出遅れ勇者の無双蹂躙~世界滅亡寸前からの逆襲~

友理潤

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第3章

ベトジア掃討戦4

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「神速斬」

俺は疾風の様に駆け出すと同時に両手の剣を自由自在に振るう。

スパッ!
スパッ!

綺麗な切断される音を残し、残りわずかとなったデビルリーフはハラハラと舞い落ちていく。

みるみるうちに大木の化け物との距離が縮まってきた。

「グオオ!」

大木からけたたましい叫び声が街にこだます。
その時…

ドゴッ!

「…むっ!」

地中から木の根が一斉に伸びてきた。

その内の一本が俺の右足首に絡みつくと、一気に持ち上げた。

俺は剣でその根を払う。

カキン!

しかし高い金属音とともにそれは弾かれてしまった。

「グハハハ!無駄だ!俺様は鉄と同じ硬さだからな!」

「…面倒くさいやつだ」
と俺は溜め息をつく。

「その余裕は何時まで続くかな?」

すると他の根がスルスルと伸びてきて、俺の左足首、それに両手首に絡みついた。

俺は上空で磔(はりつけ)の様に、大の字になる。

「グハハハ!いい眺めだなぁ!勇者さんよお!」

「…調子に乗るなよ」

「グハハハ!その状態で何が出来る?」

俺は余裕の表情を崩さない。
ニタリと笑って答えた。

「…貴様を地獄送りにする…とか」

俺の一言に大木の表情が怒気に染まる。

「しゃらくせぇ!このトレントウォーリアー様が食いつくしてくれるわ!」

そう宣言したトレントウォーリアーは大きな口から長い舌を伸ばしてくる。
俺は素早く魔法を詠唱した。

「光の精よ、その身に宿る聖なる力を解き放て!『デバインライトニング』」


ピカッ!!

魔法を唱えた俺の全身からまばゆい光が放たれる。

「グワァ!!」

トレントウォーリアーの見開いていた目に光が突き刺さった。

この魔法は元は死霊系の魔物を一斉に浄化させる為に使うのだが、この様にその閃光で目くらましにも利用出来る。

突然の事にトレントウォーリアーの根の力が緩む。
俺はその隙にその縛りを解いた。
そして
「リトルフレア!」
と着地とともに魔法を飛ばす。

ボンッ!

「ぐげっ!」

魔物の顔面に小さな爆発が起こる。
トレントウォーリアーは怯む。

それと同時に再び差を詰める俺。

「グオオ!!」

再び咆哮をあげたトレントウォーリアーは、頭…葉をつけた木の枝をブンと振る。

ガサガサ…

木の葉がまとめて落ちるとともに、それがデビルリーフとなって俺に襲いかかってきた。

「…元凶はお前か」

焦げた顔を上げたトレントウォーリアーは
「殺せ!そこの勇者を食い荒らせ!!」
とデビルリーフに指示する。

四方から俺を取り囲む様に襲ってくるデビルリーフに対して、俺は
「スパイラルスラッシュ」
とコマの様にグルンと回りながら、剣で斬り伏せた。

「食らえ!ニードルブッシュ!」

今度はトレントウォーリアーがスキルを放つ。

ビュン!
ビュン!
ビュン!

針(ニードル)と言うより、槍の様な木の枝が俺に数本襲ってくる。

カキン!
カキン!
カキン!

それらをことごとく撃ち落としながら、トレントウォーリアーとの距離をつめていった。

「くそぉ!!」

トレントウォーリアーの雄叫びとともに、再び地面が盛り上がる。

ドゴッ!

「…何度も通用するか」

そして足元からの根の奇襲にもヒラリとかわした。

グン!

ニードルブッシュと根に寄る攻撃をやり過ごすと、トレントウォーリアーの根元まで一気に駆ける。

バッ!

そして飛び上がる。
俺の目の前には枝葉の茂み。

「…剪定の時間だ!千剣の舞!」

俺は幹から幹へと軽やかに渡りながら舞う。
剣の軌道が綺麗な曲線の残像を残していく。

スタッ

俺は舞いを終えると地面に降り立つ。

そして剣を鞘に納めた瞬間…

バラバラバラバラ

トレントウォーリアーから生えていた全ての葉っぱが木っ端微塵になって落ちた。

「ば、ばかなぁ!!?お前は何者だ!?」

「…ただの勇者だ」

驚愕の表情を浮かべるトレントウォーリアー。

「…次で仕上げだ」

「や、やれるもんならやってみやがれ!鋼鉄にも劣らない俺の身体を傷つけられるかな!?」

俺はニタリと笑う。

「…では問う」

トレントウォーリアーは俺の殺気に怯む。

「な、なんだ!?」

「…貴様は耐える事が出来るのか?」

「な、何にだ!?」

「…俺の魔法に」

グン!と俺は魔力を高める。
トレントウォーリアーは焦った表情を浮かべる。

「ハッタリだ!ハッタリに決まってる!死ね!ニードルブッシュ!」

ビュン!
ビュン!

再び襲ってくる枝の針。

「…無駄だぁ!!!」

ブワァッ!!

俺の一喝に風が巻き起こる。
同時に枝は全て舞い落ちた。

「ひ、ひぃ…」

なすすべを失ったトレントウォーリアーから情けない声があがる。

俺はグッと睨み付けると魔法を唱えた。

「爆ぜろ!烈光のごとく弾けろ!爆烈魔法!『エクスプロージョン』!!」

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