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第4章 サラの正体
第115話 勇者達と魔王軍と
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始めは勇者視点で、途中からディートヘルム視点です。
---------------------------
ソラ達がケーキ屋に行っていた頃、この世界の主人公であるアランは仲間と一緒にソラに教えてもらった原初の森に入るゲートに来ていた。
「本当にここなんですかね? 見た感じ何もないですけど……」
イリスが目の前の大きな岩を見ながら首を傾げる。
どうやらイリスはここではないと思っているようだ。
「いやどう考えてもここだろうが。お前賢者なのに分からないのか?」
「う、五月蝿いですよ! た、たまたま感知していなかっただけです!【魔力感知】! …………ゲートかは分かりませんが、何やら魔法がかけてあります」
イリスがそう言うと、アランが安心したように息を吐いた。
「どうしたの、アラン君?」
セリシアが不思議そうにアランに聞く。
「いやもしかしたら間違えていたんじゃないかと思ってヒヤヒヤしていたんだ」
「でもここには何か魔法がかけてあるとしか分からないのですが……」
イリスが言葉を言うほどに声を小さくしていくが、アランは、それでいいんだよ、といった。
「えっ? 何故ですか?」
「僕がソラ君聞いていたからだよ。誰かが勝手に入らないように結界を張ったって」
「なるほど、そう言うことでしたか。なら私がわからなくて当たり前ですね。何せソラ様の魔法ですから」
「……ソラ様……?」
レオンがおかしな人を見るような目でイリアを見る。
「い、いやこれは私がソラ様を尊敬しているからで……」
「大丈夫分かっているよ。ソラ君は本当に凄いもんね。まぁ怒ったらめちゃくちゃ怖かったけど」
「ああ……」
「確かにそうですね……」
「……? そうなの? 私は見たことないから分からないのだけど」
3人はセリシアを眩しそうに見る。
「こ、これが生徒の模範と呼ばれる先生か……」
「ソラ様に怒られないなんて……大人ですね……」
「ど、どういうことなの? さっぱり分からないのだけど」
「もうその話はいいからとっとと行こうぜ」
レオンがゲートに半分入りながら言う。
「ちょっ!? 危ないでしょう! もしトラップだったらどうするのですか!」
「そうだよ。またそんなことしているとソラ君に怒られるよ!」
「わ、悪かった。次からは気をつける」
「よし、ならみんなも行こうか」
「はい!」
レオンに続いてアランとイリスがゲートの中に入っていった。
そして1人残ったセリシアは、
「ソラ君の一体何が怖いのかしら……」
みんなのあまりの怖がっている様子に首を傾げながらみんなを追いかけてゲートに入った。
☆☆☆
場所は変わって王都のとある部屋の一室。
そこには先日学園をクビになったディートヘルムが優雅にワインを飲みながら誰かと話していた。
相手は以前ソラが第2王子を殺すときに傷を治していた転生者と思われる男だった。
「それで準備は終わったのかい?」
男がディートヘルムに聞く。
「はい。問題ありません」
ディートヘルムは男に礼儀正しく言う。
「それでこのことについて魔王様は?」
「魔王様は必要な兵士は貸すので必ず落としてこいと仰っておりました」
男はそれを聞くと顎に手を当ててブツブツと呟いていた。
「なるほど……まだ魔王は動き出さないか……まぁまだ本編でも動いていなかったからな」
ディートヘルムはブツブツと呟いている目の前の男を恐怖の入り混じった表情で見ていた。
(このお方は魔王様のお気に入りだと言いますが……一体何者なんでしょうか……。この私にすら教えないとなると、魔王様の切り札なのかもしれませんね。しかし先程から何を考えているんでしょうか……)
実際この男の素性を知っているのは魔王ただ1人だ。
ただめちゃくちゃ強いとだけディートヘルム走っていた。
風の噂ではシャラグナにも勝ったとも。
しかし戦わずしても分かる強さをこの男は持っていた。
(このお方は私とは次元が違う……それこそ先日あったソラ君の様に……)
ディートヘルムは自身も歳がとったなとしみじみと思うのであった。
「楽しみにしているぜ。————空」
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ソラ達がケーキ屋に行っていた頃、この世界の主人公であるアランは仲間と一緒にソラに教えてもらった原初の森に入るゲートに来ていた。
「本当にここなんですかね? 見た感じ何もないですけど……」
イリスが目の前の大きな岩を見ながら首を傾げる。
どうやらイリスはここではないと思っているようだ。
「いやどう考えてもここだろうが。お前賢者なのに分からないのか?」
「う、五月蝿いですよ! た、たまたま感知していなかっただけです!【魔力感知】! …………ゲートかは分かりませんが、何やら魔法がかけてあります」
イリスがそう言うと、アランが安心したように息を吐いた。
「どうしたの、アラン君?」
セリシアが不思議そうにアランに聞く。
「いやもしかしたら間違えていたんじゃないかと思ってヒヤヒヤしていたんだ」
「でもここには何か魔法がかけてあるとしか分からないのですが……」
イリスが言葉を言うほどに声を小さくしていくが、アランは、それでいいんだよ、といった。
「えっ? 何故ですか?」
「僕がソラ君聞いていたからだよ。誰かが勝手に入らないように結界を張ったって」
「なるほど、そう言うことでしたか。なら私がわからなくて当たり前ですね。何せソラ様の魔法ですから」
「……ソラ様……?」
レオンがおかしな人を見るような目でイリアを見る。
「い、いやこれは私がソラ様を尊敬しているからで……」
「大丈夫分かっているよ。ソラ君は本当に凄いもんね。まぁ怒ったらめちゃくちゃ怖かったけど」
「ああ……」
「確かにそうですね……」
「……? そうなの? 私は見たことないから分からないのだけど」
3人はセリシアを眩しそうに見る。
「こ、これが生徒の模範と呼ばれる先生か……」
「ソラ様に怒られないなんて……大人ですね……」
「ど、どういうことなの? さっぱり分からないのだけど」
「もうその話はいいからとっとと行こうぜ」
レオンがゲートに半分入りながら言う。
「ちょっ!? 危ないでしょう! もしトラップだったらどうするのですか!」
「そうだよ。またそんなことしているとソラ君に怒られるよ!」
「わ、悪かった。次からは気をつける」
「よし、ならみんなも行こうか」
「はい!」
レオンに続いてアランとイリスがゲートの中に入っていった。
そして1人残ったセリシアは、
「ソラ君の一体何が怖いのかしら……」
みんなのあまりの怖がっている様子に首を傾げながらみんなを追いかけてゲートに入った。
☆☆☆
場所は変わって王都のとある部屋の一室。
そこには先日学園をクビになったディートヘルムが優雅にワインを飲みながら誰かと話していた。
相手は以前ソラが第2王子を殺すときに傷を治していた転生者と思われる男だった。
「それで準備は終わったのかい?」
男がディートヘルムに聞く。
「はい。問題ありません」
ディートヘルムは男に礼儀正しく言う。
「それでこのことについて魔王様は?」
「魔王様は必要な兵士は貸すので必ず落としてこいと仰っておりました」
男はそれを聞くと顎に手を当ててブツブツと呟いていた。
「なるほど……まだ魔王は動き出さないか……まぁまだ本編でも動いていなかったからな」
ディートヘルムはブツブツと呟いている目の前の男を恐怖の入り混じった表情で見ていた。
(このお方は魔王様のお気に入りだと言いますが……一体何者なんでしょうか……。この私にすら教えないとなると、魔王様の切り札なのかもしれませんね。しかし先程から何を考えているんでしょうか……)
実際この男の素性を知っているのは魔王ただ1人だ。
ただめちゃくちゃ強いとだけディートヘルム走っていた。
風の噂ではシャラグナにも勝ったとも。
しかし戦わずしても分かる強さをこの男は持っていた。
(このお方は私とは次元が違う……それこそ先日あったソラ君の様に……)
ディートヘルムは自身も歳がとったなとしみじみと思うのであった。
「楽しみにしているぜ。————空」
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