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第4章 サラの正体

第112話 泊めてください!

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 俺は寮に戻った後、すぐにエレノアとフェンリルがいる実家に戻ってきた。

「エレノア、フェンリル! 戦の時間だ! 準備をするぞ!」

「はえっ?」

『何? いきなりどうしたのだソラ殿?』

 2人はいきなり俺がそんなことを言い出したので呆けた表情になっている。

 あらあら、女の子と可愛い子犬がそんな顔をしてはいけませんよ。

「女の子と子犬がそんな顔をしてはいけませんよ」

「はっ!? い、や、わ、わざわざ言わなくていいです、ソラ様!」

『我は子犬ではない!』

「「またまた~(です)」」

『我は狼だ!』

 俺達は少しの間そんな感じで弄り合っていたが、何故かみんなある時を境に冷静になったので本題に入る。

「簡潔に言うと、これから学園、そして国に魔族の大群が攻めてくる」

『「———…………は?」』
 
 再び呆けた顔となった2人に、俺は今日合ったことを丁寧に詳しく話していく。

 そして全てを聞いた2人は、なんかめちゃくちゃやる気を出していた。

「分かりました! とうとう私たちの力が本格的に必要な時なのですね!」

『我も久しぶりに【眷属召喚】を使用するとするか』

 ……そう言えばフェンリルって眷属召喚使えるんだったな。

 一度も使ってなかったからすっかり忘れてたわ。

 ただ眷属召喚は今回の戦いにおいてめちゃくちゃ役に立つ。

 予めルイーゼに紹介しておいて、至る所に配置していればいい。

 まぁルイーゼはあれでも国で知らない人はいないほどの有名人だからなんとかなるだろう。

「それじゃあエレノアはフェンリルと一緒にlevel UPに行ってくれ」

 俺がそう言うと2人がキョトンとして首を傾げた。

「私たちはそれでもいいのですが……サラさんは危険ではないですか?」

『うむ、我もそう思う。ただでさえ学園には敵が沢山いるのだろう?』

「ああ、だから俺が付きっきりでいようと思う」

 今回はもしかしたらと言うことがあるかもしれないため、俺自ら守っておきたい。

 今回の相手はサラの最大の敵ディートヘルムだからな。

 何かあってからでは遅いのだ。

「確かにソラ様がついていらっしゃるのなら安全ですね」

『うむ、今のところこの世界で1番安全なのはソラ殿の近くだろうな』

 俺の考えに2人は特に反対はない様だ。

「あ、そう言えばもよろしく頼むぞ?」

「勿論です」

『もしエレノア嬢が忘れていても我が覚えておく』

「ならよろしく頼むぞ」

「私は忘れませんよ!」

『だがエレノア嬢は少し天然だからな』

「あっ、それは分かる気がする」

「2人で共感しないでください!」

 俺は仲良くわちゃわちゃしている2人を置いてと家を出る。

 さて、これからサラのところに行こうかな。

 俺はサラの住んでいる寮に向かった。





☆☆☆





 寮の廊下は相変わらず静かだ。

 まぁ真夜中だから静かじゃない方が不思議なんだがな。

 だがその静寂に1つの足音が混じり出した。

 俺は咄嗟に隠れる。

 すると廊下の奥からこの寮の管理人であるジャンヌが歩いてきた。

 きっと侵入者がいないかパトロールしているのだろう。

 彼女は何故か侵入した者全てを見つかるからな。
 
 ゲーム時代は裏の最強キャラランキングに毎回名を連ねていた。

 だが今回はガチの暗殺者が使う学校できているため、流石にバレなかった様だ。

 そりゃそうだ、俺ですら多分分からないんだから。

 まぁ少し俺の近くで辺りを見回していたけど。

 気を取り直して俺はサラの部屋の前でノックする。

 するとゆっくり扉が開き、中からパジャマ姿のサラが出てきた。

「……どうしたソラ?」

 俺は思わず後ろを向いてしまう。

 か、可愛いすぎる……!

 キャミソールってやつを着ているサラはめちゃくちゃ……うんエロかった。

 いや確かに天使の様に可愛かったんだが、今回はどちらかと言うと堕天使みたいだな。

 魅惑的なサラ……カメラが欲しい。

「……ソラ?」

「はっ!? あ、さ、サラ、少し用事があってきたんだけどいい?」

「……? いいよ」

 特に警戒することなく入れてくれるサラ。

 いや入れてくれるのはありがたいんだけどもう少し危機感をだな……。

 サラはそれはもうめちゃくちゃ可愛いんだから男の俺をそう易々と入れちゃダメでしょうが!

 思わず親口調になってしまうがそれはしょうがないことだと思う。

 だって本当に無防備すぎるんだもん。

 俺が理性の強い紳士、またの名をヘタレでなければ手を出してるぞ。

「それで用事とは?」

 俺は覚悟を決めて言う。

「どうか俺をサラの部屋に泊めてください!!」

 全身全霊で土下座を繰り出した。
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