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二年目
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夜明け前まで私たちは情事を繰り返し、少し眠るともう携帯のアラームがなった。うーん。頭が痛い。
だけど隣を見ると、柊さんがいる。柊さんは私を抱きしめたまま眠っているようだった。お互いに裸のままで、明らかに情事の跡が私の体のあらゆるところに付いてる。
「柊さん……ではなくて……柊。」
すると彼は目を開けて、私をみる。
「もう朝か。」
「仕事でしょ?」
「うん。はーっ。でもまぁ、少しは寝れたか。」
彼は横になったままぐっと背伸びをして、そして私を引き寄せた。
「時が止まればいいと思った。」
「そうね。私もそう思った。」
いつ会えるかわからない。だから会えたときには思いっきり抱き合いたい。そう思える時間だった。
「桜。」
唇を寄せて、キスをする。
「今から仕事なんでしょ?」
「余裕はある。」
「昨日いっぱいしたのに。」
「その余裕もまだある。」
やっぱ体力すごいんだ。向日葵も言ってたな。彼は私の胸に触れようとしたときだった。
ドンドン!
部屋のドアがノックされる音がした。
「誰か来た。」
「無視だ。」
でも気になるなぁ。私は彼の首から手を離す。すると彼はため息を吐いて、脱いでいた私の着ていたモノを手渡してくれた。もうデキないと思ったのかもしれない。
下着を付けて、ジーパンを履いた。そしてシャツを身につける。ん?これ私のじゃない。あぁ。柊さんの黒いシャツだ。
彼もジーパンとシャツを着た。そして玄関に向かう。誰が来てるんだろう。
「茅?」
茅さん?その言葉に驚いた。まさか茅さんがここに来るとは思ってなかったから。
「朝早くから悪かったな。」
「いいや。別にいい。それよりお前はいつこっちに戻ってきたんだ。」
「今年のはじめ。」
「もう半年以上たってるな。」
「仕事が忙しくてな。」
柊さんは、コーヒーを三つついでくれた。インスタントだけど、不味くはない。コーヒーを自分でゆっくり入れるようなことはしないのかもしれないから、インスタントでちょうど良いと思っているのかもしれない。
茅さんは煙草に火をつけると、ちらりと私をみた。
「彼女?」
「あぁ。」
「ずいぶん若いな。高校生?」
まぁ。初めて会ったような言い方だな。
「そう。まぁ、でも来年すぐに卒業だ。」
「いいじゃん。初々しくて。」
何いけしゃあしゃあといってるんだろう。この人は。あーなんか暴露したい。
「何でこんな時間にくるんだ。お前は。」
「あぁ。そうか。あれだな。」
「ん?」
「こんな時間に彼女といるってことは、俺が空気読まなかったってことか?」
「そういうことだ。」
柊さんも煙草を取り出して、それを口にくわえる。
「悪かったな。」
「お前は昔からそういうところがある。」
やっぱりなんだかんだいっても柊さんと茅さんはよく似てる。ううん。容姿は似てないけど、何となくしゃべり方とか、雰囲気とかよく似ているようだ。
「柊さん。彼は?」
でも一応初めて会った体で話さないといけないんだろうな。
「あぁ。……名字なんだ?」
「藤堂。藤堂茅。」
「あぁ。そんな名字だった。今は何してるんだ。」
「コーヒーのメーカーで働いてる。」
「そう。そんな感じだ。」
自己紹介にも紹介された感もない。グダグダだ。
「そうでしたか。」
「椿にいたとき、俺が面倒を見た奴だ。」
「あんたから習ったのって、鉄砲玉としてのやり方だけだったっけ。」
「そうだな。」
「桜。こいつぜんぜん女を口説けなくてさ。参考にならないって、誰でもいってたんだぜ。」
「そんなことを言わないでもいい。」
不機嫌そうな口調だったけど、内心は嬉しそうだった。
「お前、外国行ってたっていってたな。どこ行ってた?」
「南米と、ヨーロッパと、アフリカと……。」
「なんか捜し物があるって言ってたか。見つかったのか。」
「うん。まぁな。」
ん?なんかちょっと意味ありげだな。
でも何で初めて会いましたみたいなことを言うんだろう。それの方が不自然きわまりないのに。
「良かったな。」
「あぁ。これさ、頼まれてたやつもってきてたんだっけ。」
茅さんの手から渡されたのは、どこの国のモノかわからないLP版のレコードだった。
「うおっ。すげぇ。」
「ふらっと入った南米のレコード屋にさ、バカみたいな価格で売ってた。しかもワゴンセール。」
見たことの無いような柊さんの反応だ。なんか貴重なレコードなんだろうか。
「CDは持ってるけど、レコードじゃないと回せないからなぁ。」
「あぁ。DJやってんだってな。」
「まぁ、職業じゃねぇけど。」
「葵が人気者だって言ってた。」
煙草を消して、彼はニヤリと笑う。その笑い顔に、私はまたぞくっとした。
だけど隣を見ると、柊さんがいる。柊さんは私を抱きしめたまま眠っているようだった。お互いに裸のままで、明らかに情事の跡が私の体のあらゆるところに付いてる。
「柊さん……ではなくて……柊。」
すると彼は目を開けて、私をみる。
「もう朝か。」
「仕事でしょ?」
「うん。はーっ。でもまぁ、少しは寝れたか。」
彼は横になったままぐっと背伸びをして、そして私を引き寄せた。
「時が止まればいいと思った。」
「そうね。私もそう思った。」
いつ会えるかわからない。だから会えたときには思いっきり抱き合いたい。そう思える時間だった。
「桜。」
唇を寄せて、キスをする。
「今から仕事なんでしょ?」
「余裕はある。」
「昨日いっぱいしたのに。」
「その余裕もまだある。」
やっぱ体力すごいんだ。向日葵も言ってたな。彼は私の胸に触れようとしたときだった。
ドンドン!
部屋のドアがノックされる音がした。
「誰か来た。」
「無視だ。」
でも気になるなぁ。私は彼の首から手を離す。すると彼はため息を吐いて、脱いでいた私の着ていたモノを手渡してくれた。もうデキないと思ったのかもしれない。
下着を付けて、ジーパンを履いた。そしてシャツを身につける。ん?これ私のじゃない。あぁ。柊さんの黒いシャツだ。
彼もジーパンとシャツを着た。そして玄関に向かう。誰が来てるんだろう。
「茅?」
茅さん?その言葉に驚いた。まさか茅さんがここに来るとは思ってなかったから。
「朝早くから悪かったな。」
「いいや。別にいい。それよりお前はいつこっちに戻ってきたんだ。」
「今年のはじめ。」
「もう半年以上たってるな。」
「仕事が忙しくてな。」
柊さんは、コーヒーを三つついでくれた。インスタントだけど、不味くはない。コーヒーを自分でゆっくり入れるようなことはしないのかもしれないから、インスタントでちょうど良いと思っているのかもしれない。
茅さんは煙草に火をつけると、ちらりと私をみた。
「彼女?」
「あぁ。」
「ずいぶん若いな。高校生?」
まぁ。初めて会ったような言い方だな。
「そう。まぁ、でも来年すぐに卒業だ。」
「いいじゃん。初々しくて。」
何いけしゃあしゃあといってるんだろう。この人は。あーなんか暴露したい。
「何でこんな時間にくるんだ。お前は。」
「あぁ。そうか。あれだな。」
「ん?」
「こんな時間に彼女といるってことは、俺が空気読まなかったってことか?」
「そういうことだ。」
柊さんも煙草を取り出して、それを口にくわえる。
「悪かったな。」
「お前は昔からそういうところがある。」
やっぱりなんだかんだいっても柊さんと茅さんはよく似てる。ううん。容姿は似てないけど、何となくしゃべり方とか、雰囲気とかよく似ているようだ。
「柊さん。彼は?」
でも一応初めて会った体で話さないといけないんだろうな。
「あぁ。……名字なんだ?」
「藤堂。藤堂茅。」
「あぁ。そんな名字だった。今は何してるんだ。」
「コーヒーのメーカーで働いてる。」
「そう。そんな感じだ。」
自己紹介にも紹介された感もない。グダグダだ。
「そうでしたか。」
「椿にいたとき、俺が面倒を見た奴だ。」
「あんたから習ったのって、鉄砲玉としてのやり方だけだったっけ。」
「そうだな。」
「桜。こいつぜんぜん女を口説けなくてさ。参考にならないって、誰でもいってたんだぜ。」
「そんなことを言わないでもいい。」
不機嫌そうな口調だったけど、内心は嬉しそうだった。
「お前、外国行ってたっていってたな。どこ行ってた?」
「南米と、ヨーロッパと、アフリカと……。」
「なんか捜し物があるって言ってたか。見つかったのか。」
「うん。まぁな。」
ん?なんかちょっと意味ありげだな。
でも何で初めて会いましたみたいなことを言うんだろう。それの方が不自然きわまりないのに。
「良かったな。」
「あぁ。これさ、頼まれてたやつもってきてたんだっけ。」
茅さんの手から渡されたのは、どこの国のモノかわからないLP版のレコードだった。
「うおっ。すげぇ。」
「ふらっと入った南米のレコード屋にさ、バカみたいな価格で売ってた。しかもワゴンセール。」
見たことの無いような柊さんの反応だ。なんか貴重なレコードなんだろうか。
「CDは持ってるけど、レコードじゃないと回せないからなぁ。」
「あぁ。DJやってんだってな。」
「まぁ、職業じゃねぇけど。」
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