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一章 始まりの村
転生
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「ここは……どこだ?」
四方八方を真っ白な雲のようなもので覆われた空間で一人目を覚ました俺はゲームやアニメでよく見たありきたりな展開に胸を躍らせた。
「これは死後の世界で神様か何かが異世界に行く前にスキルや装備をくれるパターン?」
するといかにも神というような風貌のお爺さんが雲の中から現れた。
「待ち侘びたぞ。先の世界でお主は死んだ。だが安心するが良い、わしはお主を異世界に転生させるためにここにいる。」
俺は死ぬ前に願った良い世界に行けるかもしれないという希望に胸を膨らませ、そのお爺さんの言葉を聞き続けた。
「ただ、異世界と言っても色々あるんじゃ。お主が生きていた世界のゲームやアニメに出てくる異世界というものが千差万別であったように実際の異世界もいろんな種類がある。」
「そうなのか。それで俺の転生する異世界はどんなところなんだ?」
「安心せい。今回の異世界はお主が想像しているような王道な場所であるから安心するのじゃ。」
「具体的には?」
「人口の約三割にだけ生まれるときに備わる"スキル"が人生を左右する世界であり、スキル持ちはそのスキルを成長させながら生活をしていく。スキルには戦闘に役立つものから日常に役立つものまで種々様々なものがあり、中でも強いスキルを持つものは勇者や冒険者と呼ばれて生活をし、世界の平和を保っている。」
「平和を保っているということは魔王か何かが世界の滅亡を企んでるような世界なのか?」
「そうじゃ、今回の異世界には魔王と呼ばれる世界を滅ぼそうとする輩が存在する。そやつがいなくなればその異世界には永遠の平和が訪れるじゃろう。そして、それができるのはお主だけなんじゃ!」
「なんで俺だけなんだよ……勇者は何やってるんだ?」
「まあ、色々事情があるんじゃよ。」
「そうかい。それで俺にはどんなスキルが備わるんだ?」
「スキルが備わる前提か、まあ良い。お主に与えるスキルは"信仰心"じゃ。」
「"信仰心"……ってあの祈るやつだよな。え、それで何ができるんだ?」
せっかくの希望に満ちた異世界転生での超重要要素であるスキルの宣告でよくわからないことを言われたときの気持ちと言ったら筆舌に尽くしがたいものでだった。
「そう落ち込むでない、ちゃんとスキルの内容を確認してから反応をするのじゃ。」
「じゃあ、スキルの内容を教えてくれ。」
「スキル"信仰心"のその内容は、スキル主が信仰する神と同じ神を信仰する者の信仰度に比例してスキル主が他者を強化できるスキルじゃ!」
「"スキル主を"強化するんじゃなくて?」
「そうじゃ、"スキル主が"他者を強化できるのじゃ。」
「………」
「ま、まあ待つのじゃ、人を強化できるというのはすごいことなんじゃぞ。なにせ本来なら一人に一つしかないはずのスキルに信仰心の強化を加えれば実質的にスキルが二つ付与されるようなものじゃからな。うまく使いこなせば魔王討伐の勇者パーティなどにスカウトされるかもしれんのじゃぞ!?」
「俺は小さい頃から自分が神みたいに強くなりたいって思ってたんだ、人を強化するスキルなんて俺にとっては一番いらないスキルなんだよ!」
「ふむぅ……じゃが、付与されてしまったものは仕方がないのぉ。もうすぐお主から光が溢れて異世界転生が始まるんじゃし、気分を切り替えてどのようなセカンドライフを送るかじっくり考えるのじゃ。あ、それと一つ言い忘れてあったことがあるのじゃが……」
「なんだよ?」
「その……今のお主にはとても言いがたいことなんじゃが……」
「なんだ?はっきり言え!」
「実は、今から行く世界には神様の概念がないのじゃ。だからよく考えたら信仰心のスキルが使えんかもしれん、確認不足じゃった……本当にすまぬ!!」
「……は?それじゃ俺はスキル無しで生きていくってのか!?そんなの無理に決まってるだろ!どうにかしろよ!」
「まあでも他者を強化するスキルはいらないって言っておったことじゃし、さっきのスキルなら無しでもいいんじゃ……」
「それとこれとは話が違うだろ!お前は神としての責任を果たせよ!」
「しょうがないのぉ。では、せめてもの償いとして生活に困らないように"神の知恵"と呼ばれる超人的な思考力を授けておく、それで良いじゃろう。」
「神の知恵か、まあ知恵があればなんとかなりそう……なのか?」
「とにかくセカンドライフを楽しむんじゃぞ~。」
「あんた本当に神かよ……」
こうして俺はとても神様とは思えない爺さんの酷い手続きのもと、異世界に転生を果たした。
四方八方を真っ白な雲のようなもので覆われた空間で一人目を覚ました俺はゲームやアニメでよく見たありきたりな展開に胸を躍らせた。
「これは死後の世界で神様か何かが異世界に行く前にスキルや装備をくれるパターン?」
するといかにも神というような風貌のお爺さんが雲の中から現れた。
「待ち侘びたぞ。先の世界でお主は死んだ。だが安心するが良い、わしはお主を異世界に転生させるためにここにいる。」
俺は死ぬ前に願った良い世界に行けるかもしれないという希望に胸を膨らませ、そのお爺さんの言葉を聞き続けた。
「ただ、異世界と言っても色々あるんじゃ。お主が生きていた世界のゲームやアニメに出てくる異世界というものが千差万別であったように実際の異世界もいろんな種類がある。」
「そうなのか。それで俺の転生する異世界はどんなところなんだ?」
「安心せい。今回の異世界はお主が想像しているような王道な場所であるから安心するのじゃ。」
「具体的には?」
「人口の約三割にだけ生まれるときに備わる"スキル"が人生を左右する世界であり、スキル持ちはそのスキルを成長させながら生活をしていく。スキルには戦闘に役立つものから日常に役立つものまで種々様々なものがあり、中でも強いスキルを持つものは勇者や冒険者と呼ばれて生活をし、世界の平和を保っている。」
「平和を保っているということは魔王か何かが世界の滅亡を企んでるような世界なのか?」
「そうじゃ、今回の異世界には魔王と呼ばれる世界を滅ぼそうとする輩が存在する。そやつがいなくなればその異世界には永遠の平和が訪れるじゃろう。そして、それができるのはお主だけなんじゃ!」
「なんで俺だけなんだよ……勇者は何やってるんだ?」
「まあ、色々事情があるんじゃよ。」
「そうかい。それで俺にはどんなスキルが備わるんだ?」
「スキルが備わる前提か、まあ良い。お主に与えるスキルは"信仰心"じゃ。」
「"信仰心"……ってあの祈るやつだよな。え、それで何ができるんだ?」
せっかくの希望に満ちた異世界転生での超重要要素であるスキルの宣告でよくわからないことを言われたときの気持ちと言ったら筆舌に尽くしがたいものでだった。
「そう落ち込むでない、ちゃんとスキルの内容を確認してから反応をするのじゃ。」
「じゃあ、スキルの内容を教えてくれ。」
「スキル"信仰心"のその内容は、スキル主が信仰する神と同じ神を信仰する者の信仰度に比例してスキル主が他者を強化できるスキルじゃ!」
「"スキル主を"強化するんじゃなくて?」
「そうじゃ、"スキル主が"他者を強化できるのじゃ。」
「………」
「ま、まあ待つのじゃ、人を強化できるというのはすごいことなんじゃぞ。なにせ本来なら一人に一つしかないはずのスキルに信仰心の強化を加えれば実質的にスキルが二つ付与されるようなものじゃからな。うまく使いこなせば魔王討伐の勇者パーティなどにスカウトされるかもしれんのじゃぞ!?」
「俺は小さい頃から自分が神みたいに強くなりたいって思ってたんだ、人を強化するスキルなんて俺にとっては一番いらないスキルなんだよ!」
「ふむぅ……じゃが、付与されてしまったものは仕方がないのぉ。もうすぐお主から光が溢れて異世界転生が始まるんじゃし、気分を切り替えてどのようなセカンドライフを送るかじっくり考えるのじゃ。あ、それと一つ言い忘れてあったことがあるのじゃが……」
「なんだよ?」
「その……今のお主にはとても言いがたいことなんじゃが……」
「なんだ?はっきり言え!」
「実は、今から行く世界には神様の概念がないのじゃ。だからよく考えたら信仰心のスキルが使えんかもしれん、確認不足じゃった……本当にすまぬ!!」
「……は?それじゃ俺はスキル無しで生きていくってのか!?そんなの無理に決まってるだろ!どうにかしろよ!」
「まあでも他者を強化するスキルはいらないって言っておったことじゃし、さっきのスキルなら無しでもいいんじゃ……」
「それとこれとは話が違うだろ!お前は神としての責任を果たせよ!」
「しょうがないのぉ。では、せめてもの償いとして生活に困らないように"神の知恵"と呼ばれる超人的な思考力を授けておく、それで良いじゃろう。」
「神の知恵か、まあ知恵があればなんとかなりそう……なのか?」
「とにかくセカンドライフを楽しむんじゃぞ~。」
「あんた本当に神かよ……」
こうして俺はとても神様とは思えない爺さんの酷い手続きのもと、異世界に転生を果たした。
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