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祝い飯
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会社の先にあるスタジオは、最近翔が個人でスタジオを借りた。ここのところ翔個人の仕事が多く、その度に機材を借りたスタジオに機材を運び込むのは面倒だったから。小さなスタジオで、生の音を入れるときには片隅にあるアクリル板で仕切られたボックスの中に入る。ほとんど翔が使いやすいように設定されているが、翔の部屋が少し大きくなっただけのように見えた。望月旭の個人のスタジオとは雲泥の差だと思う。
ここにスタジオを構えたのは、沙夜の勤める会社に近いから。翔に何があってもすぐに沙夜や奏太が走ったり歩いたりしても来れるようにしたものだろう。
そこのドアを開けると、まず翔は電気を付ける。そして機材の電源を入れ始めた。主はパソコン作業になるのだが、それもまた慣れたモノだった。
一馬はその脇で背負ってきたエレキベースをケースから取りだした。
「そこに座ってチューニングとかセッティングとかして良いから。」
翔はそう言うと、置いているパイプ椅子を指さした。一馬はうなずくとそこに腰掛けて、ベースのチューニングを始める。その間、一馬は何も話さないし、翔も話をしなかった。と言うのも、一馬、その一馬の奥さん、そして沙夜で決まっている話を聞いて、翔は少し怒りを隠せなかったのがわかるから。
「翔。」
まだ機材が立ち上がらないのを見て、一馬は声をかける。
「いい訳なんか良いよ。俺が出来ないことを一馬はしてくれていたんだし。」
「お前には気分の良いことでは無いだろう。」
沙夜が一馬と気が合うのはわかっていた。
一馬が沙夜と正月に山で会い、お互いの愚痴を言い合ったことがある。それがきっかけで一馬と沙夜は相談があるときにはお互い隠すことも無く話を聞き合おうと言っていた。それは音楽のことだけでは無く、一馬は奥さんのことを、沙夜は芹のことを話していたようだ。特に芹のことは天草裕太のことも関係する。そして紫乃のことも一馬はよく知っていた。だから話を聞くことくらいは出来たのだ。
だがそれは二人をよく知らなければ、親しすぎると思うくらいだと思う。案の定、奏太がそれを勘違いしていた。おそらく奏太は沙夜が「草壁」というライターと恋人同士だと言うことを知っていて、その「草壁」は一馬では無いかと思っていたのだ。一馬が「草壁」であることは不自然では無い。音楽の知識もあり、そういう文章を書くのも長けているだろう。
それを沙夜は利用したのだ。そう思いたければ思えば良いと、まず一馬の奥さんに話をした。芹を連れて、奥さんが勤める洋菓子店へ行ったときに、芹は事情を説明したのだという。ライターとして作詞家として姿を現さないのは、兄とその嫁に知られたくないから。そして奏太にも知られたくない。そのために一馬を利用したいと。
すると奥さんは、納得したようだった。沙夜と一馬に何も無いことなどわかっているし、心が惹かれ合っていることも無い。それだけ一馬が自分しか見ていないし、自分だって一馬しか見ていない。それくらい自信があった。
それに沙夜には貸しがある。沙夜の体には一馬をかばって受けた傷跡があった。まだ結婚もしていない女性がそんな傷を一馬のせいで付けてしまったと、酷く後悔していたのだ。と言うのも奥さんには酷い傷跡があり、それが長い間コンプレックスだったのだ。だから沙夜の体にそんな傷が一馬のせいで出来てしまったのが、ずっと引け目に思っていた。だから芹を守りたいという沙夜の気持ちを優先させたかった。
「一馬は本当に、沙夜のことを何とも思っていないのか。」
翔はその話を聞いて、不自然に思った。どうして既婚者の方が良いのだろう。そもそも奏太は翔と沙夜の間を疑っていた。そちらの方がまだ沙夜にとっても悪くないと思っていたのに。
「正直……奥さんと出会う前に沙夜さんと会っていたら、沙夜さんに惹かれていたかもしれない。遠慮無しで言ってくれるところも、音楽のセンスも、好きなモノも割と似ているし。」
「それは……。」
「だが、恋人同士にはなれるかもしれないが、結婚はしなかっただろうな。沙夜さんも俺に合わせようとしているし、俺も沙夜さんに合わせようとしているところがある。無理をしながら一緒に暮らすのは無理だ。ストレスが溜まる。」
そんなモノなのだろうか。今翔は四人で暮らしているが、ストレスが溜まるとは思ったことは無い。だがそれはきっとお互いに干渉しすぎないから良いのだろう。
「でもさ……一馬は文書を出したばかりだろう。奏太が浮気をしているなんて他のヤツに言ったりしたら、お前、「二藍」を出て行かないといけなくならないか。」
すると一馬はその手を止めて、翔に言う。
「もしそんなことが漏れたら、出てきた先はすぐにわかるだろう。そうなると俺だけじゃない。言った奏太の首も絞まるだろう。」
「……。」
「そんなリスクを負ってまで、俺と離そうとするか。それも事実では無いことを。」
「……それくらい、奏太が惚れているとしたら?」
不倫をしているかもしれない沙夜を一馬から引き離そうと、奏太が行動するかもしれない。その時には、奏太はなりふり構わないだろう。
「その時には芹さんが黙っていないだろう。翔。」
「何だよ。」
「芹さんには悪いが、もしそれで芹さんが守り切れなかったら……。まだ裕太や紫乃から怯えて沙夜さんを守り切れなかったら、守るのはお前しか居ないんじゃ無いのか。」
「俺が?」
「言い方は悪いが、芹さんはそこまで沙夜さんを守れるかと言われたら微妙だと思う。一緒に居て、セックスをするだけが恋人では無いのだから。」
そう言って一馬は壁に掛けられている時計を見る。
「……翔。悪いが、俺は昼から別の仕事に行かないといけない。」
「あぁ……わかった。悪い。話しすぎたな。」
翔は椅子を回すと、パソコンにあるデスクトップのアイコンをクリックした。そしてまた仕事モードに頭を切り替えた。
その様子を見て一馬はここに来て、翔にも希望を持たせたことを後悔していなかった。翔はずっと沙夜しか見ていないのだ。芹と付き合っていても、芹と一緒に居るとわかっていても、翔はずっと沙夜しか見ていないのだ。その気持ちが少しでも報われれば良いと思う。
自分が奥さんを前の恋人から奪ったように、翔もそれくらい強気で居て欲しいと思う。翔だって沙夜を思う気持ちはきっと誰よりも強いのだから。
真っ白なウェディングドレスでやってきた花嫁と、その隣にタキシード姿の植村朔太郎が披露宴の会場にやってきたとき、会場から拍手が起こった。
花嫁である河村優花のウェディングドレスは、肩の辺りが割と露出していて、それなのにお腹が割と目立つようにしているデザインだ。この会場の人は誰もが、優花が妊婦であることはわかっているだろう。
「妊娠してから結婚ねぇ。」
隣の席に座っている奏太が拍手をしながら呟いた。
「何か問題でもある?」
沙夜はそう聞くと、奏太は首を横に振った。
「別に。珍しくは無いなって思っただけ。」
暑い国だった。そこでは一夫多妻制であり、多く家畜を持っていたり土地を持っていたりする人は何人もの奥さんを持つことがある。子供が無事、大人まで育つことも難しいような土地なのだ。だったら奥さんを沢山貰っていて、子供を沢山作っておいた方が良い。
そして女の子が生まれた場合、ある年齢になったら割礼を言う儀式をする。表向きには結婚をするまで貞操を守るためのモノだ。
そんな地域の人達にとっては、結婚前に妊娠しているなどあり得ない話だろう。
「避妊だって百パーセント出来るわけじゃ無いんでしょう?まさか婚前交渉は駄目だって思っているわけじゃ無いわよね。」
「そんなわけ無いだろう。」
「それもそうね。遊んでいたりすることもあるわけだし。」
「それとこれとは……。」
拍手が鳴り止み、奏太は言葉を飲んだ。そして視界をする女性が言葉を発する。お決まりのように、二人の経歴を口にしていた。
二人の歳の差は二つ。優花の方が年下だった。沙夜ももし芹と結婚するなら、年下になるだろう。ちらっと後ろの席を見ると、親族達が座っている。タキシードを着ているのが双方の父親だろう。そして留袖の着物を着ているのが母親なのだ。お互いに諸手を挙げてお祝いをしているわけでは無いのだろうが、この場で口やかましいことは言わないだけなのだ。
もし沙夜の結婚式なんかだったら、沙夜の母親は遠慮無しに文句を言うだろう。いや、それ以前に芹が相手だというのに文句を言う。それくらいならしそうだと思っていた。
「どうした。暗い顔をして。」
「何でも無いわ。」
そんな微妙な表情すら、奏太は気がついてくれる。だが沙夜はその気持ちを無視してまたその司会者が話をする声に耳を傾けた。
ここにスタジオを構えたのは、沙夜の勤める会社に近いから。翔に何があってもすぐに沙夜や奏太が走ったり歩いたりしても来れるようにしたものだろう。
そこのドアを開けると、まず翔は電気を付ける。そして機材の電源を入れ始めた。主はパソコン作業になるのだが、それもまた慣れたモノだった。
一馬はその脇で背負ってきたエレキベースをケースから取りだした。
「そこに座ってチューニングとかセッティングとかして良いから。」
翔はそう言うと、置いているパイプ椅子を指さした。一馬はうなずくとそこに腰掛けて、ベースのチューニングを始める。その間、一馬は何も話さないし、翔も話をしなかった。と言うのも、一馬、その一馬の奥さん、そして沙夜で決まっている話を聞いて、翔は少し怒りを隠せなかったのがわかるから。
「翔。」
まだ機材が立ち上がらないのを見て、一馬は声をかける。
「いい訳なんか良いよ。俺が出来ないことを一馬はしてくれていたんだし。」
「お前には気分の良いことでは無いだろう。」
沙夜が一馬と気が合うのはわかっていた。
一馬が沙夜と正月に山で会い、お互いの愚痴を言い合ったことがある。それがきっかけで一馬と沙夜は相談があるときにはお互い隠すことも無く話を聞き合おうと言っていた。それは音楽のことだけでは無く、一馬は奥さんのことを、沙夜は芹のことを話していたようだ。特に芹のことは天草裕太のことも関係する。そして紫乃のことも一馬はよく知っていた。だから話を聞くことくらいは出来たのだ。
だがそれは二人をよく知らなければ、親しすぎると思うくらいだと思う。案の定、奏太がそれを勘違いしていた。おそらく奏太は沙夜が「草壁」というライターと恋人同士だと言うことを知っていて、その「草壁」は一馬では無いかと思っていたのだ。一馬が「草壁」であることは不自然では無い。音楽の知識もあり、そういう文章を書くのも長けているだろう。
それを沙夜は利用したのだ。そう思いたければ思えば良いと、まず一馬の奥さんに話をした。芹を連れて、奥さんが勤める洋菓子店へ行ったときに、芹は事情を説明したのだという。ライターとして作詞家として姿を現さないのは、兄とその嫁に知られたくないから。そして奏太にも知られたくない。そのために一馬を利用したいと。
すると奥さんは、納得したようだった。沙夜と一馬に何も無いことなどわかっているし、心が惹かれ合っていることも無い。それだけ一馬が自分しか見ていないし、自分だって一馬しか見ていない。それくらい自信があった。
それに沙夜には貸しがある。沙夜の体には一馬をかばって受けた傷跡があった。まだ結婚もしていない女性がそんな傷を一馬のせいで付けてしまったと、酷く後悔していたのだ。と言うのも奥さんには酷い傷跡があり、それが長い間コンプレックスだったのだ。だから沙夜の体にそんな傷が一馬のせいで出来てしまったのが、ずっと引け目に思っていた。だから芹を守りたいという沙夜の気持ちを優先させたかった。
「一馬は本当に、沙夜のことを何とも思っていないのか。」
翔はその話を聞いて、不自然に思った。どうして既婚者の方が良いのだろう。そもそも奏太は翔と沙夜の間を疑っていた。そちらの方がまだ沙夜にとっても悪くないと思っていたのに。
「正直……奥さんと出会う前に沙夜さんと会っていたら、沙夜さんに惹かれていたかもしれない。遠慮無しで言ってくれるところも、音楽のセンスも、好きなモノも割と似ているし。」
「それは……。」
「だが、恋人同士にはなれるかもしれないが、結婚はしなかっただろうな。沙夜さんも俺に合わせようとしているし、俺も沙夜さんに合わせようとしているところがある。無理をしながら一緒に暮らすのは無理だ。ストレスが溜まる。」
そんなモノなのだろうか。今翔は四人で暮らしているが、ストレスが溜まるとは思ったことは無い。だがそれはきっとお互いに干渉しすぎないから良いのだろう。
「でもさ……一馬は文書を出したばかりだろう。奏太が浮気をしているなんて他のヤツに言ったりしたら、お前、「二藍」を出て行かないといけなくならないか。」
すると一馬はその手を止めて、翔に言う。
「もしそんなことが漏れたら、出てきた先はすぐにわかるだろう。そうなると俺だけじゃない。言った奏太の首も絞まるだろう。」
「……。」
「そんなリスクを負ってまで、俺と離そうとするか。それも事実では無いことを。」
「……それくらい、奏太が惚れているとしたら?」
不倫をしているかもしれない沙夜を一馬から引き離そうと、奏太が行動するかもしれない。その時には、奏太はなりふり構わないだろう。
「その時には芹さんが黙っていないだろう。翔。」
「何だよ。」
「芹さんには悪いが、もしそれで芹さんが守り切れなかったら……。まだ裕太や紫乃から怯えて沙夜さんを守り切れなかったら、守るのはお前しか居ないんじゃ無いのか。」
「俺が?」
「言い方は悪いが、芹さんはそこまで沙夜さんを守れるかと言われたら微妙だと思う。一緒に居て、セックスをするだけが恋人では無いのだから。」
そう言って一馬は壁に掛けられている時計を見る。
「……翔。悪いが、俺は昼から別の仕事に行かないといけない。」
「あぁ……わかった。悪い。話しすぎたな。」
翔は椅子を回すと、パソコンにあるデスクトップのアイコンをクリックした。そしてまた仕事モードに頭を切り替えた。
その様子を見て一馬はここに来て、翔にも希望を持たせたことを後悔していなかった。翔はずっと沙夜しか見ていないのだ。芹と付き合っていても、芹と一緒に居るとわかっていても、翔はずっと沙夜しか見ていないのだ。その気持ちが少しでも報われれば良いと思う。
自分が奥さんを前の恋人から奪ったように、翔もそれくらい強気で居て欲しいと思う。翔だって沙夜を思う気持ちはきっと誰よりも強いのだから。
真っ白なウェディングドレスでやってきた花嫁と、その隣にタキシード姿の植村朔太郎が披露宴の会場にやってきたとき、会場から拍手が起こった。
花嫁である河村優花のウェディングドレスは、肩の辺りが割と露出していて、それなのにお腹が割と目立つようにしているデザインだ。この会場の人は誰もが、優花が妊婦であることはわかっているだろう。
「妊娠してから結婚ねぇ。」
隣の席に座っている奏太が拍手をしながら呟いた。
「何か問題でもある?」
沙夜はそう聞くと、奏太は首を横に振った。
「別に。珍しくは無いなって思っただけ。」
暑い国だった。そこでは一夫多妻制であり、多く家畜を持っていたり土地を持っていたりする人は何人もの奥さんを持つことがある。子供が無事、大人まで育つことも難しいような土地なのだ。だったら奥さんを沢山貰っていて、子供を沢山作っておいた方が良い。
そして女の子が生まれた場合、ある年齢になったら割礼を言う儀式をする。表向きには結婚をするまで貞操を守るためのモノだ。
そんな地域の人達にとっては、結婚前に妊娠しているなどあり得ない話だろう。
「避妊だって百パーセント出来るわけじゃ無いんでしょう?まさか婚前交渉は駄目だって思っているわけじゃ無いわよね。」
「そんなわけ無いだろう。」
「それもそうね。遊んでいたりすることもあるわけだし。」
「それとこれとは……。」
拍手が鳴り止み、奏太は言葉を飲んだ。そして視界をする女性が言葉を発する。お決まりのように、二人の経歴を口にしていた。
二人の歳の差は二つ。優花の方が年下だった。沙夜ももし芹と結婚するなら、年下になるだろう。ちらっと後ろの席を見ると、親族達が座っている。タキシードを着ているのが双方の父親だろう。そして留袖の着物を着ているのが母親なのだ。お互いに諸手を挙げてお祝いをしているわけでは無いのだろうが、この場で口やかましいことは言わないだけなのだ。
もし沙夜の結婚式なんかだったら、沙夜の母親は遠慮無しに文句を言うだろう。いや、それ以前に芹が相手だというのに文句を言う。それくらいならしそうだと思っていた。
「どうした。暗い顔をして。」
「何でも無いわ。」
そんな微妙な表情すら、奏太は気がついてくれる。だが沙夜はその気持ちを無視してまたその司会者が話をする声に耳を傾けた。
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