夜の声

神崎

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二年目

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 お風呂から出てきたとき、柊さんはタオルを一枚余分に持ってきた。部屋に入り私はドライヤーで髪を乾かしていると、彼はそのタオルを手渡す。
「何?」
「髪が長いと、タオルで乾かしながらしたほうがすぐ乾く。」
「そうなの?」
「あぁ。」
 それだけの理由なんだろうか。わからないけれど、私は素直に髪を乾かした。そして彼を見上げる。
「桜。こっちへ来い。」
 ベッドの上に座ると、彼は私の唇にキスをした。そしてシャツの下から胸に手を入れてくる。
「もう硬いな。ほら。わかるか?」
「んっ……。」
「でも声は抑えろよ。お母さんが今日はいるんだ。前の時は俺がSっ気があると誤解されたから。」
「そう言うことをしたわ。」
 シャツ脱がせると方がひやっとした。だけどその肩にも唇を寄せる。
「どんな風にされたんだ。」
「気になるの?」
「あいつの方が良いって思わなかったのか?」
「気持ちはないわ。あるのは体の良さだけ。何も満たされないし、何も思わない。残ったのは空しさだけだから。」
「……どんな風にされた?」
 結構しつこく聞いてくるな。やっぱり嫉妬してるのかもしれない。それは私も同じだ。
「……鏡に映された。」
「変態か。でもお前もMっ気があるのかもしれないな。」
「やめてよ。」
 後ろから責められる。腕が胸に触れてきた。そして唇は首に、そして舌がつっと首筋を舐める。
「やっ!」
「声が大きい。塞いでやろうか?」
「んっ……。」
 ぐっと顔を横に向かされて、唇をふさがれた。その間も胸は揉みしだかれる。ぎゅっと乳首を摘まれたり、爪ではじくようにもてあそばれ、怖いくらい胸から感覚が研ぎ澄まされそうになった。
 まだ脱がされていないスウェットのズボンの中は、気持ちが悪いほど濡れているのがわかる。
「あっ……んっ……。」
 腰のあたりに硬いものが当たっている。それは彼のものだとわかっていた。私はそれに手を伸ばす。しかしそれを避けられた。
「だめだ。」
「どうして?」
「茅の形跡がまだ残ってる。いつされたのか……一度は想像がつくが……。」
「んっ……。嫉妬……してるの?」
「してる。ワーカーホリックもいい加減にしないとな。」
 ピンと先をはじかれると、声が自然とでる。
「んんんん!」
 彼にもたれ掛かり、肩で息をした。
「胸だけでイったのか。嫌らしい胸だ。下はどうなってるのか。見せて見ろ。」
 スウェットのズボンを脱がせて、下着の中に手を入れた。するとぐじゅっという音が耳に触った。
「お前……。随分濡れてるな。」
「やだ。」
「前してからそんなにたってないのに。ほら。この肩の打ち身がまだある。そんなに欲しかったのか?」
 下着の中でしつこいようにそこをいじられる。そして太い指が中に入ってきたのがわかる。
「あっ。そんなに激しくしたら……。またイくから。」
「あいつの跡を掻きだしてやりたい。」
 激しく指を出し入れしていると、また絶頂に誘われそうになる。もう少しでイきそうだったけれど、急に彼は指を抜いた。そして私を自分の正面に置く。
「だめだ。やっぱり顔を見たい。キスしたい。」
 そう言って彼は唇を重ねてきた。そしてそこにまた指を入れてくる。
 頭の中が白くなる。気がついたとき、私は肩で息をしながら、倒れ込みそうになる体を必死に腕だけで支えていた。そして彼は指を抜くと、私にその濡れた指を見せてきた。ん?指だけじゃない?手のひらが濡れてる。
「すごい。初めて見た。」
「何を?」
「……まぁいい。タオルを用意して置いて良かった。桜。俺のも可愛がってくれないか。」
「……うん。ねぇ。ここ……今日芙蓉さんに?」
 私に茅さんがどうしていたか聞いてきたように、私も彼に聞く。だけど、彼は悪びれないように言う。
「あぁ。そうだった。全くたたなくて、「このイ×ポ」って言われた。あいつ、そう言う言葉ばかり知っているらしい。」
 ズボンを脱がせて、下着を取る。そして私はそれに触れた。低くうなる声。全くたたなかったという言葉が嘘のように、それは大きく天を指している。
 私でしか反応しないその体。私はそれを口の中に入れる。卑猥な音が響き、それと同時に彼の声も聞こえてきた。
「気持ちいいな。桜。んっ……。茅にもしてやったのか?」
「……もう聞かないで。気になるのだったら本人に聞いて。」
「あいつに聞けば脚色する。んっ……。桜。もう出そうだ。口を離せ。」
 濡れててかてかになったそれを口から離す。そして彼は私を抱き抱えると、膝に私を乗せた。私のその濡れたところに、彼の濡れたものが押しつけられた。少し気を抜けば入ってしまう。
「柊。入っちゃうわ。」
「……桜。今度いつアレが始まる?」
「あ……。うん……正月は出来ないかと思ってた。」
「だったら直前って事か。」
 すると彼はそれを私の入り口に突き立てようとしていた。
「ひいら……。」
「んっ。やばい……。すごい締まり方だ。すぐ持って行かれそうだな。」
 温かく硬い、そして大きなそれが私の中に入ってくる。いつもなら薄いゴムに包まれたそれを、直接感じてしまう。
「ああああん!」
「声を抑えろ。んっ……キツイが奥に入ったな。どうだ?」
「温かい……。奥……温かい……柊……。」
「お前の中も温かい。ほら、奥に届いてる。でもあまり締めるな。すぐ出る。」
「無理。どうやって緩めるなんて……。」
「桜。舌を出せ。」
「舌?」
 舌をのばすと、その舌を柊さんは自分の口内に入れ込むようにキスをする。
「んんんん!」
 そしてそのまま私の体の中にしたから打ち込んでいく。
「やばい。すぐイきそう。お前の中……。すごい絞まる。絞り取られそうだ。」
「イって。」
「中はさすがにやばい。」
 そう言って彼は私からいったん抜いて、私をベッドに仰向けにした。そして乱暴に胸に触れてくる。その手が荒々しくて、そこも気持ち良い。
「んっ……。」
 下にまた触れて、そして柊さんはまた私の中に入れ込んできた。
「あぁ……。」
「柊……んっ。奥に……来てる……。あっ!だめっ……。」
 奥に硬い何かがありそこを突かれるたびに声が出る。
「んっ!んっ!だめっ。またイく。イっちゃう。」
 声を抑えることなんか無理。私は彼の首にしがみつきながら、全身が震える感覚に陥っていった。
「桜。俺もイくから。」
「んっ……。」
 イって朦朧としたところに、さらに彼が奥に打ち込んでくる。
「だめ。まだイってるから。そんなに激しくしたら……。」
「好き。桜。桜。」
 耐えるような彼の頬。好き。大好き。
「柊。だめっ。」
 短い間に何度絶頂を迎えただろう。そして彼は私から抜くと、私のお腹にそれを放出した。それは私のお腹の上で水たまりのようになり、そして流れていきそうになる。その様子がわかり、彼はティッシュでそれを拭いた。
「お前のスゴいいいのに、生でするとすぐイきそうになるだろうなと思ってたけど、想像の上をいってた。」
「ごめんなさい。」
「謝る事じゃない。誉めてるんだ。」
 そんなことで誉められてもなぁ。彼は私の横で寝っ転がる。
「こんな日に仕事か……。」
 外を見るとまだ暗いが、時計はいつも起きる時間よりは少し早いという時間だ。
「柊……。」
「何だ。」
 私は彼の体に布団を掛け、そして私も彼にしがみつくように横になる。
「大晦日はイベントでしょう?会えないわね。」
「あぁ。終わったら、会いに行く。」
「私、「虹」に誘われてることがあるの。忙しいかもしれないけれど、見に来てくれる?」
「仮装大会か?」
 少し笑うと、私の頭をなでた。
「茅さんは見てくれたから……。」
 その言葉に、彼の手が停まった。そして私の唇にもう一度キスをする。
「行く。」
 何かわからないライバル心に油を注いでしまったような気がする。
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