上 下
37 / 47

お食事 魔物豚の角煮

しおりを挟む
今回の料理

 豚の角煮と煮卵(魔物肉)
 ほうれん草と豆腐の味噌汁

 
使用スキル
 【 マテリア化 】(自動)
 【 野菜の種 】
 【 調味料+2生成 】    
 【 道具生成 】
 【 調理器具+2生成 】
 【 食品加工 】

使用魔法
風・火・水・土属性魔法
 
春人は、最初に調理用のテーブルといつもの大き目のテーブルをアイテムボックスから取り出した。次に少し大きい物をもうひとつスキルで作成した。全員分の椅子を並べていく。

「本当はきちんとした食事を用意したかったんだけど、急ぐから、あらかじめ作っておいた丼物で良いかな?」
 
「そうね。早急にモンスターの討伐をしないといけないものね。私が味噌汁だけでも作ろうか?」
 
「俺の担当だから、味噌汁だけは作るよ。討伐もそうだけど、さっきも言ったように考えがあるんだ。みんなは座って待っていてくれ。」
 
 真のトゥルー友情コムラーズのメンバーもこれに異論はない。普段であれば移動中の食事は魔物肉が取れなければ、単なる栄養補給だった。その味は美味しい物ではない。それと似たようなものであると食事には期待していない。
 
「「「はい。」」」
 
 春人は、土属性魔法で竈のような物を作ると、そこに薪を入れ、火属性魔法で火を起こした。鍋を二つセットして水属性魔法で水を入れる。真のトゥルー友情コムラーズの面々はそれを見て、またもや驚いている。

 沸騰するまでの待ち時間にタブレットを操作している。
 
「うららさん……兄貴は三属性の魔術師なのか?」 

「私達はそういう言葉があるとしたら、全属性なのよ。」

 うららはヴァンサンに枠がキラキラ輝いている鉄のプレートを見せる。
 
「凄いっ。やけに特別感があるね。聞いた事はあるけど、二人共って言うのは信じられないよ。さっきのを見た後だから納得だけどね。」
  

ほうれん草と豆腐の味噌汁
≪ 材料 ≫
 ほうれん草
 豆腐
 味噌
 鰹だし
 水
 
 しばらくして、春人は、沸騰した小さい方の鍋に同じく取り出したほうれん草を半分くらい入れる。そのまましばらく待つとほうれん草を鍋に落とした。 
 ほうれん草に火が通った所で、取り出すと冷水に入れてから、それをまな板に乗せる。切った後で鰹だしと大きな鍋に投入した。そして味噌を溶かしていく。最後にアイテムボックスから取り出した豆腐を、掌の上で切りながら投入した。

「うららとコユキ。味噌汁をよそってみんなに配ってくれるか?」
 
「「はーい。」」
 
 スキルで味噌汁用のお椀を生成し、うららに手渡す。
 
 
豚の角煮(魔物肉)と煮卵
≪ 材料 ≫
 魔物肉(ホグワイルド)
 ネギ(青い部分)
 生姜
 砂糖
 みりん
 醤油
 半熟ゆで卵
 ライス
 
魔物肉の角煮丼は、前日に作り置きしておいた分だ。 

 まずは魔物肉のブロックを大き目にカットしフライパンで焼く。油を拭いたら鍋に入れ、生姜とネギと共に一時間くらい下茹でする。油が白く固まるまで十分に冷やす。油を取り除く。別の鍋に肉を投入し、酒、砂糖、みりん、しょうゆを加えて、茹で汁をお肉がひたるくらいまで入れる。一時間弱煮込む。火を止め軽く冷ましたら半熟ゆで卵を入れる。時間も経過するコユキのアイテムボックスにしまって一晩置く。
 これを今朝温め直し、春人の時間の止まるアイテムボックスに入れておいた。  
 
 春人は釜に入ったホカホカのライスをアイテムボックスから取り出し、スキルで生成した丼によそっていく。そこに角煮と煮卵を乗せてみんなの席に配っていく。
 
 真のトゥルー友情コムラーズのメンバーは、その匂いだけで、驚きの表情を隠せなかった。嗅いだ事のないタレの甘い香りが鼻を心地よく刺激する。

≪ 薬味 ≫
 紅生姜
 七味唐辛子
 小口切りにしたネギ
 
 春人はアイテムボックスから、薬味の入った容器を取り出し、二つのテーブルに乗せた。

「これが紅生姜で、これがネギ、これが七味だ。紅生姜はこの角煮丼用だけど、ネギと七味はお好みでどちらに入れても問題はないと思うよ。」

真のトゥルー友情コムラーズの面々が見た事もないような食事を見て、唾を呑み込む。
 
「とても食欲のそそる匂いだ。」
「美味しそう。」
「不思議な食べ物ね。」

 全員が席についた所で、春人が一言。

「それじゃあ。みんな食べてくれ。いただきます。」
  
「「「いただきます。」」」
 
真のトゥルー友情コムラーズのメンバーは、まずは春人の食べている姿を見て、どうやって食べるのかを確認する。春人はトングで紅生姜を丼に乗せる。箸で肉をかじると続けてご飯と紅生姜を頬張った。それを見て、まずはヴァンサンが同じ様にトングで紅生姜を丼に乗せて肉を食べると、そこで動きが止まる。
 
「……なんだこれはっー! こんな風に口の中でまったりと、とろける肉があったのかっ!! 美味いぞー。美味過ぎる。痺れるような紅生姜が、肉の味をさっぱりと引き締めている。」

レンがヴァンサンに続いた。
 
「本当だ。うまーいっ! こんな濃厚で柔らかな肉は食べた事がないぞ。白いつぶつぶにまでタレの味が染みて、肉の味と絶妙に絡み合う。これぞ、まさに至高だっ。」 

「喜んでくれて嬉しいよ。その白いのはごはんね。」

 他のメンバー達も食べ始め、みんなが一斉に驚きの声を上げている。

「お肉ってこんなに美味しいものか? お肉に染み込んだ甘くてしょっぱいタレがやみつきになる。」
「このスープもシンプルでさっぱりしているのに、とても深い味わいよ。」 
「この七味をかけると辛くて、風味も変わるぞ。フォークが止まらない。こんなに美味いものが食べられるなんて、なんて幸せなんだ。」
「私は紅生姜とネギ入りが最高。食べた事のない味付けに、肉と野菜のコンビネーションがたまらないわ。」
 
 うららが、一心不乱に丼をかきこむ真のトゥルー友情コムラーズを見て笑っている。
 
「この国の人が春人の料理を食べたら、たしかにそうなるでしょうね。特に時間と手間の掛かる料理は、あまり食卓には並ばなかったし、現代人の私でも特別に美味しいもの。」 
 
「うちは世界中を周ったけど、春人の料理は美味し過ぎるんだよ。」
 
  
 賑やかな食卓は数分が過ぎ、春人だけは量を少なめにしてあったので、素早く食べ終えていた。

「じゃあ。俺は準備をするから、もしおかわりをしたい人がいたら、各自でよそってね。」
 
「なんとっ。おかわりがあるのですか?」
「落ち着け、シン。春人は忙しいみたいだ。煩わせるな。」
 
「あはは。大丈夫。お腹いっぱい食べてよ。」
「「ありがとうございます。」」
  
 真のトゥルー友情コムラーズがおかわりに喜んでいる。
 春人はタブレットを操作し考察遊戯の続きをプレイしていた。そのまま、しばらくはゲームをプレイし、みんなに今後の事について簡単に説明する。
 
真のトゥルー友情コムラーズのメンバーは、ついさっき俺が能力に関与出来る条件・・が整ったんだ。簡単に言うと今よりも強くなれる。その下準備をしているので、食べながら少しだけ待っていて欲しい。」 

「他人を強化する能力なんて聞いた事が……いや……ひとつだけある。兄貴はもしかして賢者様なのか?」

「違うよ。そんな大層なものじゃない。けど、効果は高いと思うから期待はしても良いよ。」 


 
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
ここからは後書きです。興味のない場合は読み飛ばして下さい。
 
 
冒険者証の枠の色 → 魔法属性
≪ 一種 ≫
 火:赤 風:緑 水:水色 土:黄 樹:灰
 
≪ 二種 ≫ 基本的にメタリック
 火風:紫 火土:橙 風水:青 水土:黒  
 火風水土+樹(それぞれの一種が薄くなる)  風土&火水:銀

≪ 三種 ≫
 火風水:ピンクゴールド その他:金 

≪ 樹入り四種 ≫ 
 白金

≪ 全属性 ≫
 構造色(虹色)
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

バイトで冒険者始めたら最強だったっていう話

紅赤
ファンタジー
ここは、地球とはまた別の世界―― 田舎町の実家で働きもせずニートをしていたタロー。 暢気に暮らしていたタローであったが、ある日両親から家を追い出されてしまう。 仕方なく。本当に仕方なく、当てもなく歩を進めて辿り着いたのは冒険者の集う街<タイタン> 「冒険者って何の仕事だ?」とよくわからないまま、彼はバイトで冒険者を始めることに。 最初は田舎者だと他の冒険者にバカにされるが、気にせずテキトーに依頼を受けるタロー。 しかし、その依頼は難度Aの高ランククエストであることが判明。 ギルドマスターのドラムスは急いで救出チームを編成し、タローを助けに向かおうと―― ――する前に、タローは何事もなく帰ってくるのであった。 しかもその姿は、 血まみれ。 右手には討伐したモンスターの首。 左手にはモンスターのドロップアイテム。 そしてスルメをかじりながら、背中にお爺さんを担いでいた。 「いや、情報量多すぎだろぉがあ゛ぁ!!」 ドラムスの叫びが響く中で、タローの意外な才能が発揮された瞬間だった。 タローの冒険者としての摩訶不思議な人生はこうして幕を開けたのである。 ――これは、バイトで冒険者を始めたら最強だった。という話――

性転換マッサージ2

廣瀬純一
ファンタジー
性転換マッサージに通う夫婦の話

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

神速の成長チート! ~無能だと追い出されましたが、逆転レベルアップで最強異世界ライフ始めました~

雪華慧太
ファンタジー
高校生の裕樹はある日、意地の悪いクラスメートたちと異世界に勇者として召喚された。勇者に相応しい力を与えられたクラスメートとは違い、裕樹が持っていたのは自分のレベルを一つ下げるという使えないにも程があるスキル。皆に嘲笑われ、さらには国王の命令で命を狙われる。絶体絶命の状況の中、唯一のスキルを使った裕樹はなんとレベル1からレベル0に。絶望する裕樹だったが、実はそれがあり得ない程の神速成長チートの始まりだった! その力を使って裕樹は様々な職業を極め、異世界最強に上り詰めると共に、極めた生産職で快適な異世界ライフを目指していく。

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~

いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。 他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。 「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。 しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。 1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化! 自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働! 「転移者が世界を良くする?」 「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」 追放された少年の第2の人生が、始まる――! ※本作品は他サイト様でも掲載中です。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

いずれ殺される悪役モブに転生した俺、死ぬのが嫌で努力したら規格外の強さを手に入れたので、下克上してラスボスを葬ってやります!

果 一
ファンタジー
二人の勇者を主人公に、ブルガス王国のアリクレース公国の大戦を描いた超大作ノベルゲーム『国家大戦・クライシス』。ブラック企業に勤務する久我哲也は、日々の疲労が溜まっている中、そのゲームをやり込んだことにより過労死してしまう。 次に目が覚めたとき、彼はゲーム世界のカイム=ローウェンという名の少年に生まれ変わっていた。ところが、彼が生まれ変わったのは、勇者でもラスボスでもなく、本編に名前すら登場しない悪役サイドのモブキャラだった! しかも、本編で配下達はラスボスに利用されたあげく、見限られて殺されるという運命で……? 「ちくしょう! 死んでたまるか!」 カイムは、殺されないために努力することを決める。 そんな努力の甲斐あってか、カイムは規格外の魔力と実力を手にすることとなり、さらには原作知識で次々と殺される運命だった者達を助け出して、一大勢力の頭へと駆け上る! これは、死ぬ運命だった悪役モブが、最凶へと成り上がる物語だ。    本作は小説家になろう、カクヨムでも公開しています 他サイトでのタイトルは、『いずれ殺される悪役モブに転生した俺、死ぬのが嫌で努力したら規格外の強さを手に入れたので、下克上してラスボスを葬ってやります!~チート魔法で無双してたら、一大勢力を築き上げてしまったんだが~』となります

異世界転生~チート魔法でスローライフ

リョンコ
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

処理中です...