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第1章

奴隷を買う1

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一方的なゴブリン軍の殲滅を終えた俺は、余韻に浸りながらゆっくりと城の大門まで戻ってきた。
体を温める準備運動にはならなかったが、気持ちを熱くさせるには十分な戦いであった事には違いない。特に、『ムゲンノリュウセイ』を唱えた後のゴブリンたちの阿鼻叫喚は非常に素晴らしかった。
他人から見れば趣味の悪い話かもしれないが、俺は魔物たち惨殺することに何ら躊躇(とまど)いはない。
それどころか、それを生きがいや喜びとしている。
もちろん俺だって生まれた時からこんな冷酷で変態とも言えるような性格であった訳ではない。とある女性…聖女テレシアに叩きこまれたのだ。
「勇者は魔物を喜んで殺さないとやってられないわよ」
と…

そんな感慨にふけって歩いていると、いつの間にか城門の前まで来ていた。
俺をアステリア王とレイナ王女が笑顔で出迎える。

「すごかったわ!ジェイ!」
「ありがとうございます!勇者様!これで散っていったものの無念も晴れましょう!」

二人とも甲冑の姿ではあるが、重苦しい鉄仮面は外していた。
やはりレイナ王女は美人であった。
束ねていた長い金色の髪を今は下ろしている。
王も王女も疲れが感じられたが、その表情は尊敬と安堵が浮かんでいた。

彼らの表情を見て、俺はあらためてこの城を救った事を実感した。
しかし全くもって誇らしい気持ちにはなれない。なぜなら俺が葬り去った相手は、魔物の中でも下の下もいい所、なにせ「ゴブリン」だ。
俺がよく知っている女性なんか、
「あんたね!そうやってサボっていると、ゴブリンにするわよ!」
が小言の決まり文句だった。
それくらい卑下されている存在の大群を殲滅したくらいで鼻を高くするつもりは毛頭ない。


俺は城の中に入る前に、戦場から持ち帰った布の包みを丁寧に王に渡す。王はそれを悲痛な面持ちで受け取った。
それは第一王子ルークの首が入った包みだ。

「お兄様…」

レイナも喜色満面の笑みから一転して、泣き出さんばかりの悲しい表情でそれを見つめている。
しばらく続く沈黙は、ルークを弔う為の黙とうのように俺には思えた。

この戦いで命を落としたのはもちろん彼だけではない。
他の王国兵たちの骨を拾ってあげられなかった事に、俺は心を痛めた。
もう少しだけ早くここに来れていれば、彼らは命を落とす事はなかったかもしれない…
そう考えただけで、「勇者になる為の修行」という名目で俺を999年間も天界に縛り付けていた聖女テレシアへの怒りの火に油が注がれる。
もちろん俺の彼女に対する怒りの理由はこの事だけではない。
彼女の終わる事のない計画…俺はその暴走を止める為に生きているといっても過言ではない。
今の沈黙は、俺はあいつを絶対に許さない…そう決意を一層固める時間となった。

しばしの沈黙を破るように、流石は王と言ったところか、引きずる事なく俺にある提案をもちかける。

「勇者よ、こたびの働き…実に見事であった。今宵はこの者も含めた戦で散った者たちの弔いと、勇者の凱旋を合わせ、城でお主をもてなしたい。よろしいだろうか?」
と王は軽く俺に頭を下げた。
媚びへつらう事もなく、かと言って尊大でもない、王として鑑のような態度に俺は感心していた。
そして王の提案に対し、
「…了解した」
と答えた。

◇◇
「勇者さまだぁ~!」
「勇者さまがお戻りなったぞ!」

ワァァ~~!!!

俺が門をくぐった瞬間に大歓声が俺たちを包んだ。
先ほどまでおびえるように静寂に包まれていた城下町は、勇者を一目見ようとする人で溢れていた。
そしてゆっくりと城に向かって歩く俺たちに紙吹雪が舞う。

アステリア王とレイナ王女は周囲に手を振って歓声に応えていた。
一方の俺はどうしていいか分からずに、無表情でうつ向き加減なまま淡々と歩みを進めていた。
どうも俺はこう言った歓迎は苦手だ。全身がむず痒くなる。

そんな俺の様子を見てレイナが意地悪い笑顔を向けてきて、
「ジェイ、ここは民衆の歓声に応えなきゃ!」
と俺の右手を掴むと高々とそれを上げた。

ワァァァ~~ッ!!

一層大きな歓声が上がる。
俺はレイナのされるがままに任せて民衆に応えていたが、本当は恥ずかしくてたまらなかった。

◇◇
ゴブリンとの戦いよりも長いのではないかと思うほど、ゆっくりと時間をかけて俺たちは城へとたどりついた。
しかし城でもまた多くの兵士たちの歓迎を受ける。
絶望が大きければ大きいほど、それから解放された時の喜びも大きくなるという訳か…
今後はこういった「儀式」のような凱旋にも慣れていかないといけないな…それを思うと、俺の気持ちは民衆とは裏腹に曇っていった。

今夜過ごすようにと用意されていた客間に通される。
大きなベッドが中央に置かれたその部屋は、装飾品や小物に至るまで高級品であることが何となく俺にも分かった。おそらくこの部屋は国賓を通す部屋なのだろう。
この部屋の装飾も俺を疲れさせた。

「…はぁ…」

ようやく一人になったのはいいのだが、このまま城に籠っていても、この精神的な疲れは抜けないだろう。そう考えた俺はこっそりと城の外へと抜け出して、一人で気分転換を図ることにした。
夕食までに戻れば、特に怪しまれないだろう。そんな風に考えていたのである。

◇◇
「…まじか…」

それは城を出て最初に発した俺の言葉だ。
折角一人になってのびのびと過ごそうと決めていたのに、城の外に出ても、既に俺の顔や姿を目に焼きつけていた民衆たちによりたちまち囲まれてしまった。

「勇者様!手を振ってぇ!」
「勇者様!うちの子供の頭を撫でてくださいな!」
「勇者様!うちでお茶でも飲んでいきませんか?」

鬱陶しい…
しかしそんな事はもちろん口には出せないので、俺は人々を避けるように街の奥へと進んでいった。

気づけば辺り一帯がうす暗い。
どうやら街の暗部のエリアに迷い混んでしまったようである。
しかしちょうど一人になりたかった俺にとっては、不気味なほどに静かなこの辺りはかえって好都合であった。
ここらで時間を潰そうと考え、周囲をウロウロとする。ようやく俺の心に平穏が訪れる。
戦闘はめっぽう好きだが、他人との交流は嫌い…自分でも「単なる戦闘バカ」である事の自覚はあるつもりだ。
しかし他人がどう思おうとも、苦手なものは苦手なのだ。
それを今更直す事はないだろうと俺は、一人変な決心を固めていたのだった。

目的地もなく歩き続けていると、なにやら怪しい看板が目に入った。

「…奴隷商会」

その雰囲気に引かれるように、俺はその看板の建物の中へと入っていった。

◇◇
建物に入った俺を出迎えたのは、一人の男だった。
背丈は低くく痩せ型、さほど年齢はいっていなそうだが、いくつもの顔の皺がある。
そして何よりも気味悪い笑顔がとても印象的だ。
店の中は薄暗く、少しツンとする臭いがする。
奴隷を扱う店である事は明白だが、肝心の奴隷は店頭には出ていないようだ。
しかし戦時下において奴隷など買うほどの余裕がある人がいるのか…?
俺はふと疑問に思ったが、この界隈では立派な建物だ。商売として成り立っている何よりの証拠だろうと、この時の俺は思っていた。

「おやおや、何のご用件で?こちらは奴隷をお分けするしがない商店ですが…?」

どうやらこの男は俺の事を客だとは思っていないらしい。
そりゃそうだよな…
身なりは平凡、奴隷を買う程裕福には見えない。

ただ俺は「奴隷を買う」という事について、ちょうど良いと思っていた。
999年もの間、聖女テレシアによって天界に封じられていた俺は、この世界の常識が全く分かっていない。そのため、俺がこの世界で生きて行くには、身の回りの世話をしてくれる者がいると助かる。
多少いかがわしい店ではあるが、これも何かの縁だ。
ここで良い奴隷がいたら、お世話になろうと考えた。

「…客だ」

俺の回答に店主の男が驚く。しかし、俺を値踏みするように見つめると、
「おやおや、これはお客様でしたか。これは失礼しました。しかし奴隷を雇うというのは、先立つものがございませんと…」
と、右手の親指と人差し指で小さな円を作って俺に何かを悟るよう促している。

「…金か?」
「はい…それは大切な事ですので…」

俺は『メニュー』と呼ばれる小型端末を起動させる。
お金やアイテムはこの『メニュー』に格納するのが、この世界では一般的となっているらしい。
これだけは天界で聖女に習っていた事だ。
言わば財布と大きなリュックを小さな端末にまとめたような、大変便利なグッズなのだ。

お金を持っていても価値が分からない俺は、お金の残高を表示させ、店主に見せた。

「…足りるか?」

店主はそれを見た瞬間に驚き、腰を抜かしてしまった。

「ひゃ…120万ゴールドですと…!?」

俺は先のゴブリン軍の殲滅でこの金額を手に入れていた。
ちなみ魔物を倒して戦闘を勝利で終えるとレベルアップに必要な経験値だけではなく、『メニュー』にお金が加算されるという、なんとも便利な仕組みになっている。
しかもその魔物のレベルが高ければ高いほど、得られる経験値もお金も多くなる。
ただし戦闘から離脱したり、戦闘に敗れたりすると、それまでの過程でいくら魔物を倒しても、経験値やお金は入手できない…
勝つ事こそが絶対という、勝利が約束された強さを誇る俺にとっては好都合な仕組みであった。

そして、あとから店主に聞いたのだが、こちらの世界では1万ゴールドで中流家庭の家が1軒購入できるほどの価値らしい。
120万ゴールドというのがいかに破格であるかは容易に想像ができる。

ゴブリンたちのレベルが無駄に高かったがゆえに、大金が放り込まれてきたのだ。
犬死にしてくれた上に、経験値とお金を提供してくれたのだ、ゴブリンたちには感謝せねばならない。もう少し強ければ、何の文句もなかったのだが…

そんな感慨にふけっていると、店主は

「しょ、少々お待ちください!」

と、慌てふためいて店の奥へと消えていった。
他人を見た目で判断するから、慌てることになるのだ、俺は店主の感心しない態度に少しいらだちを覚えながら、彼の帰りを待つ。
そしてしばらくすると、数人の奴隷とともに戻ってきた。
どれも若い女性ばかりだ。どうやら主人は俺が「あっちの世話をしてくれる」奴隷を求めにきたと思っているらしい。一人だけマッチョな男性がいるのが、少し…いや、物凄く気にはなったが…
俺の視線が思わずそちらの男性に向くと、

「やや!お客様!そっちの方でしたか!?実は私めも…」

と店主がイヤらしい顔つきで俺の顔を覗き込んできた。

「…違う。そして、この男はいらない」

マッチョな男と店主は明らかにガッカリしている。まさか本気で俺がこの男を選ぶと思っていたのだろうか…
いかにも身の回りの世話をかいがいしく出来るようには思えないので、即刻却下した。

俺は一人のみすぼらしい少女に目が釘付けとなった。
その少女は見た目は17歳くらいだろうか…
こちらの世界では珍しく、俺と同じ黒髪で肩ほどまでの長さだ。
顔はあどけなさが残る可愛い顔立ちで、わずかに膨らんだ胸と華奢な体は幼さを感じさせる。
数いる女性たちの中で、なぜこの少女に引かれたのか、自分でもよく分からない。
女性の身体という点だけで言えば、この少女は最も魅力が薄いのではないかと思われる。
ただ、彼女の大きな瞳は他の女性たちと比較すると、透き通っているのが特徴的だった。
この瞳に俺は引かれたのだろうか…

そんな俺の様子に店主が彼女について教えてくれた。
彼女はどうやら捨て子のようで、この店で赤ん坊の頃から育てられたとのことだ。
将来的に売り物にする為に、身の回りの世話から、男性の世話に至るまでを、徹底的に教え込まれてきたらしい…
それは、このいたいけな少女は、すでに産まれた時から、男性の慰みになる運命を背負っている事を意味していた。俺は他人にはあまり興味を示すことはないと自負しているつもりだが、この少女に対しては、その瞳と宿命に心うたれてしまった事は認めざるを得なかった。

彼女はそんな俺の視線に対して、おびえるような表情で俺から目を離していた。
膝が震えているのが分かる。これから自分に起こるであろう事に恐怖しているのかも知れないな…

そんな俺と彼女の気持ちなど、全くくみ取りもせずに、店主はイヤらしい顔で、
「処女ですぞ」
と無駄な事を俺にささやいた。

俺はそんな情報を得る前にすでにこの少女を貰い受ける事に決めていた。
その為に彼女の値段をたずねる。

「…いくらだ?」

店主は1本の指を立てる。

「…10万…か?」

「いえいえ!そんなにはいただけません!1万ゴールドです!それでもかなりの大金なんですよ!」

慌てる店主を尻目に俺はお金を取り出して、その場に置いた。
そして、店主がそれを数え終え、かけていた手錠を外した瞬間に少女を抱き寄せた。
柔らかい彼女の感触。栄養はそれなりに取れているようだ。

「…名前は?」
「サヤ…」
「…そうか」

そしてサヤの首筋に俺は吸いついた。

ジュル…

「あ…」

サヤから恍惚としたあえぎ声が漏れる。

「お、お客様!外でやってくださいよ!!」
店主が何を勘違いしたのか、慌てている。
よく慌てる男だな…

しばらく俺はサヤの首筋に吸いつくと、ゆっくりと離れた。
俺の唾液がすぅーっと糸を引く。

サヤは顔を紅潮させてうっとりとしていた。

「…終わりだ。行くぞ」

「お、お客様…今のは!?」

「…奴隷の契約。闇の魔法」

サヤの首筋に付けられた痣(あざ)。この痣がある限り、サヤは俺に逆らう事が出来ない。
そんなことをしなくても、俺に逆らうことなど出来なさそうであったが、無性にしたくなったのだ。
それは聖女テレシアに俺が受けた屈辱と全く同じ行為であった。
俺が絶対に許さない聖女テレシアに…


俺はサヤを連れて店を後にした。
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