上 下
6 / 39

天照様に会いに行く①

しおりを挟む

天照大御神様に会いに伊勢神宮に行く事にした。品川から新幹線で名古屋に行き近鉄急行で行くのだけど、

名古屋のネットカフェで核テロの事を関係機関にメールを送って掲示板に書き込むつもりだ。



今回は出張じゃないから、旅行気分でビールとつまみを買って新幹線に乗り込む。ホントだったらお金に余裕が持てたからグリーン車で行けたのに、出張の癖で普通車を予約してしまった。



いくらお金に余裕が出来たからって実際はまだ実感が無い。ネットで株式を売買しても画面上の数字で未だに一切手を付けていないし、画面で見てる数字ってなんかゲームをやっているみたいでまるで実感がわかない。でも東京に戻ったら小さい頃から夢だったスーパーカーを買いに行こうと思う。



俺は近所の人がフェラーリを持っていて小学生の時に一度だけ乗せてもらった事がある。俺は通学路に有るその家のガレージに止まってる真っ赤なフェラーリを見て帰るのが日課に成っていた。フェラーリが朝止まっていないとその日一日は運が悪いと勝手に思い込むほど楽しみにしていた。



それから俺は将来絶対に手に入れる事を目標に勉強も頑張った。兄と同じ学校に入り中学生に成り男子校に入った事はちょっと後悔したが夢は諦め無かった。就職でも外資系投資銀行に入りファンドマネージャー希望で就職したがマーケティング部に配属され、それでも普通の会社よりは給料が良かったから貯金して中古でも良いから買う事を目標に頑張って来たのにリストラされ、俺はもう諦めていた。



そんな時に異世界に召喚され、魔神を倒したら今度はシルフィーとの未来も奪われてしまった。



俺の夢を壊す神の敵に成ってやろうかとベッドの上で考えた事もあるし、シルフィーは本当は俺が魔王を倒す為に王が娘を無理やり俺に近づけたのでは無いかとか余計な事を考えてしまう。



だから天照様に会って話す結果によっては、俺は本当に好きにさせてもらう。気に入らない者はバレない様に殺すし、気に入らない国は最大魔法で攻撃する。俺の最大魔法はクリーンな核爆弾くらいの威力は有るから隠れて上空から撃てばバレないので、この世界の魔王に成る事も可能だ。



でも俺は家族や友人に迷惑掛けたく無いので魔王には成れないヘタレで有る。でも天照様に会った結果どうなるか分からない。



新幹線に乗り座席に向かうと俺の座席の隣にスーツを着た女性が座っている。俺の座席は窓側なので声を掛けて前を通らないと座席に座れない。ただ俺の顔が怖いのでだいたい皆怖がる。



ホントグリーン車にしとけは良かった。出発からテンション急降下。



「すみません、こちらの席なんで前通ります」



「はい、えっ……」



えって何だよ。



「すみません」



「どうぞ」



最初はなんか驚いていたけど、なんか普通の対応だ。なんて言い人だろう。



俺は必要な物は次元収納にしまってあるが、手ぶらで旅行なんてなんか怪しいからと持ってきた小さめのボストンバックを棚に載せ、後ろの席に座席を少し倒す事を話しかけると普通に良いですよと言ってくれた。



今日はなんか良い日だ。最悪の時は隣が女性だと指定席なのに隣が居なくなることが有るから。確かに俺は目がきついと親にも言われるが親父の遺伝だ。でも親父は目はきついがそれほど怖くは無い。俺は合コンで初対面の女性に「絶対に人を殺した事ある目だよ」って言われてから眼鏡を作った。



でも今じゃ視力も回復したようだし、見えにくくて額に皺を寄せることも無く成ったのに、母さんには眼鏡をしなさいと言われる。唯一の救いは兄の奥さんと子供だ。



アロナさんは元軍人で厳つい顔は見慣れてるらしいし、それにスーパーで買い物する時も散歩に行く時も自動小銃を持ち歩いていた元兵士だ。イスラエルって行った事無いけど改めて聞くと怖い国だと知った。異世界並みにハードな国って地球でも有ることを知ってはいたが、俺は遠くの世界の様に考えていた。



そんな事を思っていたら新幹線は走り出したので、ビール飲もうと思い、出張だと思われる女性に声を掛けてから飲む事にした。



「すみません、出張だと思われるあなたの横でビールを飲んで申し訳ない」



「はい、大丈夫ですよ。ご旅行ですか?」



「ちょっと事故に遭ったり付いて無い事が有ったんで、伊勢神宮にお参りに行くんです」



ホントは違うけど伊勢神宮には行くから嘘じゃない。



「失礼ですが、あなたは子供を助けて交通事故に遭いませんでした?」



「遭いました」



「やっぱり、どこかで見たことあると思ったんですよ」



「それって指名手配を最初に思い浮かべませんでした?」



「えっ、そんな事思ってません」



「そうですか……」



「でも掲示板で酷い事言われてましたね」



「掲示板?」



「相手の運転手がスゴイ暴走してテレビでも取り上げられていて、あなたが子供を助けるとこも監視カメラに写っていて、掲示板ではヒーロー扱いされてたのに学生時代の写真が掲載されたら、一転して殺し屋が最後に良い事してるとかもっとひどい事も書かれてましたよ」



「マジですか?」



「見ないほうが良いですよ」



「あ~はい……」



それから俺は隣の名も無き女性と楽しく話しながら名古屋までやって来た。彼女は大阪に出張なので名古屋でお別れ。結構綺麗な人だったが今はまだシルフィーの事も有るからしばらくは1人でシルフィーの事を忘れられるようになってから探すよ。



それに名古屋ではネットカフェでの仕事さえ終われば自由だし、名古屋にはこの寂しい気持ちを慰めてくれる夜のお店もいっぱい有るし、味噌煮込みうどん食べてキャバクラ行ったらその後はお楽しみです。もうナースの恰好で迎えてくれるお店を見つけちゃいました。



まずはネットカフェに行って掲示板に爆弾を投下して来なきゃ。



ネットカフェで爆弾投下した後に関件各所にもメールを送り、掲示板を見てみるとまだ昼間なのにお祭り騒ぎです。質問が来ていたので少し調べて答えて最後にこの未来は掲示板に書いたことで変わるかもしれない未来ですと書いてネットカフェをあとにした。



ネットカフェを後にして少し歩くが、名古屋に来た時にいつも行ってる味噌煮込みうどんのお店に向かった。



やっぱり味噌煮込みうどんはうまい。この腰が有りもちもちとしたうどんが好きだ。しかも海老天ものせたので大満足だ。



それから名古屋を楽しむ為にキャバクラにルンルンで向かった。



キャバクラは豪華な内装に綺麗なお姉さん方が迎えてくれた。



ほんとに久々のキャバクラだ。会社の先輩のお供で行く様に成ってからたまに出張で地方で行く事も有ったが、異世界では行けなかったから実質5年ぶりだな。



でも、なんだか楽しくない。わりと可愛い子が付いてくれて話をするが全然楽しくない。話せば話すほどシルフィーの事を思い出して辛くなる。結局2時間もしない内に出てきてきしまった。



俺はタクシーで予約している駅直結の高級ホテルに向かった。



ホテルはすごく眺めがよいところで、俺も金を稼いでいっぱい幸せに成ってやると夜景を見ながら誓ったが何故か目から汗が流れる。



しおりを挟む

処理中です...