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長い夜
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マンションへ着き三階の史の部屋をちらっと見るが、まだ警察らしい人たちがうろうろしている。他の住人も珍しそうにそこを見ていたようで、清子はため息をつく。
「まだ時間がかかりそうですね。」
「そのようだ。」
自然に部屋に行ける。そして今度こそ抱きたい。史はそう思いながら、清子の部屋の方へ上がっていく。
部屋に着くと、エアコンをつける。そして清子は脱衣所へ向かった。
「どうしたの?」
「表をうろうろ歩いていたので汗をかいたから、軽くシャワーでも浴びようと思って……。」
「それなら一緒に浴びよう。」
その言葉に清子は手を止める。そして史を見上げた。
「どうして?」
「今日は荷物も取りに行く。明日も休みだけれど、こんなにゆっくりした時間はない。だから……できるなら今日……。」
今日したい。思いっきり喘がせたい。求めて求められたい。ぐちゃぐちゃにして、清子の中に入れて出したい。この明るい日差しの中で、その顔が見たい。
「疲れてますね。昼くらいまで眠った方がいいですよ。私は荷物を取りに行きますから。」
脱衣所へ行きかけた足を止めて、清子はリビングへ戻ろうとした。しかしバッグを手にしようとした手を握られて、史の方をみる。
「何……。」
そのときぐいっと体を引き寄せられた。勢いで体が史の体に清子の体が倒れ込む。
「ずっとこうしたかった。生殺しだったんだんだ。」
「……。」
体をぎゅっと抱きしめられたが、清子は抵抗するように体を引き離そうとしていた。だがそうさせない。
「清子、好き。」
「や……。」
ワンピースを脱がせようと、その裾に手を伸ばす。そのときだった。
ピンポーン。
玄関のチャイムが鳴り、その音に史の手の力がゆるんだ。清子は史の体を離すと玄関へ向かいのぞき穴を見ると、そこには紺色の制服を着た警察官が数人いた。まだ話があるのだろうか。清子は不思議に思いながら、ドアを開ける。
「おはようございます。朝早くからすいません。」
「はい……。」
「正木史さんはこちらにご在宅ですか?」
「あ……はい。近くにいた方がいいと思って、ここにおります。」
清子は後ろに視線を投げかけると、史も玄関へ向かった。
「失礼……。鑑識が終わりましたので、カギをお返しに。」
警官の手には「三〇三」と書いた札の着いた鍵があり、それを史に手渡す。
「すいません。ありがとうございます。」
「それから、これは……。」
もう一人の警官の手には、ビニールに包まれたペン型の録音機があった。
「それは私のモノです。中に誰か入ったら証拠になると思って、おいておきました。」
そういって清子はそのペンを受け取ると、警官は納得したようにうなづく。
「指紋は確かに、あなたのモノと正木さんのモノだけがついていました。あなたのモノなのでしょうね。最近の録音機は良い。これもまた証拠品になりました。」
すると清子はそのペンを手にしてつぶやく。
「だからこそ、犯罪も増えてきます。巧妙になってきますからね。」
「全くです。では、私たちはこれで。」
警官はそういって去っていく。黒澤はどれくらいの保釈金を出しては出てこれるのだろう。実刑にはならないだろうが執行猶予がつくだろうし、史との接触禁止がでるだろうし、それ以前に「三島出版」も去らないと行けないだろう。
AV男優が次に出来る仕事など、限られてくるのだろうに。一次の感情で取り返しのつかないことをしてしまったのだ。
「清子。」
ぼんやりしている清子に史は声をかける。
「はい?」
「俺の部屋に来る?」
「……いいえ。正直、休みたい。さすがに疲れてるから。」
「じゃあ、ここでする?」
「休みたいと言ってるんです。」
「俺は休ませない。」
強情だ。だが史の強情さの方が上手をいくのかもしれない。玄関先で立ち尽くしている清子の体を、ふっと抱き上げた。
「な……。」
「超軽いな。」
ベッドに清子を押し倒すと、そのまま額に唇を合わせる。そのまま耳に唇を這わせる。くちゃっという音が耳についた。
「や……。」
ぞくっとした。耳たぶに少し痛みを感じたから。史が少し噛んだのだろう。
「耳、感じる?」
耳元で囁かれて息がかかる。それだけでゾクゾクした。
「や……。」
言葉とは裏腹に頬が赤く染まっていく。史はそのまま清子を見下ろすと、指で顎を下げる。すると嫌でも口が開いた。その口の中に舌を最初から入れる。
「ん……。ん……。」
丁寧に愛撫するように舌を舐めると、切なそうな声が漏れた。その唇を離して、また唇に触れると今度は胸に手を這わせる。敏感で胸の先に指を這わせると、清子はまた声を上げた。
「好きだよ。」
ワンピースの裾から手を入れて、服を脱がせた。
「シャワーを浴びたいです。」
「一緒に浴びるのと、このままするの、どっちがいい?」
「汗かいてるし……。」
「その匂いもいいんだ。興奮してくる。」
「変態。」
「どうとでも。」
ワンピースを脱がせると、下着が目に映る。あの量販店で買った下着は、レースがついていて前にみたモノよりも女らしい。眼鏡を取ってふとそれを見ると、違和感を感じた。
「これって……度が入ってない?」
すると清子は戸惑ったように口を開く。
「入ってますよ。少しですけど。本当は日常生活に困らない程度の視力です。」
「……え?」
眼鏡をかけていたのは、人を寄せ付けないため。眼鏡越しに見れば、一つ人と人との間に壁が出来たと思うから。
「だったら……俺の前では眼鏡を外して欲しい。君の全てを好きになりたいから。」
「私はあなたを好きにならない。」
「好きにさせるよ。」
史もシャツを脱ぎ捨てると、また清子の唇にキスをする。手慣れていて、思わず声が出てしまう。
「ん……。」
やっと自分のモノに出来る。ずっと我慢をしていたが、これで清子を抱くことが出来るのだ。それだけで自分のモノが固くなってきているのがわかる。
「清子。手を貸して。」
唇を離すと、清子の手をまだジャージのズボンをはいている自分の性器に持ってきた。感触でわかる。そこは固くなっていた。
「はちきれそうだ。すぐにでも入れたい。」
「早いですね。」
「それだけ君に興奮しているんだ。好きだから。」
何度も好きという言葉を言う。しかしその言葉は清子に届かない。
「まだ時間がかかりそうですね。」
「そのようだ。」
自然に部屋に行ける。そして今度こそ抱きたい。史はそう思いながら、清子の部屋の方へ上がっていく。
部屋に着くと、エアコンをつける。そして清子は脱衣所へ向かった。
「どうしたの?」
「表をうろうろ歩いていたので汗をかいたから、軽くシャワーでも浴びようと思って……。」
「それなら一緒に浴びよう。」
その言葉に清子は手を止める。そして史を見上げた。
「どうして?」
「今日は荷物も取りに行く。明日も休みだけれど、こんなにゆっくりした時間はない。だから……できるなら今日……。」
今日したい。思いっきり喘がせたい。求めて求められたい。ぐちゃぐちゃにして、清子の中に入れて出したい。この明るい日差しの中で、その顔が見たい。
「疲れてますね。昼くらいまで眠った方がいいですよ。私は荷物を取りに行きますから。」
脱衣所へ行きかけた足を止めて、清子はリビングへ戻ろうとした。しかしバッグを手にしようとした手を握られて、史の方をみる。
「何……。」
そのときぐいっと体を引き寄せられた。勢いで体が史の体に清子の体が倒れ込む。
「ずっとこうしたかった。生殺しだったんだんだ。」
「……。」
体をぎゅっと抱きしめられたが、清子は抵抗するように体を引き離そうとしていた。だがそうさせない。
「清子、好き。」
「や……。」
ワンピースを脱がせようと、その裾に手を伸ばす。そのときだった。
ピンポーン。
玄関のチャイムが鳴り、その音に史の手の力がゆるんだ。清子は史の体を離すと玄関へ向かいのぞき穴を見ると、そこには紺色の制服を着た警察官が数人いた。まだ話があるのだろうか。清子は不思議に思いながら、ドアを開ける。
「おはようございます。朝早くからすいません。」
「はい……。」
「正木史さんはこちらにご在宅ですか?」
「あ……はい。近くにいた方がいいと思って、ここにおります。」
清子は後ろに視線を投げかけると、史も玄関へ向かった。
「失礼……。鑑識が終わりましたので、カギをお返しに。」
警官の手には「三〇三」と書いた札の着いた鍵があり、それを史に手渡す。
「すいません。ありがとうございます。」
「それから、これは……。」
もう一人の警官の手には、ビニールに包まれたペン型の録音機があった。
「それは私のモノです。中に誰か入ったら証拠になると思って、おいておきました。」
そういって清子はそのペンを受け取ると、警官は納得したようにうなづく。
「指紋は確かに、あなたのモノと正木さんのモノだけがついていました。あなたのモノなのでしょうね。最近の録音機は良い。これもまた証拠品になりました。」
すると清子はそのペンを手にしてつぶやく。
「だからこそ、犯罪も増えてきます。巧妙になってきますからね。」
「全くです。では、私たちはこれで。」
警官はそういって去っていく。黒澤はどれくらいの保釈金を出しては出てこれるのだろう。実刑にはならないだろうが執行猶予がつくだろうし、史との接触禁止がでるだろうし、それ以前に「三島出版」も去らないと行けないだろう。
AV男優が次に出来る仕事など、限られてくるのだろうに。一次の感情で取り返しのつかないことをしてしまったのだ。
「清子。」
ぼんやりしている清子に史は声をかける。
「はい?」
「俺の部屋に来る?」
「……いいえ。正直、休みたい。さすがに疲れてるから。」
「じゃあ、ここでする?」
「休みたいと言ってるんです。」
「俺は休ませない。」
強情だ。だが史の強情さの方が上手をいくのかもしれない。玄関先で立ち尽くしている清子の体を、ふっと抱き上げた。
「な……。」
「超軽いな。」
ベッドに清子を押し倒すと、そのまま額に唇を合わせる。そのまま耳に唇を這わせる。くちゃっという音が耳についた。
「や……。」
ぞくっとした。耳たぶに少し痛みを感じたから。史が少し噛んだのだろう。
「耳、感じる?」
耳元で囁かれて息がかかる。それだけでゾクゾクした。
「や……。」
言葉とは裏腹に頬が赤く染まっていく。史はそのまま清子を見下ろすと、指で顎を下げる。すると嫌でも口が開いた。その口の中に舌を最初から入れる。
「ん……。ん……。」
丁寧に愛撫するように舌を舐めると、切なそうな声が漏れた。その唇を離して、また唇に触れると今度は胸に手を這わせる。敏感で胸の先に指を這わせると、清子はまた声を上げた。
「好きだよ。」
ワンピースの裾から手を入れて、服を脱がせた。
「シャワーを浴びたいです。」
「一緒に浴びるのと、このままするの、どっちがいい?」
「汗かいてるし……。」
「その匂いもいいんだ。興奮してくる。」
「変態。」
「どうとでも。」
ワンピースを脱がせると、下着が目に映る。あの量販店で買った下着は、レースがついていて前にみたモノよりも女らしい。眼鏡を取ってふとそれを見ると、違和感を感じた。
「これって……度が入ってない?」
すると清子は戸惑ったように口を開く。
「入ってますよ。少しですけど。本当は日常生活に困らない程度の視力です。」
「……え?」
眼鏡をかけていたのは、人を寄せ付けないため。眼鏡越しに見れば、一つ人と人との間に壁が出来たと思うから。
「だったら……俺の前では眼鏡を外して欲しい。君の全てを好きになりたいから。」
「私はあなたを好きにならない。」
「好きにさせるよ。」
史もシャツを脱ぎ捨てると、また清子の唇にキスをする。手慣れていて、思わず声が出てしまう。
「ん……。」
やっと自分のモノに出来る。ずっと我慢をしていたが、これで清子を抱くことが出来るのだ。それだけで自分のモノが固くなってきているのがわかる。
「清子。手を貸して。」
唇を離すと、清子の手をまだジャージのズボンをはいている自分の性器に持ってきた。感触でわかる。そこは固くなっていた。
「はちきれそうだ。すぐにでも入れたい。」
「早いですね。」
「それだけ君に興奮しているんだ。好きだから。」
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