388 / 719
鮭のホイル焼き
387
しおりを挟む
K街の外れにある音楽スタジオは、ロックバンドなんかが練習するスタジオばかりでクラシックの練習が出来ない人のために作られたモノで、その狙いは当たったと言える。ピアノを置いているスタジオは二つ。アップライトと言われるピアノを置いているが、ここの部屋は割と取れないことも多い。それに他の部屋よりは少し割高なのだ。
それでも沙夜はたまにここに来てピアノを弾いているらしい。気の向くまま思いのままにピアノを弾くのが楽しいのだという。
だが今日は遥人の指導に当たっている。奏太が指導するよりもおそらく教え方は上手いと思う。全くピアノを弾いたことが無いわけでは無い遥人も思い出しながら惹いているので、沙夜も楽な気持ちで指導をしていた。
「うん。もうソロの所は良いと思うわ。」
「でもそれ以外がもたつくよな。テンポは変えられないし。」
「あとは慣れね。」
プリントして置いた楽譜は、翔が作曲、編曲したモノで、それは沙夜も口を出している。所々で沙夜が好きなアレンジにしているのだ。
「転調するじゃん。ここ。」
そう言って遥人は楽譜を指さす。すると沙夜は少し笑って言った。
「ピアノで転調って一番楽じゃ無いかしら。」
「沙夜さんらしいところだよな。」
そう言われて少し笑う。そして壁に掛けられている時計を見ると、沙夜はポケットに入っている携帯電話を取りだした。
「そろそろ時間ね。二時間だし。」
「沙夜さん。今日は飲みに行くっていう言い訳でもする?」
楽譜をファイルにしまいながら、遥人はそう聞くと沙夜は首を縦に振った。
「そうね。なんか……連れて行きたいところがあるとか。」
遥人は全てを知っていて、それを応援している節がある。それには違和感があるが、今はそんなことを考えても仕方が無い。
「ばれないようにしないとね。」
一馬は家庭しか見ていない。その文書を言ったばかりだ。なのに沙夜と不倫をしている事がばれたりしたら、大変な目に遭うだろう。一馬は奥さんと子供を失いかねないし、「二藍」からも去らないといけないだろう。沙夜もただでは済まない。それがわかっていて続けているのだ。どんな事情があるにしてもよっぽどの覚悟とそれだけお互いが想い合っているのかも知れない。それを遥人も治も止めらら無かったのだ。
「そうね。」
今日は意地でも一緒に行きたいところがあると言って一馬は聞かなかった。何をそんなに連れて行きたいところがあるというのだろう。不思議には思ったが、それ以上に期待も膨らんでいる。
いつもの格好とは違う膝丈のチュニックなんかを着ていて、沙夜らしくないと思うがそうやって自分のイメージを変えないと外では会えないのだから。
「鍵盤を拭いてね。」
「うん。」
ピアノも手入れが必要で調律なんかは業者がするモノだが、最低限のことは自分でしなければいけない。面倒だが、使ったモノのマナーだろう。
あとで掃除が入るのだろうが、軽く自分たちで床にモップをかけて外に出て行く。受付で料金を払い、外に出るとK街らしい明かりが向こうに見える。
「K街ってのは少し危険だよな。」
「そう?一馬はこの辺に住んでいるから、何も言われないと思うけど。」
「マスコミもそれを知っているから、一馬が連日K街で遊んでいるなんていう記事は載らないと思う。けど沙夜さんはしょっちゅうここに来てると、どうしても会社の方に問い合わせが来ると思うよ。K街で副業をしているんですかとか。」
「副業って……。」
この場合、おそらく普通に居酒屋でバイトをしているとかでは無い。風俗なんかで働いていると言われかねないだろう。
「沙夜さんはファンの間では「オカン」って言われているの知ってる?」
「えぇ。子供も居ないのにお母さんって言う意味で言われてもね。」
「その世話好きがそう言わせているんだよ。悪いことでは無いと思うし、ファンだって本気じゃ無いよ。」
遥人はそう言って少し笑っていた。だがすぐに真顔になる。
「「二藍」の知名度が上がると共に沙夜さんもそう言われているとなると、沙夜さんだって一介の会社員っていう感じでは無くなってきている。沙夜さんは「二藍」の担当になって長いしね。」
「そうね……。」
普通のファンであれば、そんなことを気にしないだろう。だが熱狂的でファンクラブに入っているような人は、沙夜が側にいるのをずっと気にしているのだ。そして沙夜が五人を銜え込んでいるという噂を鵜呑みにしている。
五人は一部しか知らないだろうが、沙夜の元には割と嫉妬した女からDMなんかが届くこともある。沙夜自身はSNSをしていないが、「二藍」のSNSを管理しているのが沙夜だと知っているファンから嫌がらせのようなメッセージが届くのだ。
気にする必要は無いと思っていたが、奏太や裕太からはそういうメッセージを発信した相手はブロックするように告げられている。二人はもう沙夜を「二藍」の六人目のメンバーだという意識があるようなのだ。
「俺らは恋愛感情なんかは無くても、沙夜さんが居ないと困るんだ。離れてしまうようなことは辞めて欲しいと思うけどね。」
沙夜と一馬がしていることを本当は応援したくないと思っているのだろう。それがわかって沙夜は少し暗くなるようだった。
「ごめんなさいね。栗山さん。」
「良いよ。止められないことだってのはわかってる。止められるならとっくに止めてるよ。事情だってわかるしさ。」
「……。」
「沙夜さんも芹さんが嫌になったわけじゃ無いだろ?」
「好きよ。でも……。」
芹はまだ紫乃に縛られている。それが沙夜にとって違和感なのだ。そして将来が見えない。だが一馬といても沙夜にはその将来は見えなかった。
「きっと……芹と一緒になっても芹には一馬の奥さんと同じような状況にさせてしまうと思うの。」
「え?」
行き交う人がちらっと遥人を見た気がした。話に夢中で帽子をかぶるのを忘れていたか。そう思って遥人はバッグから帽子とストールを取り出した。遥人特有の首元の入れ墨を隠すためだった。
「私は仕事が好きよ。「二藍」が好き。だから「二藍」のためには何でもしようと思った。「夜」として活動を始めたのもそのため。」
「……。」
「これから「二藍」の名前は益々大きくなる。レコーディングをしてツアーをして、大きなフェスに呼ばれることもある。その度に、私も付いて行くわ。家に帰れる時間も少なくなるかも知れない。芹はその間にも家で一人で仕事をしているのよ。たまには取材だって出掛けることもあるし、出版社に出掛けることもあると思うけれど、私ほどじゃない。寂しい思いをさせるわ。」
一馬の奥さんがその状況なのだ。仕事に出掛けて、子育てをして、家で帰ってくるかわからない一馬の食事を用意する。
「……俺の母親はさ。舞台女優だったんだ。」
「えぇ。知っているわ。」
「有名だもんな。父親とはおしどり夫婦で。」
仮面をかぶったような夫婦だったがそれはそれで形になっていたし、自分の子供では無いとはっきりわかっていても父親は父親の役割をしていたように思える。
遥人も兄も生意気なことをいえば、父親から殴られることもあったのだ。それをカバーするのは母親だったし、母親もヒステリックになることがあった。それをカバーするのは父親だった。理想的な夫婦だと思う。互いに愛人がいるだけで。
「俺が小学校に入って、そうだな……高学年くらいまでは、母親は夕方になると絶対家に帰っていたんだ。父親も可能であれば、夕食を囲むこともあったし。それが普通の家族だと思ってた。」
「お互いに仕事をしていたらそんなモノじゃ無いのかしら。」
「でも父親の実家に帰ったときにはっきりうちは違うって思った。女は家を守って、男は外で働いて、子育ては女の役目って感じでさ。外で働いていた母親だって実家に帰った時にはそれに習っていた。でも……俺はそっちの方が違和感があったよ。」
「違和感?」
「何で女が男をもてなさないといけないんだろうって。男が飲む酒なんだから、ビールくらい男が取りに行けよって思ってた。つまみだってピーナツくらい自分で出せよって。」
「……。」
「芹さんとは将来が見えないかも知れないけれど、もし上手くいって結婚しても重要なのは芹さんがそれを苦痛に思うか、思わないかだと思うよ。ただ……俺は芹さんが沙夜さんに自分のために仕事を辞めてくれなんていう馬鹿だったら、別れさせるけどね。それで沙夜さんは翔と一緒になれば良いよ。」
「翔とはならないわ。」
「全然眼中に無いんだ。可愛そうだなぁ。翔は。翔なら一馬と何かあったっていっても許しそうなんだけどな。」
遥人はそういって少し笑っていた。そして二人は駅に着くと、遥人と共に改札口をくぐる。そしてそのまま違う路線の電車に乗った。
一馬との待ち合わせは、沙夜があまり馴染みの無い街だったのだ。
それでも沙夜はたまにここに来てピアノを弾いているらしい。気の向くまま思いのままにピアノを弾くのが楽しいのだという。
だが今日は遥人の指導に当たっている。奏太が指導するよりもおそらく教え方は上手いと思う。全くピアノを弾いたことが無いわけでは無い遥人も思い出しながら惹いているので、沙夜も楽な気持ちで指導をしていた。
「うん。もうソロの所は良いと思うわ。」
「でもそれ以外がもたつくよな。テンポは変えられないし。」
「あとは慣れね。」
プリントして置いた楽譜は、翔が作曲、編曲したモノで、それは沙夜も口を出している。所々で沙夜が好きなアレンジにしているのだ。
「転調するじゃん。ここ。」
そう言って遥人は楽譜を指さす。すると沙夜は少し笑って言った。
「ピアノで転調って一番楽じゃ無いかしら。」
「沙夜さんらしいところだよな。」
そう言われて少し笑う。そして壁に掛けられている時計を見ると、沙夜はポケットに入っている携帯電話を取りだした。
「そろそろ時間ね。二時間だし。」
「沙夜さん。今日は飲みに行くっていう言い訳でもする?」
楽譜をファイルにしまいながら、遥人はそう聞くと沙夜は首を縦に振った。
「そうね。なんか……連れて行きたいところがあるとか。」
遥人は全てを知っていて、それを応援している節がある。それには違和感があるが、今はそんなことを考えても仕方が無い。
「ばれないようにしないとね。」
一馬は家庭しか見ていない。その文書を言ったばかりだ。なのに沙夜と不倫をしている事がばれたりしたら、大変な目に遭うだろう。一馬は奥さんと子供を失いかねないし、「二藍」からも去らないといけないだろう。沙夜もただでは済まない。それがわかっていて続けているのだ。どんな事情があるにしてもよっぽどの覚悟とそれだけお互いが想い合っているのかも知れない。それを遥人も治も止めらら無かったのだ。
「そうね。」
今日は意地でも一緒に行きたいところがあると言って一馬は聞かなかった。何をそんなに連れて行きたいところがあるというのだろう。不思議には思ったが、それ以上に期待も膨らんでいる。
いつもの格好とは違う膝丈のチュニックなんかを着ていて、沙夜らしくないと思うがそうやって自分のイメージを変えないと外では会えないのだから。
「鍵盤を拭いてね。」
「うん。」
ピアノも手入れが必要で調律なんかは業者がするモノだが、最低限のことは自分でしなければいけない。面倒だが、使ったモノのマナーだろう。
あとで掃除が入るのだろうが、軽く自分たちで床にモップをかけて外に出て行く。受付で料金を払い、外に出るとK街らしい明かりが向こうに見える。
「K街ってのは少し危険だよな。」
「そう?一馬はこの辺に住んでいるから、何も言われないと思うけど。」
「マスコミもそれを知っているから、一馬が連日K街で遊んでいるなんていう記事は載らないと思う。けど沙夜さんはしょっちゅうここに来てると、どうしても会社の方に問い合わせが来ると思うよ。K街で副業をしているんですかとか。」
「副業って……。」
この場合、おそらく普通に居酒屋でバイトをしているとかでは無い。風俗なんかで働いていると言われかねないだろう。
「沙夜さんはファンの間では「オカン」って言われているの知ってる?」
「えぇ。子供も居ないのにお母さんって言う意味で言われてもね。」
「その世話好きがそう言わせているんだよ。悪いことでは無いと思うし、ファンだって本気じゃ無いよ。」
遥人はそう言って少し笑っていた。だがすぐに真顔になる。
「「二藍」の知名度が上がると共に沙夜さんもそう言われているとなると、沙夜さんだって一介の会社員っていう感じでは無くなってきている。沙夜さんは「二藍」の担当になって長いしね。」
「そうね……。」
普通のファンであれば、そんなことを気にしないだろう。だが熱狂的でファンクラブに入っているような人は、沙夜が側にいるのをずっと気にしているのだ。そして沙夜が五人を銜え込んでいるという噂を鵜呑みにしている。
五人は一部しか知らないだろうが、沙夜の元には割と嫉妬した女からDMなんかが届くこともある。沙夜自身はSNSをしていないが、「二藍」のSNSを管理しているのが沙夜だと知っているファンから嫌がらせのようなメッセージが届くのだ。
気にする必要は無いと思っていたが、奏太や裕太からはそういうメッセージを発信した相手はブロックするように告げられている。二人はもう沙夜を「二藍」の六人目のメンバーだという意識があるようなのだ。
「俺らは恋愛感情なんかは無くても、沙夜さんが居ないと困るんだ。離れてしまうようなことは辞めて欲しいと思うけどね。」
沙夜と一馬がしていることを本当は応援したくないと思っているのだろう。それがわかって沙夜は少し暗くなるようだった。
「ごめんなさいね。栗山さん。」
「良いよ。止められないことだってのはわかってる。止められるならとっくに止めてるよ。事情だってわかるしさ。」
「……。」
「沙夜さんも芹さんが嫌になったわけじゃ無いだろ?」
「好きよ。でも……。」
芹はまだ紫乃に縛られている。それが沙夜にとって違和感なのだ。そして将来が見えない。だが一馬といても沙夜にはその将来は見えなかった。
「きっと……芹と一緒になっても芹には一馬の奥さんと同じような状況にさせてしまうと思うの。」
「え?」
行き交う人がちらっと遥人を見た気がした。話に夢中で帽子をかぶるのを忘れていたか。そう思って遥人はバッグから帽子とストールを取り出した。遥人特有の首元の入れ墨を隠すためだった。
「私は仕事が好きよ。「二藍」が好き。だから「二藍」のためには何でもしようと思った。「夜」として活動を始めたのもそのため。」
「……。」
「これから「二藍」の名前は益々大きくなる。レコーディングをしてツアーをして、大きなフェスに呼ばれることもある。その度に、私も付いて行くわ。家に帰れる時間も少なくなるかも知れない。芹はその間にも家で一人で仕事をしているのよ。たまには取材だって出掛けることもあるし、出版社に出掛けることもあると思うけれど、私ほどじゃない。寂しい思いをさせるわ。」
一馬の奥さんがその状況なのだ。仕事に出掛けて、子育てをして、家で帰ってくるかわからない一馬の食事を用意する。
「……俺の母親はさ。舞台女優だったんだ。」
「えぇ。知っているわ。」
「有名だもんな。父親とはおしどり夫婦で。」
仮面をかぶったような夫婦だったがそれはそれで形になっていたし、自分の子供では無いとはっきりわかっていても父親は父親の役割をしていたように思える。
遥人も兄も生意気なことをいえば、父親から殴られることもあったのだ。それをカバーするのは母親だったし、母親もヒステリックになることがあった。それをカバーするのは父親だった。理想的な夫婦だと思う。互いに愛人がいるだけで。
「俺が小学校に入って、そうだな……高学年くらいまでは、母親は夕方になると絶対家に帰っていたんだ。父親も可能であれば、夕食を囲むこともあったし。それが普通の家族だと思ってた。」
「お互いに仕事をしていたらそんなモノじゃ無いのかしら。」
「でも父親の実家に帰ったときにはっきりうちは違うって思った。女は家を守って、男は外で働いて、子育ては女の役目って感じでさ。外で働いていた母親だって実家に帰った時にはそれに習っていた。でも……俺はそっちの方が違和感があったよ。」
「違和感?」
「何で女が男をもてなさないといけないんだろうって。男が飲む酒なんだから、ビールくらい男が取りに行けよって思ってた。つまみだってピーナツくらい自分で出せよって。」
「……。」
「芹さんとは将来が見えないかも知れないけれど、もし上手くいって結婚しても重要なのは芹さんがそれを苦痛に思うか、思わないかだと思うよ。ただ……俺は芹さんが沙夜さんに自分のために仕事を辞めてくれなんていう馬鹿だったら、別れさせるけどね。それで沙夜さんは翔と一緒になれば良いよ。」
「翔とはならないわ。」
「全然眼中に無いんだ。可愛そうだなぁ。翔は。翔なら一馬と何かあったっていっても許しそうなんだけどな。」
遥人はそういって少し笑っていた。そして二人は駅に着くと、遥人と共に改札口をくぐる。そしてそのまま違う路線の電車に乗った。
一馬との待ち合わせは、沙夜があまり馴染みの無い街だったのだ。
0
お気に入りに追加
18
あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

会社の上司の妻との禁断の関係に溺れた男の物語
六角
恋愛
日本の大都市で働くサラリーマンが、偶然出会った上司の妻に一目惚れしてしまう。彼女に強く引き寄せられるように、彼女との禁断の関係に溺れていく。しかし、会社に知られてしまい、別れを余儀なくされる。彼女との別れに苦しみ、彼女を忘れることができずにいる。彼女との関係は、運命的なものであり、彼女との愛は一生忘れることができない。


サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。


ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる