触れられない距離

神崎

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鰤のあら煮

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 シャワーを浴び終わり前髪を上げた。そして部屋に戻ってくると、沙夜はその海が見える窓辺にあるテーブルで、バスタオル一枚のまま電話をしながら何かメモを取っている。予想外の休みだったからかもしれないが、やはりあまり連携は取れていなかったらしい。そもそも沙夜一人で「二藍」の売り込みなどをしていたのだ。その仕事量はおそらく半端ではない。
 それに個々の活動にも目を通している。普段どれだけ時間を割いてやっちるのか想像が出来ないほどだろう。
「はい……。それは明日私が目を通します。とりあえず今日締め切りにしているモノをですね……。あ、では無くて、時間に余裕を持って発注をしていると言うだけで、正式な締め切りは違うんですけど。えぇ……。でですね、千草さんのことですけど、年明けにですね……。」
 翔のことを話題に出すと少し後ろ暗い。翔だってこうしたいと思っているのに、抜け駆けのようなことをしているのだから。
 だからといって翔に渡したくない。翔が聞いたら卒倒するだろうか。もしくは出て行けと言われるかもしれない。それでも今日しかなかった。
「はい。ではお願いします。」
 やっと電話を終えて、沙夜はまとめたメモに目を通す。そしてその紙をバッグの中にしまうと、ベッドの方を見た。芹がベッドに横になって携帯電話をいじっているように見える。
「ごめん。つい仕事が……。」
「良いよ。急な休みだったんだからな。」
 携帯電話の画面を閉じる。携帯電話のゲームはただの暇つぶしだ。根を詰めてするようなモノでもない。それでも人と待ち合わせをするとき何かに便利だ。
「なぁ。」
 ベッドに腰掛けると、沙夜もその隣に座る。その時芹の左腕、肩の辺りにある入れ墨が見えた。そんなモノが入っているのは初めて知ったが、沙夜はそれよりも芹の話の方が気になる。
「何?」
「俺さ、翔に悪いと思ってる。」
「翔に?どうして?」
 沙夜は翔のことを全く何も思っていないのだろう。だからなぜ翔の名前が出たのだろうくらいにしか思っていない。
「翔はお前が好きなんだよ。」
 すると沙夜の頬が少し赤くなる。だがすぐに暗い表情になった。
「答えられないわ。立場的にも、同居人としても。何より……翔とはこんなことをしたくないと思うし。」
「俺となら良いのか?俺だって同居人だろう?」
 すると沙夜は首を横に振る。
「芹だから。」
「……。」
「あなたに初めて会ったときから、私はあなたに触れたいと思っていたの。」
「俺もそう思ってた。」
 こんなに近くにいる。手を伸ばせばすぐに触れられる距離に。芹はそのまま手を伸ばすと、沙夜の頬に触れる。すると沙夜の表情が僅かに引きつった。だがその頬を撫でるとそのまま顎に手を添える。
 ゆっくりと近づいていき、その唇が沙夜の唇を塞ぐ。軽く触れたあと、芹は自分の方から沙夜の唇を割った。
「んっ……。」
 沙夜の吐息が漏れる。舌を絡め合うその反応が、たどたどしくて更に芹を掻き立てる。唇を離すと、芹はそのまま沙夜の首元に唇を寄せた。
「あっ……。」
 声が漏れて、顔が赤くなる。その顔は求めているように感じた。
「沙夜……。ごめん。我慢出来ない。」
 芹はそう言ってそのバスタオルに手を伸ばす。するとそこには夢にまで見た沙夜の裸体があった。決して太っているわけでは無いが、大きくて張りがありその中心にある乳首もピンク色だった。そして腰も締まっている。僅かに見える性器は、茂みが薄くありその表面はすぐに見えるようだ。
「凄いな。」
「やだ……。そんなにまじまじ見ないで。」
「明るいし、見ない方が難しいだろ。」
 誰よりも綺麗な裸体だと思う。
 すると沙夜も芹の体に手を伸ばしてきた。
「何?」
「私だけ裸にいさせる気なの?」
 芹が腰に巻いているタオルを取ると、そこからすでに少し大きくなりかけている性器が見えた。沙夜はあまりその性器というモノをまじまじと見たことは無い。
 初めて処女を奪われたとき、そんなのを見る余裕すら無かったのだから。改めてみるとグロテスクだと思う。それに思った以上に大きい。こんなモノが自分の中を貫くと思うと少し恐怖になる。
「……見たこと無いのか?」
「あの時はあれよあれよって感じだったし……。」
 それに痛かった。何をされても痛くてたまらないのに、あの男は辞めてくれなかったのだ。そう思って沙夜は芹に言う。
「芹。」
「ん?」
「優しくしてくれないかしら。あの時のことを忘れて、今日が初めてだと思うから。」
「だったら俺も忘れさせてくれよ。」
 それは紫乃のことだろう。芹の初めては紫乃だったのだ。あの公園で声をかけられた人が紫乃だったに違いない。だから芹は脱兎のように逃げたのだ。
「うん……。」
 すると芹は沙夜の肩を軽く押す。すると沙夜は簡単にベッドの上で横になった。芹もその上を覆い被さるように横になると、その胸に触れる。信じられないくらい柔らかかったし手に余るほど大きい。
「んっ……んっ……。」
 胸に触れると沙夜の顔が赤くなる。求めているようなそんな顔だった。思い切って乳首の先に舌をはわせる。もてあそぶように舌で舐めあげると沙夜の声が抑えきれなかった。
「あっ!あまり吸わないで。」
「何で?こんなに立ってきたのに。」
「いっ!あっ!駄目!駄目!あっ!き……きちゃうから!」
 乳首をつまみ上げて、ぐりぐりとこね回す。すると沙夜は体をビクビクと震わせると同時に更に声を上げた。
「ああああ!芹!せ……。」
 体を震わせて、沙夜はそのままぐったりと横になる。かなり敏感な体だ。
 そうだった。沙夜は料理をしているときに味見をするのも敏感に鰺の善し悪しを判断するし、耳も細かい音まで聞き分けるくらいかなり敏感なのだ。当然体の感覚というのも敏感なのだろう。
 敏感な人というのは通り越すと、痛みになる。だからその手加減がわからなかった男が最初だったのだろう。馬鹿な男だと思う。そんな男に最初を捧げたというのも不幸な話だと思った。
「沙夜。大丈夫か?」
 すると沙夜は薄く目を開けて頷いた。胸だけでこんなに感じてしまうのだ。少し時間がかかってしまうかもしれないし、芹でも痛みを感じるかもしれない。だったらあまり無理は出来ないだろう。沙夜の様子を聞きながらするしか無いのだ。
「大丈夫……。」
「大丈夫に見えないな。」
「芹も、大丈夫なの?」
「俺?」
 沙夜の視線が下に向かう。それは芹が我慢出来ているのかと言うことだろう。すでにもう入れ込めるくらい大きくなっているのがわかる。
「あの……芹。」
「ん?」
 沙夜は体を起こすと、芹をベッドの上に座らせる。そしてその性器に指をはわせた。自分でするよりも全く違った意味で気持ちが良い。だがその行動に芹は少し戸惑う。
「そんなことしなくても……。」
「したいから。他の人では嫌だけど……芹だから。強さわからないからどれくらいか教えてくれる?」
 その言葉に芹は少し頷いた。実は芹はあまりそれが好きでは無かった。痛かったり、弱かったりするから。それに紫乃がしてくれるそれが一番良かったと思うと、どうしても比べてしまうから。
「んっ……。」
 だが沙夜はたどたどしくもそれをしてくれる。
「もう少し強くてもいい。」
 そう言えば少し強くしてくれる。芹はあまりこれがあまり好きでは無いが、高ぶるモノがあるのは感情のせいだろう。
「こんなに大きくなるモノなのね。」
 さっきとは全く違う。それは立派に天を指し、僅かに濡れてきているように思えた。すると芹も手を伸ばして沙夜のそこに触れる。
「お前のも堅くなってるな。ここ。わかる?」
「ん……。」
 そう言って芹も沙夜の性器に触れてみた。すでに沙夜の尻の下は漏らしたように濡れている。確かに凄い濡れようだ。これでは沙夜を最初にした男が勘違いするのもわかる。まだ指も入っていないのに、ここまで濡れるのかと思っていたのだ。
「沙夜。もっと味わいたい。」
「味わうって……。」
 多分されたことは無いのだろう。知識はあっても画像の中だけとかそういう所なのだ。だがもっと乱れた姿が見たい。いつもの顔とは違う顔を求めている。
 戸惑っている沙夜の手を避けると、芹はそのまま沙夜をまたベッドに寝かせる。そしてその足下まで降りてきた。
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