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ナスの揚げ浸し
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八百屋は夏野菜一色だ。ピーマン、トマト、カボチャ、ズッキーニなどそのまま食べても美味しいモノもある。しかも安い。沙夜はそう思いながら、来年こそはトマトを栽培したいと思っていた。
「なすが安いですね。」
すると八百屋の主人は少し笑って言う。
「時期は違うけど秋なすは嫁に食わすなって言うよな。」
「そんなことを?」
「なすは体を冷やすから、子供が出来なくなるんだと。優しさだよ。」
その言葉に女将さんが首を横に振る。
「違うよ。美味しいから嫁に食べさせたくないって嫁いびりの言葉だよ。面白くないねぇ。」
どちらでも良いか。沙夜はそう思いながらなすを手にする。
「これをください。」
「毎度。子供が出来なくなるよ。泉さん。」
「作る予定もないので結構ですよ。」
セクハラギリギリの言葉を言われても、もう気にしない。八百屋の主人はこういう人だし、肉屋の主人のように寡黙な人もいれば、魚屋の主人のようにしょっちゅう女将さんと喧嘩をしているような人もいる。賑やかな商店街なのだ。
「スイカも買えよ。」
後ろから声がする。その声に沙夜は驚いて振り返ると、そこには芹の姿があった。
「芹。珍しいわね。外に出るなんて。明日は雨かしら。」
「ちっ。うるせぇな。みんな俺が外に出ただけでそんなに騒ぐかねぇ。」
「珍しいからでしょ?」
「それよりスイカ。」
「こんな大きいのどうするのよ。冷蔵庫一杯になるわ。」
「切れば良いじゃん。」
「あんたが切ってくれるなら買うわ。」
舌打ちをして、芹はよそを向く。その会話に女将さんが少し笑って言った。
「そっちの小玉スイカとかどう?四人暮らしだっけ?泉さん。」
「えぇ。」
「これだったら二日くらいで食べきれるよ。一人で食べる人もいるんだから。」
「へぇ……。」
それでも躊躇している沙夜に、芹は財布を出す。
「買うよ。それ。音が良いやつな。」
「芹。」
「俺が食いたいの。」
「そうはいかないわ。食費は折半なんだから。」
沙夜はそう言ってスイカの代金を払う。そしてそれをビニールに入れると、沙夜に手渡そうとした。だがそれを奪うように芹が持つ。
「優しいねぇ。女の子に持たせないなんて。」
主人に聞こえるように女将が言う。すると主人は咳払いをした。普段どんな扱いをされているのだろう。沙夜はそう思いながら、お釣りを財布に入れる。
商店街を並んで芹と歩く。あまりこういう機会は無い。買ったものを手にして、沙夜は芹に聞いた。
「どこかへ行っていたの?」
すると芹は少し頷いた。
「仕事。」
「あぁ、今日だったかしら。」
雑誌の取材があったのだ。写真を載せないという条件で、芹が受けたモノで、まさか渡摩季というペンネームの人が、こんなボサボサの男だとは思ってなかっただろう。あのインタビューが記事なるかどうかも怪しいモノがある。
「どんなイメージだったんだろうな。渡摩季のイメージって。」
「うちの同僚は藁人形を作っていそうだって言ってたけど。」
「藁人形ね……。」
藁人形を作って殺そうと思った人間は二人居る。だがそれを沙夜に言えない。きっと逆恨みと言われるのがオチだから。
「今日の飯って何?」
話を変えようと沙夜の持っている荷物をのぞき見る。するとなすの紫が見えた。
「なすじゃん。なすって俺、苦手。」
「あんた、好きな食べ物とかあるの?揚げ物とかばっかりじゃ無い。」
「スイカが一番好き。」
それを聞いて、沙夜は納得した。だから八百屋であんなにこだわっていたのだ。
「焼きなすにしようかと思ったけど、もっと美味しいのにしようかな。」
「なすが美味いかよ。」
「美味しいよ。この時期のなすはさらにね。」
少し考えていることもあった。揚げ物になるが、今日ばかりは沙菜に我慢してもらうことにしよう。
今日のメインは朝から仕込んでおいた鶏肉の塩麹焼き。それをグリルで焼くのだ。もう下ごしらえが済んでいるから、後は焼くだけ。
「焦げないように見ておいてね。」
「あいよ。」
今日も芹は台所を手伝っている。外出したこともあり、もう今日は仕事をする気は無いのだろう。芹はエプロンをしてグリル越しの鶏肉を見ている。鶏のもも肉は二枚。四人で食べるのにはちょうど良い量だろう。それから時間を見て、白ネギを追加する。白ネギは焼くだけで美味しい。焦げ目が少し付くとさらに香ばしくなるのだ。
「その間にだし汁を作ろう。」
鍋に水を張り、刻んだショウガと白だしと塩を入れる。わずかに黄金色になったところで醤油も追加した。これで案外十分な味になるが、少し酒を追加して濃くしておいた方が美味しいだろう。
「芹。シシトウに楊子で穴を開けてくれる?」
「え?なんでこのピーマンの小さいようなやつに穴を開けることが必要なんだよ。」
「揚げると爆発することがあるのよ。」
「揚げる?このなすも?」
「そうよ。揚げなす。なすと油は仲良しだから。」
最初になすを切っておいて水にさらしておいたのだ。こうするとあくが取れるらしい。
「俺の母親って、ここまで料理に手をかけてなかったな。」
芹はぽつりとそう言うと、楊子を手にした。そしてシシトウに穴を開けていく。
「え?」
汁物を作ろうと、鍋にお湯を沸かし始めた沙夜は手を止める。
「兄さんと妹が居てさ。」
兄のことを思うと、胸が切なくなる。あの女が幸せそうに笑っている姿が今でも浮かぶから。
「兄弟が居たの?あなた。」
「居るよ。妹はまだ学生で、高校卒業したら専門学校に行くんだってさ。」
「何の?」
「美容師になりたいんだって。」
「兄さんは何をしているの?」
すると少し芹は黙り、言いたくないと思った。だが沙夜には話をしておきたい。聞いて欲しいと思う。相反する感情が入り交じり、少し手元が狂った。
「いった。」
爪楊枝が指先に刺さったのだ。その声に沙夜は驚いて芹の方へ駆け寄る。
「大丈夫?」
「……刺さったけど、血は出てないから大丈夫。」
だが赤くなり、次第にその指から血が出てきた。
「包丁じゃ無くて楊子で怪我をするなんてね。ちょっと待ってなさいよ。」
グリルの鶏肉の様子を見て、少し火を弱くした。そしてクローゼットから救急箱を取り出し、絆創膏を手にする。そして芹のところへ行くと、血が流れてきている。
「血が……。」
「舐めときゃ治るって。」
「何を言っているの。あなたは指先を使う仕事じゃ無い。」
血を拭って絆創膏を貼ろうとした。だがそれを芹は、拒否して自分の口元に持って行こうとした。
「舐めておくなんて、子供じゃ無いんだから。」
沙夜はそう言ってその手に触れる。すると芹はその手を何も言わずに沙夜の方へ持ってきた。
「近い、近い。」
指を拒否しようとした。だが芹はその指を沙夜の口元に持ってくる。
「何……。」
片手で沙夜の頭に触れた。そしてその指をその口に入れる。するとぬめっとした感触と生温かい感触が伝わってきた。舌を使い、舐めあげているようだ。つい、その感触に声が出そうになる。そして沙夜の頬も赤く染まっていた。芹の顔も赤くなっていると思う。顔が燃えるように熱いから。
指を離すと、沙夜はその手を握ると水道で傷を流す。そして水気を取ると絆創膏を貼った。
「気をつけてよ。」
そういった沙夜の顔はまだ赤くなっている。だがそれを誤魔化すようにグリルの火を見た。
「あぁ。」
爪楊枝を手にして、また芹はシシトウに穴を開ける作業を再開する。だが心臓がうるさい。こんなことくらいで赤くなると思ってなかった。キスをしたり体を抱きしめるよりも、変なプレイをしているようだったから。
女として意識をしたことは無かった。それは沙菜も同じで、同居しているのだからそんな感情はない方が良いと思う。沙夜だって一緒のはずだ。
この家で好きだの嫌いだのは、傍観者の立場で見ていれれば良いと思った。三人の一方通行の気持ちを、言葉にしてそれが仕事に繋がるのだから。自分がその立場に入ることは無い。
もうあんな恋い焦がれ、切なく散ったそんな気持ちを蘇らせたくなかった。
「なすが安いですね。」
すると八百屋の主人は少し笑って言う。
「時期は違うけど秋なすは嫁に食わすなって言うよな。」
「そんなことを?」
「なすは体を冷やすから、子供が出来なくなるんだと。優しさだよ。」
その言葉に女将さんが首を横に振る。
「違うよ。美味しいから嫁に食べさせたくないって嫁いびりの言葉だよ。面白くないねぇ。」
どちらでも良いか。沙夜はそう思いながらなすを手にする。
「これをください。」
「毎度。子供が出来なくなるよ。泉さん。」
「作る予定もないので結構ですよ。」
セクハラギリギリの言葉を言われても、もう気にしない。八百屋の主人はこういう人だし、肉屋の主人のように寡黙な人もいれば、魚屋の主人のようにしょっちゅう女将さんと喧嘩をしているような人もいる。賑やかな商店街なのだ。
「スイカも買えよ。」
後ろから声がする。その声に沙夜は驚いて振り返ると、そこには芹の姿があった。
「芹。珍しいわね。外に出るなんて。明日は雨かしら。」
「ちっ。うるせぇな。みんな俺が外に出ただけでそんなに騒ぐかねぇ。」
「珍しいからでしょ?」
「それよりスイカ。」
「こんな大きいのどうするのよ。冷蔵庫一杯になるわ。」
「切れば良いじゃん。」
「あんたが切ってくれるなら買うわ。」
舌打ちをして、芹はよそを向く。その会話に女将さんが少し笑って言った。
「そっちの小玉スイカとかどう?四人暮らしだっけ?泉さん。」
「えぇ。」
「これだったら二日くらいで食べきれるよ。一人で食べる人もいるんだから。」
「へぇ……。」
それでも躊躇している沙夜に、芹は財布を出す。
「買うよ。それ。音が良いやつな。」
「芹。」
「俺が食いたいの。」
「そうはいかないわ。食費は折半なんだから。」
沙夜はそう言ってスイカの代金を払う。そしてそれをビニールに入れると、沙夜に手渡そうとした。だがそれを奪うように芹が持つ。
「優しいねぇ。女の子に持たせないなんて。」
主人に聞こえるように女将が言う。すると主人は咳払いをした。普段どんな扱いをされているのだろう。沙夜はそう思いながら、お釣りを財布に入れる。
商店街を並んで芹と歩く。あまりこういう機会は無い。買ったものを手にして、沙夜は芹に聞いた。
「どこかへ行っていたの?」
すると芹は少し頷いた。
「仕事。」
「あぁ、今日だったかしら。」
雑誌の取材があったのだ。写真を載せないという条件で、芹が受けたモノで、まさか渡摩季というペンネームの人が、こんなボサボサの男だとは思ってなかっただろう。あのインタビューが記事なるかどうかも怪しいモノがある。
「どんなイメージだったんだろうな。渡摩季のイメージって。」
「うちの同僚は藁人形を作っていそうだって言ってたけど。」
「藁人形ね……。」
藁人形を作って殺そうと思った人間は二人居る。だがそれを沙夜に言えない。きっと逆恨みと言われるのがオチだから。
「今日の飯って何?」
話を変えようと沙夜の持っている荷物をのぞき見る。するとなすの紫が見えた。
「なすじゃん。なすって俺、苦手。」
「あんた、好きな食べ物とかあるの?揚げ物とかばっかりじゃ無い。」
「スイカが一番好き。」
それを聞いて、沙夜は納得した。だから八百屋であんなにこだわっていたのだ。
「焼きなすにしようかと思ったけど、もっと美味しいのにしようかな。」
「なすが美味いかよ。」
「美味しいよ。この時期のなすはさらにね。」
少し考えていることもあった。揚げ物になるが、今日ばかりは沙菜に我慢してもらうことにしよう。
今日のメインは朝から仕込んでおいた鶏肉の塩麹焼き。それをグリルで焼くのだ。もう下ごしらえが済んでいるから、後は焼くだけ。
「焦げないように見ておいてね。」
「あいよ。」
今日も芹は台所を手伝っている。外出したこともあり、もう今日は仕事をする気は無いのだろう。芹はエプロンをしてグリル越しの鶏肉を見ている。鶏のもも肉は二枚。四人で食べるのにはちょうど良い量だろう。それから時間を見て、白ネギを追加する。白ネギは焼くだけで美味しい。焦げ目が少し付くとさらに香ばしくなるのだ。
「その間にだし汁を作ろう。」
鍋に水を張り、刻んだショウガと白だしと塩を入れる。わずかに黄金色になったところで醤油も追加した。これで案外十分な味になるが、少し酒を追加して濃くしておいた方が美味しいだろう。
「芹。シシトウに楊子で穴を開けてくれる?」
「え?なんでこのピーマンの小さいようなやつに穴を開けることが必要なんだよ。」
「揚げると爆発することがあるのよ。」
「揚げる?このなすも?」
「そうよ。揚げなす。なすと油は仲良しだから。」
最初になすを切っておいて水にさらしておいたのだ。こうするとあくが取れるらしい。
「俺の母親って、ここまで料理に手をかけてなかったな。」
芹はぽつりとそう言うと、楊子を手にした。そしてシシトウに穴を開けていく。
「え?」
汁物を作ろうと、鍋にお湯を沸かし始めた沙夜は手を止める。
「兄さんと妹が居てさ。」
兄のことを思うと、胸が切なくなる。あの女が幸せそうに笑っている姿が今でも浮かぶから。
「兄弟が居たの?あなた。」
「居るよ。妹はまだ学生で、高校卒業したら専門学校に行くんだってさ。」
「何の?」
「美容師になりたいんだって。」
「兄さんは何をしているの?」
すると少し芹は黙り、言いたくないと思った。だが沙夜には話をしておきたい。聞いて欲しいと思う。相反する感情が入り交じり、少し手元が狂った。
「いった。」
爪楊枝が指先に刺さったのだ。その声に沙夜は驚いて芹の方へ駆け寄る。
「大丈夫?」
「……刺さったけど、血は出てないから大丈夫。」
だが赤くなり、次第にその指から血が出てきた。
「包丁じゃ無くて楊子で怪我をするなんてね。ちょっと待ってなさいよ。」
グリルの鶏肉の様子を見て、少し火を弱くした。そしてクローゼットから救急箱を取り出し、絆創膏を手にする。そして芹のところへ行くと、血が流れてきている。
「血が……。」
「舐めときゃ治るって。」
「何を言っているの。あなたは指先を使う仕事じゃ無い。」
血を拭って絆創膏を貼ろうとした。だがそれを芹は、拒否して自分の口元に持って行こうとした。
「舐めておくなんて、子供じゃ無いんだから。」
沙夜はそう言ってその手に触れる。すると芹はその手を何も言わずに沙夜の方へ持ってきた。
「近い、近い。」
指を拒否しようとした。だが芹はその指を沙夜の口元に持ってくる。
「何……。」
片手で沙夜の頭に触れた。そしてその指をその口に入れる。するとぬめっとした感触と生温かい感触が伝わってきた。舌を使い、舐めあげているようだ。つい、その感触に声が出そうになる。そして沙夜の頬も赤く染まっていた。芹の顔も赤くなっていると思う。顔が燃えるように熱いから。
指を離すと、沙夜はその手を握ると水道で傷を流す。そして水気を取ると絆創膏を貼った。
「気をつけてよ。」
そういった沙夜の顔はまだ赤くなっている。だがそれを誤魔化すようにグリルの火を見た。
「あぁ。」
爪楊枝を手にして、また芹はシシトウに穴を開ける作業を再開する。だが心臓がうるさい。こんなことくらいで赤くなると思ってなかった。キスをしたり体を抱きしめるよりも、変なプレイをしているようだったから。
女として意識をしたことは無かった。それは沙菜も同じで、同居しているのだからそんな感情はない方が良いと思う。沙夜だって一緒のはずだ。
この家で好きだの嫌いだのは、傍観者の立場で見ていれれば良いと思った。三人の一方通行の気持ちを、言葉にしてそれが仕事に繋がるのだから。自分がその立場に入ることは無い。
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