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クリスマス
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やっと家に帰り着くと、桂は部屋の暖房を入れた。そして春川の手を握り、腰を屈めて額を合わせる。顔が近くて彼女の頬が少し赤くなった。
「……手、汚いわ。」
「一緒に風呂に入ろう。」
「疲れてない?私に会わせると疲れるって言われてたわ。」
「誰に?」
「……岬君に。」
「言わせておけ。俺は疲れてない。」
彼女の知らない部分を知ったから、彼は嫉妬しているのかもしれない。それに時間を割いて西川を病院に送り届け、資料の世話や手術の立ち会いもした。それに嫉妬しているのだろう。
彼女は手をぎゅっと握ると、その額から額を離して彼の唇にキスをする。それは一瞬だった。
「あなたしかこんなことをしたくないわ。ずっとそう言っていたでしょう?」
すると彼は少し彼女から視線をはずす。
「やばい。」
「どうしたの?」
「したい。」
「今?お風呂も入っていないわ。」
「じゃあ風呂場でしょうか?」
「寒いじゃない。あがってから。」
彼女から手を離し、風呂場に向かっていった。そして湯船にお湯を溜める。すると彼が後ろからやってきた。
「何?」
「せっかくだから入浴剤を入れよう。昔女優から貰った入浴剤がある。」
「そうなの。肌が綺麗になりそうね。」
彼に女の影があっても何とも思わないのだろうか。彼は彼女に男の影があるととてもやきもきするのに。それが男と女の差だろうか。
いいや。彼女はきっと麻痺しているのだ。祥吾の浮気癖があることや、桂が仕事とはいえ他の女と寝ていること。そんなことに慣れすぎているのだろう。
風呂から上がると、春川は着ていた洋服を見てため息を付く。
「どうしたんだ。」
桂も風呂から上がり、そんな彼女の様子を見る。
「案外汚れたわねぇ。まぁ。あのヤクザに拉致られそうになったときも、転がされたしなぁ。セーターかぁ。手洗いしなきゃ。」
「ネットに入れて洗濯機に任せておけばいいんじゃないのか。」
「だめよ。縮んだり伸びたりするじゃん。」
「マメだな。でも家事のことは俺もするし、そんなに気を張らなくてもいい。あんたも俺も仕事をしているんだから。」
家のことは全てしないといけないと思っていた春川にとってそれは、驚きの言葉だった。祥吾は雨が降っていても洗濯物を入れたりなどしない。こんな男もいるんだと感心する。
「もしかして、食事も作れる?」
「たまに作ってた。どうしても体が資本の仕事だし、立つ食材を選んで食ってた。」
「そうだったの。何か気を付けないで悪かったわね。」
「今からは健康だけに気を付けた食事にするから。」
「あら。そうなの?」
「まぁな。そう一日何度もするわけじゃないし。」
「するじゃない。」
「あんただからだ。さっさといこう。髪乾かしてやるから。」
脱衣所をでると、桂は棚からドライヤーを取り出して自分の髪を乾かした。そして彼女に自分の足の間に座るように促す。素直に座るとその髪にドライヤーを当てる。
「髪伸びたな。」
「そうね。」
「このまま伸ばさないか?」
「乾かすの面倒。」
彼女らしい。少し笑い、彼はその細い髪に手を付ける。
「良いよ。春。こっち向いて。」
ドライヤーを止めて、それを床に置く。そして彼女を自分の方に向かせた。膝の上に乗っている彼女は小さくて、それでも彼女から見下ろされるくらいはある。彼女を抱きしめると、彼女は彼の頬に手を当てた。そして唇に軽くキスをする。
「春。」
「今日はありがとう。先生のことも、組長のことも、お世話になったわ。」
「春。一つだけ約束してくれないか。」
「何?」
「心配させるようなことをしないでくれ。今回は組長がいたから良いけど、あの人のように柔軟な人はあの世界で珍しい。あんたみたいな人はすぐに売られる。まだ若いしな。」
「……わかった。善処する。」
「善処じゃなくて。」
「わかってる。ごめんって。ひゃっ。やめて。」
背中側のキャミソールの中に手が入ってきて、つっと指が這ってきた。それが何となく気持ち悪かったのだ。
「やっ。啓治……。」
その声はどんどん甘くなる。背中に伸びる手が、徐々にわきに、下腹に、そして胸にあがってくる。下着を付けていなかったので、易々とその胸に到達できた。
「すご……。」
手に触れるその胸が、別の生き物のように柔らかくて手の中で形を変えるようだった。そのたびに彼女の口から甘いときが漏れる。
「あっ。」
「まだ腰を動かすな。」
「だって……。」
「もう濡れてるのか?あぁ。ほら。ここもう硬くなってるからか。」
胸を鷲掴みするように握り、その指先で乳首を転がすように触れる。だがまだ下着はとらない。それが帰って淫靡に見える。
「春。約束できる?」
「んっ……。」
「あんたとはもっとこうしていたいから。なぁ。春。あんたもそうじゃないのか。」
「うん……。啓治と……あっ……こうしていたい……好きよ……。啓治。」
「俺も好き。」
やっとキャミソールをたくし上げられ、胸が露わになる。乳首をぎゅっとつまみ上げられると、彼女はまた甘い声を上げた。
「あっ……だめっ。そんなに激しく……。」
「春。こっち見て。ほらキスさせて。」
すでに赤くなっている顔をこちらに向けて乳首をいじられながら、彼女は唇を少しあけたまま彼の唇にキスをする。舌が絡まり、その一つ一つも絶頂に誘われそうだ。飲みきれなかった互いの唾液が桂の胸に落ち、それでもキスをやめなかった。
唇を離すと、彼は少し笑った。
「うまくなったな。」
「そんなのわからないわ。」
「最初の時はたどたどしかった。春。もっと俺好みになれ。」
淫乱で従順な女。それが自分だけのモノだ。それは今日から始まる。
「……手、汚いわ。」
「一緒に風呂に入ろう。」
「疲れてない?私に会わせると疲れるって言われてたわ。」
「誰に?」
「……岬君に。」
「言わせておけ。俺は疲れてない。」
彼女の知らない部分を知ったから、彼は嫉妬しているのかもしれない。それに時間を割いて西川を病院に送り届け、資料の世話や手術の立ち会いもした。それに嫉妬しているのだろう。
彼女は手をぎゅっと握ると、その額から額を離して彼の唇にキスをする。それは一瞬だった。
「あなたしかこんなことをしたくないわ。ずっとそう言っていたでしょう?」
すると彼は少し彼女から視線をはずす。
「やばい。」
「どうしたの?」
「したい。」
「今?お風呂も入っていないわ。」
「じゃあ風呂場でしょうか?」
「寒いじゃない。あがってから。」
彼女から手を離し、風呂場に向かっていった。そして湯船にお湯を溜める。すると彼が後ろからやってきた。
「何?」
「せっかくだから入浴剤を入れよう。昔女優から貰った入浴剤がある。」
「そうなの。肌が綺麗になりそうね。」
彼に女の影があっても何とも思わないのだろうか。彼は彼女に男の影があるととてもやきもきするのに。それが男と女の差だろうか。
いいや。彼女はきっと麻痺しているのだ。祥吾の浮気癖があることや、桂が仕事とはいえ他の女と寝ていること。そんなことに慣れすぎているのだろう。
風呂から上がると、春川は着ていた洋服を見てため息を付く。
「どうしたんだ。」
桂も風呂から上がり、そんな彼女の様子を見る。
「案外汚れたわねぇ。まぁ。あのヤクザに拉致られそうになったときも、転がされたしなぁ。セーターかぁ。手洗いしなきゃ。」
「ネットに入れて洗濯機に任せておけばいいんじゃないのか。」
「だめよ。縮んだり伸びたりするじゃん。」
「マメだな。でも家事のことは俺もするし、そんなに気を張らなくてもいい。あんたも俺も仕事をしているんだから。」
家のことは全てしないといけないと思っていた春川にとってそれは、驚きの言葉だった。祥吾は雨が降っていても洗濯物を入れたりなどしない。こんな男もいるんだと感心する。
「もしかして、食事も作れる?」
「たまに作ってた。どうしても体が資本の仕事だし、立つ食材を選んで食ってた。」
「そうだったの。何か気を付けないで悪かったわね。」
「今からは健康だけに気を付けた食事にするから。」
「あら。そうなの?」
「まぁな。そう一日何度もするわけじゃないし。」
「するじゃない。」
「あんただからだ。さっさといこう。髪乾かしてやるから。」
脱衣所をでると、桂は棚からドライヤーを取り出して自分の髪を乾かした。そして彼女に自分の足の間に座るように促す。素直に座るとその髪にドライヤーを当てる。
「髪伸びたな。」
「そうね。」
「このまま伸ばさないか?」
「乾かすの面倒。」
彼女らしい。少し笑い、彼はその細い髪に手を付ける。
「良いよ。春。こっち向いて。」
ドライヤーを止めて、それを床に置く。そして彼女を自分の方に向かせた。膝の上に乗っている彼女は小さくて、それでも彼女から見下ろされるくらいはある。彼女を抱きしめると、彼女は彼の頬に手を当てた。そして唇に軽くキスをする。
「春。」
「今日はありがとう。先生のことも、組長のことも、お世話になったわ。」
「春。一つだけ約束してくれないか。」
「何?」
「心配させるようなことをしないでくれ。今回は組長がいたから良いけど、あの人のように柔軟な人はあの世界で珍しい。あんたみたいな人はすぐに売られる。まだ若いしな。」
「……わかった。善処する。」
「善処じゃなくて。」
「わかってる。ごめんって。ひゃっ。やめて。」
背中側のキャミソールの中に手が入ってきて、つっと指が這ってきた。それが何となく気持ち悪かったのだ。
「やっ。啓治……。」
その声はどんどん甘くなる。背中に伸びる手が、徐々にわきに、下腹に、そして胸にあがってくる。下着を付けていなかったので、易々とその胸に到達できた。
「すご……。」
手に触れるその胸が、別の生き物のように柔らかくて手の中で形を変えるようだった。そのたびに彼女の口から甘いときが漏れる。
「あっ。」
「まだ腰を動かすな。」
「だって……。」
「もう濡れてるのか?あぁ。ほら。ここもう硬くなってるからか。」
胸を鷲掴みするように握り、その指先で乳首を転がすように触れる。だがまだ下着はとらない。それが帰って淫靡に見える。
「春。約束できる?」
「んっ……。」
「あんたとはもっとこうしていたいから。なぁ。春。あんたもそうじゃないのか。」
「うん……。啓治と……あっ……こうしていたい……好きよ……。啓治。」
「俺も好き。」
やっとキャミソールをたくし上げられ、胸が露わになる。乳首をぎゅっとつまみ上げられると、彼女はまた甘い声を上げた。
「あっ……だめっ。そんなに激しく……。」
「春。こっち見て。ほらキスさせて。」
すでに赤くなっている顔をこちらに向けて乳首をいじられながら、彼女は唇を少しあけたまま彼の唇にキスをする。舌が絡まり、その一つ一つも絶頂に誘われそうだ。飲みきれなかった互いの唾液が桂の胸に落ち、それでもキスをやめなかった。
唇を離すと、彼は少し笑った。
「うまくなったな。」
「そんなのわからないわ。」
「最初の時はたどたどしかった。春。もっと俺好みになれ。」
淫乱で従順な女。それが自分だけのモノだ。それは今日から始まる。
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