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#忠実なしもべに#
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昼過ぎに目が覚める。そして携帯電話を手にした。メッセージが数件。ダイレクトメールと、黒服のトップである斉藤からのメッセージ。
「お宅にお邪魔したいのですが、宜しいでしょうか。」
斉藤はメッセージでも他人行儀だ。彼女はOKのスタンプだけを送る。
そしてベッドから起きあがると、エアコンのスイッチを入れる。そして下着だけを持って、風呂場へ向かった。夕べの残り湯が残っていて、それがまだ温いがこの暑い気温の中ではそれがちょうど良かったりする。
体を拭いて、鏡をちらりと見る。四十代の啓子。胸はまだ垂れる気配はなく、お腹も鍛えているせいか引き締まっている。だから小夜子と姉妹だといわれることもあるのだ。悪い気はしない。
すると玄関のチャイムが鳴った。斉藤が来たようだ。彼女はあわてて下着を身につけると、Tシャツとジーパンをその上から着る。
「はいはい。」
ドアを開けると、そこにはブラックジーンズとのシャツを着た斉藤がいた。いつも上げている髪は、今日は下ろしている。
「どうしたの?」
「ちょっとお話がありまして。」
「上がる?いいわよ。今日娘もいないし。」
「娘さんは、夕方には帰ってきますか。」
「そうね。最近は遅いみたいだけど。」
靴を脱ぎながら、彼は周りを見渡した。一等地に店を構えるクラブのママにしては、地味な家だ。マンションでも買えばいいのに、と斉藤は思っていた。
「何か飲む?外暑かったでしょ?麦茶くらいしかないけど。」
「いただきます。」
グラスの中に氷の入った麦茶は、おそらく買ったものではなく煮出したものだ。これも娘がしているのだろうか。
「改めてどうしたの?」
「クラブ「rose」の美紀ママを知ってますか。」
「えぇ。伝説的なクラブね。まだあの人ご健在なの。」
「えぇ。で、黒服に付いていた江藤さんが入院されたそうです。」
「大変ね。」
「で、私に来てくれないかと。」
「斉藤に?」
「もちろん、江藤さんが入院する一ヶ月間でいいそうですが。」
「……。」
それは困る。斉藤ほどできる黒服がいればいいのだが、今のところ彼の代わりになるような人材がいるだろうか。わからない。
しかもそのクラブに斉藤を送ったとしても、斉藤がその江藤という黒服の代わりをつとめれるのだろうか。
「私の代わりは、「rose」から派遣するそうです。」
「だったらその人を江藤さんの代わりにすればいいのに。」
「roseはうちの倍ほどの敷地がありますから、若いものの方がいいそうです。私の代わりに派遣するのは五十代の遠藤というものらしいのですが。」
すると斉藤は苦々しい顔をする。
「どうしたの?」
「……ママを狙っているそうで。」
「はっ。あたしに五十代のおっさんの相手をしろって?舐められたもんだ。」
「というか……。」
「斉藤。まぁあんたを送るのはかまわないよ。でもおそらくあれだろ?美紀ママはあたしに身を固めろって言いたいんだろ?」
「まぁ。そんなところです。」
本当はまた違う言い方をしたのだが、それを正直に言うと啓子は怒り狂うだろう。
「斉藤。あんたを送るのはかまわない。でもその遠藤って人はいらないよ。」
「ママ一人じゃ、「K」を回せませんよ。」
「大丈夫よ。アテはあるんだから。何年この世界にいると思ってんの。あんたがムショに入ってたときもやってたんだから。」
「それは……。」
「冗談よ。」
彼女はたばこに火をつけて、しゃがれた声で笑った。
「斉藤。たまにはお父さんのところにいきなよ。この間、お父さんあんたの話ばかりしてたからね。」
「……縁を切ったといってたのに。」
「口だけよ。そんなの。あたしだって娘と何度縁を切ろうかって思ったこともあるわ。でも本気で縁を切ろうなんて思ったこともないのよ。」
「……それは女性だからでは。」
「女性だからそうだって事はないわよ。」
くわえ煙草をして、彼女は携帯電話を手にした。そしてどこかにメッセージを送る。
煙草を消すと、彼女は斉藤が座っているソファに座った。
「今日は定休日ね。」
「えぇ。」
「ふふ。」
どちらともなく、唇を合わせる。斉藤の口内からも煙草の匂いがした。
お店では従順な黒服に徹している斉藤。だけど、ベッドの上では主導権を握る。彼女のTシャツを脱がせると、豊かな胸がこぼれてきた。下着はつけていなかったらしい。
「こうなるのを計算してたんですか。相変わらず嫌らしい人だ。」
「家の中では下着なんかつけないわ。」
「下も?」
「下は履いてるわよ。」
手に余るほどの胸は、信じられないほど柔らかい。なのにその先をいじると堅くとがってくる。それをこね回し、舌で愛撫を始める。軽く噛むのが好きだ。
「あんっ!」
甲高い声。店で見せない淫らな表情。そして自分のきつくなっているジーンズを脱がせようとしている彼女の指が、チャックへと伸びる。
それをさせまいと、彼は彼女を自分の上に軽々と乗せる。そして彼女のGパンに手を伸ばした。するっと脱がれたジーパンの下には、わずかな面積しかない下着がある。その下に触れるとわずかに湿っている感触が伝わってくる。
「もう濡れてる。」
そしてその布を取ったとき、布と女性器の間につっと粘着性のある糸が垂れた。
「もうこんなになってたなんてね。俺を部屋に呼んで何を想像してたんですか。」
「何って……。」
頬が赤くなる。自分がMっ気があると思えなかったが、彼と体を重ねる度に、そんな自分が目覚めていくのがわかる。そして彼は彼女のその女性器の中心に舌を延ばす。
「あっ!あん!そこっ。舐められると……。」
「イきそう?イって。啓子さん。」
狭いソファの上で、彼らは重なっていた。斉藤とセックスをしていると、自分が自分でなくなるようなそんな感覚になる。
そして勘違いしそうになる。自分が愛した人に似ているから。
「お宅にお邪魔したいのですが、宜しいでしょうか。」
斉藤はメッセージでも他人行儀だ。彼女はOKのスタンプだけを送る。
そしてベッドから起きあがると、エアコンのスイッチを入れる。そして下着だけを持って、風呂場へ向かった。夕べの残り湯が残っていて、それがまだ温いがこの暑い気温の中ではそれがちょうど良かったりする。
体を拭いて、鏡をちらりと見る。四十代の啓子。胸はまだ垂れる気配はなく、お腹も鍛えているせいか引き締まっている。だから小夜子と姉妹だといわれることもあるのだ。悪い気はしない。
すると玄関のチャイムが鳴った。斉藤が来たようだ。彼女はあわてて下着を身につけると、Tシャツとジーパンをその上から着る。
「はいはい。」
ドアを開けると、そこにはブラックジーンズとのシャツを着た斉藤がいた。いつも上げている髪は、今日は下ろしている。
「どうしたの?」
「ちょっとお話がありまして。」
「上がる?いいわよ。今日娘もいないし。」
「娘さんは、夕方には帰ってきますか。」
「そうね。最近は遅いみたいだけど。」
靴を脱ぎながら、彼は周りを見渡した。一等地に店を構えるクラブのママにしては、地味な家だ。マンションでも買えばいいのに、と斉藤は思っていた。
「何か飲む?外暑かったでしょ?麦茶くらいしかないけど。」
「いただきます。」
グラスの中に氷の入った麦茶は、おそらく買ったものではなく煮出したものだ。これも娘がしているのだろうか。
「改めてどうしたの?」
「クラブ「rose」の美紀ママを知ってますか。」
「えぇ。伝説的なクラブね。まだあの人ご健在なの。」
「えぇ。で、黒服に付いていた江藤さんが入院されたそうです。」
「大変ね。」
「で、私に来てくれないかと。」
「斉藤に?」
「もちろん、江藤さんが入院する一ヶ月間でいいそうですが。」
「……。」
それは困る。斉藤ほどできる黒服がいればいいのだが、今のところ彼の代わりになるような人材がいるだろうか。わからない。
しかもそのクラブに斉藤を送ったとしても、斉藤がその江藤という黒服の代わりをつとめれるのだろうか。
「私の代わりは、「rose」から派遣するそうです。」
「だったらその人を江藤さんの代わりにすればいいのに。」
「roseはうちの倍ほどの敷地がありますから、若いものの方がいいそうです。私の代わりに派遣するのは五十代の遠藤というものらしいのですが。」
すると斉藤は苦々しい顔をする。
「どうしたの?」
「……ママを狙っているそうで。」
「はっ。あたしに五十代のおっさんの相手をしろって?舐められたもんだ。」
「というか……。」
「斉藤。まぁあんたを送るのはかまわないよ。でもおそらくあれだろ?美紀ママはあたしに身を固めろって言いたいんだろ?」
「まぁ。そんなところです。」
本当はまた違う言い方をしたのだが、それを正直に言うと啓子は怒り狂うだろう。
「斉藤。あんたを送るのはかまわない。でもその遠藤って人はいらないよ。」
「ママ一人じゃ、「K」を回せませんよ。」
「大丈夫よ。アテはあるんだから。何年この世界にいると思ってんの。あんたがムショに入ってたときもやってたんだから。」
「それは……。」
「冗談よ。」
彼女はたばこに火をつけて、しゃがれた声で笑った。
「斉藤。たまにはお父さんのところにいきなよ。この間、お父さんあんたの話ばかりしてたからね。」
「……縁を切ったといってたのに。」
「口だけよ。そんなの。あたしだって娘と何度縁を切ろうかって思ったこともあるわ。でも本気で縁を切ろうなんて思ったこともないのよ。」
「……それは女性だからでは。」
「女性だからそうだって事はないわよ。」
くわえ煙草をして、彼女は携帯電話を手にした。そしてどこかにメッセージを送る。
煙草を消すと、彼女は斉藤が座っているソファに座った。
「今日は定休日ね。」
「えぇ。」
「ふふ。」
どちらともなく、唇を合わせる。斉藤の口内からも煙草の匂いがした。
お店では従順な黒服に徹している斉藤。だけど、ベッドの上では主導権を握る。彼女のTシャツを脱がせると、豊かな胸がこぼれてきた。下着はつけていなかったらしい。
「こうなるのを計算してたんですか。相変わらず嫌らしい人だ。」
「家の中では下着なんかつけないわ。」
「下も?」
「下は履いてるわよ。」
手に余るほどの胸は、信じられないほど柔らかい。なのにその先をいじると堅くとがってくる。それをこね回し、舌で愛撫を始める。軽く噛むのが好きだ。
「あんっ!」
甲高い声。店で見せない淫らな表情。そして自分のきつくなっているジーンズを脱がせようとしている彼女の指が、チャックへと伸びる。
それをさせまいと、彼は彼女を自分の上に軽々と乗せる。そして彼女のGパンに手を伸ばした。するっと脱がれたジーパンの下には、わずかな面積しかない下着がある。その下に触れるとわずかに湿っている感触が伝わってくる。
「もう濡れてる。」
そしてその布を取ったとき、布と女性器の間につっと粘着性のある糸が垂れた。
「もうこんなになってたなんてね。俺を部屋に呼んで何を想像してたんですか。」
「何って……。」
頬が赤くなる。自分がMっ気があると思えなかったが、彼と体を重ねる度に、そんな自分が目覚めていくのがわかる。そして彼は彼女のその女性器の中心に舌を延ばす。
「あっ!あん!そこっ。舐められると……。」
「イきそう?イって。啓子さん。」
狭いソファの上で、彼らは重なっていた。斉藤とセックスをしていると、自分が自分でなくなるようなそんな感覚になる。
そして勘違いしそうになる。自分が愛した人に似ているから。
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