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二章 Aルート(通常)
スキル"完全記憶"
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今にも殺し合いが始まりそうなバチバチの中、俺はとりあえず二人を止めようとした。
「二人とも落ち着くんだ。」
「すみません、福様。福様のお言葉だとしてもこの想いだけは止められません。」
「それはチニーも同感。」
(はあ。まあ無理だよなぁ。)
俺は言葉で止めることは諦め、力づくで止めることにした。だが、チニーとベインのどちらも詳しいスキル内容がわからない。
(チニーは大蛇戦でレングスの"破壊道"を模倣していたから模倣の類のスキルだろう。そして、ベインは剣を操作したり、浮いたり、人差し指で銃のような力を見せたりでまるで俺の"信仰心"だ。)
「レングスさんには悪いですがあなたのようなうじ虫には死んでもらいます。」
「ずっと福に纏わりついてたあなたの方がうじ虫みたい。」
二人は罵りあって一旦顔を合わせた後、お互い一気に詰め寄った。下手すれば俺には止められないかもしれない戦闘が始まってしまった。
(止めようにもまずはこの二人のスキル解析をしなければ。)
俺はそう思い、二人の戦闘を怯えたテリーと見ていた。
「まずはこれです。」
そう言ってベインはあの強化剣をいつのまにか持ってチニーに斬りかかった。チニーはその剣に対し、先ほどベインが見せた人差し指を向ける格好をした。
「一体なんの真似ですか。そんなブラフを張っても頭脳の都出身のあなたが攻撃系のスキルを持ったないことはわかっていますよ。」
そう言ってベインは人差し指を向けられたままチニーの方へ突進する。
「確かにチニーのスキル元々戦闘向きじゃない。だけど、ある条件下では強くなれる。」
(遂にチニーのスキルがわかる。)
「"完全記憶"。」
そう呟くとチニーに人差し指を向けられた強化剣に穴が空いた。
「なんですって!?」
ベインは初めて驚きの表情を見せる。
「まだ終わらない。」
チニーは続けて人差し指をベインに向けた。ベインはまずいと感じたのか空に退避して距離を取ったが、チニーも負けじと空を飛びベインを追いかける。
「なんで空まで飛べるの!」
チニーの能力の多彩さにベインをはじめ、一同が驚く。
(俺の強化付与はとっくに解除してる。ということはあの発砲のようなのも飛翔のようなものも全てチニーの力で発動しているんだ。)
つまり現在、俺、ベイン、チニーの三人が多数の能力を保有しているという異常な空間が発生しているのだ。
(特別な力のはずのスキル"信仰心"が薄れるな。だが、俺の"信仰心"が信者に拠る力であるように何かスキルに制限があるはず。それを見極めて、二人の戦闘を止める。)
そう考えた俺は二人の戦闘の観察を続ける。
「ああ、もう鬱陶しいです!雷で丸焦げになってください!」
そう言ってベインは空を飛んでチニーと距離を離しながら天に手を掲げる。するとどんどん雲が集まり見るからに雷雲のような雲の集合体ができた。
「本当に殺してしまいますよ?今ならまだ福様を諦めることを条件に命を助けてあげてもいいですけど。」
「あなたじゃチニー殺せない。」
「そうですか。では死んでください。」
そしてベインは空に掲げていた手をチニーの方に向けた。雷雲から稲妻がチニーに襲い掛かる。
(あの威力はまずい!今すぐ"瓦解"をチニーに!)
しかし、そう思った時には既にピカッと光った稲妻がチニーの元へ落ちていた。
(くっ!)
稲妻による強烈な光で視界が一瞬真っ白になる。そして徐々に戻ってきた視界に映っていたのはチニーの前で雷が停止している光景だった。
「なんでです?」
驚きを超え、呆れた表情でいたベインがチニーに問いかける。
「チニーのスキルは"完全記憶"。条件が揃えば見た能力を使える。今使ったのもあなたの能力を記憶したもの。」
(なるほど。大蛇戦の時に"破壊道"を使ったのはレングスのスキルを記憶したからか。)
そして、記憶して表出した能力であるが故に大蛇のスキル無効の蛇眼に見られても能力が無くならなかったというわけだ。
「そういうことですか。じゃあさっき私が色んな能力を使った時点であなたへの勝機を失っていたのですね。」
「だけどチニーの攻撃はあなたと同じもの。だからチニーの攻撃もあなたに通らない。つまり、この戦い終わらない。」
どうやら二人とも少し落ち着いたようで、地上の俺たちの元へ戻ってきた。
「二人とも落ち着いたか?」
「はい。すみません、お見苦しいところを。」
「チニーもごめんなさい。」
「わかればいいんだ。」
回り道をしたが、二人ともしっかりと話し合いの場に五体満足で戻ってくることができた。
(話し合いの続きをするか。)
まだまだ沢山ある疑問をベインに聞いていくことにした。
「ベイン、君が私のことを好いていてくれるのは十分わかった。だが、なぜ君は機神などと名乗っていたんだ?」
(好きになると真似をしたくなるとかいう話を聞いたことがあるが、さすがになんの目的もなく神を名乗りはしないだろう。)
神を名乗るということがどういうことかは、俺の歩みを見てきたのならばよく理解しているはずだ。
「それは福様がお作りになられた神の概念がスキル呪縛を解くのに有効だからです。」
思いもよらない発言に俺は度肝を抜かれた。
「二人とも落ち着くんだ。」
「すみません、福様。福様のお言葉だとしてもこの想いだけは止められません。」
「それはチニーも同感。」
(はあ。まあ無理だよなぁ。)
俺は言葉で止めることは諦め、力づくで止めることにした。だが、チニーとベインのどちらも詳しいスキル内容がわからない。
(チニーは大蛇戦でレングスの"破壊道"を模倣していたから模倣の類のスキルだろう。そして、ベインは剣を操作したり、浮いたり、人差し指で銃のような力を見せたりでまるで俺の"信仰心"だ。)
「レングスさんには悪いですがあなたのようなうじ虫には死んでもらいます。」
「ずっと福に纏わりついてたあなたの方がうじ虫みたい。」
二人は罵りあって一旦顔を合わせた後、お互い一気に詰め寄った。下手すれば俺には止められないかもしれない戦闘が始まってしまった。
(止めようにもまずはこの二人のスキル解析をしなければ。)
俺はそう思い、二人の戦闘を怯えたテリーと見ていた。
「まずはこれです。」
そう言ってベインはあの強化剣をいつのまにか持ってチニーに斬りかかった。チニーはその剣に対し、先ほどベインが見せた人差し指を向ける格好をした。
「一体なんの真似ですか。そんなブラフを張っても頭脳の都出身のあなたが攻撃系のスキルを持ったないことはわかっていますよ。」
そう言ってベインは人差し指を向けられたままチニーの方へ突進する。
「確かにチニーのスキル元々戦闘向きじゃない。だけど、ある条件下では強くなれる。」
(遂にチニーのスキルがわかる。)
「"完全記憶"。」
そう呟くとチニーに人差し指を向けられた強化剣に穴が空いた。
「なんですって!?」
ベインは初めて驚きの表情を見せる。
「まだ終わらない。」
チニーは続けて人差し指をベインに向けた。ベインはまずいと感じたのか空に退避して距離を取ったが、チニーも負けじと空を飛びベインを追いかける。
「なんで空まで飛べるの!」
チニーの能力の多彩さにベインをはじめ、一同が驚く。
(俺の強化付与はとっくに解除してる。ということはあの発砲のようなのも飛翔のようなものも全てチニーの力で発動しているんだ。)
つまり現在、俺、ベイン、チニーの三人が多数の能力を保有しているという異常な空間が発生しているのだ。
(特別な力のはずのスキル"信仰心"が薄れるな。だが、俺の"信仰心"が信者に拠る力であるように何かスキルに制限があるはず。それを見極めて、二人の戦闘を止める。)
そう考えた俺は二人の戦闘の観察を続ける。
「ああ、もう鬱陶しいです!雷で丸焦げになってください!」
そう言ってベインは空を飛んでチニーと距離を離しながら天に手を掲げる。するとどんどん雲が集まり見るからに雷雲のような雲の集合体ができた。
「本当に殺してしまいますよ?今ならまだ福様を諦めることを条件に命を助けてあげてもいいですけど。」
「あなたじゃチニー殺せない。」
「そうですか。では死んでください。」
そしてベインは空に掲げていた手をチニーの方に向けた。雷雲から稲妻がチニーに襲い掛かる。
(あの威力はまずい!今すぐ"瓦解"をチニーに!)
しかし、そう思った時には既にピカッと光った稲妻がチニーの元へ落ちていた。
(くっ!)
稲妻による強烈な光で視界が一瞬真っ白になる。そして徐々に戻ってきた視界に映っていたのはチニーの前で雷が停止している光景だった。
「なんでです?」
驚きを超え、呆れた表情でいたベインがチニーに問いかける。
「チニーのスキルは"完全記憶"。条件が揃えば見た能力を使える。今使ったのもあなたの能力を記憶したもの。」
(なるほど。大蛇戦の時に"破壊道"を使ったのはレングスのスキルを記憶したからか。)
そして、記憶して表出した能力であるが故に大蛇のスキル無効の蛇眼に見られても能力が無くならなかったというわけだ。
「そういうことですか。じゃあさっき私が色んな能力を使った時点であなたへの勝機を失っていたのですね。」
「だけどチニーの攻撃はあなたと同じもの。だからチニーの攻撃もあなたに通らない。つまり、この戦い終わらない。」
どうやら二人とも少し落ち着いたようで、地上の俺たちの元へ戻ってきた。
「二人とも落ち着いたか?」
「はい。すみません、お見苦しいところを。」
「チニーもごめんなさい。」
「わかればいいんだ。」
回り道をしたが、二人ともしっかりと話し合いの場に五体満足で戻ってくることができた。
(話し合いの続きをするか。)
まだまだ沢山ある疑問をベインに聞いていくことにした。
「ベイン、君が私のことを好いていてくれるのは十分わかった。だが、なぜ君は機神などと名乗っていたんだ?」
(好きになると真似をしたくなるとかいう話を聞いたことがあるが、さすがになんの目的もなく神を名乗りはしないだろう。)
神を名乗るということがどういうことかは、俺の歩みを見てきたのならばよく理解しているはずだ。
「それは福様がお作りになられた神の概念がスキル呪縛を解くのに有効だからです。」
思いもよらない発言に俺は度肝を抜かれた。
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