不完全な人達

神崎

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火祭り

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 太股まで垂れている愛液がシーツを濡らして、それでも史はその行為をやめられなかった。うつ伏せにして腰を持ち上げると、その中に容赦なく入れ込んだ。
「あっ!奥に……奥……。」
 ピンク色に染まる肌。抑えきれない声。前戯だけでも何度も絶頂を迎えているのに、挿入してさらに絶頂を迎えている。動かす度に水の音が部屋に響き、息も絶え絶えに声を枯らしていた。
「久住のとどっちが良い?」
「え……んっ!」
 そんなことわからない。清子は首を横に振って、恨めしげに史をみる。
「わからないです……そんなこと……昔過ぎて……。」
「本当にしてないの?んっ……突く度に、こんなに濡れて絞まって、久住も夢中になっただろう?」
「そんなの……知りません……。」
「強情だな。」
 そういって史はその入れ込んでいるところの、上に手を這わせる。
「ひゃ……いや!そこは……。」
 置いていた機械を手にして、そこにあてがうとスイッチを入れた。するとぎゅっとそこが絞まる。
「いやぁ!やめて!」
「動かないで。入れないから。触るだけ。」
 そこでしろという指示もあるし、経験がないわけではない。だがその場合は、慣れている女優だけだ。清子のそこは全く慣れていないし、下処理だってしていない。だが指を這わせるだけで清子は声を上げた。
「ああああ!」
 そのときベッドサイドに置いてあった史の携帯電話が鳴る。一旦、清子から出てくると、携帯電話を手にした。その相手に少し史の目が笑う。
「清子。声を抑えて。」
 体を仰向けにして、足を持ち上げる。そしてまたそこにあてがうと、その中に入れ込んだ。そして携帯電話の通話ボタンを押す。
「うん。久住。何だ。」
 晶からの電話だった。その答えに清子は声を抑えるように、つながれた手で口をふさいだ。だが水の音は押さえきれない。その音までも晶に届いているのだろうか。
「ん……そうだな。そっち終わったか?ふーん。やっぱ観客がいないと駄目か。で、そっちの方は間に合いそうか?」
 よくもまぁ、涼しい顔をして会話が出来るものだ。清子はそう思いながら、イキそうになっている感覚を押さえる。それがわかるのだろう。清子の中がぎゅっとさっきよりも絞まってきた。
「……んっ。何でもない……。洗濯をしててね。そろそろ買い換えないといけないと思ってた。で……何時になりそうだ。」
 そろそろ終わってくれないだろうか。そう思いながら、清子は口を押さえていたが、急に史は角度を変えて挿入してきた。それが変なところに当たり、思わず声がでた。
「んっ……。」
 顔が真っ赤になっている。がくがくと体も震えてきた。もう限界なのだろう。
「わかった……。十七時だな。それまでには用意しておくから。あぁ……またあとで。」
 そういって史は通話を終えると清子の足を持ち上げて、奥に入れ込んだ。
「ああああ!」
「よく我慢したね。でももうイキそう。俺も……イキそうだから……。んあっ……。ねぇ……どこで出されたい?」
「あっ……外で……。外……。」
「でも君のここは離したくないみたいだ。本当に外でいいの?」
「外で……。」
「あっ……無理……無理……。んっ。」
 逃げようとしているその腰をつかみ、史はその奥に自分を入れ込んだ。
「……あぁ……すごい気持ちいい。清子の中……超良い……。」
「ひどい……。」
「ん……ほら……沢山出たよ。」
 史はそこから性器を出し、清子の性器に指を這わせる。するとその奥から白いものが流れた。
「嫌らしいな。清子のここ。」
 そこを広げて、中に指を入れる。すると指に白いものが絡んできた。
「シャワーを浴びようか。」
 まだぼんやりとしている清子の手にはまっている手錠をはずすと、清子を抱き抱えた。

 十七時を少し過ぎた頃、晶は部屋に戻ってきた。その間、シーツや洗濯物を洗い、近所に買い物へ行ったりした。歓楽街とはいっても、駅前まで行けばアンテナショップがある。そこで漬け物を買ったのだ。
 清子は後部座席に乗り、史は助手席に乗った。その間、清子は不機嫌そうに史と口を聞かなかった。
 イヤだというのに手錠をはめられたり、おもちゃを使われたり、尻の穴を責められるようなアブノーマルなことをしたくなかったから。挙げ句の果てには中で出した。子供が出来ないとでも思っているのだろうか。
「どうしたんだよ。お通夜みたいだな。」
 ついに気を利かせて晶が声をかける。だが清子の不機嫌なのはそんなことで収まるはずはない。
「別に……。」
 史と清子が居た時間はたぶん五時間足らずくらいだろう。それまでに何回シタのだろう。そう思うと晶の機嫌も悪くなりそうだ。
「お、ちょっと俺、コーヒー買うわ。清子。お前もいる?」
 山道にも自販機はある。史はちゃっかり車に乗る前に買っていたのだ。清子は素直に車から降りると、携帯電話のキャッシュレスで買おうと思っていた。
「あ……。」
 まだキャッシュレスが出来ないタイプの自販機だった。仕方ない。車から財布を取り出そうとしたときだった。
「これくらいおごってやるよ。」
 晶はそういってコインを取り出した。
「ありがとうございます。」
 素直に清子はそういうと、ボタンを押した。清子は甘いものがあまり好きではない。だから、いつもブラックだ。
「なんかあったか?」
「……え?」
 史は車の中で電話が鳴ったらしく、何か話をしている。その間に、晶が清子に声をかける。
「セックスした?」
「……何でそんなことを久住さんに言わないといけないんですか?」
「さぁな。やっぱ好きだからじゃねぇ?好きな女がそんな暗い顔をしてたら、なんかあったんだろうって聞きたくなるじゃん。」
 晶も自販機のボタンを押す。
「……性癖が合わないかもしれない。」
「は?」
「別に、私マゾヒストじゃないんですけどね。」
 コーヒーの缶を開けるその手元を見て、納得した。縛られたりしたのか、何かをしたのだろう。呆れたように、史をみる。
「でもまぁ……編集長も、優しいだけじゃないんだろ。」
「え?」
「爽やかで優しいお兄さんって感じでずっと過ごしてたんだ。そんなんじゃねぇって自分でも思ってたんだろ。お前だってそう。そのイメージのまま編集長に接してたら、編集長だって疲れるだろうな。」
「……。」
「もっと話せば?それでも受け入れられなかったら、俺が引き取ってやるから。」
「やです。」
 清子はそういって車の後ろに乗り込んでいく。その後ろ姿を見て、晶もほっとした。
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