テロリストと兵士

神崎

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 自分のしたことの罪の意識で潰れそうだった。何も考えず、何も感じず、累は人を殺し続けた。鼠のため、自分のために何をすればいいか考え、そのために邪魔をするモノを殺してきたのだ。
 そんな自分に幸せになれる資格はない。殺してきた人たちにどれだけ自分を恨んでいるだろう。それを考えると、自分だけがこんなに幸せでいいのか。
「藍。」
 もう告げよう。それで彼に殺されよう。その太い腕で喉を絞めて欲しい。
「……累。今は何も言うな。」
 悦に言われたからではない。自分も一時でも累を疑ったのだ。そして彼女の言っていることは偽りはない。どうにかしていた。自分が累を疑うなど、あってはいけないことだった。
 彼女の頬に手を添えて、また唇を重ねる。その唇は震えていた。
「累。今すぐ抱きたい。」
「……藍。私は……あなたに抱かれるような人じゃないんです。」
「それは俺が決めることだ。お前がどんな汚いことをしていても、俺がお前を欲しいと思っている。」
「誰にも愛されてはいけない。」
「累。俺が欲しいのに、お前は俺を拒否するのか。」
 その言葉に彼女は少しうつむいた。まだ彼が好きだから彼の顔が見れない。
「お前が何をしてきたのか知らない。だが必要なのは「今」で、「過去」じゃないんだ。累。どんなお前でも俺はお前が好きだから。」
 苦しい。その言葉の一つ一つが苦しい。拒否をしないといけないのに、拒めないこの手が、唇が、すべてが震える。
「もう言葉はいらない。累。ここですれば声が漏れるか。二階に連れて行く。」
 そういって彼は彼女の脇に手を通し、肩に荷物のように抱えた。
「待って下さい。藍。」
「もう待てない。鍵はどこだ。」
 脱がされたエプロンの中に入っていた鍵を手にすると、彼は入り口のドアを閉め、そして裏口から外に出る。外階段から二階に上がると、二階の鍵を開けた。その時少し違和感を感じる。
 鍵はぱっと見た目は普通の鍵と変わらない。だがピッキングなど絶対できないような凝った鍵の作りをしていた。女の一人暮らしだとそんなモノなのか。
 今更そんなことはどうでも良い。
 リビングにはいると、ベッドルームへすぐに向かう。そして肩にのせていた累をベッドの上におろした。
「藍……。」
 彼女はまだ視線を彼に合わせようとしない。戸惑っているようだった。当然だろう。鼠と疑ったのだ。彼女にとって何がなんだかわからないのだろう。
「累。優しく抱きたい。」
「いつも優しいです。私なんかにもったいないくらい……。」
「卑下するな。累。こっちを向いて。」
 彼はそういって彼女の上に乗りかかる。そして顎を持ち上げる。細い顎もその赤い唇もすべてが震えていた。
「累。」
 吐息がかかるほど近く、そして彼女は目を閉じて彼に近づいた。彼の厚い唇と彼女の薄い唇が重なる。唇が割られ、舌が彼女の口内を舐め上げていく。
 彩よりも、真よりも、誰よりも慣れていない。しかし胸が一杯になる。
 やがて彼は、彼女のシャツの下から手を入れてきた。彼女の胸を押さえている下着のホックをはずすと、その膨らみに手を伸ばした。
「ん……。」
 唇を離すと吐息が漏れた。あまり大きくない胸に彼の太い指が触れる。小さな木の実のような彼女の乳首はどんどんと固さを増していく。
「藍……そんなにしたら……。」
「どうしたんだ。」
「崩れそう……。」
 彼は少し笑い、シャツをまくり上げるとそのシャツを脱がせた。そして自分のシャツも脱ぎ捨てる。そして彼女の髪を結んでいるゴムをとった。
「どうしてゴムを?」
「おろした姿はあまりほかで見せてないだろう。俺だけだと思ってな。」
 その言葉に彼は自分で笑う。
「子供っぽいか。」
 あぁ。やはり自分の気持ちには逆らえない。彼が自分の命を狙っているのも知っているし、殺されかけた。憎まれている。だが愛おしい。
「藍……。」
 彼女は彼の体に手を回す。その様子に彼は彼女の体を抱きしめた。
「藍……私はあなたが好きです。それは変わらないし諦められないんです。」
「累。俺もお前が好きだ。俺の前だけその顔を見せろ。それから俺の前だけでも俺だけを見ろ。」
「はい……。」
 彼女を寝かせると、その上に彼が乗り上げる。唇を重ねた後、首筋に舌を這わせると彼女から吐息が漏れた。
「ああっ。」
 思わず声が漏れる。その胸の上、そこに少し痛みを感じたからだ。
「付いた。」
 満足そうに彼はその後に指を触れる。白い肌に赤い斑点が付いた。
「沢山付ける。」
「あの……あまり付けても……。」
「困らないだろう。二、三日で消える。お前も付けたものだ。」
 宣言通り、彼は彼女のあらゆるところに跡を付けた。まるで自分のモノといわんばかりに。だが肝心の所には触れてこない。そのわずかな痛みで物欲しそうに乳首は立っているというのに。
「どうした。そんなに顔を赤くさせて。」
「藍……。」
「触って欲しいのか。じゃあ言って。」
「え?」
「触ってって。」
「優しくするんじゃなかったんですか。」
「優しくしてるだろう?」
 そういうと、彼はズボンを脱がせたその足を持ち上げるとその太股にまた跡を付けた。
「……んっ……。」
 太股からでもわかる。乳首はおそらく痛いくらい立っているし、わずかな茂みの奥は濡れ始めている。
「……どうした。言わないのか。」
「……って……下さい。」
「何だ。」
「触って下さい。」
 消えるような声で彼女は言う。足をおろして、薄い腹の下から手を這わせる。そしてその大きな手が胸に触れた。
「あっ!」
 そしてその太い指が乳首を摘む。すると痛みとともに快感が襲ってきた。
「すごい固いな。」
 乳首の先を指でなぞられると、さらに声が出る。彼は彼女を抱き起こすと、彼女を包み込むように背中から抱き上げる。そして両方の乳首を摘み上げた。
「ダメ……藍。おかしくなりそう。」
「まだ乳首だけだ。累。」
 そういって彼は少しかがむと、その方にまた跡を付けた。
「あっ!藍!だめっ!それ以上したら……。あっ!あっ!」
 すると彼女は一瞬ビクッと震え、そして彼にもたれ掛かる。
 やっと乳首から指を離されたと思ったら彼は彼女をまた寝かせて、足を広げた。物欲しそうに愛液がもう溢れている。彼女が彼を求めている証拠だった。
 彼女の体は抱けば抱くほど抱きたくなる。彩が夢中になるのもわかる気がした。喘ぐ声、彼を求める手、それがすべて愛しい。
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