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第2章
コウヤの里の生き残り1
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◇◇
どれくらい眠っていたのだろう?
目を開く前に意識が先に覚醒する。
まぶたの先には朝日の光が明るいのがはっきりと分かった。
ああ、生き延びたのだ…
当たり前とも言える朝の目覚めが、感慨深い。
俺はゆっくりと目を開けた。
「…ここは…?」
小さな小屋の中。藁が敷いてあり、俺はそこで寝かされていた。
取り付けられた小さな窓からは、眩しい太陽の光が部屋を照らしている。
無意識に俺はそこにいるはずのない人物を探す。
「…サヤ…」
いつも俺より先に起きて、朝の準備をしていた彼女。
俺の目覚めが遅いと、優しいキスでそっと起こしてくれた彼女の影を探していた。
「…いるわけないか…」
先のサウスオーシャン海戦では、ザンザを始め、多くの乗組員の犠牲を出した。
しかし彼らの哀悼よりも、サヤの事を考えてしまう俺は勇者失格だろうか。
俺はサヤとの事を思い出していた。
頭を撫でるとトロける様な笑顔で喜ぶ。
甘えたい時は上目づかい。
そして、ベッドの中での彼女…
柔らかなサヤの肌。
見つめ合う時の嬉しそうな顔。
感じている時の恥じらう声。
そんな彼女からは想像もつかないような情熱的なキス。
俺を受け入れる時の慈愛に満ちた表情。
全てを終えた後の幸せそうな寝顔。
「…サヤ…」
いつからだろう、そこにはいつもサヤがいた。
それが当たり前になっていた。
まだ出会ってからわずかな時間しか過ごしていないのに…
その『当たり前』が俺の側にない朝。
心にポッカリと大きな穴が出来た様な虚しさを感じていた。
「…俺は…」
魔王を倒し…聖女テレシアをぶちのめす…
そんな使命すら怪しく揺らいだ。
俺が体を起こし、一人苦悩している中、部屋に人が入ってきた。
「あら、ようやく目を覚ましたのね」
黒く長い髪、大きな胸がはちきれんばかりのタイトな服。
腰は見事にくびれ、ホットパンツが彼女の長い脚を引き立たせている。
整った顔立ちで、切れ目の美人がそこに立っていた。
「…お前は誰だ?」
「それはこちらのセリフでしょう?
あなたこそ、だぁれ?」
と艶やかな声で俺の質問に対して、質問で返してくる。
「…ジェイ」
「私はティナ。よろしくね、ジェイ」
ティナと名乗った女性は、妖艶な微笑みで俺に握手を求めてきた。
俺はそっとその手を握った。
柔らかな感触がする。
…とその時だった。
グンッ!
握られた俺の手がティナによって引き寄せられる。
そして彼女は俺の顎をクイっと持ち上げる。
鼻と鼻がくっつく程に顔が近付く。
そして俺を睨む様に、彼女の目が鋭く光った。
「あなた、何者?」
「…旅人だ」
俺はとっさにそう答えた。
「お姉さんに嘘は良くないなぁ」
「…嘘…だと?」
「だってあなた…血の臭いがする。しかも大量の…」
「…なぜ分かる?」
「フフフ、まるで私が正体を探られているみたい」
ティナと俺は相変わらず顔を急接近させながらお互いの視線をぶつけていた。
「…俺は…勇者だ」
俺は素直に告白した。
一瞬ティナの表情に驚きが混じる。
しかしすぐにもとの微笑みに戻った。
「そうなのね。それも嘘っぽいけど」
「…嘘ではない」
しばらく続く睨み合う俺たち。
彼女は俺に嘘がない事をその視線で感じたようだ。
ティナは俺の顎から手を放し、俺から少し距離を取った。
そして
「あなたが勇者なら、私はあなたに復讐しなくてはならないわ」
と、今までにない殺気をまとって言い放った。
俺はその場で立ち上がる。
どうやら魔力と体力はともに回復している様だ。
俺も彼女の殺気に気圧されない様に、殺気を放った。
「フフフ、いいわぁ。その感じ…
お姉さん、濡れてきちゃった」
「…俺をどうする?」
「フフフ、焦らないの。真実を知ってもらってから、お姉さんが殺してあ・げ・る」
とティナは殺気をまとったまま、微笑みを俺に向けた。
そして
「ついてきて頂戴。あなたに色々と教えてあげるから。フフフ」
と言うとそのまま小屋から外へ出る様に俺を促した。
そして小屋を出た俺は唖然とした。
「…こ、これは…」
そこには大量の墓石が等間隔で並んでいた。
地平線の彼方まで…
「フフフ、これ…全てあなたのせいで死んだ人々…私の大切な家族たちよ」
「…ば、馬鹿な…」
そしてティナは俺の剣を差し出してきた。
「さぁ剣を取りなさい。丸腰の相手を倒したところで復讐にはならないわ」
俺は剣を彼女から受け取るとそのままそれを抜き、身構えた。
「いいわぁ、その目。流石は勇者様ね。私達が長年お待ちしてきた勇者様…
これでやっと果たせる、家族の無念が…」
そうティナは上空を見上げながら呟く。そして剣というよりは、刀という表現が正しい武器を抜いた。
「さあ始めましょうか。お姉さんがたっぷりと教えてあげるわ…復讐の味を」
どれくらい眠っていたのだろう?
目を開く前に意識が先に覚醒する。
まぶたの先には朝日の光が明るいのがはっきりと分かった。
ああ、生き延びたのだ…
当たり前とも言える朝の目覚めが、感慨深い。
俺はゆっくりと目を開けた。
「…ここは…?」
小さな小屋の中。藁が敷いてあり、俺はそこで寝かされていた。
取り付けられた小さな窓からは、眩しい太陽の光が部屋を照らしている。
無意識に俺はそこにいるはずのない人物を探す。
「…サヤ…」
いつも俺より先に起きて、朝の準備をしていた彼女。
俺の目覚めが遅いと、優しいキスでそっと起こしてくれた彼女の影を探していた。
「…いるわけないか…」
先のサウスオーシャン海戦では、ザンザを始め、多くの乗組員の犠牲を出した。
しかし彼らの哀悼よりも、サヤの事を考えてしまう俺は勇者失格だろうか。
俺はサヤとの事を思い出していた。
頭を撫でるとトロける様な笑顔で喜ぶ。
甘えたい時は上目づかい。
そして、ベッドの中での彼女…
柔らかなサヤの肌。
見つめ合う時の嬉しそうな顔。
感じている時の恥じらう声。
そんな彼女からは想像もつかないような情熱的なキス。
俺を受け入れる時の慈愛に満ちた表情。
全てを終えた後の幸せそうな寝顔。
「…サヤ…」
いつからだろう、そこにはいつもサヤがいた。
それが当たり前になっていた。
まだ出会ってからわずかな時間しか過ごしていないのに…
その『当たり前』が俺の側にない朝。
心にポッカリと大きな穴が出来た様な虚しさを感じていた。
「…俺は…」
魔王を倒し…聖女テレシアをぶちのめす…
そんな使命すら怪しく揺らいだ。
俺が体を起こし、一人苦悩している中、部屋に人が入ってきた。
「あら、ようやく目を覚ましたのね」
黒く長い髪、大きな胸がはちきれんばかりのタイトな服。
腰は見事にくびれ、ホットパンツが彼女の長い脚を引き立たせている。
整った顔立ちで、切れ目の美人がそこに立っていた。
「…お前は誰だ?」
「それはこちらのセリフでしょう?
あなたこそ、だぁれ?」
と艶やかな声で俺の質問に対して、質問で返してくる。
「…ジェイ」
「私はティナ。よろしくね、ジェイ」
ティナと名乗った女性は、妖艶な微笑みで俺に握手を求めてきた。
俺はそっとその手を握った。
柔らかな感触がする。
…とその時だった。
グンッ!
握られた俺の手がティナによって引き寄せられる。
そして彼女は俺の顎をクイっと持ち上げる。
鼻と鼻がくっつく程に顔が近付く。
そして俺を睨む様に、彼女の目が鋭く光った。
「あなた、何者?」
「…旅人だ」
俺はとっさにそう答えた。
「お姉さんに嘘は良くないなぁ」
「…嘘…だと?」
「だってあなた…血の臭いがする。しかも大量の…」
「…なぜ分かる?」
「フフフ、まるで私が正体を探られているみたい」
ティナと俺は相変わらず顔を急接近させながらお互いの視線をぶつけていた。
「…俺は…勇者だ」
俺は素直に告白した。
一瞬ティナの表情に驚きが混じる。
しかしすぐにもとの微笑みに戻った。
「そうなのね。それも嘘っぽいけど」
「…嘘ではない」
しばらく続く睨み合う俺たち。
彼女は俺に嘘がない事をその視線で感じたようだ。
ティナは俺の顎から手を放し、俺から少し距離を取った。
そして
「あなたが勇者なら、私はあなたに復讐しなくてはならないわ」
と、今までにない殺気をまとって言い放った。
俺はその場で立ち上がる。
どうやら魔力と体力はともに回復している様だ。
俺も彼女の殺気に気圧されない様に、殺気を放った。
「フフフ、いいわぁ。その感じ…
お姉さん、濡れてきちゃった」
「…俺をどうする?」
「フフフ、焦らないの。真実を知ってもらってから、お姉さんが殺してあ・げ・る」
とティナは殺気をまとったまま、微笑みを俺に向けた。
そして
「ついてきて頂戴。あなたに色々と教えてあげるから。フフフ」
と言うとそのまま小屋から外へ出る様に俺を促した。
そして小屋を出た俺は唖然とした。
「…こ、これは…」
そこには大量の墓石が等間隔で並んでいた。
地平線の彼方まで…
「フフフ、これ…全てあなたのせいで死んだ人々…私の大切な家族たちよ」
「…ば、馬鹿な…」
そしてティナは俺の剣を差し出してきた。
「さぁ剣を取りなさい。丸腰の相手を倒したところで復讐にはならないわ」
俺は剣を彼女から受け取るとそのままそれを抜き、身構えた。
「いいわぁ、その目。流石は勇者様ね。私達が長年お待ちしてきた勇者様…
これでやっと果たせる、家族の無念が…」
そうティナは上空を見上げながら呟く。そして剣というよりは、刀という表現が正しい武器を抜いた。
「さあ始めましょうか。お姉さんがたっぷりと教えてあげるわ…復讐の味を」
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