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第4章 サラの正体
第111話 宣戦布告
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俺は警戒して一向に話そうとしないディートヘルムに向かって言う。
「それでお前は何故この世界に来たんだ? お前はどちらかと言うと参謀タイプだろうが」
俺がそう言うと更に眼を見開いて驚いていた。
「……何故そこまで知っている……? 魔界のことを知っている奴はこの世界にはもう既に居ないはずだ。それなのに貴様みたいなガキが知っている?」
「素になっても口数が多いことは変わらないな」
「五月蝿い! 早く言え!」
そう言って隠していたのであろう力を解放してきた。
その圧は俺にとっては弱かったが、ルイーゼは少し苦しそうにしていたので、ルイーゼよりも苦しそうにする。
と言うかやっぱりこいつは後衛なんだな。
確かに強いかもしれないが正直言って俺の相手ではなく、エイクの方が何倍も圧が強かった。
しかし何故俺が演技をするかと言うと、奴が俺を格下だと認識させるためだ。
すると相手はどう思うだろうか。
そんなこと簡単だ。
自分達のことを知られておりどうやって知られたのかも分からない不審な人物だが、所詮は自分よりも格下だからもしもの時は殺せばいい、と考えるだろう。
そしてそうなると、不審な人物がどこまで自分たちの情報を得ているか知りたくなる。
だから色々と質問をしてくれるはずだ。
実際にディートヘルムは警戒こそしているものの、俺を格下だとほぼ断定している。
それは奴の顔に再び貼り付けられた笑みで分かる。
すると俺の読み通り早速聞いてきた。
「それでソラ君は一体どこまで知っているかな?」
「んー、さぁ何処までだろうね?」
俺は言葉とは裏腹に拳を小刻みに動かす。
これでディートヘルムも俺が強がって言っていると思うだろう。
これで騙せるなら簡単だ、と思うだろう?
だが実際はそう上手くはいかない。
と言うかそもそもこの作戦は魔族にしか使えないのだ。
同じ人間だともっと疑り深いので更に探りを入れてくるし、エルフは嘘を感知できるし精霊の力を借りれば動きの虚偽も分かってしまう。
だが魔族は違う。
魔族は兎に角自分達以外の種族を下に見ており、反撃されるとは思っていない。
ディートヘルムは魔族の中では疑り深い方だが所詮魔族の中だけ。
世界で見ればコイツよりも断然疑り深い奴なんて沢山いる。
なので今回は成功しても別の種族で成功するとは限らないのだ。
そんなお間抜け魔族代表のディートヘルムはニヤニヤしながら問うてくる。
「強気でいるのはいいですが、時と場合によってはそれは自らの死を招きますよ? さぁ早く教えてください」
「何をだ? どれを所望しているのかが分からないな。主語がないぞ主語が」
「……ではこれから私がしようとしていることは分かりますか?」
少しイラッときたのだろう。
一瞬沈黙したが、すぐに持ち直して聞いてきた。
「勿論わかるとも。そんなことも分からなくてここに来るわけが無いだろうが」
正直な話、全く分かりません。
いや何個か候補はあるんだが、どれなのかは全然分からない。
ので聞き出してみよう。
「ほう……? なら答えてみてください? 勿論分かるのならすぐに答えれますよね?」
よし、予定通りの言葉だ。
『ルイーゼ、今だ』
『分かったわ』
俺は通信魔道具でルイーゼに合図を出して話を続ける。
「それでそのことは今ここで言ってもいいのか?」
「……何?」
「いやだってここには学園長がいるんだぞ? いくらお前が強かろうが学園長と戦いたくはないんじゃないか? そんな相手に聞かれてもいいのか? 多分めちゃくちゃ機密な話だろこれ」
俺がそう言うとディートヘルムが考え出した。
俺はその間にルイーゼと話す。
『どうだルイーゼ、分かったか!?』
『ええ、しっかり分かったわ』
『よしでかした! それで何だった?』
『……まず私を失脚させてこの学園を乗っ取り、そのあとこの国をモンスターに襲わせて壊滅させるそうよ』
なるほどな……。
その計画の過程でルイーゼはこの国で間違いなく1番強いだろうから予め排除しておきたいのか。
そして最高戦力を失ったこの国を滅ぼして傀儡にすると。
うん、大体わかった。
これは俺が19回目にやったルートだな。
『ありがとうルイーゼ。お陰でほぼ全てが分かった』
俺は悩んでいるディートヘルムに言う。
「中々決まらないからもう言うぞ。……お前達はまず学園を乗っ取る気だろう?」
そう言った途端にピクリとディートヘルムの眉が動く。
よし当たりだ。
「うん、その反応はこれであっていると言うことだろう。だが残念だったな? そんなことは多分もう出来ないぞ? 今から国のお偉いさん方に言いに行くからな」
俺は踵を返して部屋を出ようとする。
「それじゃあまたなディートヘルム。次は戦場で会うとしよう」
「ま、待て!」
しかしディートヘルムが俺を押さえつけようとしてきたので、ルイーゼが殺気を出すのと同時に俺自身も本気の殺気を向ける。
それだけでディートヘルムは石像の様に固まってしまった。
俺はディートヘルムを置いて部屋を出る。
「それじゃあルイーゼは報告頼むぞ」
「ええ、了解したわ」
そう言うと一瞬で消えてしまった。
よし、俺もやることをしますかね。
俺はこれからのことをシュミレーションしながら寮へと帰った。
「それでお前は何故この世界に来たんだ? お前はどちらかと言うと参謀タイプだろうが」
俺がそう言うと更に眼を見開いて驚いていた。
「……何故そこまで知っている……? 魔界のことを知っている奴はこの世界にはもう既に居ないはずだ。それなのに貴様みたいなガキが知っている?」
「素になっても口数が多いことは変わらないな」
「五月蝿い! 早く言え!」
そう言って隠していたのであろう力を解放してきた。
その圧は俺にとっては弱かったが、ルイーゼは少し苦しそうにしていたので、ルイーゼよりも苦しそうにする。
と言うかやっぱりこいつは後衛なんだな。
確かに強いかもしれないが正直言って俺の相手ではなく、エイクの方が何倍も圧が強かった。
しかし何故俺が演技をするかと言うと、奴が俺を格下だと認識させるためだ。
すると相手はどう思うだろうか。
そんなこと簡単だ。
自分達のことを知られておりどうやって知られたのかも分からない不審な人物だが、所詮は自分よりも格下だからもしもの時は殺せばいい、と考えるだろう。
そしてそうなると、不審な人物がどこまで自分たちの情報を得ているか知りたくなる。
だから色々と質問をしてくれるはずだ。
実際にディートヘルムは警戒こそしているものの、俺を格下だとほぼ断定している。
それは奴の顔に再び貼り付けられた笑みで分かる。
すると俺の読み通り早速聞いてきた。
「それでソラ君は一体どこまで知っているかな?」
「んー、さぁ何処までだろうね?」
俺は言葉とは裏腹に拳を小刻みに動かす。
これでディートヘルムも俺が強がって言っていると思うだろう。
これで騙せるなら簡単だ、と思うだろう?
だが実際はそう上手くはいかない。
と言うかそもそもこの作戦は魔族にしか使えないのだ。
同じ人間だともっと疑り深いので更に探りを入れてくるし、エルフは嘘を感知できるし精霊の力を借りれば動きの虚偽も分かってしまう。
だが魔族は違う。
魔族は兎に角自分達以外の種族を下に見ており、反撃されるとは思っていない。
ディートヘルムは魔族の中では疑り深い方だが所詮魔族の中だけ。
世界で見ればコイツよりも断然疑り深い奴なんて沢山いる。
なので今回は成功しても別の種族で成功するとは限らないのだ。
そんなお間抜け魔族代表のディートヘルムはニヤニヤしながら問うてくる。
「強気でいるのはいいですが、時と場合によってはそれは自らの死を招きますよ? さぁ早く教えてください」
「何をだ? どれを所望しているのかが分からないな。主語がないぞ主語が」
「……ではこれから私がしようとしていることは分かりますか?」
少しイラッときたのだろう。
一瞬沈黙したが、すぐに持ち直して聞いてきた。
「勿論わかるとも。そんなことも分からなくてここに来るわけが無いだろうが」
正直な話、全く分かりません。
いや何個か候補はあるんだが、どれなのかは全然分からない。
ので聞き出してみよう。
「ほう……? なら答えてみてください? 勿論分かるのならすぐに答えれますよね?」
よし、予定通りの言葉だ。
『ルイーゼ、今だ』
『分かったわ』
俺は通信魔道具でルイーゼに合図を出して話を続ける。
「それでそのことは今ここで言ってもいいのか?」
「……何?」
「いやだってここには学園長がいるんだぞ? いくらお前が強かろうが学園長と戦いたくはないんじゃないか? そんな相手に聞かれてもいいのか? 多分めちゃくちゃ機密な話だろこれ」
俺がそう言うとディートヘルムが考え出した。
俺はその間にルイーゼと話す。
『どうだルイーゼ、分かったか!?』
『ええ、しっかり分かったわ』
『よしでかした! それで何だった?』
『……まず私を失脚させてこの学園を乗っ取り、そのあとこの国をモンスターに襲わせて壊滅させるそうよ』
なるほどな……。
その計画の過程でルイーゼはこの国で間違いなく1番強いだろうから予め排除しておきたいのか。
そして最高戦力を失ったこの国を滅ぼして傀儡にすると。
うん、大体わかった。
これは俺が19回目にやったルートだな。
『ありがとうルイーゼ。お陰でほぼ全てが分かった』
俺は悩んでいるディートヘルムに言う。
「中々決まらないからもう言うぞ。……お前達はまず学園を乗っ取る気だろう?」
そう言った途端にピクリとディートヘルムの眉が動く。
よし当たりだ。
「うん、その反応はこれであっていると言うことだろう。だが残念だったな? そんなことは多分もう出来ないぞ? 今から国のお偉いさん方に言いに行くからな」
俺は踵を返して部屋を出ようとする。
「それじゃあまたなディートヘルム。次は戦場で会うとしよう」
「ま、待て!」
しかしディートヘルムが俺を押さえつけようとしてきたので、ルイーゼが殺気を出すのと同時に俺自身も本気の殺気を向ける。
それだけでディートヘルムは石像の様に固まってしまった。
俺はディートヘルムを置いて部屋を出る。
「それじゃあルイーゼは報告頼むぞ」
「ええ、了解したわ」
そう言うと一瞬で消えてしまった。
よし、俺もやることをしますかね。
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