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一年目
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昼近く。私はその列に並んでいた。出たくないと思っていてもやっぱり出ないといけないのだ。
「はぁ……。」
ため息が聞こえたのか、隣に座っていた女子が声をかけてきた。
「そんな変なこと書いてないわよ。たまに大当たりもあるみたいだけど。」
「何?大当たりって。」
「さぁ。何かしら。」
借り物競争は男子も女子もいるし、学年もバラバラだ。別に私じゃなくてもいいんじゃないのか。と最後の抵抗を心の中でしたけれど、無情にも私はグランドに出て行った。
そして五人ごとに並んで、順々にスタートしていく。
「すいませーん。誰か帽子貸してくださーい。」
「二年A組の委員長って誰?」
「すいません。石川先生。こっち来てくれませんか。」
確かにそんなに変な借り物はないみたいだ。これくらいなら、大丈夫だろう。うん。うん。そうだよ。たかだか高校の体育祭じゃん。変な借り物なんかあるわけないよ。
「じゃあ、次の組スタートします。」
座っていた私たちを呼んで、私は立ち上がった。ん?違和感が……。風景じゃなくて、足が?
「よーい。」
銃声がなり、私はそれにやっと気がついて少し遅れて出て行った。
そして余った紙を拾い、その中をみる。速い人はもう何かか利用とスターとしていたみたいだけど。
「げっ。」
思わず声が出てしまい、隣の女子が不思議そうな目で見ていた。
「何?あの子。なんで立ったまんまなの?」
「もしかして大当たり引いたんじゃないの?」
周りの人たちが騒いできた。そう大当たり、と言うか、こんなの罰ゲームだよ。
そこに書かれていた文字は「好きな人」だったんだから。
何が悲しくて全校生徒の前で好きな人、公表しないといけないんだよ。しかも連れてこれるわけないじゃん。柊さんを!
どうしようかな。なんか悩みすぎてくらくらしてきた。
自分たちのクラスのテントを見ると、向日葵たちが「ガンバレー」と応援してくれている。その隣には竹彦がいるけど、竹彦を連れてくるわけにはいかないよ。第一失礼だ。
「んー。」
すると向日葵を見て、私はピンとひらめいた。私は自分たちのテントに近づいた。そして向日葵に声をかける。
「向日葵。来てくれない?」
「え?あたし?」
「うん。」
そして私は向日葵と一緒にゴールへ走っていった。そして審査員に紙を渡す。すると妙な表情になった。
「好きな人ですけど。女性ですか。」
「えぇ。大好きな親友ですけど。」
「恋愛感情無いでしょう。そんなのは認められませんよ。」
「認められないって、どう言うことですか。おかしいです。異性ではないといけないなんて、どこにも書いてませんけど。」
「性差別?あぁ。そういうこと。」
「じゃあ無いけど。」
「だったら認めますよね?」
すると渋々、審査員はそれでOKしてくれた。我ながらいいアイデアよね。好きな人しか書いていないんだから。
「桜。でもごまかすために連れてきたとしても、嬉しいわ。桜の彼氏って、年上の社会人なんでしょ?ここにはいないものね。」
まぁ。いるんだけど。連れてこれるわけないもんね。
「誤魔化してなんか無いよ。私は、向日葵とはここを卒業しても友達でいれると思ってるもの。」
「マジで?」
「マジよ。マジ。」
二人で笑いあい、そして向日葵は元のテントに戻っていった。そして競技が終わった人の列に並ぶと、職員のいるテントに向かい合った。そこにはなぜか柊さんと棗さんもいる。柊さんは私を見て、わずかにうなづいた。
うん。これで良かったのよね。
こうしている間にも他の組がスタートした。そしてある一年の女子がスタートした。そして紙を拾う。
その女子はきょろきょろと周りを見て、職員のいるテントへ向かっていった。
「あたしと一緒に来てください。」
顔を真っ赤にさせて手をさしのべたのは、用務員の柊さんではなく棗さんの方だった。
「え?私?」
「はい。」
そして彼女は棗さんを連れてゴールした。そして審査員がその紙をみる。
「好きな人。ですね。」
甲高い声がした。誰かがはやし立ててるのだろう。
「あたし、ずっと好きでした。」
すると棗さんは参ったなぁと帽子を取る。ショートカットで、汗がきらきらと光っているのが、王子様のようにも見えるのかもしれない。
周りの人たちは固唾を飲んで、棗さんの答えを待っていた。OKなのか何なのかと
すると彼女は少し笑い、その赤くなっている彼女に微笑みかけた。
「女だけど。私。」
その場にいる人たちの頭の中にはてなマークが浮かんだことだろう。
「女性ですか?」
「えぇ。さっきの子のように友人同士の好きであれば、可能ですけどね。私女性ですから。まぁ、私は別に女でもかまわないですけどね。」
するとさっきまでのうつむいていた女子がわっと泣き出した。
罪づくりな人だ。
そして棗さんは、また帽子をかぶり私をちらりとみて、また柊さんのところに戻っていった。
そうしている間にも男子が、柊さんのところへいっていた。
「すいません。金槌とか持ってますか。」
「これでいいのか。」
「ありがとうございます。」
どうやらそういう意味で、彼らは呼ばれたらしい。決して「好きな人」要因で来ているわけじゃないのだろう。
でも罪づくりな人だ。棗さん。
「はぁ……。」
ため息が聞こえたのか、隣に座っていた女子が声をかけてきた。
「そんな変なこと書いてないわよ。たまに大当たりもあるみたいだけど。」
「何?大当たりって。」
「さぁ。何かしら。」
借り物競争は男子も女子もいるし、学年もバラバラだ。別に私じゃなくてもいいんじゃないのか。と最後の抵抗を心の中でしたけれど、無情にも私はグランドに出て行った。
そして五人ごとに並んで、順々にスタートしていく。
「すいませーん。誰か帽子貸してくださーい。」
「二年A組の委員長って誰?」
「すいません。石川先生。こっち来てくれませんか。」
確かにそんなに変な借り物はないみたいだ。これくらいなら、大丈夫だろう。うん。うん。そうだよ。たかだか高校の体育祭じゃん。変な借り物なんかあるわけないよ。
「じゃあ、次の組スタートします。」
座っていた私たちを呼んで、私は立ち上がった。ん?違和感が……。風景じゃなくて、足が?
「よーい。」
銃声がなり、私はそれにやっと気がついて少し遅れて出て行った。
そして余った紙を拾い、その中をみる。速い人はもう何かか利用とスターとしていたみたいだけど。
「げっ。」
思わず声が出てしまい、隣の女子が不思議そうな目で見ていた。
「何?あの子。なんで立ったまんまなの?」
「もしかして大当たり引いたんじゃないの?」
周りの人たちが騒いできた。そう大当たり、と言うか、こんなの罰ゲームだよ。
そこに書かれていた文字は「好きな人」だったんだから。
何が悲しくて全校生徒の前で好きな人、公表しないといけないんだよ。しかも連れてこれるわけないじゃん。柊さんを!
どうしようかな。なんか悩みすぎてくらくらしてきた。
自分たちのクラスのテントを見ると、向日葵たちが「ガンバレー」と応援してくれている。その隣には竹彦がいるけど、竹彦を連れてくるわけにはいかないよ。第一失礼だ。
「んー。」
すると向日葵を見て、私はピンとひらめいた。私は自分たちのテントに近づいた。そして向日葵に声をかける。
「向日葵。来てくれない?」
「え?あたし?」
「うん。」
そして私は向日葵と一緒にゴールへ走っていった。そして審査員に紙を渡す。すると妙な表情になった。
「好きな人ですけど。女性ですか。」
「えぇ。大好きな親友ですけど。」
「恋愛感情無いでしょう。そんなのは認められませんよ。」
「認められないって、どう言うことですか。おかしいです。異性ではないといけないなんて、どこにも書いてませんけど。」
「性差別?あぁ。そういうこと。」
「じゃあ無いけど。」
「だったら認めますよね?」
すると渋々、審査員はそれでOKしてくれた。我ながらいいアイデアよね。好きな人しか書いていないんだから。
「桜。でもごまかすために連れてきたとしても、嬉しいわ。桜の彼氏って、年上の社会人なんでしょ?ここにはいないものね。」
まぁ。いるんだけど。連れてこれるわけないもんね。
「誤魔化してなんか無いよ。私は、向日葵とはここを卒業しても友達でいれると思ってるもの。」
「マジで?」
「マジよ。マジ。」
二人で笑いあい、そして向日葵は元のテントに戻っていった。そして競技が終わった人の列に並ぶと、職員のいるテントに向かい合った。そこにはなぜか柊さんと棗さんもいる。柊さんは私を見て、わずかにうなづいた。
うん。これで良かったのよね。
こうしている間にも他の組がスタートした。そしてある一年の女子がスタートした。そして紙を拾う。
その女子はきょろきょろと周りを見て、職員のいるテントへ向かっていった。
「あたしと一緒に来てください。」
顔を真っ赤にさせて手をさしのべたのは、用務員の柊さんではなく棗さんの方だった。
「え?私?」
「はい。」
そして彼女は棗さんを連れてゴールした。そして審査員がその紙をみる。
「好きな人。ですね。」
甲高い声がした。誰かがはやし立ててるのだろう。
「あたし、ずっと好きでした。」
すると棗さんは参ったなぁと帽子を取る。ショートカットで、汗がきらきらと光っているのが、王子様のようにも見えるのかもしれない。
周りの人たちは固唾を飲んで、棗さんの答えを待っていた。OKなのか何なのかと
すると彼女は少し笑い、その赤くなっている彼女に微笑みかけた。
「女だけど。私。」
その場にいる人たちの頭の中にはてなマークが浮かんだことだろう。
「女性ですか?」
「えぇ。さっきの子のように友人同士の好きであれば、可能ですけどね。私女性ですから。まぁ、私は別に女でもかまわないですけどね。」
するとさっきまでのうつむいていた女子がわっと泣き出した。
罪づくりな人だ。
そして棗さんは、また帽子をかぶり私をちらりとみて、また柊さんのところに戻っていった。
そうしている間にも男子が、柊さんのところへいっていた。
「すいません。金槌とか持ってますか。」
「これでいいのか。」
「ありがとうございます。」
どうやらそういう意味で、彼らは呼ばれたらしい。決して「好きな人」要因で来ているわけじゃないのだろう。
でも罪づくりな人だ。棗さん。
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