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告白
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唇を離されて、首筋に舌が這ってくる。しかし春川はその行為が嫌悪感でしかない。
「先生……。」
だが体は悲しいくらい反応している。顔が赤くなり、その舌に反応しているようだ。
「春。黙りなさい。君の体は前と違う。あんなに怯えていたのに、どうしてそんなに女の顔になったのか。お前の男に仕込まれたのだろう?」
「先生。違う。今日は……出来ないんです。」
「……。」
だが彼は無視して、彼女のその胸に触れてくる。
「やだ……。」
「生理なら、子供は出来ない。だが体は敏感になるだろう?」
乳房に触れてくるその手が器用に動き、吐息が漏れた。
「んんんんっ。」
「ほら。まだ服の上なのに、感じているのか。春。お前の男に仕込まれたのか。」
そういって彼は服の下から手を入れてきた。下着を避けると、その固いところに指を這わせる。強めにぐっとつまみ上げると、さらに彼女の吐息が漏れた。
「あっ!」
昼間に桂から触れられたところだ。今は骨ばったその手が、彼女の体に触れている。
「抵抗しないのか。心からイヤなら抵抗してみなさい。舌でも何でも噛めばいい。出来ないのか。春。」
「イヤです。んっ!」
「言葉とは裏腹だ。ほら。こんなに固くなってる。こんなにいやらしく尖っていて……。」
「やっ!やっ!」
シャツをまくり上げて、その下着をずらしたところにある乳首に、彼は吸い付いた。音を立てて嘗め上げて、そして吸っていく。
「あっ!あっ!」
「春。」
やっとそこから口を離されて、彼はつかんでいるその手を自分の股間に持ってくる。
「嘗めなさい。どうしてもしたくないのだったら、私を満足させるんだ。」
「……。」
「それともその血の出ているところに突っ込まれたいかな。」
「や……。」
どちらに転んでも嫌悪感しかない。彼女は涙目になりながら、うつむいていた。
「男が欲しかったんだろう?女はみんなそんなものだ。君は違うと思っていたのにな。ほら。欲しいんだろう?」
「違う……。」
「は?」
「欲しいのはあなたじゃない。」
そういって彼女は立ち上がると、手に持っている携帯電話と鍵、財布だけを持ち、廊下に飛び出した。
「春!」
後ろで声が聞こえる。だが彼女は振り向かなかった。車に乗り込むと、エンジンをかけて急いで車を走らせる。
シャワーを浴びて、ソファに座る。すると昼間に触れたその感触がリアルに思い出された。柔らかくて温かい。何よりも代え難い愛しい体だった。
「あー。くそ。」
思い出すだけで膨らんでくる。四十も半ばなのに、まだAVが現役でいけるかもしれない。だが喘ぐ女を見ながらおそらく想像するのは彼女の姿だろう。
そう思いながら、桂はスウェットのズボンを下ろそうとしたそのときだった。部屋のチャイムが鳴る。彼はその時間を邪魔されたと舌打ちを一つし、ソファから立ち上がった。
玄関ののぞき穴を見ると、そこには待ちこがれていた人がいる。
「春。」
ドアを開けて、彼女を招き入れた。着の身着のままで、やってきたようだった。彼はその冷たい体を抱きしめる。
「どうしたんだ。こんなに冷えて。」
「啓治。お願い。このまま抱いて欲しい。」
「え?でもお前の……。」
「いいの。気になるようならお風呂場ででも……。」
明らかに何かあったのだろう。彼は額にキスをして、彼女の頬を両手で彼女の頬を包み込んだ。すると濡れているのがわかる。泣いていたらしい。
「春。」
彼はそういって彼女の唇にキスをした。
「無理をしない方がいい。とりあえず温まろう。あんたの体は氷のように冷えている。」
何も聞かない。それが優しさなのだろう。無理矢理聞いて、ますます泣かせたくなかったから。
温かいシャワーを浴びている間、桂はコンビニへ行き生理用品を買ってきてくれた。男はこんなものを買うのは勇気がいると思っていたが、彼は気にしないようにそれをテーブルの上に置く。
そのあとフリース素材の上着を手渡し、台所でレモネードを作ってくれた。
「ありがとう。」
モテるわけだ。こうして何も聞かないまま、ただ彼女のことだけを心配してくれる男なのだから。
「何も言わなくていいから。」
「え?」
「あぁ。でも一つだけ確認したいことがあるな。」
「何?」
「ここに来たのは、俺を頼ってくれたのか?」
「うん。」
「それは嬉しいな。」
彼はそういって笑ってくれる。そんな優しさは祥吾にはないのかもしれない。
「……先生に言ったの。」
だから自然とその言葉がでる。レモネードを持っている手に力が入りそうになった。
「俺のことか?」
「相手は言ってない。でも……連れ去ってくれる人がいるから、その人について行きたいって。」
「怒っていたのか。」
穏やかで優しいイメージの強い男だと思っていた。そのぶん、感情を露わにして怒ることはないのだろう。それだけ彼女を大事にしていたのかもしれない。
「そうね。怒っていたんでしょう。でも……もうこれ以上自分の感情に蓋をして、先生に抱かれたくなかった。」
口に運んだレモネードは、ほんのり蜂蜜の味がした。そしてそれを離すと、拳の上にぽつりと涙が落ちる。
「あなた以外に抱かれたくない。」
出会った頃はこんなに深く好きになると思ってなかった。言葉だけでつづったその感情を、自分で感じることなどないと思っていた。だがこんなに苦しく、こんなに切ない。
「一緒にいて欲しい。」
その言葉に彼は彼女の手からレモネードの入ったカップを取ると、そっと彼女の肩を抱いた。そしてその頭にキスをする。
「好きだ。」
彼はそういって彼女の手に手を重ねた。
「先生……。」
だが体は悲しいくらい反応している。顔が赤くなり、その舌に反応しているようだ。
「春。黙りなさい。君の体は前と違う。あんなに怯えていたのに、どうしてそんなに女の顔になったのか。お前の男に仕込まれたのだろう?」
「先生。違う。今日は……出来ないんです。」
「……。」
だが彼は無視して、彼女のその胸に触れてくる。
「やだ……。」
「生理なら、子供は出来ない。だが体は敏感になるだろう?」
乳房に触れてくるその手が器用に動き、吐息が漏れた。
「んんんんっ。」
「ほら。まだ服の上なのに、感じているのか。春。お前の男に仕込まれたのか。」
そういって彼は服の下から手を入れてきた。下着を避けると、その固いところに指を這わせる。強めにぐっとつまみ上げると、さらに彼女の吐息が漏れた。
「あっ!」
昼間に桂から触れられたところだ。今は骨ばったその手が、彼女の体に触れている。
「抵抗しないのか。心からイヤなら抵抗してみなさい。舌でも何でも噛めばいい。出来ないのか。春。」
「イヤです。んっ!」
「言葉とは裏腹だ。ほら。こんなに固くなってる。こんなにいやらしく尖っていて……。」
「やっ!やっ!」
シャツをまくり上げて、その下着をずらしたところにある乳首に、彼は吸い付いた。音を立てて嘗め上げて、そして吸っていく。
「あっ!あっ!」
「春。」
やっとそこから口を離されて、彼はつかんでいるその手を自分の股間に持ってくる。
「嘗めなさい。どうしてもしたくないのだったら、私を満足させるんだ。」
「……。」
「それともその血の出ているところに突っ込まれたいかな。」
「や……。」
どちらに転んでも嫌悪感しかない。彼女は涙目になりながら、うつむいていた。
「男が欲しかったんだろう?女はみんなそんなものだ。君は違うと思っていたのにな。ほら。欲しいんだろう?」
「違う……。」
「は?」
「欲しいのはあなたじゃない。」
そういって彼女は立ち上がると、手に持っている携帯電話と鍵、財布だけを持ち、廊下に飛び出した。
「春!」
後ろで声が聞こえる。だが彼女は振り向かなかった。車に乗り込むと、エンジンをかけて急いで車を走らせる。
シャワーを浴びて、ソファに座る。すると昼間に触れたその感触がリアルに思い出された。柔らかくて温かい。何よりも代え難い愛しい体だった。
「あー。くそ。」
思い出すだけで膨らんでくる。四十も半ばなのに、まだAVが現役でいけるかもしれない。だが喘ぐ女を見ながらおそらく想像するのは彼女の姿だろう。
そう思いながら、桂はスウェットのズボンを下ろそうとしたそのときだった。部屋のチャイムが鳴る。彼はその時間を邪魔されたと舌打ちを一つし、ソファから立ち上がった。
玄関ののぞき穴を見ると、そこには待ちこがれていた人がいる。
「春。」
ドアを開けて、彼女を招き入れた。着の身着のままで、やってきたようだった。彼はその冷たい体を抱きしめる。
「どうしたんだ。こんなに冷えて。」
「啓治。お願い。このまま抱いて欲しい。」
「え?でもお前の……。」
「いいの。気になるようならお風呂場ででも……。」
明らかに何かあったのだろう。彼は額にキスをして、彼女の頬を両手で彼女の頬を包み込んだ。すると濡れているのがわかる。泣いていたらしい。
「春。」
彼はそういって彼女の唇にキスをした。
「無理をしない方がいい。とりあえず温まろう。あんたの体は氷のように冷えている。」
何も聞かない。それが優しさなのだろう。無理矢理聞いて、ますます泣かせたくなかったから。
温かいシャワーを浴びている間、桂はコンビニへ行き生理用品を買ってきてくれた。男はこんなものを買うのは勇気がいると思っていたが、彼は気にしないようにそれをテーブルの上に置く。
そのあとフリース素材の上着を手渡し、台所でレモネードを作ってくれた。
「ありがとう。」
モテるわけだ。こうして何も聞かないまま、ただ彼女のことだけを心配してくれる男なのだから。
「何も言わなくていいから。」
「え?」
「あぁ。でも一つだけ確認したいことがあるな。」
「何?」
「ここに来たのは、俺を頼ってくれたのか?」
「うん。」
「それは嬉しいな。」
彼はそういって笑ってくれる。そんな優しさは祥吾にはないのかもしれない。
「……先生に言ったの。」
だから自然とその言葉がでる。レモネードを持っている手に力が入りそうになった。
「俺のことか?」
「相手は言ってない。でも……連れ去ってくれる人がいるから、その人について行きたいって。」
「怒っていたのか。」
穏やかで優しいイメージの強い男だと思っていた。そのぶん、感情を露わにして怒ることはないのだろう。それだけ彼女を大事にしていたのかもしれない。
「そうね。怒っていたんでしょう。でも……もうこれ以上自分の感情に蓋をして、先生に抱かれたくなかった。」
口に運んだレモネードは、ほんのり蜂蜜の味がした。そしてそれを離すと、拳の上にぽつりと涙が落ちる。
「あなた以外に抱かれたくない。」
出会った頃はこんなに深く好きになると思ってなかった。言葉だけでつづったその感情を、自分で感じることなどないと思っていた。だがこんなに苦しく、こんなに切ない。
「一緒にいて欲しい。」
その言葉に彼は彼女の手からレモネードの入ったカップを取ると、そっと彼女の肩を抱いた。そしてその頭にキスをする。
「好きだ。」
彼はそういって彼女の手に手を重ねた。
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