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初めての味
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ふらふらになりながら、春川は自分の部屋に帰ってきた。その様子に、祥吾は呆れながら彼女に聞く。
「どれくらい飲まされたのかな。あのホストに。」
すると彼女はベッドに腰掛けると、ため息をついていった。
「シェリーグラスというのですか。」
「あぁ。小さいワイングラスみたいなものだね。」
「それにサングリアを一杯いれてもらいました。」
「それだけ?」
「それだけです。もしお酒を飲むコラムでも入ったら、慣れておいた方がいいかと。」
「そんなコラムは断りなさい。お酒は飲んでも飲まれるなと言う言葉がある。君はその程度がわかっていない。」
飲んだことがないからわからないに決まっている。そう口から出そうになって止めた。
「すいません。」
逆らってはいけない。
「横になって。今日は休みなさい。」
「すいません。」
ベッドに横になる。すると彼は頭を撫でた。
「いい子だ。」
まるで小さい子供にするような行動だった。だがそれが彼女への彼の態度であり、いつまでたっても彼は子供扱いをする。だからセックスをしないのだろうと思っていた。
「お休み。」
彼はそういってベッドから立ち上がる。そして電気を消して部屋を出ていった。
目を閉じても頭の中が回るようだ。まるで頭を掴んでぐるぐると回されたような感覚。それがいつまでもとれない。
もう二度と酒を口にすることはないだろう。彼女はそう思いながら、ため息をつき寝返りを打つ。そのときポケットにいれていた携帯電話が鳴る。仕事用ではなくプライベートのものだ。いつもだったらバッグに入れておくが、涼太が特別な視線で彼女を見ているのを感じていたので、何かあったらしかるべきところに連絡をしようと思っていたのだ。
携帯を取り出すと、そこには桂の文字があった。メッセージが一件。電話でないところが彼らしい。
「今、撮影が終わって帰ってきた。仕事場にいる?」
彼女はそれに返信しないまま、桂に電話をした。
「もしもし。今大丈夫?」
「家に帰り着いた。あんたはいないようだな。」
「えぇ。家にいる。」
「堂々と電話をしていて大丈夫か?」
「布団をかぶっているわ。」
その言葉に彼の笑い声が聞こえた。
「どうしたの?」
「懐かしいと思って。昔、俺が学生の時は携帯電話なんて無かったから、家の電話の子機でそうやって電話をしていた。」
「どうして?」
「長電話をしていたからだろう。」
その相手はきっと女性だろう。想像ができる。彼の出身は雪深いところだと言っていた。その中で彼が女性と歩いているところ。きっとどこにでも行る普通の学生だったに違いない。
「長電話をしてお母さんに叱られてた?」
「あぁ。あの通りの人だ。いきなり部屋に入ってきて、口やかましいことを言っていた。」
「またお会いしたいわ。」
「あぁ。今度正月に実家に帰る。そのとき……。」
一緒に帰らないか。そういいかけて桂は黙ってしまった。普通の恋人の関係ではないのだ。普通の恋人ならそれが出来るだろう。しかし彼女は人妻なのだ。どう説明していいかわからないし、そもそも家につれて帰れないだろう。
「えぇ。いつかね。」
「今じゃないけどな。それにしてもいつもよりも早い時間に寝てるな。どうしたんだ。仕事が終わったのか?」
「いいえ。そういうわけでもないわ。」
「体調でも悪いのか?」
「いいえ。違う。」
どう説明していいかわからない。だが言わないといけないだろう。彼女は少し戸惑いながら、彼に今までのことを説明した。涼太のこと、お酒を少し飲んだだけで足を取られてしまったこと。そして襲われそうになったこと。
彼はじっとそれを聞いていた。そしてため息をつく。
「どうして言ってくれなかった。」
「ごめんなさい。たぶん、気分を悪くすると思って。」
「気分は悪い。確かにな。でも言われなかった方がもっと気分が悪い。信用していないのか?」
「そういうわけじゃないの。」
「何かあれば、何を置いても駆けつける。そう思っていたのだが。」
「ごめんなさい。」
「お仕置きをしようか。春。そのまま電話を持ったままにして仰向けになって。」
「うん?」
言われたとおり仰向けになる。
「何を着ている?」
「コートはさすがに脱いだけれど、セーターとジーパンね。」
「だったらセーター越しに胸に触って。」
自分で自分の胸に触れる。目を瞑ると、桂の声がそばにいるようだった。そして手が桂が触れているように感じる。
「んっ……。やだ……。」
「固くなってるのか?やらしい乳首だな。昨日さんざん触ったのに。それにまだ服越しだろう?まさか付けてないわけじゃないよな?涼太さんの前であんな格好をしているわけじゃないんだろう?」
「するわけ……無いわっ。んっ……。」
「セーターの中に手を入れて。声をあまり上げないようにして。ほら旦那に知られるかもしれないだろう?」
おずおずと手をセーターの中に入れて、下着の中に手を入れる。すると固いところが手に触れる。
「ねぇ……これって……。」
「あまり声を上げるなって言ってるだろ?ほら。その固いところ摘んで。俺がしてるみたいに。」
布団の中でセーターの中に手を入れて、乳首をつまみ上げる。そのたびに背中に電流が走るようにビリッとする。乳首の先に指をはわせ、転がすようにいじれば声がでそうになった。
「ん……ん……。」
「やらしい形。そんなの涼太さんに見せるなよ。」
ごそごそという音がする。彼女は言われたとおりに胸をいじっているのだろう。桂は自分の部屋のソファに座り込むと、ズボンのベルトをゆるめた。
「そのまま手を下に持ってきて。」
「……はっ……。」
吐息が漏れる。ベルトを片手でゆるめて、ジーパンの中に手を入れた。もうそこは濡れ始めている。
「濡れてる?」
「少し……。」
「だったらそこに指を這わせて。ほら。早く。」
言われたとおりその茂みの奥に指を這わせた。すると胸とは段違いの快感が襲ってくる。
「あっ……。」
「声を抑えて。ほら。気づかれるだろ?何をしているんだって。旦那が襲ってくるかもしれない。」
そのスリルと彼の声に、そこは徐々に濡れ始めた。
「んっ……。」
「濡れてきた?」
彼もズボンをおろし下着も取ると、徐々に固くなるそれに指を這わせた。
「だめ……もう濡れて……。んっ。」
「クリ。当たって。立ってる?」
「固くなって……あっ。だめ。ここ触ったらスゴく……んっ……。」
「どうなってる?」
「すぐイきそう……。」
「音。たててみて。そこに近づけて。」
ごそごそという音がして、そして水の音がする。それだけで彼のものは硬くなりそうだ。
「啓治。」
「春。俺のもスゴい立ってるから。夕べ抱いたのにな。」
「うん……。」
「指入れれる?」
「指を?」
「俺入れてるだろ?自分で入れれる?」
「うん……。」
中指を突き立てて、そこに入れ込んだ。それだけで軽い絶頂に襲われてきそうになる。
「あっ。だめっ。啓治……。」
彼もその手を早める。
「春……春……。スゴい。あんたの声だけでイきそう。」
彼の声も吐息が混じってきた。
「指、何本入ってる?」
「一本。中指だけ。」
「だったら人差し指も入れて。」
入れる度ににぐちゃっという音がした。きっとその音は電話越しにも聞こえてるはずだ。
「啓治……だめ。指止まらない。」
「やらしい体だな。春。でも好きだ。春。だめ。イきそう。」
「一緒に……。」
「うん。」
指が激しく動き、絶頂が襲ってくる。思わず電話を落としそうになった。
「んんんん!」
「春!」
ほぼ同時だった。彼女は自分の指で絶頂を迎え、彼も自分の手で射精した。
「んっ。もどかしいな。キスできないのが。」
「今度、あったら沢山して。」
「わかった。口が腫れるまでしようか。」
「バカね。」
「本当のお仕置きはそのときな。」
彼女は少しほほえみ、そしてそのお仕置きにならないお仕置きを心待ちにした。
「どれくらい飲まされたのかな。あのホストに。」
すると彼女はベッドに腰掛けると、ため息をついていった。
「シェリーグラスというのですか。」
「あぁ。小さいワイングラスみたいなものだね。」
「それにサングリアを一杯いれてもらいました。」
「それだけ?」
「それだけです。もしお酒を飲むコラムでも入ったら、慣れておいた方がいいかと。」
「そんなコラムは断りなさい。お酒は飲んでも飲まれるなと言う言葉がある。君はその程度がわかっていない。」
飲んだことがないからわからないに決まっている。そう口から出そうになって止めた。
「すいません。」
逆らってはいけない。
「横になって。今日は休みなさい。」
「すいません。」
ベッドに横になる。すると彼は頭を撫でた。
「いい子だ。」
まるで小さい子供にするような行動だった。だがそれが彼女への彼の態度であり、いつまでたっても彼は子供扱いをする。だからセックスをしないのだろうと思っていた。
「お休み。」
彼はそういってベッドから立ち上がる。そして電気を消して部屋を出ていった。
目を閉じても頭の中が回るようだ。まるで頭を掴んでぐるぐると回されたような感覚。それがいつまでもとれない。
もう二度と酒を口にすることはないだろう。彼女はそう思いながら、ため息をつき寝返りを打つ。そのときポケットにいれていた携帯電話が鳴る。仕事用ではなくプライベートのものだ。いつもだったらバッグに入れておくが、涼太が特別な視線で彼女を見ているのを感じていたので、何かあったらしかるべきところに連絡をしようと思っていたのだ。
携帯を取り出すと、そこには桂の文字があった。メッセージが一件。電話でないところが彼らしい。
「今、撮影が終わって帰ってきた。仕事場にいる?」
彼女はそれに返信しないまま、桂に電話をした。
「もしもし。今大丈夫?」
「家に帰り着いた。あんたはいないようだな。」
「えぇ。家にいる。」
「堂々と電話をしていて大丈夫か?」
「布団をかぶっているわ。」
その言葉に彼の笑い声が聞こえた。
「どうしたの?」
「懐かしいと思って。昔、俺が学生の時は携帯電話なんて無かったから、家の電話の子機でそうやって電話をしていた。」
「どうして?」
「長電話をしていたからだろう。」
その相手はきっと女性だろう。想像ができる。彼の出身は雪深いところだと言っていた。その中で彼が女性と歩いているところ。きっとどこにでも行る普通の学生だったに違いない。
「長電話をしてお母さんに叱られてた?」
「あぁ。あの通りの人だ。いきなり部屋に入ってきて、口やかましいことを言っていた。」
「またお会いしたいわ。」
「あぁ。今度正月に実家に帰る。そのとき……。」
一緒に帰らないか。そういいかけて桂は黙ってしまった。普通の恋人の関係ではないのだ。普通の恋人ならそれが出来るだろう。しかし彼女は人妻なのだ。どう説明していいかわからないし、そもそも家につれて帰れないだろう。
「えぇ。いつかね。」
「今じゃないけどな。それにしてもいつもよりも早い時間に寝てるな。どうしたんだ。仕事が終わったのか?」
「いいえ。そういうわけでもないわ。」
「体調でも悪いのか?」
「いいえ。違う。」
どう説明していいかわからない。だが言わないといけないだろう。彼女は少し戸惑いながら、彼に今までのことを説明した。涼太のこと、お酒を少し飲んだだけで足を取られてしまったこと。そして襲われそうになったこと。
彼はじっとそれを聞いていた。そしてため息をつく。
「どうして言ってくれなかった。」
「ごめんなさい。たぶん、気分を悪くすると思って。」
「気分は悪い。確かにな。でも言われなかった方がもっと気分が悪い。信用していないのか?」
「そういうわけじゃないの。」
「何かあれば、何を置いても駆けつける。そう思っていたのだが。」
「ごめんなさい。」
「お仕置きをしようか。春。そのまま電話を持ったままにして仰向けになって。」
「うん?」
言われたとおり仰向けになる。
「何を着ている?」
「コートはさすがに脱いだけれど、セーターとジーパンね。」
「だったらセーター越しに胸に触って。」
自分で自分の胸に触れる。目を瞑ると、桂の声がそばにいるようだった。そして手が桂が触れているように感じる。
「んっ……。やだ……。」
「固くなってるのか?やらしい乳首だな。昨日さんざん触ったのに。それにまだ服越しだろう?まさか付けてないわけじゃないよな?涼太さんの前であんな格好をしているわけじゃないんだろう?」
「するわけ……無いわっ。んっ……。」
「セーターの中に手を入れて。声をあまり上げないようにして。ほら旦那に知られるかもしれないだろう?」
おずおずと手をセーターの中に入れて、下着の中に手を入れる。すると固いところが手に触れる。
「ねぇ……これって……。」
「あまり声を上げるなって言ってるだろ?ほら。その固いところ摘んで。俺がしてるみたいに。」
布団の中でセーターの中に手を入れて、乳首をつまみ上げる。そのたびに背中に電流が走るようにビリッとする。乳首の先に指をはわせ、転がすようにいじれば声がでそうになった。
「ん……ん……。」
「やらしい形。そんなの涼太さんに見せるなよ。」
ごそごそという音がする。彼女は言われたとおりに胸をいじっているのだろう。桂は自分の部屋のソファに座り込むと、ズボンのベルトをゆるめた。
「そのまま手を下に持ってきて。」
「……はっ……。」
吐息が漏れる。ベルトを片手でゆるめて、ジーパンの中に手を入れた。もうそこは濡れ始めている。
「濡れてる?」
「少し……。」
「だったらそこに指を這わせて。ほら。早く。」
言われたとおりその茂みの奥に指を這わせた。すると胸とは段違いの快感が襲ってくる。
「あっ……。」
「声を抑えて。ほら。気づかれるだろ?何をしているんだって。旦那が襲ってくるかもしれない。」
そのスリルと彼の声に、そこは徐々に濡れ始めた。
「んっ……。」
「濡れてきた?」
彼もズボンをおろし下着も取ると、徐々に固くなるそれに指を這わせた。
「だめ……もう濡れて……。んっ。」
「クリ。当たって。立ってる?」
「固くなって……あっ。だめ。ここ触ったらスゴく……んっ……。」
「どうなってる?」
「すぐイきそう……。」
「音。たててみて。そこに近づけて。」
ごそごそという音がして、そして水の音がする。それだけで彼のものは硬くなりそうだ。
「啓治。」
「春。俺のもスゴい立ってるから。夕べ抱いたのにな。」
「うん……。」
「指入れれる?」
「指を?」
「俺入れてるだろ?自分で入れれる?」
「うん……。」
中指を突き立てて、そこに入れ込んだ。それだけで軽い絶頂に襲われてきそうになる。
「あっ。だめっ。啓治……。」
彼もその手を早める。
「春……春……。スゴい。あんたの声だけでイきそう。」
彼の声も吐息が混じってきた。
「指、何本入ってる?」
「一本。中指だけ。」
「だったら人差し指も入れて。」
入れる度ににぐちゃっという音がした。きっとその音は電話越しにも聞こえてるはずだ。
「啓治……だめ。指止まらない。」
「やらしい体だな。春。でも好きだ。春。だめ。イきそう。」
「一緒に……。」
「うん。」
指が激しく動き、絶頂が襲ってくる。思わず電話を落としそうになった。
「んんんん!」
「春!」
ほぼ同時だった。彼女は自分の指で絶頂を迎え、彼も自分の手で射精した。
「んっ。もどかしいな。キスできないのが。」
「今度、あったら沢山して。」
「わかった。口が腫れるまでしようか。」
「バカね。」
「本当のお仕置きはそのときな。」
彼女は少しほほえみ、そしてそのお仕置きにならないお仕置きを心待ちにした。
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