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二年目
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気が狂うようなセックスをして、いつの間にか二人とも眠っていた。目を覚ますと、隣に柊さんではなく茅さんが眠っているのにとても違和感を感じた。だけどそれが現実で、私は彼の手で狂いそうになるほどイったのだ。
一度ならそういうこともあるかもしれないといえる。だけど二度となれば話は違う。この人じゃないと思いながらも、私はまた流されたのだ。
いや。もっと大きな現実が今日は待っている。
試験の日だった。九十点以上取らないと合格しない。勉強できなかったもんなぁ。時計を見ると、五時を指している。少しは勉強できるかもしれない。ベッドから起きあがると、下着を身につけて、浴衣を羽織った。そしてベッドの下に落ちていたテキストを手にすると、ついでに携帯電話も手にした。
そしていすに座り、テキストを開いた。
ホテルから出てくると、茅さんは大きくあくびをした。
「起きてもう一回できると思ったのに……もう起きてんだもんな。」
「うるさい。」
「お前って、ホント、やった後は塩対応だよな。いい加減認めろよ。俺の気持ちいいだろ?」
そういって肩を抱こうとして、私は足を早めた。
「朝からそんな話したくない。」
「ったくよぉ。」
そのとき茅さんの携帯電話がなった。それを彼はすぐに取る。
「もしもし。あー。ごめんって。こっち来てんだけど、ちょっと時間無くってさぁ。今日帰る。マジマジ。え?今?」
彼は足を止めて、向かいの通りをみる。そこには見たことがある人がいた。それは、ドレッドヘアの菖蒲さんだった。
「……おーい。茅ー。」
結構大きな通りなのに、彼女は持ち前の声量で茅さんの名前を呼ぶ。
「ったく恥ずかしいったらありゃしねぇ。」
少し時間があったので、なぜか茅さんと彼の実の姉である菖蒲さん。そして私で、ファーストフードで食事をしていた。サンドイッチとコーヒーを食べながら、彼女は底抜けに明るかった。
「んで、二人でこっち来てんの?よくSyuが許したねぇ。」
そっか、菖蒲さんはSyu=柊さんとは知らないんだっけ。
「何で?いい大人だろ?そんなことまで口出すのかよ。」
「あんたはいいの。どうせ会社にも無理言って困らせてんの目に見えてんだから。」
「あー。はいはい。悪かったねぇ。俺は桔梗みたいに出来はいい方じゃなくてねぇ。」
「嫉妬すんじゃないの。バカねぇ。」
少し笑い、彼女は紅茶を飲んでいた。コーヒーは声が悪くなるので控えているらしい。
「あんたって、ホント人のもの取りたがるからねぇ。どうせ、この子もSyuから取りたがっているんでしょ?」
「……わかります?」
「えー。もう。でもダメよ。Syu超ベタ惚れしてるみたいに見えたよ。」
その言葉に茅さんの拳がぎゅっと握られた。
「姉さんも、早くあの男から逃れられればいいのだけど。」
「あの男?もう結婚してるような感じなんだろ?南米で。俺にはそう見えたけどな。」
「うーん。でもあたしには言うよ。会っていないのは事実だし、どんな姿かもわからないけれど、あの男が殺されたときのこと、今でも夢に出てくるんだって。」
「……悪夢か?」
「でしょ?人一人死んでんだから。まぁ、そう見せてたと言っても一応一緒に住んでたんでしょ?」
「え?」
その言葉に私は言葉を返してしまった。しまった。黙っておこうと思っていたのに。
「あぁ。ごめんね。桜さん。あなたに関係ない話ばかりして。」
「いいんです。そんな話もあったんですね。まるで小説のような話です。」
「事実は小説より奇なりとはよく言ったものね。」
「……でもあれが原因で俺らはバラバラになったのも事実だ。」
「そうね。変な宗教じみた事ばかりしてた両親はすぐに表にでたもの。良かったじゃない。悪いけど、こっちの国ではそんなにニュースにならなかったけど、あっちの国では大きなニュースよ。まるで犯罪者。」
うーん。どっちかというと、菖蒲さんは両親の方に怒りがあるみたいだな。
まぁ五人も兄弟がいて、みんな同じってわけにはいかないよな。でも当事者の百合さんが柊さんに恨みを持つのはわかるけれど、どうして茅さんが一番恨みを持っているような感覚になっているのだろう。それが一番解せない。
すっかり暗くなってしまった道を出てきて、ため息をつく。何とか終わった……。
学校を出ると道路を渡り、公園へ向かう。もう暗くなってしまった公園は夕べもだけど、まだヤンキーっぽい人が多い。その中でもひときわヤンキー臭がするのが、茅さんだった。私は茅さんに近づくと、すごすごと私に声をかけようとしたヤンキーたちが去っていく。
「どうだったんだ。試験は。」
「一応合格した。」
「良かったじゃん。」
頭を撫でてくる。子供扱いしてんだか、大人扱いしてんだかわかんない。
「会社にいくんでしょ?早く行かないと、迷惑かけるわ。」
「おう。じゃあ行くか。」
機嫌良さそうに、私の手を握り歩いていく。
「何で手なんか握るのよ。」
「社長に言われてんの。危ないお嬢さんだってな。」
「ひどいわ。」
「確かに危ないお嬢さんだな。こんなヤンキーに声をかけられるんだから。」
「あなたもその中の一人?」
「あぁ。よく騙されてくれたと思ってるよ。俺を本気にさせてくれたって。」
「……柊に連絡した。」
「え?」
「今日帰るって。それから……会いたいって。」
すると彼は一瞬真顔になった。だけどまたいつも通りの笑顔になる。
「ってことは、あいつは俺が突っ込んだ穴に、今日突っ込むわけだ。」
「いやな言い方ね。」
「お前が言い出したんだ。」
そのとき携帯電話がなった。メッセージだった。その相手を見て私はため息をついた。
「何だ。」
「何でもないわ。」
携帯電話をしまうと、彼は意地悪そうに笑う。
「あれか?会えないってヤツか?」
「うるさい。」
すると彼はまた手を握ろうとしてきた。今度はそれを上手く拒否できた。
一度ならそういうこともあるかもしれないといえる。だけど二度となれば話は違う。この人じゃないと思いながらも、私はまた流されたのだ。
いや。もっと大きな現実が今日は待っている。
試験の日だった。九十点以上取らないと合格しない。勉強できなかったもんなぁ。時計を見ると、五時を指している。少しは勉強できるかもしれない。ベッドから起きあがると、下着を身につけて、浴衣を羽織った。そしてベッドの下に落ちていたテキストを手にすると、ついでに携帯電話も手にした。
そしていすに座り、テキストを開いた。
ホテルから出てくると、茅さんは大きくあくびをした。
「起きてもう一回できると思ったのに……もう起きてんだもんな。」
「うるさい。」
「お前って、ホント、やった後は塩対応だよな。いい加減認めろよ。俺の気持ちいいだろ?」
そういって肩を抱こうとして、私は足を早めた。
「朝からそんな話したくない。」
「ったくよぉ。」
そのとき茅さんの携帯電話がなった。それを彼はすぐに取る。
「もしもし。あー。ごめんって。こっち来てんだけど、ちょっと時間無くってさぁ。今日帰る。マジマジ。え?今?」
彼は足を止めて、向かいの通りをみる。そこには見たことがある人がいた。それは、ドレッドヘアの菖蒲さんだった。
「……おーい。茅ー。」
結構大きな通りなのに、彼女は持ち前の声量で茅さんの名前を呼ぶ。
「ったく恥ずかしいったらありゃしねぇ。」
少し時間があったので、なぜか茅さんと彼の実の姉である菖蒲さん。そして私で、ファーストフードで食事をしていた。サンドイッチとコーヒーを食べながら、彼女は底抜けに明るかった。
「んで、二人でこっち来てんの?よくSyuが許したねぇ。」
そっか、菖蒲さんはSyu=柊さんとは知らないんだっけ。
「何で?いい大人だろ?そんなことまで口出すのかよ。」
「あんたはいいの。どうせ会社にも無理言って困らせてんの目に見えてんだから。」
「あー。はいはい。悪かったねぇ。俺は桔梗みたいに出来はいい方じゃなくてねぇ。」
「嫉妬すんじゃないの。バカねぇ。」
少し笑い、彼女は紅茶を飲んでいた。コーヒーは声が悪くなるので控えているらしい。
「あんたって、ホント人のもの取りたがるからねぇ。どうせ、この子もSyuから取りたがっているんでしょ?」
「……わかります?」
「えー。もう。でもダメよ。Syu超ベタ惚れしてるみたいに見えたよ。」
その言葉に茅さんの拳がぎゅっと握られた。
「姉さんも、早くあの男から逃れられればいいのだけど。」
「あの男?もう結婚してるような感じなんだろ?南米で。俺にはそう見えたけどな。」
「うーん。でもあたしには言うよ。会っていないのは事実だし、どんな姿かもわからないけれど、あの男が殺されたときのこと、今でも夢に出てくるんだって。」
「……悪夢か?」
「でしょ?人一人死んでんだから。まぁ、そう見せてたと言っても一応一緒に住んでたんでしょ?」
「え?」
その言葉に私は言葉を返してしまった。しまった。黙っておこうと思っていたのに。
「あぁ。ごめんね。桜さん。あなたに関係ない話ばかりして。」
「いいんです。そんな話もあったんですね。まるで小説のような話です。」
「事実は小説より奇なりとはよく言ったものね。」
「……でもあれが原因で俺らはバラバラになったのも事実だ。」
「そうね。変な宗教じみた事ばかりしてた両親はすぐに表にでたもの。良かったじゃない。悪いけど、こっちの国ではそんなにニュースにならなかったけど、あっちの国では大きなニュースよ。まるで犯罪者。」
うーん。どっちかというと、菖蒲さんは両親の方に怒りがあるみたいだな。
まぁ五人も兄弟がいて、みんな同じってわけにはいかないよな。でも当事者の百合さんが柊さんに恨みを持つのはわかるけれど、どうして茅さんが一番恨みを持っているような感覚になっているのだろう。それが一番解せない。
すっかり暗くなってしまった道を出てきて、ため息をつく。何とか終わった……。
学校を出ると道路を渡り、公園へ向かう。もう暗くなってしまった公園は夕べもだけど、まだヤンキーっぽい人が多い。その中でもひときわヤンキー臭がするのが、茅さんだった。私は茅さんに近づくと、すごすごと私に声をかけようとしたヤンキーたちが去っていく。
「どうだったんだ。試験は。」
「一応合格した。」
「良かったじゃん。」
頭を撫でてくる。子供扱いしてんだか、大人扱いしてんだかわかんない。
「会社にいくんでしょ?早く行かないと、迷惑かけるわ。」
「おう。じゃあ行くか。」
機嫌良さそうに、私の手を握り歩いていく。
「何で手なんか握るのよ。」
「社長に言われてんの。危ないお嬢さんだってな。」
「ひどいわ。」
「確かに危ないお嬢さんだな。こんなヤンキーに声をかけられるんだから。」
「あなたもその中の一人?」
「あぁ。よく騙されてくれたと思ってるよ。俺を本気にさせてくれたって。」
「……柊に連絡した。」
「え?」
「今日帰るって。それから……会いたいって。」
すると彼は一瞬真顔になった。だけどまたいつも通りの笑顔になる。
「ってことは、あいつは俺が突っ込んだ穴に、今日突っ込むわけだ。」
「いやな言い方ね。」
「お前が言い出したんだ。」
そのとき携帯電話がなった。メッセージだった。その相手を見て私はため息をついた。
「何だ。」
「何でもないわ。」
携帯電話をしまうと、彼は意地悪そうに笑う。
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