのがやっとと言ったところだろう。CDなんかも出ることは無いし、ホールで演奏会をすることは無い。せいぜい他の人と共同で小さな会場でコンサートをするくらいだし、結婚式なんかでピアノを弾くくらい。あとはピアノ教室をしているようだが、生活はギリギリのようだ。
芸術家になんかさせない方が良かった。沙夜のようにレコード会社に籍を置くか、学校の教師なんかになっておけばもっと食べていけるのにと恨み言を言っているらしい。それがあって沙夜の両親は沙夜は賢い道を歩んだと納得していたのだ。だが母親は諦めきれない。だからまともな職に就いていない沙菜よりも沙夜を結婚させて子供が生まれたら今度は芸能人にさせると意気込んでいる。
「俺はさ。妙に結果が良かったから期待させたんだよ。兄の話では俺がこの部署にいるのも不満で、クラシック部門に居たらもしかしたら目に止まるんじゃ無いかって思ってる。そうで無くてもハードロックなんて音楽じゃ無いみたいな感じで言っていたみたいだし。」
「そうみたいね。」
「二藍」の音楽が売れている現実を見ようともしない。むしろそちらの方が間違っているという人は確かに居ないことは無い。そういう人がSNSで妙な書き込みをしたりするのだ。
「母親はそんなことまで言っていたのか。」
「テレビ局の受付の人に相当詰め寄っていたわ。あなたはもうあのテレビ局には行けないかもしれないけれど。」
「良いよ。もう……。」
縁を切れなかった自分が悪いのだ。逃げていたからこんな結果になってしまったのだし、その辺は自業自得なのかもしれない。
「縁を切るというのは難しいかもしれないけれどね。」
「うん……。」
奏太には考えていることがあった。それは沙夜にも都合の良いことだろう。それに自分自身も楽になれる。苦労をするのは目に見えているが、それでも沙夜のこと、何より自分のことを思うならそれが一番良いと思えた。
「お疲れ。二人はまだ帰らないのか。」
向こうで作業をしていた社員はもう帰り支度を済ませて、コートを羽織っている。
「もう帰ります。今日は早く閉まるんでしたよね。」
「そうだよ。メンテが入るからさ。パソコンも使えないし、どっちにしてもイブだろう?そんなに必死に仕事をしなくてもさ。」
「安藤さんは恋人と会ったりするんですか?」
「この間、別れたよ。」
「それは悪いことを聞きましたね。」
沙夜はそう言うと、男は少し笑って言う。
「もう気持ちの切り替えは出来てる。今日はチキンでも食べて、年末に備えるから。」
「そうですね。私もそうしたいと思ってました。」
「あれ?でも泉さんは恋人が居るんじゃ無かったかな。」
「居ますよ。でもあちらも仕事をしてますから。」
「そういうカップルだからうまくいくんだろうな。羨ましいよ。」
軽口を叩いて男は行ってしまう。その様子を見ながら沙夜もパソコンをシャットダウンした。
「会わないんだ。」
「そうよ。安藤さんも言ったとおり、年末に向けて体力を温存させたい。」
「強がってるな。」
「あなたほどじゃないわ。」
沙夜は母親と連絡は取りたくないが、もし両親の身に何かしらのことがおきれば駆けつけようとは思う。それくらいの恩義は感じているのだ。一人で育ったわけでは無いのだから。
前なら奏太と同じように、葬儀にも行きたくない。顔も見たくないと強がっていただろう。だがその心境の変化があったのは間違いなく一馬の影響が強い。一馬はなんだかんだ言っても息子である海斗を溺愛しているのだから。
そしてきっと一馬の姿に父親の姿を重ねていた。僅かな記憶でも、父親が可愛がってくれたこともあったのだから。
会社を出ると、まだイルミネーションが街を点している。ずっと点しているわけでは無さそうだが、まだキラキラと街灯を光が点していてまだ降っている雪とのコントラストが綺麗だと思う。
「タクシー捕まるかな。」
沙夜はそう言って携帯電話からタクシーを呼ぼうとしているようだ。だがそれは少し時間がかかるように思える。同じような人が携帯電話の画面を見ながら寒さに堪えているようだから。人によってはもう諦めてしまい、ホテルやネットカフェへ行こうとしているが同じような人が多くてそちらも空いていないようだ。
「沙夜さ。」
「何?」
「うちに来るか?」
「行かない。」
一度家へ行った。それで大変な目に遭っているのだから、のこのこ家へ行ったりしたら何をされるかわからない。そう思って沙夜は反対したのだ。
「速攻だったな。」
あまりにもすぐに言われて、迷うことも無かったのだろう。それがわかり奏太は苦笑いをする。
「待ってれば来るわ。缶コーヒーでも買おうかな。あなたは帰ったら?近いんでしょう?」
「お前がタクシーに乗るまで待っとくよ。」
「どうして?」
「あれ見ろよ。」
そう言われて奏太が言う方を見る。おそらくナンパ目的の男達がタクシーを待っている女性に声をかけていた。つまりイブだろうと何だろうと、身動きが取れないような女性に声をかけて連れ込もうとするのだ。
「あぁいう人達って年中発情しているのかしら。」
「特にイブはナンパしやすいんだろうな。」
「どうして?」
「安藤みたいな奴もいるよ。たまには。彼女がいなきゃ、仕事に打ち込もうって張り切る女も男も。でも思った以上に寂しいんだよ。」
「……。」
「だから女もナンパされるのを望んでるんだよ。誰でも良いから温めて欲しいって。」
その気持ちはわからないでも無い。特に一馬のように体の関係がある相手であれば、本当は家に帰したくないと思うだろう。物わかりのいい女のふりをして。
「そう……。そこまでみんな寂しいのね。」
「お前も寂しかったら、タクシーキャンセルして俺の家に……。」
「行かない。何度も言っているけど。」
「でもさ。お前、恋人が居るっていう割にはイブにも会えないヤツなんだろ?だったら、俺が……。」
「何度も言わせないで。恋人しか見ていないの。あなたに転ぶことは無いんだから。あなたこそ別の女性を見たら良いんじゃ無いのかしら。得意なんでしょう?」
沙菜から聞いたことをまだ根に持っている。だから沙夜はこんなに厳しいことを言っているのだろうか。
すると奏太は首を横に振って言う。
「前はそうだったかもしれないけどさ。今は遊びもしてないよ。」
「水川さんとは良い関係だったのに?」
「ただの遊びだから。」
「その遊ぶ相手は……。」
「俺、お前しか見てないんだけど。」
その言葉に沙夜は首を横に振る。いくら一馬が居ないから、芹が居ないからといって奏太と寂しさを埋めるような真似はしたくなかったから。
「父さんの調子が悪いのも知ってるよ。兄からずっと連絡があってたし。」
「それならお母様が居ないときにでも、会いに行くことは出来るんじゃ無いのかしら。」
パソコンからカメラを取り外しながら沙夜はそう言う。その間にもパソコンの画面の中でSNSの画面は通知が収まらない。いいねを押されたりコメントが書き込まれているのだ。そのコメントに返すことは無いが、あとでまとめてみるようにしている。批判的なコメントが無いかとチェックしているのだ。だが大まかに見てみると、そこまで批判的なモノは無い。パクリと噂をされてもそれを沙夜が否定することは無く、むしろ批判されるのはやはりファンだったりするのだから。それだけファンの質が良くなったのかもしれない。
「あのさ。お前も母親に強制されていたんだろ?モデルの仕事を。」
「幼い頃よ。ピアノは自分の意思で弾いていたから。」
「でもプロになるように強制されていたんだろう?」
「その期待はあったみたいだけど、コンテストなんかでは結果をずっと残せなかったし。まぁね……。この会社に就職をすると言ったときには、不服そうだったけれど。」
近所にもピアノが得意な子供が居た。親が熱心でピアニストにさせようと思っていたらしい。おそらく沙夜がピアニストになりたいと言って反対をしなかったのは、養子の問題もあるがその子供の母親から嫌味を言われていたからだ。コンテストに出ても沙夜は賞を取れない。しかも規定通りに弾かない事もチクチク言われていたようで意地になっていたところがある。
だがその子供は、親の望み通りにピアニストになったようだが、食べていけるのがやっとと言ったところだろう。CDなんかも出ることは無いし、ホールで演奏会をすることは無い。せいぜい他の人と共同で小さな会場でコンサートをするくらいだし、結婚式なんかでピアノを弾くくらい。あとはピアノ教室をしているようだが、生活はギリギリのようだ。
芸術家になんかさせない方が良かった。沙夜のようにレコード会社に籍を置くか、学校の教師なんかになっておけばもっと食べていけるのにと恨み言を言っているらしい。それがあって沙夜の両親は沙夜は賢い道を歩んだと納得していたのだ。だが母親は諦めきれない。だからまともな職に就いていない沙菜よりも沙夜を結婚させて子供が生まれたら今度は芸能人にさせると意気込んでいる。
「俺はさ。妙に結果が良かったから期待させたんだよ。兄の話では俺がこの部署にいるのも不満で、クラシック部門に居たらもしかしたら目に止まるんじゃ無いかって思ってる。そうで無くてもハードロックなんて音楽じゃ無いみたいな感じで言っていたみたいだし。」
「そうみたいね。」
「二藍」の音楽が売れている現実を見ようともしない。むしろそちらの方が間違っているという人は確かに居ないことは無い。そういう人がSNSで妙な書き込みをしたりするのだ。
「母親はそんなことまで言っていたのか。」
「テレビ局の受付の人に相当詰め寄っていたわ。あなたはもうあのテレビ局には行けないかもしれないけれど。」
「良いよ。もう……。」
縁を切れなかった自分が悪いのだ。逃げていたからこんな結果になってしまったのだし、その辺は自業自得なのかもしれない。
「縁を切るというのは難しいかもしれないけれどね。」
「うん……。」
奏太には考えていることがあった。それは沙夜にも都合の良いことだろう。それに自分自身も楽になれる。苦労をするのは目に見えているが、それでも沙夜のこと、何より自分のことを思うならそれが一番良いと思えた。
「お疲れ。二人はまだ帰らないのか。」
向こうで作業をしていた社員はもう帰り支度を済ませて、コートを羽織っている。
「もう帰ります。今日は早く閉まるんでしたよね。」
「そうだよ。メンテが入るからさ。パソコンも使えないし、どっちにしてもイブだろう?そんなに必死に仕事をしなくてもさ。」
「安藤さんは恋人と会ったりするんですか?」
「この間、別れたよ。」
「それは悪いことを聞きましたね。」
沙夜はそう言うと、男は少し笑って言う。
「もう気持ちの切り替えは出来てる。今日はチキンでも食べて、年末に備えるから。」
「そうですね。私もそうしたいと思ってました。」
「あれ?でも泉さんは恋人が居るんじゃ無かったかな。」
「居ますよ。でもあちらも仕事をしてますから。」
「そういうカップルだからうまくいくんだろうな。羨ましいよ。」
軽口を叩いて男は行ってしまう。その様子を見ながら沙夜もパソコンをシャットダウンした。
「会わないんだ。」
「そうよ。安藤さんも言ったとおり、年末に向けて体力を温存させたい。」
「強がってるな。」
「あなたほどじゃないわ。」
沙夜は母親と連絡は取りたくないが、もし両親の身に何かしらのことがおきれば駆けつけようとは思う。それくらいの恩義は感じているのだ。一人で育ったわけでは無いのだから。
前なら奏太と同じように、葬儀にも行きたくない。顔も見たくないと強がっていただろう。だがその心境の変化があったのは間違いなく一馬の影響が強い。一馬はなんだかんだ言っても息子である海斗を溺愛しているのだから。
そしてきっと一馬の姿に父親の姿を重ねていた。僅かな記憶でも、父親が可愛がってくれたこともあったのだから。
会社を出ると、まだイルミネーションが街を点している。ずっと点しているわけでは無さそうだが、まだキラキラと街灯を光が点していてまだ降っている雪とのコントラストが綺麗だと思う。
「タクシー捕まるかな。」
沙夜はそう言って携帯電話からタクシーを呼ぼうとしているようだ。だがそれは少し時間がかかるように思える。同じような人が携帯電話の画面を見ながら寒さに堪えているようだから。人によってはもう諦めてしまい、ホテルやネットカフェへ行こうとしているが同じような人が多くてそちらも空いていないようだ。
「沙夜さ。」
「何?」
「うちに来るか?」
「行かない。」
一度家へ行った。それで大変な目に遭っているのだから、のこのこ家へ行ったりしたら何をされるかわからない。そう思って沙夜は反対したのだ。
「速攻だったな。」
あまりにもすぐに言われて、迷うことも無かったのだろう。それがわかり奏太は苦笑いをする。
「待ってれば来るわ。缶コーヒーでも買おうかな。あなたは帰ったら?近いんでしょう?」
「お前がタクシーに乗るまで待っとくよ。」
「どうして?」
「あれ見ろよ。」
そう言われて奏太が言う方を見る。おそらくナンパ目的の男達がタクシーを待っている女性に声をかけていた。つまりイブだろうと何だろうと、身動きが取れないような女性に声をかけて連れ込もうとするのだ。
「あぁいう人達って年中発情しているのかしら。」
「特にイブはナンパしやすいんだろうな。」
「どうして?」
「安藤みたいな奴もいるよ。たまには。彼女がいなきゃ、仕事に打ち込もうって張り切る女も男も。でも思った以上に寂しいんだよ。」
「……。」
「だから女もナンパされるのを望んでるんだよ。誰でも良いから温めて欲しいって。」
その気持ちはわからないでも無い。特に一馬のように体の関係がある相手であれば、本当は家に帰したくないと思うだろう。物わかりのいい女のふりをして。
「そう……。そこまでみんな寂しいのね。」
「お前も寂しかったら、タクシーキャンセルして俺の家に……。」
「行かない。何度も言っているけど。」
「でもさ。お前、恋人が居るっていう割にはイブにも会えないヤツなんだろ?だったら、俺が……。」
「何度も言わせないで。恋人しか見ていないの。あなたに転ぶことは無いんだから。あなたこそ別の女性を見たら良いんじゃ無いのかしら。得意なんでしょう?」
沙菜から聞いたことをまだ根に持っている。だから沙夜はこんなに厳しいことを言っているのだろうか。
すると奏太は首を横に振って言う。
「前はそうだったかもしれないけどさ。今は遊びもしてないよ。」
「水川さんとは良い関係だったのに?」
「ただの遊びだから。」
「その遊ぶ相手は……。」
「俺、お前しか見てないんだけど。」
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