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焼きプリン
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次の現場にはバスで向かう。そのために大回りにはなるが、沙夜は一馬と話があるし、一馬も話がある。なのでそこまで付いて行くことにしたのだ。
「うちのから連絡があってな。あっちの家で食事の用意をして、その食事をお前に持たせると。」
「えぇ。私もその連絡をもらったわ。スタジオへ持って行って欲しいと。」
一馬の奥さんが双方に連絡をしていたのだろう。だがどうして沙夜に持って行って欲しいと言ったのだろうか。スタジオの場所は奥さんも知っているはずだし、合鍵だって持っているだろう。なのにわざわざ沙夜に持って行かせるのはどういう意味があるのかわからない。
「もしかしたら……。」
嫌な予感がした。だが沙夜は首を横に振る。
「奥様はもしかしたらあなたのスタジオの場所を知っているけれど、行けない事情があるのかもしれないわね。」
「行けない事情?」
「わざわざ住むところを分けたのは……。」
その時ヒールの音が後ろから聞こえて、沙夜は振り返った。そこには怒ったような表情の有佐が居る。
「水川さん。」
沙夜の言葉に一馬も振り返った。すると有佐は真っ直ぐに一馬へ詰め寄る。
「ちょっと。花岡。」
有佐は感情が抑えられないタイプで、思ったことをすぐに口に出してしまう。外国ではそれは受け入れられているのだろうが、この国ではいぶかしげな顔をする人の方がほとんどだろう。
「どうしましたか。」
「どうしましたかじゃないわ。さっきの演奏でもそうだけど、泉さんとはいつからそういう関係なの?」
「そういう?」
すると有佐は沙夜の方を見て言う。
「明らかに花岡に対する態度って違うわよね。不倫でもしているの?」
その言葉に沙夜は困ったように一馬の方を見上げる。すると、一馬は首を横に振って言った。
「誰が不倫をしているんですか。」
「泉さんとよ。」
すると一馬は沙夜の方を見下ろして少しため息を付いた。そして有佐を見て言う。
「沙夜とはそんな関係では無いんですよ。」
「でもさっき、スタジオという言葉が聞こえたわ。あなた、個人のスタジオなんかを持っているの?」
その言葉に一馬はため息を付いた。翔には事情があってその話をしたが、有佐にも言わないといけないのかと。しかし言ったところでスタジオに乗り込んでくるとは思えない。詳しい場所は翔にも言っていないのだから。
「スタジオを持っているのは事実です。ですが会社には通していません。どちらかというとスタジオと言うよりも倉庫みたいなモノですから。」
「倉庫?」
「子供が出来て、あのアパートの部屋では手狭になったので引っ越しを考えたいと言ったら、まだ二人目も出来ないのに時期早々だと。しかしどちらにしても子供には個人の部屋を与えたいと思ってましてね。倉庫に使っていた部屋を別の部屋を借りてそこに楽器や機材を入れ込んだんです。ついでに簡単な曲も録音出来るようにしているし、練習も出来るような所ですよ。」
「……。」
話の筋から聞けば不自然なところは無いのかもしれない。だが一馬の子供は、三,四歳くらいだ。一人で寝かせるのはまだ早い気がする。
「そんな時期から一人の部屋を与えているの?少し早すぎないかしら。」
沙夜の方からそう聞かれた。すると一馬は首を横に振る。
「寝室のベッドは大きくて、二人で寝るのであれば余裕だ。しかし三人となると子供とは言っても少しキツいモノがある。」
「ベッドを買い直せば良いじゃ無い。」
有佐はそういうと、一馬は首を横に振った。
「あれが良いそうですよ。妻は。」
昔、拉致されたとき、縛られていたのは狭いシングルのパイプベッドだった。だから広くてしっかりしたベッドで寝たいのだろう。
「引っ越しをしたくないのもベッドを買い直したくないのも響子の我が儘ってわけか。あの子らしいと思うけれど、あなたはそれで良いの?」
「妻が良いと言えばそれでいいです。だから別にスタジオを借りたのは、自分の我が儘でもありますし、そこに妻や子供は入れたくありません。部屋に楽器を置いていたときもそうです。子供は入らないようにとキツく言い聞かせていましたから。」
もしベースなんかを興味本位で当たられて、倒したりして傷が入ったりしたら子供でも怒るかもしれない。ベースは一馬にとっての食べる糧なのだから。
「それに……今は、奥様や子供さんはスタジオへは来ない方が良いと思います。」
「どうして?」
沙夜はそういうと、ちらっと向こうの方を見た。そこには、沙夜でも見覚えのある人がいる。ゴシップ誌の記者だろう。奥さんの勤める洋菓子店のオーナーの親族が逮捕され、その話を詳しく聞きたいと一馬にまで手が伸びているのだ。
「なるほどね。響子が子供を連れて行けば、嫌でもスタジオの場所がわかるってわけか。」
「はい。」
あの元ラブホテルのスタジオは、一馬だけでは無く著名なアーティストも借りているらしい。防音はしっかりとしているのだ。世に隠したい場所があるのは一馬だけでは無い。
「それで泉さんは行っても良いの?」
すると一馬は頷いた。
「元々楽器を弾いていたし、どう扱えば良いかもわかっています。だから音楽番組なんかに出演するとき、楽屋に楽器を置く暇が無ければ沙夜に手渡すときもありますから。それがわかっているし、聞いて欲しい音もあります。そのようなときに呼んだりすることもありますね。」
「……生の音の方が良いって事ね。」
表面だけを聞いていれば、沙夜は性別を超えて良い関係のように感じる。だがそれだけでは無いのだろう。それは今の二人の距離が物語っている。
「水川さん。昼間に言いましたが、私には恋人が居ます。その相手は決して一馬では無いんですよ。」
「えぇ……わかっているわ。」
頭を抱えた。自分が早とちりをしてしまったと思ったからだ。
「悪いわね。変なことを聞いたわ。」
「いいえ。」
だがもう一つ、有佐には違和感がある。それをはっきりさせたい。
「泉さん。失礼ついでにもう一つ聞きたいことがあるのだけれど。」
「何でしょうか。」
「どうして栗山や夏目は名字で呼んでいるのに、花岡は名前で呼んでいるのかしら。」
すると沙夜は首を振って言う。
「千草も翔と呼んでいますよ。」
「あ……そうだったわね。三人と二人に何か理由があるのかしら。」
「特にないです。翔はまぁ……少し事情がありますが、一馬は以前からプライベートのことでも相談する仲ですから。」
「プライベートで?」
「えぇ。恋人のこととか。一馬は奥様のこととか。」
「あぁ。そうだったな。妻の事件の時にも沙夜は立ち会ってくれた。感謝している。そうじゃないと、妻だってどうにかなるかもしれなかったわけだし。」
「……そう。あたしがいれば、あたしがその位置にいたかもしれなかったけれどね。」
「そうだと思いますよ。妻は水川さんのことも信頼していますから。」
「そうね……。あぁ。あちらに発つまでにもう一杯くらい今日このコーヒーを飲んでいけないかしら。」
「どうですかね。昨日飲み頃だった豆は破棄してしまったと聞きましたけど……。あぁ。そうだ。K街の「Flipper's」へは行きましたか。」
「ライブハウスだったかしら。」
「そこでは妻のコーヒー豆を使ったコーヒーラムを淹れていますよ。好評みたいなので、無くなる前に飲みに行ったらどうですか。」
「嫌よ。あそこはジャズバーじゃ無い。ジャズなんて音楽であって音楽では無いみたいじゃない。」
「そういえば、ロックは酔っ払いとジャンキーの音楽だと言っていましたね。」
その言葉に沙夜は驚いて有佐を見る。
「そんなことを?」
「あら。そんな昔のことを言わないで。」
昔の失言を繰り返さないで欲しい。そう思いながら有佐は少し笑った。だがうまく一馬に誤魔化された気がする。
一馬の奥さんだったら。そんな事情があるにしても、きっと一馬の元へ行きたいと思うだろう。子供を連れてでもスタジオへ行きたいと思うに違いない。
だがきっと奥さんは一馬よりも子供を優先したのだ。だからスタジオへは行かないのだろう。あとは諦めだろうか。
沙夜と一馬が何も無いわけが無い。お互いが想い合っているような顔をしていたのだから。そこへ誰も邪魔は出来ないのだ。
行ってしまった二人の背中を見ながら、有佐は首を横に振る。もうきっと止められないところまで来ているようだった。
「うちのから連絡があってな。あっちの家で食事の用意をして、その食事をお前に持たせると。」
「えぇ。私もその連絡をもらったわ。スタジオへ持って行って欲しいと。」
一馬の奥さんが双方に連絡をしていたのだろう。だがどうして沙夜に持って行って欲しいと言ったのだろうか。スタジオの場所は奥さんも知っているはずだし、合鍵だって持っているだろう。なのにわざわざ沙夜に持って行かせるのはどういう意味があるのかわからない。
「もしかしたら……。」
嫌な予感がした。だが沙夜は首を横に振る。
「奥様はもしかしたらあなたのスタジオの場所を知っているけれど、行けない事情があるのかもしれないわね。」
「行けない事情?」
「わざわざ住むところを分けたのは……。」
その時ヒールの音が後ろから聞こえて、沙夜は振り返った。そこには怒ったような表情の有佐が居る。
「水川さん。」
沙夜の言葉に一馬も振り返った。すると有佐は真っ直ぐに一馬へ詰め寄る。
「ちょっと。花岡。」
有佐は感情が抑えられないタイプで、思ったことをすぐに口に出してしまう。外国ではそれは受け入れられているのだろうが、この国ではいぶかしげな顔をする人の方がほとんどだろう。
「どうしましたか。」
「どうしましたかじゃないわ。さっきの演奏でもそうだけど、泉さんとはいつからそういう関係なの?」
「そういう?」
すると有佐は沙夜の方を見て言う。
「明らかに花岡に対する態度って違うわよね。不倫でもしているの?」
その言葉に沙夜は困ったように一馬の方を見上げる。すると、一馬は首を横に振って言った。
「誰が不倫をしているんですか。」
「泉さんとよ。」
すると一馬は沙夜の方を見下ろして少しため息を付いた。そして有佐を見て言う。
「沙夜とはそんな関係では無いんですよ。」
「でもさっき、スタジオという言葉が聞こえたわ。あなた、個人のスタジオなんかを持っているの?」
その言葉に一馬はため息を付いた。翔には事情があってその話をしたが、有佐にも言わないといけないのかと。しかし言ったところでスタジオに乗り込んでくるとは思えない。詳しい場所は翔にも言っていないのだから。
「スタジオを持っているのは事実です。ですが会社には通していません。どちらかというとスタジオと言うよりも倉庫みたいなモノですから。」
「倉庫?」
「子供が出来て、あのアパートの部屋では手狭になったので引っ越しを考えたいと言ったら、まだ二人目も出来ないのに時期早々だと。しかしどちらにしても子供には個人の部屋を与えたいと思ってましてね。倉庫に使っていた部屋を別の部屋を借りてそこに楽器や機材を入れ込んだんです。ついでに簡単な曲も録音出来るようにしているし、練習も出来るような所ですよ。」
「……。」
話の筋から聞けば不自然なところは無いのかもしれない。だが一馬の子供は、三,四歳くらいだ。一人で寝かせるのはまだ早い気がする。
「そんな時期から一人の部屋を与えているの?少し早すぎないかしら。」
沙夜の方からそう聞かれた。すると一馬は首を横に振る。
「寝室のベッドは大きくて、二人で寝るのであれば余裕だ。しかし三人となると子供とは言っても少しキツいモノがある。」
「ベッドを買い直せば良いじゃ無い。」
有佐はそういうと、一馬は首を横に振った。
「あれが良いそうですよ。妻は。」
昔、拉致されたとき、縛られていたのは狭いシングルのパイプベッドだった。だから広くてしっかりしたベッドで寝たいのだろう。
「引っ越しをしたくないのもベッドを買い直したくないのも響子の我が儘ってわけか。あの子らしいと思うけれど、あなたはそれで良いの?」
「妻が良いと言えばそれでいいです。だから別にスタジオを借りたのは、自分の我が儘でもありますし、そこに妻や子供は入れたくありません。部屋に楽器を置いていたときもそうです。子供は入らないようにとキツく言い聞かせていましたから。」
もしベースなんかを興味本位で当たられて、倒したりして傷が入ったりしたら子供でも怒るかもしれない。ベースは一馬にとっての食べる糧なのだから。
「それに……今は、奥様や子供さんはスタジオへは来ない方が良いと思います。」
「どうして?」
沙夜はそういうと、ちらっと向こうの方を見た。そこには、沙夜でも見覚えのある人がいる。ゴシップ誌の記者だろう。奥さんの勤める洋菓子店のオーナーの親族が逮捕され、その話を詳しく聞きたいと一馬にまで手が伸びているのだ。
「なるほどね。響子が子供を連れて行けば、嫌でもスタジオの場所がわかるってわけか。」
「はい。」
あの元ラブホテルのスタジオは、一馬だけでは無く著名なアーティストも借りているらしい。防音はしっかりとしているのだ。世に隠したい場所があるのは一馬だけでは無い。
「それで泉さんは行っても良いの?」
すると一馬は頷いた。
「元々楽器を弾いていたし、どう扱えば良いかもわかっています。だから音楽番組なんかに出演するとき、楽屋に楽器を置く暇が無ければ沙夜に手渡すときもありますから。それがわかっているし、聞いて欲しい音もあります。そのようなときに呼んだりすることもありますね。」
「……生の音の方が良いって事ね。」
表面だけを聞いていれば、沙夜は性別を超えて良い関係のように感じる。だがそれだけでは無いのだろう。それは今の二人の距離が物語っている。
「水川さん。昼間に言いましたが、私には恋人が居ます。その相手は決して一馬では無いんですよ。」
「えぇ……わかっているわ。」
頭を抱えた。自分が早とちりをしてしまったと思ったからだ。
「悪いわね。変なことを聞いたわ。」
「いいえ。」
だがもう一つ、有佐には違和感がある。それをはっきりさせたい。
「泉さん。失礼ついでにもう一つ聞きたいことがあるのだけれど。」
「何でしょうか。」
「どうして栗山や夏目は名字で呼んでいるのに、花岡は名前で呼んでいるのかしら。」
すると沙夜は首を振って言う。
「千草も翔と呼んでいますよ。」
「あ……そうだったわね。三人と二人に何か理由があるのかしら。」
「特にないです。翔はまぁ……少し事情がありますが、一馬は以前からプライベートのことでも相談する仲ですから。」
「プライベートで?」
「えぇ。恋人のこととか。一馬は奥様のこととか。」
「あぁ。そうだったな。妻の事件の時にも沙夜は立ち会ってくれた。感謝している。そうじゃないと、妻だってどうにかなるかもしれなかったわけだし。」
「……そう。あたしがいれば、あたしがその位置にいたかもしれなかったけれどね。」
「そうだと思いますよ。妻は水川さんのことも信頼していますから。」
「そうね……。あぁ。あちらに発つまでにもう一杯くらい今日このコーヒーを飲んでいけないかしら。」
「どうですかね。昨日飲み頃だった豆は破棄してしまったと聞きましたけど……。あぁ。そうだ。K街の「Flipper's」へは行きましたか。」
「ライブハウスだったかしら。」
「そこでは妻のコーヒー豆を使ったコーヒーラムを淹れていますよ。好評みたいなので、無くなる前に飲みに行ったらどうですか。」
「嫌よ。あそこはジャズバーじゃ無い。ジャズなんて音楽であって音楽では無いみたいじゃない。」
「そういえば、ロックは酔っ払いとジャンキーの音楽だと言っていましたね。」
その言葉に沙夜は驚いて有佐を見る。
「そんなことを?」
「あら。そんな昔のことを言わないで。」
昔の失言を繰り返さないで欲しい。そう思いながら有佐は少し笑った。だがうまく一馬に誤魔化された気がする。
一馬の奥さんだったら。そんな事情があるにしても、きっと一馬の元へ行きたいと思うだろう。子供を連れてでもスタジオへ行きたいと思うに違いない。
だがきっと奥さんは一馬よりも子供を優先したのだ。だからスタジオへは行かないのだろう。あとは諦めだろうか。
沙夜と一馬が何も無いわけが無い。お互いが想い合っているような顔をしていたのだから。そこへ誰も邪魔は出来ないのだ。
行ってしまった二人の背中を見ながら、有佐は首を横に振る。もうきっと止められないところまで来ているようだった。
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