112 / 150
第4章 サラの正体
第110話 正体をすぐに暴いてみた
しおりを挟む
———ディートヘルム・フォーアラードゥング。
魔王の側近にして稀代の大召喚術師。
こいつは頭がいいし、召喚術師と言う後衛の筈なのに前衛の戦闘も普通に強い。
魔王ですらこいつの考えていることがわからないと言われているほどの狡猾な奴だ。
その象徴でもある飄々とした腹立つ態度は人を苛つかせる。
しかしその態度はどうにかならないのか?
今目の前にいるのはお前の上司なんだぞ。
そう声を大にして言いたいが俺は生徒でアイツは教師。
流石に俺から言うのは不味い。
「それでなんの様ですか?」
どうせあらかた分かっているだろうにわざわざ聞いてくるディートヘルム。
本当に性格が悪い。俺は面倒な奴は大嫌いだ。
それはルイーゼも思っているのか少し口調を強めながら糾弾する。
「こいつは貴方が私に通さずに雇った教師の1人でしょう?」
ルイーゼは何か不審な点がないかじっくりと観察している様だが、ディートヘルムは全く感情の揺れがないままにこやかな表情を変えることなく返答する。
「……ええ、確かに私が雇った教師ですね。何か問題でも起こしましたか?」
「そんなの貴方も知ってあるでしょう? わざわざ私が言わなくても」
ルイーゼが怒気を孕んだ声色で言うが、ディートヘルムはどこ吹く風である。
「勿論把握していますよ。この方が生徒に色々としていたみたいですね。これは私の責任です。申し訳ありませんでした」
そう言って素直に頭を下げてくるディートヘルム。
それを見たルイーゼは俺の方に目を向けてきた。
目では『こいつは本当に魔族なのか?』と聞いている。
確かに世間一般で知られている魔族は傲慢で下等生物である人間に頭を下げる奴などいない。
しかしこいつは頭がいいのだ。
こいつは自分が頭を下げれば、知られている魔族の想像と違うため、大抵の本当は人間なんじゃないかと思ってしまう。
しかしこれが普通の魔族なら頭を下げないだろうが、こいつだけは違う。
こいつはプライドなど平気で捨てることのできる奴だ。
だからこう言った人間界での行動が自由なのだが、それは今日で終わりだぞ。
俺はルイーゼに『後は任せてください』と目線で送る。
ルイーゼが小さく頷いてくれた。
それじゃあ俺との話し合いといこうじゃないかディートヘルム。
「それでお前はこいつの正体を知っていて雇ったのか?」
俺は封印を1段階解き、level:200並の力まで出せる様にする。
その圧を受けたディートヘルムは少し驚いた顔になるとニヤッと不気味に顔を歪ませた。
☆☆☆
俺とディートヘルムは向かい合い、俺の後ろにはルイーゼを控えさせる。
生徒の後ろに学園長を控えさせると言う異様な光景が出来ているが、その場にいる者達は誰も気にしない。
ディートヘルムはずっと俺の前で笑っている。
「それでどうなんだ? お前は正体を知っていたのか?」
俺がもう一度聞くと笑いを収めて、
「勿論知っていましたよ。彼の強さも詳しくね」
呆気なく明かした。
しかしこれは俺の予想通り。
よし、これで俺は1つの疑問を解くことができた。
それは、
——魔族はステータスを知っている。
と言うことだ。
まずこいつは頭が良すぎるため、人間のことを下に見ている。
更にこの世界で人間はステータスを知らないと分かっている。
そして奴は兎に角色々と余計なことを話したがるのだ。
そんな奴が、強さを詳しく知っている、と言っている。
それは奴が鑑定を使えるため、詳しい情報をステータスから見ることができると言うことだ。
俺は新たな発見に少し口角を上げる。
そんな俺を見て今度はディートヘルムが訝しげな表情になった。
「何が面白いんだい?」
「いやお前は本当に馬鹿だよな」
「…………は?」
ディートヘルムの言葉に怒気が混ざる。
まぁ今まで天才ともてはやされていた奴が馬鹿と罵られればキレもするか。
「な、なんだいき、急に……?」
「ああそういうのはいいから。面倒だから素手話してくれ魔王軍幹部、ディートヘルム」
「———ッッ!!??」
ディートヘルムは自分の正体が呆気なくバレたことにめちゃくちゃ驚いていた。
「……一体何者だガキ……」
ディートヘルムの口調が変わる。
ふぅ……これの方が話しやすい。
「さて、今度は人類代表と魔王軍代表として話し合おうじゃないか」
俺はニヤリと笑い、ディートヘルムは苦虫を噛み潰したような表情になっていた。
魔王の側近にして稀代の大召喚術師。
こいつは頭がいいし、召喚術師と言う後衛の筈なのに前衛の戦闘も普通に強い。
魔王ですらこいつの考えていることがわからないと言われているほどの狡猾な奴だ。
その象徴でもある飄々とした腹立つ態度は人を苛つかせる。
しかしその態度はどうにかならないのか?
今目の前にいるのはお前の上司なんだぞ。
そう声を大にして言いたいが俺は生徒でアイツは教師。
流石に俺から言うのは不味い。
「それでなんの様ですか?」
どうせあらかた分かっているだろうにわざわざ聞いてくるディートヘルム。
本当に性格が悪い。俺は面倒な奴は大嫌いだ。
それはルイーゼも思っているのか少し口調を強めながら糾弾する。
「こいつは貴方が私に通さずに雇った教師の1人でしょう?」
ルイーゼは何か不審な点がないかじっくりと観察している様だが、ディートヘルムは全く感情の揺れがないままにこやかな表情を変えることなく返答する。
「……ええ、確かに私が雇った教師ですね。何か問題でも起こしましたか?」
「そんなの貴方も知ってあるでしょう? わざわざ私が言わなくても」
ルイーゼが怒気を孕んだ声色で言うが、ディートヘルムはどこ吹く風である。
「勿論把握していますよ。この方が生徒に色々としていたみたいですね。これは私の責任です。申し訳ありませんでした」
そう言って素直に頭を下げてくるディートヘルム。
それを見たルイーゼは俺の方に目を向けてきた。
目では『こいつは本当に魔族なのか?』と聞いている。
確かに世間一般で知られている魔族は傲慢で下等生物である人間に頭を下げる奴などいない。
しかしこいつは頭がいいのだ。
こいつは自分が頭を下げれば、知られている魔族の想像と違うため、大抵の本当は人間なんじゃないかと思ってしまう。
しかしこれが普通の魔族なら頭を下げないだろうが、こいつだけは違う。
こいつはプライドなど平気で捨てることのできる奴だ。
だからこう言った人間界での行動が自由なのだが、それは今日で終わりだぞ。
俺はルイーゼに『後は任せてください』と目線で送る。
ルイーゼが小さく頷いてくれた。
それじゃあ俺との話し合いといこうじゃないかディートヘルム。
「それでお前はこいつの正体を知っていて雇ったのか?」
俺は封印を1段階解き、level:200並の力まで出せる様にする。
その圧を受けたディートヘルムは少し驚いた顔になるとニヤッと不気味に顔を歪ませた。
☆☆☆
俺とディートヘルムは向かい合い、俺の後ろにはルイーゼを控えさせる。
生徒の後ろに学園長を控えさせると言う異様な光景が出来ているが、その場にいる者達は誰も気にしない。
ディートヘルムはずっと俺の前で笑っている。
「それでどうなんだ? お前は正体を知っていたのか?」
俺がもう一度聞くと笑いを収めて、
「勿論知っていましたよ。彼の強さも詳しくね」
呆気なく明かした。
しかしこれは俺の予想通り。
よし、これで俺は1つの疑問を解くことができた。
それは、
——魔族はステータスを知っている。
と言うことだ。
まずこいつは頭が良すぎるため、人間のことを下に見ている。
更にこの世界で人間はステータスを知らないと分かっている。
そして奴は兎に角色々と余計なことを話したがるのだ。
そんな奴が、強さを詳しく知っている、と言っている。
それは奴が鑑定を使えるため、詳しい情報をステータスから見ることができると言うことだ。
俺は新たな発見に少し口角を上げる。
そんな俺を見て今度はディートヘルムが訝しげな表情になった。
「何が面白いんだい?」
「いやお前は本当に馬鹿だよな」
「…………は?」
ディートヘルムの言葉に怒気が混ざる。
まぁ今まで天才ともてはやされていた奴が馬鹿と罵られればキレもするか。
「な、なんだいき、急に……?」
「ああそういうのはいいから。面倒だから素手話してくれ魔王軍幹部、ディートヘルム」
「———ッッ!!??」
ディートヘルムは自分の正体が呆気なくバレたことにめちゃくちゃ驚いていた。
「……一体何者だガキ……」
ディートヘルムの口調が変わる。
ふぅ……これの方が話しやすい。
「さて、今度は人類代表と魔王軍代表として話し合おうじゃないか」
俺はニヤリと笑い、ディートヘルムは苦虫を噛み潰したような表情になっていた。
0
お気に入りに追加
823
あなたにおすすめの小説
漫画の寝取り竿役に転生して真面目に生きようとしたのに、なぜかエッチな巨乳ヒロインがぐいぐい攻めてくるんだけど?
みずがめ
恋愛
目が覚めたら読んだことのあるエロ漫画の最低寝取り野郎になっていた。
なんでよりによってこんな悪役に転生してしまったんだ。最初はそう落ち込んだが、よく考えれば若いチートボディを手に入れて学生時代をやり直せる。
身体の持ち主が悪人なら意識を乗っ取ったことに心を痛める必要はない。俺がヒロインを寝取りさえしなければ、主人公は精神崩壊することなくハッピーエンドを迎えるだろう。
一時の快楽に身を委ねて他人の人生を狂わせるだなんて、そんな責任を負いたくはない。ここが現実である以上、NTRする気にはなれなかった。メインヒロインとは適切な距離を保っていこう。俺自身がお天道様の下で青春を送るために、そう固く決意した。
……なのになぜ、俺はヒロインに誘惑されているんだ?
※他サイトでも掲載しています。
※表紙や作中イラストは、AIイラストレーターのおしつじさん(https://twitter.com/your_shitsuji)に外注契約を通して作成していただきました。おしつじさんのAIイラストはすべて商用利用が認められたものを使用しており、また「小説活動に関する利用許諾」を許可していただいています。
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
転生したら主人公を裏切ってパーティを離脱する味方ヅラ悪役貴族だった~破滅回避のために強くなりすぎた結果、シナリオが完全崩壊しました~
おさない
ファンタジー
徹夜で新作のRPG『ラストファンタジア』をクリアした俺は、気づくと先程までプレイしていたゲームの世界に転生していた。
しかも転生先は、味方としてパーティに加わり、最後は主人公を裏切ってラスボスとなる悪役貴族のアラン・ディンロードの少年時代。
おまけに、とある事情により悪の道に進まなくても死亡確定である。
絶望的な状況に陥ってしまった俺は、破滅の運命に抗うために鍛錬を始めるのだが……ラスボスであるアランには俺の想像を遥かに超える才能が眠っていた!
※カクヨムにも掲載しています
[完結済み]男女比1対99の貞操観念が逆転した世界での日常が狂いまくっている件
森 拓也
キャラ文芸
俺、緒方 悟(おがた さとる)は意識を取り戻したら男女比1対99の貞操観念が逆転した世界にいた。そこでは男が稀少であり、何よりも尊重されていて、俺も例外ではなかった。
学校の中も、男子生徒が数人しかいないからまるで雰囲気が違う。廊下を歩いてても、女子たちの声だけが聞こえてくる。まるで別の世界みたいに。
そんな中でも俺の周りには優しいな女子たちがたくさんいる。特に、幼馴染の美羽はずっと俺のことを気にかけてくれているみたいで……
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
異日本戦国転生記
越路遼介
ファンタジー
五十五歳の消防士、冨沢秀雄は火災指令が入り、出場の準備をしていたところ心不全でこの世を去ることに。しかし目覚めてみれば、戦国時代の武蔵の国に少年に若返って転生していた。でも、この戦国時代は何かおかしい。闘気と法力が存在する和風ファンタジーの世界だった。秀雄にはこの世界に心当たりがあった。生前プレイしていた『異日本戦国転生記』というゲームアプリの世界だと。しかもシナリオは史実に沿ったものではなく『戦国武将、夢の共演』で大祝鶴姫と伊達政宗が同じ時代にいる世界。作太郎と名を改めた秀雄は戦国三英傑、第十三代将軍足利義輝とも出会い、可愛い嫁たちと戦国乱世を生きていく!
※ この小説は『小説家になろう』にも掲載しています。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
【完結】彼女以外、みんな思い出す。
❄️冬は つとめて
ファンタジー
R15をつける事にしました。
幼い頃からの婚約者、この国の第二王子に婚約破棄を告げられ。あらぬ冤罪を突きつけられたリフィル。この場所に誰も助けてくれるものはいない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる