夏から始まる

神崎

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祭りのあと

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 結局一時間ほどワインバーにいて、時計を見ると三時を越していた。さすがにもう菊子とは会えないだろう。その分、明日思いっきり抱きたい。
「あ……。」
 蓮はふと思い出した。そうだった。コンドームを買っていない。どっちにしても今日は出来なかったわけだ。ため息をついて、剛と英子の隣を歩いていた。彼らはホテルに宿を取っているらしい。
「家では落ち着かないよ。朝早いしね。」
「気を使わせてしまうわ。それに他人が居る家には、なかなか落ち着かないものよ。」
 おそらく葵と皐月のことを言っているのだろう。皐月は菊子をレイプしかけたのに、まだあの家にいるのだ。だが菊子の話ではあれ以来、二人になることはないし手を出されることもないらしい。これ以上は、自分の首を絞めると思ったのだろう。
「あら。さすがに人は少ないと思ったけど、結構まだ居るのね。」
 「ながさわ」の前を通り過ぎて、公園にたどり着くと酔っぱらった男や女たちがまだ居る。
「元気なものだ。」
「年に一度か二度なんでしょ?させておけばいいのよ。」
 そのときふと、剛が一人の男に目を留めた。
「あれは……吾川酒店の……。」
「吾川酒店ですか?うちの店の隣の酒屋ですけど。」
「へぇ。若い奥さんなんだね。」
 てっきり若旦那かと思った。だが違う。蓮は男に見覚えはない。だが隣にいるのは梅子だった。浴衣も髪型も、祭りの会場であったそのままで、隣の男と腕を組んでいる。
「奥さん?」
「そうだよ。吾川酒店の次男。早くに結婚してね。確か教師をしているとか言っていたか。」
「先生がこんな夜遅くに奥様と出歩くなんてね。」
 英子も少し呆れたように言った。だが違う。あれは梅子だ。
 そして二人は、西通りに消えた。梅子の家があの通りにあるらしい。そこで何をするのか、蓮の頭でもすぐに想像がつく。
 そしてこの事実を菊子は知っているのだろうか。

 本当は祭りに行く気はなかった。祭りはおそらく家族連れで多くなる。その中に啓介がいるだろうし、その側には奥さんや子供がいるかもしれない。そんな姿を見たくない。
 だが母は自分の浴衣を取り出したついでに、梅子の浴衣も出してくれた。これを来て新しい男を見つければいいと思っているのだろう。
 この間、母に不倫をしていたことは告白した。だが母は別れたと思っている。実際はまだ啓介といる。昨日もセックスをしたのだ。
 そして浴衣に袖を通して、祭りへ行く。すると声をかけられる男はたくさんいたが、そのほとんどが浴衣姿でも隠しきれない梅子の体ばかりを見ていたのに気がついた。
 結局それなのだ。
 自分にはそれしかないのだから。
 そのときだった。菊子がステージの上で歌っているのを見た。バンドに誘われて練習をしていたのは知っている。だがこれほどまでとは思ってなかった。
 取り残された気がした。ずっと隣で、背が高いのがコンプレックスだったから猫背だった梅子の背筋は伸びて、自信がなかった歌は堂々と歌い、何より笑顔にみえる。
 だがステージを降りて、バーの屋台の側にいた菊子を見て、いつもと何にも変わらない様子に少しほっとした。だがその側にいるのはステージで隣にいた背の高い男、蓮だった。あのときは否定したが、どうやらつきあっているのだろう。
 どうして菊子ばかり愛されるのだろう。やるせなかった。菊子には何も罪はない。なのに、菊子ばかりが愛されている気がした。
 だから花火を菊子と見ていたとき、啓介を見た。そして啓介もこちらを見つけたらしい。メッセージが届く。
「綺麗だよ。」
 メッセージを保存したかったが、啓介も証拠になるようなメッセージは残さない。
 それから菊子と居たのに、啓介と連絡をずっと取っていた。そして棗と名乗る男が梅子と菊子を送ろうかといったとき、ついに啓介から最後のメッセージが来た。
「側で浴衣を見せてくれないか。」
 これしかなかった。菊子を棗が狙っているのはわかっていたが、わざと菊子をわざと棗と二人にした。痛い目に遭えばいいと思う嫌らしい自分の心と、啓介にどうしても会いたい気持ちが買ってしまったのだ。昨日も沢山抱いてもらったのに、今日も抱いて欲しいと思う。
 梅子の部屋で帯が床に落ちる。すると浴衣だけが肩に掛かった状態だった。その隙間から啓介の手が、梅子の胸に触れた。
「下着つけてないな。」
「下は履いてるけど……。」
「こんなのじゃ、ナンパしてくださいっていっているようなものだ。して欲しかったのか?」
「イヤよ。啓介以外に触られたくない。」
 梅子の胸は最初にしたときよりも大きくなった気がする。成長期なのかもしれない。それに最初にしたときよりもとても感じているようだった。乳首に触れただけで下着から、愛液が太股を伝っている。
「浴衣を汚すかもしれない。」
「だったら脱ぐ?」
「いいや。そのままがいい。」
「変態ね。」
 いったん胸から手を離すと、啓介も自分のポロシャツを脱いだ。そしてズボンを脱ごうとしたとき、梅子の手がそれを止めた。
「何だ。」
「脱がせて。」
 ベルトをとりジーパンを脱がせると、下着の上からでもそれが立っているのがわかる。パンツを脱がせるとそれがはじけでるように飛び出してきた。
「すごい。もう立ってるよ。」
 今日、菊子に自分がして啓介が喜ぶテクニックを教えた。それは胸が大きくないと出来ないが、菊子も小さい方ではないので、出来ないことはないだろう。
 梅子はそれを胸で挟み、啓介を刺激した。
「梅子……あぁ……。すごいな……。」
 啓介はこれが好きだ。胸で挟んだり、口で刺激するとすぐに出ることもある。
「梅子。ちょっと離して。」
「どうして?気持ちいいでしょ?」
「気持ちいいけど昨日もしたし、せっかく出すんなら梅子の中で出したいから。」
 その言葉に梅子は少し笑う。
「おじさんだもんね。」
「言ったな。」
 啓介はそういって、梅子をベッドに押しつけた。そうされることが好きなのか、梅子は少し笑顔になり啓介の唇を受け入れた。
 さっきまで自分の性器をしごいていた胸に触れると、乳首はもうつんと尖っている。それに触れると、さらに梅子は声を上げた。
「あっ!」
 そして枕元にあるサイドテーブルの引き出しから、ピンク色のローターを出すと、乳首に押し当てる。小さなモーター音がして、さらに梅子は声を上げた。
「あっ!あっ!」
「俺がいないとこんなので慰めてるのか?」
「んっ!」
「梅子。答えて。どうやってしてる?」
「……え?」
「どうやって?クリ当ててる?」
「うん……それから……ディルドも。」
「どっちに入れる?」
 さらにその引き出しから取り出したのは、この間よりも少し太くて大きなディルドだった。
「ア○ル……入れて……。」
 愛液でどろどろになっている下着をとり足を高く持ち上げる。そして尻にまで垂れているその穴に機械を押しつけた。ぐっと入れ込むと、梅子はさらに大きくあえいだ。
「あっ!あっ!」
 そのままぐじょぐじょになっている性器に指をはわせ、そこに突き立てる。
「梅子のいいところ、ここだろ?」
「うん!あっ!イク!もうイっちゃう!ああああ!」
 浴衣の上に汁が散った。意識がもうろうとしていたのに、啓介がそのままキスをすると、梅子もその舌を絡ませてくる。
「啓介……。好き。」
「俺も好きだよ。」
 啓介を横にさせると、梅子はその上に乗り上げる。そして膝と腕で体を支えながら、自分の中に啓介を入れた。まだ尻にディルドが入ったままだったからか、いつもよりもぎゅっと締まっている。
「ああああ!おっきい!奥に……奥来てる!」
「うっ!梅子。すごいな。あぁっ!すぐイキそうだ。」
 啓介も下から突き上げて、梅子もその上で腰を振る。肉の音と、水の音、二人の声とそしてわずかなモーター音が部屋に響いていた。
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