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鶏ハム
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時間が来て鶏胸肉を取り出した。そしてその肉を漬けていた汁を再び火にかけて、わかめ、青ネギ、豆腐などを入れて汁物を作る。あとは味を調えて、卵を入れる。卵がふわふわと上がってきたら汁物は出来上がるのだ。
鶏胸肉は五ミリ間隔ほどに切っていく。刺身のようにして皿に盛り付けると、わさび醤油と、焼き肉のタレを用意した。
それと同時に翔が風呂から上がってくる。
「先に風呂に入ったよ。」
髭を剃ったようで、別人のようにいつもの翔になった。それを見て、沙菜は少し頷く。
「そう。そう。翔はそんな感じだよね。いつも。」
「どんなイメージなんだよ。」
着ているモノは洗濯かごに入れてきた。明日も良い天気のようで洗濯物がよく乾くだろう。
「でもここまで身なりに気をつけないとは思わなかったわ。芹でももう少し綺麗にしていたわよね。」
ここに来た時の芹は酷いモノだったと思う。ガリガリに痩せて、髪も伸び放題だったし、猫背が更にうさんくさく見えたのだ。
「それでも俺、ネットカフェでシャワーだけは浴びてたよ。洗濯はコインランドリーがあったし。」
「そうなんだ。見た目だけか。」
すると翔は少し笑って言う。
「田舎に引きこもって茶畑を手伝っていた時にさ。あそこの主人からいつも怒られていたよ。部屋は綺麗なのに本人が汚いって。」
「その光景、凄く浮かぶわ。」
沙菜はそう言って少し笑う。
「ご飯出来たわよ。食べましょうか。」
沙夜はそう言うとソファーでテレビを見ていた沙菜に声をかける。
「美味しそう。これは何で食べると美味しい?」
「好みに合わせてわさび醤油と焼き肉のタレ。」
「じゃあ、あたしは焼き肉のタレかな。」
「俺、わさび醤油。」
この鶏ハムは翔が好きだった。放置するだけで出来るモノなのに、それが隙というのはお手軽だと思う。おそらく翔であれば同じようなモノが作れると思うのだが、こういうモノは作って貰った方が美味しいのだろうか。
「美味しいよね。これ。柔らかいし、胸肉なのにしっとりしてるし。」
「そうね。あぁ。翔。あとで桃もあるのよ。沙菜が買ってきたの。」
「沙菜が?」
すると沙菜が少し笑って言う。
「今日ね。バスで地方の方へ行かないといけなかったんだけど、トイレ休憩に立ち寄った道の駅でさ、桃が売ってたの。凄い美味しそうだったから衝動買い。」
「そうなんだ。でも俺、桃好きだよ。スイカより好きかな。」
すると芹も少し笑って言う。
「俺、スイカの方が好き。皮は漬物に出来るじゃん。」
「桃はお酒に漬けると美味しいよ。杏みたいでさ。」
その言葉に沙菜は口を尖らせて言う。
「あたしお酒飲めないもん。姉さんはザルだけどさ。」
「またここでも酒豪みたいに……。」
わいわいというその空気が好きだった。家族では無くても本当の家族のように感じるから。
しかしこの食事が終わったら、この三人に嘘をつかないといけない。特に芹には後ろめたいだろう。仕事と嘘をついているのだから。
食事を終えて桃を食べると、そのまま沙菜は風呂へ入ってしまった。そして沙夜は片付けを終えると自分の部屋に戻ってくる。そして部屋着から着替えをした。黒いスパッツと、膝のあたりまであるゆったりしたワンピースは普段着ることは無いが、普段の沙夜の印象が変われば良いと思う。そして手の先を見た。そこにはいつもある指輪が無い。
帰りの電車で一馬にと一緒に帰った時、一馬は何故か沙夜の左手にはめられていた指輪を見せて欲しいと言ってきて、それを外して見せたのだ。あまり高いモノでは無いようで、おそらく外国人が道ばたで売っているようなうさんくさい指輪だったと思う。だがそれは沙夜の指のサイズにはゆるく本当は薬指にはめたかったのだろうに中指でも緩かった。
大した装飾は無くて、シンプルな銀色のリングだった。そして一馬はその指輪を沙夜に返そうと思った時、電車が急ブレーキをかけて電車内がわっとざわめく。どうやら何かトラブルがあったらしい。
アナウンスの声を沙夜と一馬は聞いて、そのまま沙夜は先に電車を降りた。指輪を返して貰うのを忘れたまま。
今度会った時に返してもらえば良いと思ったのだが、一馬は芹のことを考えたら今日、渡しておいた方が良いと行ってくれていた。
咲良と会って少し話をしただけでも噂を立てられるくらいだ。あまり軽率にプライベートでメンバーに会うべきでは無いとわかっているが、一馬は大事なモノだろうと言ってくれた。その辺は一馬はわかっているのだろう。
だからせめて自分らしくない格好で会うしか無い。そう思ってわざわざそういう服に袖を通したのだ。そしてバッグを持つと、部屋の電気を消して部屋の外に出る。するとちょうど翔が自分の部屋から出てきた。普段の沙夜の格好とは違う様子に、翔は少し驚いて沙夜を見る。
「どうしたの?そんな格好をして。」
「外に出るからね。」
「でもいつもと印象が違うみたいだ。」
「楽なのよ。このワンピース。それにあまり長く居ないつもりだから。」
その言葉に違和感があった。仕事であればスーツを着て沙夜は外に出る。プライベートで外に出るくらいなら部屋着のまま出ることもあるのに、わざわざ着替えて出るというのは少し違う気がしたから。
「一馬と?」
すると沙夜は首を横に振る。
「違うわ。」
「だったら奏太?」
「いいえ。仕事の用事。」
「仕事って……そんな「二藍」の用事で急ぐようなことがあったかな。」
「……別に急ぐことじゃないけれど、早めに済ませれるなら済ませておいた方が良いってだけよ。」
「沙夜。」
玄関の方へ向かおうとした沙夜に翔が駆け寄った。
「誤魔化さないで。芹に言いたくないことなの?」
「そんなことは無いわ。何を勘違いしているの?」
そう言って玄関のドアを開けると沙夜は家を出る。すると翔も出てきた。
「何?」
「一馬に会うんじゃ無いの?」
「……。」
すると翔は沙夜の左手首を掴むと、その指先を見る。
「指輪、無いね。いつもしていたモノだ。どこかに置いてきたの?」
「探偵になったつもり?何も無いと言っているのに。」
あくまで誤魔化している。沙夜には芹が居て、一馬には奥さんが居るから後ろめたい所があるのだろうか。
「不倫は続かないよ。俺だってそうだった。」
「あなたが?」
驚いて翔を見上げる。すると翔はぽつりと言う。
「慎吾を責められないのはそのせいだ。俺だって、そういう事をしていたこともある。いつか言ったことがあるよね。高校生くらいの時に初めてセックスをしたって。」
「……。」
「人妻だったんだよ。」
その言葉に沙夜はため息を付いた。
「そのお相手とは、もう繋がりは無いかしら。」
「無い。住んでいる所も違うし、今は何をしているのか俺は知らない。だけど……多分、慎吾は知っていると思う。」
「慎吾さんが?」
「そのあと、慎吾もお世話になったみたいだから。そして……何でかわからないけれど、芹もそれを知っていた。だから奏太に誤解をさせるのを俺では無理だと言ってきたんだ。」
確かに違和感があったのは確かだ。どうしてわざわざ既婚者の一馬にそんな真似を頼んだのか。本当だったら純や翔に頼んでも良いことだと思う。なのに一馬を芹は選んだ。
「芹が一馬に頼んだのは、そんな深い意味は無いと思う。ただ単に、一馬はぶれないしふりをするだけで、私に転ぶことは無い。第一奥様しか見ていないのはわかってる。だから信用があるのよ。そして私も一馬に転ぶことは無いわ。芹しか見えていないの。」
「……本当に?」
「信じないならそれまでね。それから、本当に今から出ないといけないの。仕事のことだから。」
「それもわからないな。」
「疑うんだったらそれで良い。」
沙夜はそう言うと、道の方へ歩いて行こうとした。するとその背中に翔が声をかける。
「だったら信じるよ。ごめん。変に疑って。」
「良いわ。帰ったらお風呂に入るから。あまり大した時間では無いと思うけど。」
「うん。」
沙夜はそう言って行ってしまった。その後ろ姿を見て、翔はため息を付く。沙夜は嘘をつくような人では無いが、どうも誤魔化しているような気がしていた。一馬の存在が、沙夜の中で大きくなっているのが目に見えていたから。
鶏胸肉は五ミリ間隔ほどに切っていく。刺身のようにして皿に盛り付けると、わさび醤油と、焼き肉のタレを用意した。
それと同時に翔が風呂から上がってくる。
「先に風呂に入ったよ。」
髭を剃ったようで、別人のようにいつもの翔になった。それを見て、沙菜は少し頷く。
「そう。そう。翔はそんな感じだよね。いつも。」
「どんなイメージなんだよ。」
着ているモノは洗濯かごに入れてきた。明日も良い天気のようで洗濯物がよく乾くだろう。
「でもここまで身なりに気をつけないとは思わなかったわ。芹でももう少し綺麗にしていたわよね。」
ここに来た時の芹は酷いモノだったと思う。ガリガリに痩せて、髪も伸び放題だったし、猫背が更にうさんくさく見えたのだ。
「それでも俺、ネットカフェでシャワーだけは浴びてたよ。洗濯はコインランドリーがあったし。」
「そうなんだ。見た目だけか。」
すると翔は少し笑って言う。
「田舎に引きこもって茶畑を手伝っていた時にさ。あそこの主人からいつも怒られていたよ。部屋は綺麗なのに本人が汚いって。」
「その光景、凄く浮かぶわ。」
沙菜はそう言って少し笑う。
「ご飯出来たわよ。食べましょうか。」
沙夜はそう言うとソファーでテレビを見ていた沙菜に声をかける。
「美味しそう。これは何で食べると美味しい?」
「好みに合わせてわさび醤油と焼き肉のタレ。」
「じゃあ、あたしは焼き肉のタレかな。」
「俺、わさび醤油。」
この鶏ハムは翔が好きだった。放置するだけで出来るモノなのに、それが隙というのはお手軽だと思う。おそらく翔であれば同じようなモノが作れると思うのだが、こういうモノは作って貰った方が美味しいのだろうか。
「美味しいよね。これ。柔らかいし、胸肉なのにしっとりしてるし。」
「そうね。あぁ。翔。あとで桃もあるのよ。沙菜が買ってきたの。」
「沙菜が?」
すると沙菜が少し笑って言う。
「今日ね。バスで地方の方へ行かないといけなかったんだけど、トイレ休憩に立ち寄った道の駅でさ、桃が売ってたの。凄い美味しそうだったから衝動買い。」
「そうなんだ。でも俺、桃好きだよ。スイカより好きかな。」
すると芹も少し笑って言う。
「俺、スイカの方が好き。皮は漬物に出来るじゃん。」
「桃はお酒に漬けると美味しいよ。杏みたいでさ。」
その言葉に沙菜は口を尖らせて言う。
「あたしお酒飲めないもん。姉さんはザルだけどさ。」
「またここでも酒豪みたいに……。」
わいわいというその空気が好きだった。家族では無くても本当の家族のように感じるから。
しかしこの食事が終わったら、この三人に嘘をつかないといけない。特に芹には後ろめたいだろう。仕事と嘘をついているのだから。
食事を終えて桃を食べると、そのまま沙菜は風呂へ入ってしまった。そして沙夜は片付けを終えると自分の部屋に戻ってくる。そして部屋着から着替えをした。黒いスパッツと、膝のあたりまであるゆったりしたワンピースは普段着ることは無いが、普段の沙夜の印象が変われば良いと思う。そして手の先を見た。そこにはいつもある指輪が無い。
帰りの電車で一馬にと一緒に帰った時、一馬は何故か沙夜の左手にはめられていた指輪を見せて欲しいと言ってきて、それを外して見せたのだ。あまり高いモノでは無いようで、おそらく外国人が道ばたで売っているようなうさんくさい指輪だったと思う。だがそれは沙夜の指のサイズにはゆるく本当は薬指にはめたかったのだろうに中指でも緩かった。
大した装飾は無くて、シンプルな銀色のリングだった。そして一馬はその指輪を沙夜に返そうと思った時、電車が急ブレーキをかけて電車内がわっとざわめく。どうやら何かトラブルがあったらしい。
アナウンスの声を沙夜と一馬は聞いて、そのまま沙夜は先に電車を降りた。指輪を返して貰うのを忘れたまま。
今度会った時に返してもらえば良いと思ったのだが、一馬は芹のことを考えたら今日、渡しておいた方が良いと行ってくれていた。
咲良と会って少し話をしただけでも噂を立てられるくらいだ。あまり軽率にプライベートでメンバーに会うべきでは無いとわかっているが、一馬は大事なモノだろうと言ってくれた。その辺は一馬はわかっているのだろう。
だからせめて自分らしくない格好で会うしか無い。そう思ってわざわざそういう服に袖を通したのだ。そしてバッグを持つと、部屋の電気を消して部屋の外に出る。するとちょうど翔が自分の部屋から出てきた。普段の沙夜の格好とは違う様子に、翔は少し驚いて沙夜を見る。
「どうしたの?そんな格好をして。」
「外に出るからね。」
「でもいつもと印象が違うみたいだ。」
「楽なのよ。このワンピース。それにあまり長く居ないつもりだから。」
その言葉に違和感があった。仕事であればスーツを着て沙夜は外に出る。プライベートで外に出るくらいなら部屋着のまま出ることもあるのに、わざわざ着替えて出るというのは少し違う気がしたから。
「一馬と?」
すると沙夜は首を横に振る。
「違うわ。」
「だったら奏太?」
「いいえ。仕事の用事。」
「仕事って……そんな「二藍」の用事で急ぐようなことがあったかな。」
「……別に急ぐことじゃないけれど、早めに済ませれるなら済ませておいた方が良いってだけよ。」
「沙夜。」
玄関の方へ向かおうとした沙夜に翔が駆け寄った。
「誤魔化さないで。芹に言いたくないことなの?」
「そんなことは無いわ。何を勘違いしているの?」
そう言って玄関のドアを開けると沙夜は家を出る。すると翔も出てきた。
「何?」
「一馬に会うんじゃ無いの?」
「……。」
すると翔は沙夜の左手首を掴むと、その指先を見る。
「指輪、無いね。いつもしていたモノだ。どこかに置いてきたの?」
「探偵になったつもり?何も無いと言っているのに。」
あくまで誤魔化している。沙夜には芹が居て、一馬には奥さんが居るから後ろめたい所があるのだろうか。
「不倫は続かないよ。俺だってそうだった。」
「あなたが?」
驚いて翔を見上げる。すると翔はぽつりと言う。
「慎吾を責められないのはそのせいだ。俺だって、そういう事をしていたこともある。いつか言ったことがあるよね。高校生くらいの時に初めてセックスをしたって。」
「……。」
「人妻だったんだよ。」
その言葉に沙夜はため息を付いた。
「そのお相手とは、もう繋がりは無いかしら。」
「無い。住んでいる所も違うし、今は何をしているのか俺は知らない。だけど……多分、慎吾は知っていると思う。」
「慎吾さんが?」
「そのあと、慎吾もお世話になったみたいだから。そして……何でかわからないけれど、芹もそれを知っていた。だから奏太に誤解をさせるのを俺では無理だと言ってきたんだ。」
確かに違和感があったのは確かだ。どうしてわざわざ既婚者の一馬にそんな真似を頼んだのか。本当だったら純や翔に頼んでも良いことだと思う。なのに一馬を芹は選んだ。
「芹が一馬に頼んだのは、そんな深い意味は無いと思う。ただ単に、一馬はぶれないしふりをするだけで、私に転ぶことは無い。第一奥様しか見ていないのはわかってる。だから信用があるのよ。そして私も一馬に転ぶことは無いわ。芹しか見えていないの。」
「……本当に?」
「信じないならそれまでね。それから、本当に今から出ないといけないの。仕事のことだから。」
「それもわからないな。」
「疑うんだったらそれで良い。」
沙夜はそう言うと、道の方へ歩いて行こうとした。するとその背中に翔が声をかける。
「だったら信じるよ。ごめん。変に疑って。」
「良いわ。帰ったらお風呂に入るから。あまり大した時間では無いと思うけど。」
「うん。」
沙夜はそう言って行ってしまった。その後ろ姿を見て、翔はため息を付く。沙夜は嘘をつくような人では無いが、どうも誤魔化しているような気がしていた。一馬の存在が、沙夜の中で大きくなっているのが目に見えていたから。
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