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最終章前編 女神サラ降臨
第142話 面倒な奴は無視するのが1番
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俺はいきなり怒鳴って来た男を観察する。
うーん、身長は俺より30cmくらい高いかな?
筋肉量もそこいらの冒険者よりは付いてそうだし、動きも粗暴に見えてしっかりと何かの武術をやっている動きだ。
まぁ俺は武術なんて習ったこともないからどんなのなのかは全く分からないけど。
しかし此奴は総合判定C-かなぁ。
levelも60くらいは行ってるけど、俺にとってはlevel 1と殆ど差なんてないし……。
ただこう言う輩って突っかかると面倒なんだよな。
本当は1発殴って地平線の彼方へと吹き飛ばしたいけど、そうしたらこの国に入れなくなる可能性が出てくるし……。
「うーーーーん……」
「おい! 何がうーんだッ! サッサっと退けろよ!」
…………面倒だし無視しとこ。
俺は視界からかませ犬っぽい男を外し、兄妹と俺とサラに見えないくらい透明で薄い結界を張り、対象の音を遮断する機能を追加する。
「———ッ! ———」
よし、ちゃんと聞こえないな。
俺がうまく行ったことに小さくガッツポーズをしていると、サラが俺の服をくいくい引っ張って来た。
「どうしたんだサラ?」
「…………あの人何してるの?」
「それは俺も思った。ずっと口パクしてるし」
「ちょっと気持ち悪いよね……」
サラの疑問に兄妹も乗るが、マイさん。
貴女はシンプルに悪口ですよね。
それは疑問とは言わないんですよ。
俺は心の中でだけツッコんでおき、答えを言うことにした。
「何、簡単なことだよ。結界を一人一人に張って、そこに対象へのみ接触不可と音遮断を使っただけ」
「……それは簡単でも普通でもない」
「ソラ……お前すげぇんだな!! さっきまで学園で1番強いのとか嘘かと思ってたけどマジなんだな!?」
「ごめんね愚兄が。うるさいでしょ? でも……確かにソラ君凄いわね。どう? お姉さんと一緒に旅しない?」
「勿論お断———え?」
「ん? どうかしたの?」
俺はマイさんの言ったことに驚いてしまい、口から声が漏れてしまった。
さっきまでのノリで「お姉さんと付き合わない?」とか言ってくるかと思ったら普通にいい話だった……。
正直言って、俺とサラだけではどうしても難しいこともなくさんあるので、マイさんの提案は魅力的だった。
「ねぇ、サラはどう思う? 俺は全然いいんだけど。と言うか此方の得しかないんだけど」
「…………私はソラがいいならどちらでもいい」
そんな健気なことを言ってくれるサラ。
……めちゃくちゃかわえぇ……。
俺は一瞬サラの可愛さにトリップしてしまうが、頭をブンブン振ってマイさんに返答する。
「……此方こそ宜しくお願いします」
「お願いします」
俺と一緒にサラも頭を下げる。
それをみたマイさんが笑いながら、
「いいよいいよ、そんなに堅苦しくなくても。これから一緒に行動するんだし。もっとフレンドリーにっ!」
「……マイ、宜しく。でもソラはダメ」
「はい、宜しくねサラちゃん。分かってる分かってるって。サラちゃんはソラ君のこと大好きなんだね」
「…………ッ!」
「まぁあ、顔真っ赤にしちゃってかわいい~!」
俺の目の前では2人がこしょこしょと内緒話をしているのだが、気になって聞こうとしたら、その前にバンさんに肩に手を置かれた。
「……女の会話は聞かない方がいいぞ……」
「ど、どうしてですか……?」
真顔でそう忠告してくるバンさんに俺は恐る恐る聞くと……
「…………知らない方が良いこともある……」
「……了解、しました……」
青ざめた顔でそう言われたので、素直に諦めることにする。
しかし何をそんなに恐れてんだろうか。
俺はバンさんの過去に何があったのか物凄く気になった。
「何で誰も反応しねぇんだッ! くそッ! やばい、もう衛兵が来たじゃねぇかッ!」
ソラに突っかかった大男は、衛兵の姿を捉えて一目散に逃げていった。
その時のことを4人は知りもしない。
-------------------------------
新作投稿しました。
ぜひ読んでみてください!
『チートを貰えなかった落第勇者の帰還~俺だけ能力引き継いで現代最強~』
うーん、身長は俺より30cmくらい高いかな?
筋肉量もそこいらの冒険者よりは付いてそうだし、動きも粗暴に見えてしっかりと何かの武術をやっている動きだ。
まぁ俺は武術なんて習ったこともないからどんなのなのかは全く分からないけど。
しかし此奴は総合判定C-かなぁ。
levelも60くらいは行ってるけど、俺にとってはlevel 1と殆ど差なんてないし……。
ただこう言う輩って突っかかると面倒なんだよな。
本当は1発殴って地平線の彼方へと吹き飛ばしたいけど、そうしたらこの国に入れなくなる可能性が出てくるし……。
「うーーーーん……」
「おい! 何がうーんだッ! サッサっと退けろよ!」
…………面倒だし無視しとこ。
俺は視界からかませ犬っぽい男を外し、兄妹と俺とサラに見えないくらい透明で薄い結界を張り、対象の音を遮断する機能を追加する。
「———ッ! ———」
よし、ちゃんと聞こえないな。
俺がうまく行ったことに小さくガッツポーズをしていると、サラが俺の服をくいくい引っ張って来た。
「どうしたんだサラ?」
「…………あの人何してるの?」
「それは俺も思った。ずっと口パクしてるし」
「ちょっと気持ち悪いよね……」
サラの疑問に兄妹も乗るが、マイさん。
貴女はシンプルに悪口ですよね。
それは疑問とは言わないんですよ。
俺は心の中でだけツッコんでおき、答えを言うことにした。
「何、簡単なことだよ。結界を一人一人に張って、そこに対象へのみ接触不可と音遮断を使っただけ」
「……それは簡単でも普通でもない」
「ソラ……お前すげぇんだな!! さっきまで学園で1番強いのとか嘘かと思ってたけどマジなんだな!?」
「ごめんね愚兄が。うるさいでしょ? でも……確かにソラ君凄いわね。どう? お姉さんと一緒に旅しない?」
「勿論お断———え?」
「ん? どうかしたの?」
俺はマイさんの言ったことに驚いてしまい、口から声が漏れてしまった。
さっきまでのノリで「お姉さんと付き合わない?」とか言ってくるかと思ったら普通にいい話だった……。
正直言って、俺とサラだけではどうしても難しいこともなくさんあるので、マイさんの提案は魅力的だった。
「ねぇ、サラはどう思う? 俺は全然いいんだけど。と言うか此方の得しかないんだけど」
「…………私はソラがいいならどちらでもいい」
そんな健気なことを言ってくれるサラ。
……めちゃくちゃかわえぇ……。
俺は一瞬サラの可愛さにトリップしてしまうが、頭をブンブン振ってマイさんに返答する。
「……此方こそ宜しくお願いします」
「お願いします」
俺と一緒にサラも頭を下げる。
それをみたマイさんが笑いながら、
「いいよいいよ、そんなに堅苦しくなくても。これから一緒に行動するんだし。もっとフレンドリーにっ!」
「……マイ、宜しく。でもソラはダメ」
「はい、宜しくねサラちゃん。分かってる分かってるって。サラちゃんはソラ君のこと大好きなんだね」
「…………ッ!」
「まぁあ、顔真っ赤にしちゃってかわいい~!」
俺の目の前では2人がこしょこしょと内緒話をしているのだが、気になって聞こうとしたら、その前にバンさんに肩に手を置かれた。
「……女の会話は聞かない方がいいぞ……」
「ど、どうしてですか……?」
真顔でそう忠告してくるバンさんに俺は恐る恐る聞くと……
「…………知らない方が良いこともある……」
「……了解、しました……」
青ざめた顔でそう言われたので、素直に諦めることにする。
しかし何をそんなに恐れてんだろうか。
俺はバンさんの過去に何があったのか物凄く気になった。
「何で誰も反応しねぇんだッ! くそッ! やばい、もう衛兵が来たじゃねぇかッ!」
ソラに突っかかった大男は、衛兵の姿を捉えて一目散に逃げていった。
その時のことを4人は知りもしない。
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