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第3章 悪魔討伐クエスト。もちろん討伐される側で参戦ですが、何か?
28. 作戦を発表しちゃうよ~!アーユーレディ!?
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「作戦を発表しちゃうよ~!アーユーレディ!?」
「「「イェェェイ(かしら~)!!」」
闘技場でりのりんが、観客に向かって叫んだ。
それに彼らも歓声で答える。
魔王とその配下たちとのやり取りって、もっと殺伐としていると思うんだけどなぁ…
「では、発表してくれるのは…私の『ダーリン』ことユー先輩でぇすぅ!」
「「ザワッ…ザワッ…」」
おおーーーい!
『ダーリン』とか言っちゃうとマズイでしょーに!
皆の目冷たいし!
戦闘能力はないかも知れないけど、見た目とか超イカツイ人々だし!
勘弁してくれよ~!
…と、俺は内心焦った。
それを見せない、俺、クール!
するとアカネが俺の横に来て、小声で囁く。
「…あんた…愚痴るなら、『チャット』はオフにしなさいって…『俺、クール』って所まで、全部聞こえてるから!」
おふぅ…まじか…
急いでオフにする。
しかし何故オンになっていた…?
俺はチラリとりのりんを見る。
りのりんはペロっと舌を出して、俺に笑顔を向けていた。
あいつか…しかしどうやって…
りのりんは俺の所まで歩いてきて、マイクを渡す。
そして、さらりと衝撃的な事を口にした。
「先輩の首のアレ。実は、私がつけると、消えるまでは私の奴隷になっちゃうの」
「なっ!!?なにぃ!!?」
「ククク!心配しないで。
3ヶ月で消えるから」
「3ヶ月って!おい!俺がこの世界にいられるのは、あと2ヶ月なんだぞ!?」
「あれぇ、りのりん失敗しちゃったぁ」
「き、貴様~!」
俺はりのりんに『デコピン』をしようとした。
しかし、身体が動かない…
「ククク!奴隷のメニューを操作出来たり、私に攻撃できなくしたり、他もまぁ色々あるけど、とにかく今はりのりんの言う事を聞いてくれるかなぁ?」
「く、くそっ!」
りのりんが俺に対してウィンクして、作戦を発表するように促す。
俺は…いつの間にか、マイクで作戦を告げ始めていた…
「では、作戦を発表する。作戦は…『全員逃亡する!』だ!!」
シーーーーンと静まる一同。
すると一部の悪魔から不満の声が上がる。
「ふざけるな!魔王軍がニンゲン相手に背を向けて逃げるだと!」
「そうだ!そうだ!ここは籠城して、誇りを持って戦うべきだ!」
「そもそもソイツもニルゲンなんだろ!?ニンゲンなんて信用出来るか!」
「そうだ!帰れ!!」
そんな声に押され、ブーイングと共に罵声が飛び交う。
「か・え・れ!か・え・れ!」
そしていつしか息の合った「帰れコール」に変わっていった。
りのりんはその様子をニヤニヤしながら見ている。
りのりんは俺を値踏みしているようだ。
背中を預けるに足る『男』であるかと…
俺は大きく息を吸い込んだ。
おそらくりのりんは俺が失敗するのを期待しているのだろう。
俺が失敗して、それを助ける事で魔王としての威厳を見せしめ、従わせるつもりなのだ。
面白い…
その期待、裏切ってやるよ!
さぁ、ハッタリの開始だ!
大声でマイクを通してシャウトする。
「うるせぇぇぇぇ!悪魔ども!!」
キィィィーンというハウリングと共に、俺の声は悪魔の心を掴んだ。
悪魔の声が静まる。
「いいか!?良く聞け!!
貴様たちは『弱い』んだ!
武器も力もない雑魚なんだよ!!」
俺の言い様に悪魔たちの表情が怒りに変わる。
俺はピリピリした空気をもろともせずに続ける。
「正直、手練のプレイヤー一人で、貴様たち全員、殲滅しちまうだろうな!」
ザワっと悪魔たちはとまどう。
「そうだ!現実を見やがれ!悪魔共!貴様たちは、ちんけな『誇り』とかいう薄っぺらい強がりをかざして、全滅し行く種族なのか!?」
すると悪魔の一人が口を開く…
「そんなのニンゲンのお前には関係ない!」
「「そうだ!そうだ!」」
俺は声のする方を睨み付ける。
「あぁ、確かに関係ないな。俺だってこんな面倒に巻き込まれて、ほとほと迷惑だと思ってたんだよ!」
悪魔たちの表情が軽蔑に変わる。
「…だがな…そこの『魔王』が、たかだか20にも満たない女の子が、頭下げてきたんだ」
悪魔たちの目線がりのりんに向けられる。
「『悪魔たちを助けて下さい!』ってな!」
再びざわつく悪魔たち。
「言っておくが、このクエストは『魔王』である、りのりんが最も命を狙われるんだ!
その『魔王』が『配下』である貴様らを『憎き』ニンゲンである俺に対して『助けてください』って頭下げたんだ!」
悪魔たちは完全に静まっている。
「そんな表情で懇願されて、『俺には関係ない』って他人面したら、それこそ『悪魔』じゃねえか!
俺はなぁ、本心から貴様らを助けたいって、そう思ってんだ!
だから頼む!!」
そう告げると俺は土下座した。
それはもう綺麗な土下座だ。
「この通りだ!
頼むから『生きて』くれ!
一時の屈辱には耐えてくれ!!
魔王の心は貴様らと共にある!
だから、誰か一人でも死んだら、魔王りのりんは自分の事の様に苦しむだろう。
そんな魔王の姿を見たくないだろ!?
だから生きてくれ!!」
悪魔たちはすすり泣きを始めている。
「俺も貴様らと共にある!
貴様らが死ぬ時は俺も死ぬ!!
だからここは、魔王が託した俺に、貴様らの命を預けてくれ!!
必ず貴様らを生かしてやる!」
悪魔たちの目に光が灯る。
俺は立ち上がって、拳を固めた。
「そして約束しよう!
貴様らに必ず『逆襲』する機会を作ってやる事を!!
このまま負け犬のままでない、誇り高き貴様らしか出来ない『逆襲』ってやつをニンゲン共に見せてやろうぜ!!!」
「「「ウォォォォ(かしら~)!!!」」」
「ユー様!!この命使ってくだせぇ!!」
「あは!ユーさまぁ!愛してるぅ!」
悪魔たちから俺への称賛が起こる。
なんか変なのが混ざっているが無視だ。
「「ユー!ユー!ユー!(かしら~)」」
いつの間にか「帰れコール」は「ユーコール」に変わっていた。
りのりんが俺に近付いてくる。
「ご褒美ですぅ」
チュッ
観衆の目の前で俺に口づけをした。
「最高ですよぉ…私痺れちゃいましたぁ」
「ふん!さっきまで失敗を期待してたくせに!」
「ククク!人聞き悪いなぁ、先輩は」
そしてジークが高らかと宣言した。
「魔王とその『夫』である『大魔王』に大いなる祝福を~~!!!」
「「「ウォォォォ(かしら!?)!!!」」
地なりの様な悪魔たちの歓声がこだました。
ジークよ…
『夫』だと?『大魔王』だと…??
お前もグルだったのか…
そんな事を思っていたが、それを無視した魔王は俺の手を取って、歓声に応えていた。
◇◇
その日の日没から作業は急ピッチで進んだ。
作業時間は日没から翌日の午前中まで。
つまり俺たちが、『バグ』でない間だけだ。
なぜなら俺たちの作業は、魔界の外へと続いて行ったからである。
時間はあっと言う間に過ぎて行く。
そして、いよいよその日を迎えた。
クエスト開始の日を。
「「「イェェェイ(かしら~)!!」」
闘技場でりのりんが、観客に向かって叫んだ。
それに彼らも歓声で答える。
魔王とその配下たちとのやり取りって、もっと殺伐としていると思うんだけどなぁ…
「では、発表してくれるのは…私の『ダーリン』ことユー先輩でぇすぅ!」
「「ザワッ…ザワッ…」」
おおーーーい!
『ダーリン』とか言っちゃうとマズイでしょーに!
皆の目冷たいし!
戦闘能力はないかも知れないけど、見た目とか超イカツイ人々だし!
勘弁してくれよ~!
…と、俺は内心焦った。
それを見せない、俺、クール!
するとアカネが俺の横に来て、小声で囁く。
「…あんた…愚痴るなら、『チャット』はオフにしなさいって…『俺、クール』って所まで、全部聞こえてるから!」
おふぅ…まじか…
急いでオフにする。
しかし何故オンになっていた…?
俺はチラリとりのりんを見る。
りのりんはペロっと舌を出して、俺に笑顔を向けていた。
あいつか…しかしどうやって…
りのりんは俺の所まで歩いてきて、マイクを渡す。
そして、さらりと衝撃的な事を口にした。
「先輩の首のアレ。実は、私がつけると、消えるまでは私の奴隷になっちゃうの」
「なっ!!?なにぃ!!?」
「ククク!心配しないで。
3ヶ月で消えるから」
「3ヶ月って!おい!俺がこの世界にいられるのは、あと2ヶ月なんだぞ!?」
「あれぇ、りのりん失敗しちゃったぁ」
「き、貴様~!」
俺はりのりんに『デコピン』をしようとした。
しかし、身体が動かない…
「ククク!奴隷のメニューを操作出来たり、私に攻撃できなくしたり、他もまぁ色々あるけど、とにかく今はりのりんの言う事を聞いてくれるかなぁ?」
「く、くそっ!」
りのりんが俺に対してウィンクして、作戦を発表するように促す。
俺は…いつの間にか、マイクで作戦を告げ始めていた…
「では、作戦を発表する。作戦は…『全員逃亡する!』だ!!」
シーーーーンと静まる一同。
すると一部の悪魔から不満の声が上がる。
「ふざけるな!魔王軍がニンゲン相手に背を向けて逃げるだと!」
「そうだ!そうだ!ここは籠城して、誇りを持って戦うべきだ!」
「そもそもソイツもニルゲンなんだろ!?ニンゲンなんて信用出来るか!」
「そうだ!帰れ!!」
そんな声に押され、ブーイングと共に罵声が飛び交う。
「か・え・れ!か・え・れ!」
そしていつしか息の合った「帰れコール」に変わっていった。
りのりんはその様子をニヤニヤしながら見ている。
りのりんは俺を値踏みしているようだ。
背中を預けるに足る『男』であるかと…
俺は大きく息を吸い込んだ。
おそらくりのりんは俺が失敗するのを期待しているのだろう。
俺が失敗して、それを助ける事で魔王としての威厳を見せしめ、従わせるつもりなのだ。
面白い…
その期待、裏切ってやるよ!
さぁ、ハッタリの開始だ!
大声でマイクを通してシャウトする。
「うるせぇぇぇぇ!悪魔ども!!」
キィィィーンというハウリングと共に、俺の声は悪魔の心を掴んだ。
悪魔の声が静まる。
「いいか!?良く聞け!!
貴様たちは『弱い』んだ!
武器も力もない雑魚なんだよ!!」
俺の言い様に悪魔たちの表情が怒りに変わる。
俺はピリピリした空気をもろともせずに続ける。
「正直、手練のプレイヤー一人で、貴様たち全員、殲滅しちまうだろうな!」
ザワっと悪魔たちはとまどう。
「そうだ!現実を見やがれ!悪魔共!貴様たちは、ちんけな『誇り』とかいう薄っぺらい強がりをかざして、全滅し行く種族なのか!?」
すると悪魔の一人が口を開く…
「そんなのニンゲンのお前には関係ない!」
「「そうだ!そうだ!」」
俺は声のする方を睨み付ける。
「あぁ、確かに関係ないな。俺だってこんな面倒に巻き込まれて、ほとほと迷惑だと思ってたんだよ!」
悪魔たちの表情が軽蔑に変わる。
「…だがな…そこの『魔王』が、たかだか20にも満たない女の子が、頭下げてきたんだ」
悪魔たちの目線がりのりんに向けられる。
「『悪魔たちを助けて下さい!』ってな!」
再びざわつく悪魔たち。
「言っておくが、このクエストは『魔王』である、りのりんが最も命を狙われるんだ!
その『魔王』が『配下』である貴様らを『憎き』ニンゲンである俺に対して『助けてください』って頭下げたんだ!」
悪魔たちは完全に静まっている。
「そんな表情で懇願されて、『俺には関係ない』って他人面したら、それこそ『悪魔』じゃねえか!
俺はなぁ、本心から貴様らを助けたいって、そう思ってんだ!
だから頼む!!」
そう告げると俺は土下座した。
それはもう綺麗な土下座だ。
「この通りだ!
頼むから『生きて』くれ!
一時の屈辱には耐えてくれ!!
魔王の心は貴様らと共にある!
だから、誰か一人でも死んだら、魔王りのりんは自分の事の様に苦しむだろう。
そんな魔王の姿を見たくないだろ!?
だから生きてくれ!!」
悪魔たちはすすり泣きを始めている。
「俺も貴様らと共にある!
貴様らが死ぬ時は俺も死ぬ!!
だからここは、魔王が託した俺に、貴様らの命を預けてくれ!!
必ず貴様らを生かしてやる!」
悪魔たちの目に光が灯る。
俺は立ち上がって、拳を固めた。
「そして約束しよう!
貴様らに必ず『逆襲』する機会を作ってやる事を!!
このまま負け犬のままでない、誇り高き貴様らしか出来ない『逆襲』ってやつをニンゲン共に見せてやろうぜ!!!」
「「「ウォォォォ(かしら~)!!!」」」
「ユー様!!この命使ってくだせぇ!!」
「あは!ユーさまぁ!愛してるぅ!」
悪魔たちから俺への称賛が起こる。
なんか変なのが混ざっているが無視だ。
「「ユー!ユー!ユー!(かしら~)」」
いつの間にか「帰れコール」は「ユーコール」に変わっていた。
りのりんが俺に近付いてくる。
「ご褒美ですぅ」
チュッ
観衆の目の前で俺に口づけをした。
「最高ですよぉ…私痺れちゃいましたぁ」
「ふん!さっきまで失敗を期待してたくせに!」
「ククク!人聞き悪いなぁ、先輩は」
そしてジークが高らかと宣言した。
「魔王とその『夫』である『大魔王』に大いなる祝福を~~!!!」
「「「ウォォォォ(かしら!?)!!!」」
地なりの様な悪魔たちの歓声がこだました。
ジークよ…
『夫』だと?『大魔王』だと…??
お前もグルだったのか…
そんな事を思っていたが、それを無視した魔王は俺の手を取って、歓声に応えていた。
◇◇
その日の日没から作業は急ピッチで進んだ。
作業時間は日没から翌日の午前中まで。
つまり俺たちが、『バグ』でない間だけだ。
なぜなら俺たちの作業は、魔界の外へと続いて行ったからである。
時間はあっと言う間に過ぎて行く。
そして、いよいよその日を迎えた。
クエスト開始の日を。
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