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二年目
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薄暗い部屋だった。外はいい天気なのに、その部屋は暗い。空調は利いているはずなのに、煙草の臭いが鼻についた。
茅さんはつかんだ私の腕を放すつもりはないようで、その力は徐々に強まっていく。
「痛いです。」
抵抗しても離さない。両手を捕まれて、身動きがとれなかった。こんな時に男は何をするか。私はわかっていた。抵抗すればきっとヒドい目に遭う。
いつ柊さんが会うと言い出すかわからない。そのとき傷が付いていたりしたら、また嘘に嘘を重ねないといけないのだ。だったら傷が付かない方がいい。
「くそ生意気な女。年下のくせに。」
捕まれた腕を壁に押しつけられ、片腕は解放された。しかし残る腕は顎を捕まえられ、上を向かされる。そして彼は私の唇を合わせてくる。最初は軽く。そして徐々に唇を割ってきた。
「ん……。」
吐息が漏れる。水の音がするほど、激しいキスをしてきても私は目を閉じることもなかった。舌が徐々に激しく私の舌を愛撫するように、うごめいている。力強いキスはきっと柊さんによく似ている。だけど柊さんを決して重ねることはない。柊さんに似ているのかもしれないけれど、全く違う人だ。
やがて唇を離され、体を抱きしめられた。力付くで抱きしめる腕は、誰よりも弱いと思う。震えている腕。キスだって震えていた。何に怯えているんだろう。
「……何で抵抗しない。」
体を離して、彼は私をのぞき見た。その目は弱々しく、怖いとは思えなかった。
「何に怯えているんですか。」
「俺が怯えてる?そんなことはない。俺は銃を突きつけられても、冷静だった。」
「……だったら何で震えているんですか。」
彼は自分の手を見つめる。確かに震えていた。
「震えているのは喜びだろう。久しぶりに女を抱けるかもしれないっていう。」
「……抱けないですよ。きっと。」
「抵抗するか。」
「しません。」
「どうしてだ。のこのこ男の部屋にやってきたお前を、抱くことなんか簡単だ。」
「たとえ抱いたとしても、あなたのプライドが傷つくだけですから。」
「生意気だな。」
彼は私の腕をつかむと、リビングに連れ込んだ。ゴミの散乱しているリビングの中、ソファだけがきれいだった。きっとここで眠っていたからかもしれない。
そのソファに押し倒される。するとぎしっという音がした。そしてその私の上に彼が乗りかかる。
片手が私の両手をつかみあげて、頭の上に手を組ませる。そしてもう片方の手で、シャツをまくり上げた。そして背中に手を伸ばして、下着のホックをとる。
「小さいな。こんなものを柊が……。」
「彼が抱いたあとをあなたが抱く。」
「うるさい。」
「彼の残り香が残っているかもしれない。」
まぁ、実際はそんなこと無いのだけど。
「うるさい。口を塞ぐぞ。」
「あなたがこんな事をしているなんて……。」
「黙れ。」
片手で私の頬に手を挙げようとした。くる。傷を付けられることをおそれていたけど、やっぱりそうなるのかもしれない。覚悟を決めないと。
柊さんの目を誤魔化すためにはどうすればいいのか。そんなことばかりを考えていたけれど、いくら待ってもそれはしてこなかった。
そっと目を開けると、彼は私から視線をはずしていた。そして挙げた手で、シャツをすべて脱がせた。下着をとり、胸に手が触れる。冷えた手だった。柊さんの温かい手ではない。
「んっ!」
「こんなに小さくても感じるのか。」
そして私のそこに舌をはわせ、そしてそこから首筋に上がっていく。また口づけようとしたのかもしれない。
「茅さん……。」
なんか怒りを通り越して、可哀想な人に思えてきた。
「名前を呼ぶな。」
手をつかんでいる手が離れる。そして唇にまたキスをしてきた。そして彼はシャツを脱ぐ。そこには派手な刺青がたくさんあった。
私は解放されたその手を握った。そしてその入れ墨の入った手にキスをする。
「何を……。」
「可哀想な人。こんな事でしか愛情を示せないなんて。」
「やめろ。」
「柊さんに似ていると思ったんです。でも全然違う。あなたは……柊さんの代わりにもなれない人。」
すると彼はその手を離すと、私の体を起こした。そしてぎゅっと抱きしめる。
「桜……。」
肌と肌が触れる。そこだけに温かみを感じる。そのときやっと私は、彼の温もりを感じることが出来たような気がしていた。
「似てるんだな。お前は。」
「誰に?」
「いずれわかる。」
やっと彼の顔に微笑みが帰ってきた。いつもの彼だ。そしてもう一度キスをしようとして、顔を近づけてくる。私はそれを拒否しようと、ぐっと体を押しやった。
「そんな格好で、拒否されてもな。」
そういって彼はそのまま体を起こし、テーブルにおいてあった煙草に火をつけた。
はっ。そうだ。なんて格好なんだ。シャツ。どこだ?下着と……。
床に下りて、下着を身につけるとシャツを手にした。がーん。破れてる。
「破れてますけど……。」
「あれ?そうか?仕方ねぇな。」
勢いよく脱がせたもんな。ビリッていう音したし。
すると彼は向こうの部屋から、シャツを手渡してきた。
「着ろ。俺には小せぇから。」
それは黒いシャツだった。まるでいつも柊さんが着ていた黒いシャツのようにも見えた。
茅さんはつかんだ私の腕を放すつもりはないようで、その力は徐々に強まっていく。
「痛いです。」
抵抗しても離さない。両手を捕まれて、身動きがとれなかった。こんな時に男は何をするか。私はわかっていた。抵抗すればきっとヒドい目に遭う。
いつ柊さんが会うと言い出すかわからない。そのとき傷が付いていたりしたら、また嘘に嘘を重ねないといけないのだ。だったら傷が付かない方がいい。
「くそ生意気な女。年下のくせに。」
捕まれた腕を壁に押しつけられ、片腕は解放された。しかし残る腕は顎を捕まえられ、上を向かされる。そして彼は私の唇を合わせてくる。最初は軽く。そして徐々に唇を割ってきた。
「ん……。」
吐息が漏れる。水の音がするほど、激しいキスをしてきても私は目を閉じることもなかった。舌が徐々に激しく私の舌を愛撫するように、うごめいている。力強いキスはきっと柊さんによく似ている。だけど柊さんを決して重ねることはない。柊さんに似ているのかもしれないけれど、全く違う人だ。
やがて唇を離され、体を抱きしめられた。力付くで抱きしめる腕は、誰よりも弱いと思う。震えている腕。キスだって震えていた。何に怯えているんだろう。
「……何で抵抗しない。」
体を離して、彼は私をのぞき見た。その目は弱々しく、怖いとは思えなかった。
「何に怯えているんですか。」
「俺が怯えてる?そんなことはない。俺は銃を突きつけられても、冷静だった。」
「……だったら何で震えているんですか。」
彼は自分の手を見つめる。確かに震えていた。
「震えているのは喜びだろう。久しぶりに女を抱けるかもしれないっていう。」
「……抱けないですよ。きっと。」
「抵抗するか。」
「しません。」
「どうしてだ。のこのこ男の部屋にやってきたお前を、抱くことなんか簡単だ。」
「たとえ抱いたとしても、あなたのプライドが傷つくだけですから。」
「生意気だな。」
彼は私の腕をつかむと、リビングに連れ込んだ。ゴミの散乱しているリビングの中、ソファだけがきれいだった。きっとここで眠っていたからかもしれない。
そのソファに押し倒される。するとぎしっという音がした。そしてその私の上に彼が乗りかかる。
片手が私の両手をつかみあげて、頭の上に手を組ませる。そしてもう片方の手で、シャツをまくり上げた。そして背中に手を伸ばして、下着のホックをとる。
「小さいな。こんなものを柊が……。」
「彼が抱いたあとをあなたが抱く。」
「うるさい。」
「彼の残り香が残っているかもしれない。」
まぁ、実際はそんなこと無いのだけど。
「うるさい。口を塞ぐぞ。」
「あなたがこんな事をしているなんて……。」
「黙れ。」
片手で私の頬に手を挙げようとした。くる。傷を付けられることをおそれていたけど、やっぱりそうなるのかもしれない。覚悟を決めないと。
柊さんの目を誤魔化すためにはどうすればいいのか。そんなことばかりを考えていたけれど、いくら待ってもそれはしてこなかった。
そっと目を開けると、彼は私から視線をはずしていた。そして挙げた手で、シャツをすべて脱がせた。下着をとり、胸に手が触れる。冷えた手だった。柊さんの温かい手ではない。
「んっ!」
「こんなに小さくても感じるのか。」
そして私のそこに舌をはわせ、そしてそこから首筋に上がっていく。また口づけようとしたのかもしれない。
「茅さん……。」
なんか怒りを通り越して、可哀想な人に思えてきた。
「名前を呼ぶな。」
手をつかんでいる手が離れる。そして唇にまたキスをしてきた。そして彼はシャツを脱ぐ。そこには派手な刺青がたくさんあった。
私は解放されたその手を握った。そしてその入れ墨の入った手にキスをする。
「何を……。」
「可哀想な人。こんな事でしか愛情を示せないなんて。」
「やめろ。」
「柊さんに似ていると思ったんです。でも全然違う。あなたは……柊さんの代わりにもなれない人。」
すると彼はその手を離すと、私の体を起こした。そしてぎゅっと抱きしめる。
「桜……。」
肌と肌が触れる。そこだけに温かみを感じる。そのときやっと私は、彼の温もりを感じることが出来たような気がしていた。
「似てるんだな。お前は。」
「誰に?」
「いずれわかる。」
やっと彼の顔に微笑みが帰ってきた。いつもの彼だ。そしてもう一度キスをしようとして、顔を近づけてくる。私はそれを拒否しようと、ぐっと体を押しやった。
「そんな格好で、拒否されてもな。」
そういって彼はそのまま体を起こし、テーブルにおいてあった煙草に火をつけた。
はっ。そうだ。なんて格好なんだ。シャツ。どこだ?下着と……。
床に下りて、下着を身につけるとシャツを手にした。がーん。破れてる。
「破れてますけど……。」
「あれ?そうか?仕方ねぇな。」
勢いよく脱がせたもんな。ビリッていう音したし。
すると彼は向こうの部屋から、シャツを手渡してきた。
「着ろ。俺には小せぇから。」
それは黒いシャツだった。まるでいつも柊さんが着ていた黒いシャツのようにも見えた。
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