114 / 145
藪ドラゴン
しおりを挟むロッキー山脈の地下施設の中で、一人の男が頭を抱えていた。
「俺はアメリカ大統領なんだぞ、いつまであの老いぼれどもの言うことを聞かなければ成らないんだ」
「前のぺてん師大統領がアメリカを一番にするだの、強いアメリカを取り戻すなど言って、中東情勢は引っ掻き回し、貿易も無茶苦茶にして、結局あの老害どもの利益しか考えていなかった結界、アメリカは余計にボロボロに成ったじゃ無いか」
「そんな俺も、老害どもに逆らえず世界中から軍を引き上げた」
「けれどそれは、アメリカ国民を守るためで、金持ちの安全のためにした訳じゃ無い、しかも今度は神の杖を使い、中国の核ミサイル施設と近くのダンジョンに向け発射しろだと、中国で上手くいけば国内のダンジョンにも撃ち込むつもりらしいが、ロシアの二の舞じゃ無いか、街には人間だっているんだぞ」
「あの老害どもは、他国をなんだと思って要るんだ、拒否すれば俺の首なんて簡単にすげ替える気でいやがる、結局軍もCIAも シークレットサービスにも、奴らの小飼の者がいる、大統領警護なんて言っても所詮、監視役でしかない、本当に神の杖を使わせる気か」
「高度1000キロの宇宙から発射されるタングステンロッドの威力は核ミサイル基地やダンジョンを狙っても、その周囲与える被害は甚大だ、広島長崎に落とした核爆弾の非では無いのだぞ、しかも核ミサイル基地を狙えば放射能汚染も考えられる」
「俺は拒否して殺されるか、汚名を過去に残すしか無いのか?」
「いっそのこと、奴らの居る地下施設に落としてやろうか、なんで奴らを見殺しにしてモンスター襲わせ無かったのか後悔しか無い」
「しかも奴らは、太平洋艦隊を殲滅したドラゴンより巨大なドラゴンにまで、手を出そうとしている、奴らは日本を舐めている、今の総理は超法規的処置の建前の元、アメリカからの脱却を狙っているのに、軍を引き上げたことで完全にアメリカを充てにしていない」
「下手をすると、ドラゴンをアメリカに向けて来るかもしれない」
こんこん
「大統領、会議のお時間です」
「解った」
その頃、雅也はブルネイでの疲れを癒していた。
「マリア、また捕まえて来たの?」
「結界にへばり付いていたから」
「これで何人目?」
「解らん、ゼウスたちも捕まえてるから、30人は超えてからは知らん」
「全く、ドラゴンコンビのお陰で良い迷惑だよ、他国もスパイを送り込む暇が有ったら、自国のダンジョンを攻略すれば良いのに、ダンジョンマスターのレベルが上がって半径15kmの結界が張れるように成ったから、村の人たちに被害が及ぶことは無いけど」
「雅也、奴らはどうするのだ?」
「勝手に殺せないし、拷問するにしたって素人だしね、クレアに竜気を与えて貰おうとしたけど、普通は竜気なんか与えたら死ぬって、俺には散々与えてきたのに、死ななかったろって平然と言いやがる」
「雅也も大変だったな、まああの傍若無人なドラゴンたちが、大人しくしてるだけでも珍しいぞ」
「ドラゴンコンビは帰らないのかな?」
「ドラゴンコンビに雅也はかなり気に入られてるし、ゲームだ映画だと楽しんでるから、当分は居るんじゃないか?」
「勘弁してくれ、クレアが近づいても平気に成ったが、触れられると、いまだに冷や汗が出ておかしく成りそうだ」
「でも、もう痛みは無いのだろ、ドラゴンが居れば村は安全でしょ」
「安全かもしれないけど、俺の心の安全が欲しいよ、そんなことはさておき、そろそろスパイを自衛隊にでも引き取って貰いますか?」
「自衛隊も良い迷惑だな」
俺は仕方なくスパイたちを見に行くことにした。
「俺はここが安全だと聞いて来ただけなのに、なんで拘束する」
「私は家族と避難するために来ただけだ」
「はい、ダウト、一般市民がマグナフォンに骨伝導マイク付けた一般市民が居る訳無いでしょ」
「俺はアメリカ人じゃ無い、日本人だ」
「中国も国内が滅茶滅茶なのに、ご苦労様です、しかし、ここはスパイの万国博覧会ですか」
「‥‥‥」
「しかし、スパイってもっと格好いい人たちかと思えば、なんか普通ですね?」
「‥‥‥」
「あっ、それと皆さんには、明日からグリフォンやスノータイガーのご飯に成って頂きます。ごめんね、最近お肉が不足していて、彼ら生きたまま食べるのが好きなんで、最初は痛いけど直ぐに死ぬから許してね、ではご冥福を祈って折ります」
「そんな脅しが効く訳無いだろう」
「俺には家族が居るんだ」
「待て、話を聞け」
なんか叫んでたけど、俺はその場を立ち去った。家の子たちは最近生でお肉食べないけどね、ドラゴンコンビですら、調理した物しか食べないのに、スパイにしては勉強不足だね。
それから引き取って貰うために、政府に連絡したら、見なかったことに出来ないかと言ってきたよ、でもマリアたちが結界内に入れちゃったから、逃がすと結界内に入れちゃうんだよな。
本当にどうしたものか、困った。
翌日、マリアたちを連れてスパイのもとに訪れると、皆さん真っ青な顔してる。
俺がマリアたちに打ち合わせ通り、どれが食べたいと聞くと、マリアたちは最高の演技でスパイたちを物色。
選ばれたスパイたちは、暴れるがマリアやグリフォンに敵う筈も無く、連れて行かれる。
流石のスパイたちも、こんな状態の国に命を捧げるつもりも無いのか、自分から話し出したよ。
俺に話されても困るんだよな、仕方が無いから、当分はリザードマンたちの村で生活して貰うしか無いか、それともドラゴンコンビにロシアのダンジョンにご招待して貰うかな。
しかし、めんどくさい、流石に殺す程憎しみは無いし、俺は殺人鬼じゃ無いからな。
ドラゴンコンビにお願いしたら、ゲームで忙しいと断られた、ドラゴンてもっと高位な存在じゃ無かったのか、ゲームやって酒飲みながら映画見て、単なる穀潰しじゃ無いか。
仕方が無い、リザードマンたちのところで働いて貰うか、足に鎖でも付けとけば逃げないだろう、後はリザードマンたちに丸投げで良いよな。
リザードマンたちに丸投げした後、家の子たちと新たにダンジョンを出て仲間に加わった子グリフォンたちとじゃれていると、総理から連絡が入った。
話を聞くと、アメリカが日本に核攻撃をしようとしていた、中国の核ミサイル基地を攻撃してやったから、俺と橋渡しをしろと言って来たらしい。
総理も断ったらしいが、アメリカは折れず、ドラゴンの脅威が排除去れなければ、中国に使った兵器でドラゴンを排除すると脅して来たらしい。
むかつくので、ドラゴン連れてロッキー山脈で石釜オーブンにしてやろうかと思ったが、総理が止めるので、横田基地で会うことに成った。
こっちからは、俺とマリアと鬼人族とグリフォンで砲艦外交で望んでやる、別にアメリカは嫌いじゃ無いけど、迷惑掛けるなら容赦しない。
藪蛇ならぬ藪ドラゴンに成るとも知らずに。
0
お気に入りに追加
2,282
あなたにおすすめの小説
【完結】義妹とやらが現れましたが認めません。〜断罪劇の次世代たち〜
福田 杜季
ファンタジー
侯爵令嬢のセシリアのもとに、ある日突然、義妹だという少女が現れた。
彼女はメリル。父親の友人であった彼女の父が不幸に見舞われ、親族に虐げられていたところを父が引き取ったらしい。
だがこの女、セシリアの父に欲しいものを買わせまくったり、人の婚約者に媚を打ったり、夜会で非常識な言動をくり返して顰蹙を買ったりと、どうしようもない。
「お義姉さま!」 . .
「姉などと呼ばないでください、メリルさん」
しかし、今はまだ辛抱のとき。
セシリアは来たるべき時へ向け、画策する。
──これは、20年前の断罪劇の続き。
喜劇がくり返されたとき、いま一度鉄槌は振り下ろされるのだ。
※ご指摘を受けて題名を変更しました。作者の見通しが甘くてご迷惑をおかけいたします。
旧題『義妹ができましたが大嫌いです。〜断罪劇の次世代たち〜』
※初投稿です。話に粗やご都合主義的な部分があるかもしれません。生あたたかい目で見守ってください。
※本編完結済みで、毎日1話ずつ投稿していきます。
【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。
木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。
しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。
そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。
【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】
異世界転生!俺はここで生きていく
おとなのふりかけ紅鮭
ファンタジー
俺の名前は長瀬達也。特に特徴のない、その辺の高校生男子だ。
同じクラスの女の子に恋をしているが、告白も出来ずにいるチキン野郎である。
今日も部活の朝練に向かう為朝も早くに家を出た。
だけど、俺は朝練に向かう途中で事故にあってしまう。
意識を失った後、目覚めたらそこは俺の知らない世界だった!
魔法あり、剣あり、ドラゴンあり!のまさに小説で読んだファンタジーの世界。
俺はそんな世界で冒険者として生きて行く事になる、はずだったのだが、何やら色々と問題が起きそうな世界だったようだ。
それでも俺は楽しくこの新しい生を歩んで行くのだ!
小説家になろうでも投稿しています。
メインはあちらですが、こちらも同じように投稿していきます。
宜しくお願いします。
食うために軍人になりました。
KBT
ファンタジー
ヴァランタイン帝国の片田舎ダウスター領に最下階位の平民の次男として生まれたリクト。
しかし、両親は悩んだ。次男であるリクトには成人しても継ぐ土地がない。
このままではこの子の未来は暗いものになってしまうだろう。
そう思った両親は幼少の頃よりリクトにを鍛え上げる事にした。
父は家の蔵にあったボロボロの指南書を元に剣術を、母は露店に売っていた怪しげな魔導書を元に魔法を教えた。
それから10年の時が経ち、リクトは成人となる15歳を迎えた。
両親の危惧した通り、継ぐ土地のないリクトは食い扶持を稼ぐために、地元の領軍に入隊試験を受けると、両親譲りの剣術と魔法のおかげで最下階級の二等兵として無事に入隊する事ができた。
軍と言っても、のどかな田舎の軍。
リクトは退役するまで地元でのんびり過ごそうと考えていたが、入隊2日目の朝に隣領との戦争が勃発してしまう。
おまけに上官から剣の腕を妬まれて、単独任務を任されてしまった。
その任務の最中、リクトは平民に対する貴族の専横を目の当たりにする。
生まれながらの体制に甘える貴族社会に嫌気が差したリクトは軍人として出世して貴族の専横に対抗する力を得ようと立身出世の道を歩むのだった。
剣と魔法のファンタジー世界で軍人という異色作品をお楽しみください。
異世界転移物語
月夜
ファンタジー
このところ、日本各地で謎の地震が頻発していた。そんなある日、都内の大学に通う僕(田所健太)は、地震が起こったときのために、部屋で非常持出袋を整理していた。すると、突然、めまいに襲われ、次に気づいたときは、深い森の中に迷い込んでいたのだ……
スキルが【アイテムボックス】だけってどうなのよ?
山ノ内虎之助
ファンタジー
高校生宮原幸也は転生者である。
2度目の人生を目立たぬよう生きてきた幸也だが、ある日クラスメイト15人と一緒に異世界に転移されてしまう。
異世界で与えられたスキルは【アイテムボックス】のみ。
唯一のスキルを創意工夫しながら異世界を生き抜いていく。
強制無人島生活
デンヒロ
ファンタジー
主人公の名前は高松 真。
修学旅行中に乗っていたクルーズ船が事故に遭い、
救命いかだで脱出するも無人島に漂着してしまう。
更に一緒に流れ着いた者たちに追放された挙げ句に取り残されてしまった。
だが、助けた女の子たちと共に無人島でスローライフな日々を過ごすことに……
果たして彼は無事に日本へ帰ることができるのか?
注意
この作品は作者のモチベーション維持のために少しずつ投稿します。
1話あたり300~1000文字くらいです。
ご了承のほどよろしくお願いします。
異世界坊主の成り上がり
峯松めだか(旧かぐつち)
ファンタジー
山歩き中の似非坊主が気が付いたら異世界に居た、放っておいても生き残る程度の生存能力の山男、どうやら坊主扱いで布教せよということらしい、そんなこと言うと坊主は皆死んだら異世界か?名前だけで和尚(おしょう)にされた山男の明日はどっちだ?
矢鱈と生物学的に細かいゴブリンの生態がウリです?
本編の方は無事完結したので、後はひたすら番外で肉付けしています。
タイトル変えてみました、
旧題異世界坊主のハーレム話
旧旧題ようこそ異世界 迷い混んだのは坊主でした
「坊主が死んだら異世界でした 仏の威光は異世界でも通用しますか? それはそうとして、ゴブリンの生態が色々エグいのですが…」
迷子な坊主のサバイバル生活 異世界で念仏は使えますか?「旧題・異世界坊主」
ヒロイン其の2のエリスのイメージが有る程度固まったので画像にしてみました、灯に関しては未だしっくり来ていないので・・未公開
因みに、新作も一応準備済みです、良かったら見てやって下さい。
少女は石と旅に出る
https://kakuyomu.jp/works/1177354054893967766
SF風味なファンタジー、一応この異世界坊主とパラレル的にリンクします
少女は其れでも生き足掻く
https://kakuyomu.jp/works/1177354054893670055
中世ヨーロッパファンタジー、独立してます
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる