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第一章 誕生日おめでとう
第9話 蛇
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3つの卵は気配に怯えた
咄嗟に、ピヨはルヴナンの殻に押された
転がれ! 転がれ! とルヴナンの切迫した声がピヨともう一人の卵を急かす
ピヨは必死になって転がった
割れてしまうんじゃないか、ということも忘れるくらいに
転がって、転がって、転がって、生きようとした
その這う気配は草むらの中を卵と並行してついてきている
草むらが大きく揺れる
気配が近くなる
長く大きな影が迫る
「もうだめだ! もうだめだ! もうだめだ!」
ピヨとルヴナンの後ろを転がっていたあの卵が叫んだ
死を待っていた卵は、死を前にして恐怖でパニックになりながら硬直したらしい
ピヨの後ろでルヴナンが方向を変える音がした
命を懸けてルヴナンが動けなくなった卵をかばいに出たようだった
ピヨは振り返る事もできないまま、その危機を感じ取った
ルヴナンが死んでしまう――!!
ピヨは叫びたかった、でもその前にルヴナンに影が追いつくのが分かった
ピヨの卵の前を一つの大きな羽の羽ばたきが通る音がした
ピヨはその羽ばたきにおぼえがあった
あの時、雛を助けた時の母鳥の羽ばたきだ
「助けて! お母さん――!」
ピヨの声に反応して、鳥の威嚇する声が響いた
影が一瞬止まり、ルヴナンたちの前に出る前にすっと引いていく気配がする
ピヨはぷるぷる卵を震わせ気配が去っていくのを待った
「もう、大丈夫だ――」
ルヴナンのホッとしたような声がする
ピヨはあの恐ろしい影が大きな死の気配のような気がした
あれはなんだったんだろう、この世界にあんなものがいるなんて
蛇だ――と、あの死を恐れた卵の呟いた声がした
咄嗟に、ピヨはルヴナンの殻に押された
転がれ! 転がれ! とルヴナンの切迫した声がピヨともう一人の卵を急かす
ピヨは必死になって転がった
割れてしまうんじゃないか、ということも忘れるくらいに
転がって、転がって、転がって、生きようとした
その這う気配は草むらの中を卵と並行してついてきている
草むらが大きく揺れる
気配が近くなる
長く大きな影が迫る
「もうだめだ! もうだめだ! もうだめだ!」
ピヨとルヴナンの後ろを転がっていたあの卵が叫んだ
死を待っていた卵は、死を前にして恐怖でパニックになりながら硬直したらしい
ピヨの後ろでルヴナンが方向を変える音がした
命を懸けてルヴナンが動けなくなった卵をかばいに出たようだった
ピヨは振り返る事もできないまま、その危機を感じ取った
ルヴナンが死んでしまう――!!
ピヨは叫びたかった、でもその前にルヴナンに影が追いつくのが分かった
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「もう、大丈夫だ――」
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あれはなんだったんだろう、この世界にあんなものがいるなんて
蛇だ――と、あの死を恐れた卵の呟いた声がした
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