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第3章 種族進化
第3章最終話 世界最強の帰還と、遂に動き出す物語
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ゲートを出ると、ゲームでの転移地点と全く同じところだった。
俺自体は1度しか使ったことはないが、完全記憶のお陰でしっかりと覚えている。
しかしほんとに知らない人じゃないと絶対に分からないだろうな。
ゲートは何の変哲もない岩に設置されていた。
しかも物凄い高度な隠匿魔術がかけられている。
多分カンストプレイヤーじゃないと気づかないなこれ。
まぁその方が何かと都合がいいのでそのままにしておこうと思う。
「エレノア、取り敢えず俺の家に帰ろうと思うがどうだろうか?」
「え? 私はそれで大丈夫ですが……」
エレノアも同意してくれたことだし、家に帰るとしよう。
先程までは走っていたが、もう急ぐこともないので2人で歩いて帰る。
そう言えば久しぶりに緊張感を感じず歩いているかもしれない。
原初の森では歩いてはいたものの、危険と隣り合わせだったため、常に警戒して移動していた。
そう考えるとよく俺の精神がイカれなかったなと思う。
まぁエレノアが常にいたのと、1度だけサラとあったお陰だと思うけど。
俺たちにもう会話などない。
お互いに疲れているため、会話をする余裕もないのだ。
お互い無言のまま家に着いた。
『おっ、おかえりだソラ殿、エレノア嬢』
可愛らしい子犬姿のフェンリルが出迎えてくれる。
しかし俺たちは何も言わずにフェンリルをモフる。
『ど、どうしたのだ!? や、やめろ! 真顔で我をもふもふするな!』
俺はその言葉で止めるが、エレノアは聞こえてないが如くもふもふし続ける。
多分相当精神的に疲れていたのだろう。
『あっ、ソラ殿、ちょっと待て!』
俺は2人を置いて家を出る。
出る瞬間に誰かが何かを言っていた気がするが、きっと気のせいだろう。
俺はそう思うことにして自身の滞在場所である学園の寮へと帰ることにした。
☆☆☆
学園に戻った時には既に日が落ちていた。
まだ真っ暗とは言えないが、十分に夜だと感じるほどには暗くなっている。
俺は久しぶりに正規のルートで学園に入る。
前は転移と言うズルを使ったから俺がここに戻ってきたことにはなっていない……はずだ。
俺は男子寮へと向かおうとすると、遠くだし暗いのであまり見えないが、男子寮の前で手を振っている人影を見つける。
どうやら2人いるようだ。
まぁ大体誰だかはわかるのだが。
俺は思わず口角が上がり、笑みが漏れる。
そしてそれに俺自身が少し驚いてしまった。
「ははっ。どうやら俺は思っていた以上にこの生活が好きみたいだ」
俺は人影がしっかりと視認出来る様になってからボソリと呟く。
この学園には、サラを救うためだけに通っていたはずが、いつの間にか俺もこの学園生活が楽しくなっていたようだ。
「お~い、ソラ~! この野郎、どうして夏休みの間に俺にも会いにきてくれなかったんだよ~!!」
俺は取り敢えず初めに声をかけてきた、2人の男女の男の方に声をかける。
「久しぶりだなシューマ。それに会いに行かなかったんじゃなくて、お前の家を知らないんだよ」
「ええ!? そんなはずは……めちゃくちゃあったよっ! くそぅ。今度教えるから来てくれよ!」
「はいはい。多分な」
俺は肩を組むシューマにそう返す。
「いや、絶対だからなっ! サラちゃんも来てくれるよね!? と言うかサラちゃんが来てくれるなら、ソラは居なくてもいいからさっ☆」
こいつ……。
俺は少しイラっとするが、俺を待ってくれていたサラが、
「や。ソラが行かないなら絶対に行かない。あとサラちゃんって呼ぶな」
冷たい目でシューマを見ながらそう返す。
「相変わらずサラちゃんは俺への態度が酷いなっ!」
シューマが何やらギャアギャアと五月蝿いので、言ってやるから静かにしろ、と言うとすぐに静かになった。
「……あいつずっと五月蝿かった」
サラが少しゲンナリしながら俺に行ってくる。
「まぁそれがあいつだしな。それにあんな感じだけどいい奴だろ?」
「……ん。まぁね」
サラがシューマを一瞥して言う。
どうやらこの夏休みの間に少しは仲良くなったようだ。
まぁシューマがサラに手を出そうとしたら禁足地に置いていくがな。
俺がそんなことを考えていると後ろで『ひっ!?』と言う声が聞こえた。
チッ、感のいい奴め。
そんなことを思っているとふとサラが俺の服を摘んだ。
勿論サラガチ勢の俺にはそれが何を示しているか分かっている。
「……ただいま———サラ」
「……ん。おかえり———ソラ」
月明かりに照らされたサラの笑顔はとても綺麗で、俺の疲れ切った心を一瞬で癒してくれた。
☆☆☆
ソラが2人と話していた頃、魔王城では側近であろう魔族たちが玉座に座っている魔王に注目していた。
「よく集まってくれたな、我が側近たちよ。———機は熟した。我らの計画を始めるとしよう」
側近たちは口々に魔王を褒め称え、人間との戦争を心待ちにしていた。
「そろそろ会えるであろう。勇者と———シャラグナを倒した人族よ」
ただ1人、魔王を除いては———。
---------------------------
これにて第3章も終わりです。
今回は全くゲームの物語とは外れていましたが、いよいよ次章、『共同戦線』ではモブ以下だったソラが本格的に本編へと介入させられていきます。
そのため久しく登場していない勇者たちも登場する予定です。
次章もよろしくお願いします!
面白い! まぁまぁかな? 続きが気になる!などと思っていただければ、お気に入り登録、感想などお願いします!
また、誤字脱字や改善点をご指摘して頂けるとありがたいです!
ではではまた次話で。
俺自体は1度しか使ったことはないが、完全記憶のお陰でしっかりと覚えている。
しかしほんとに知らない人じゃないと絶対に分からないだろうな。
ゲートは何の変哲もない岩に設置されていた。
しかも物凄い高度な隠匿魔術がかけられている。
多分カンストプレイヤーじゃないと気づかないなこれ。
まぁその方が何かと都合がいいのでそのままにしておこうと思う。
「エレノア、取り敢えず俺の家に帰ろうと思うがどうだろうか?」
「え? 私はそれで大丈夫ですが……」
エレノアも同意してくれたことだし、家に帰るとしよう。
先程までは走っていたが、もう急ぐこともないので2人で歩いて帰る。
そう言えば久しぶりに緊張感を感じず歩いているかもしれない。
原初の森では歩いてはいたものの、危険と隣り合わせだったため、常に警戒して移動していた。
そう考えるとよく俺の精神がイカれなかったなと思う。
まぁエレノアが常にいたのと、1度だけサラとあったお陰だと思うけど。
俺たちにもう会話などない。
お互いに疲れているため、会話をする余裕もないのだ。
お互い無言のまま家に着いた。
『おっ、おかえりだソラ殿、エレノア嬢』
可愛らしい子犬姿のフェンリルが出迎えてくれる。
しかし俺たちは何も言わずにフェンリルをモフる。
『ど、どうしたのだ!? や、やめろ! 真顔で我をもふもふするな!』
俺はその言葉で止めるが、エレノアは聞こえてないが如くもふもふし続ける。
多分相当精神的に疲れていたのだろう。
『あっ、ソラ殿、ちょっと待て!』
俺は2人を置いて家を出る。
出る瞬間に誰かが何かを言っていた気がするが、きっと気のせいだろう。
俺はそう思うことにして自身の滞在場所である学園の寮へと帰ることにした。
☆☆☆
学園に戻った時には既に日が落ちていた。
まだ真っ暗とは言えないが、十分に夜だと感じるほどには暗くなっている。
俺は久しぶりに正規のルートで学園に入る。
前は転移と言うズルを使ったから俺がここに戻ってきたことにはなっていない……はずだ。
俺は男子寮へと向かおうとすると、遠くだし暗いのであまり見えないが、男子寮の前で手を振っている人影を見つける。
どうやら2人いるようだ。
まぁ大体誰だかはわかるのだが。
俺は思わず口角が上がり、笑みが漏れる。
そしてそれに俺自身が少し驚いてしまった。
「ははっ。どうやら俺は思っていた以上にこの生活が好きみたいだ」
俺は人影がしっかりと視認出来る様になってからボソリと呟く。
この学園には、サラを救うためだけに通っていたはずが、いつの間にか俺もこの学園生活が楽しくなっていたようだ。
「お~い、ソラ~! この野郎、どうして夏休みの間に俺にも会いにきてくれなかったんだよ~!!」
俺は取り敢えず初めに声をかけてきた、2人の男女の男の方に声をかける。
「久しぶりだなシューマ。それに会いに行かなかったんじゃなくて、お前の家を知らないんだよ」
「ええ!? そんなはずは……めちゃくちゃあったよっ! くそぅ。今度教えるから来てくれよ!」
「はいはい。多分な」
俺は肩を組むシューマにそう返す。
「いや、絶対だからなっ! サラちゃんも来てくれるよね!? と言うかサラちゃんが来てくれるなら、ソラは居なくてもいいからさっ☆」
こいつ……。
俺は少しイラっとするが、俺を待ってくれていたサラが、
「や。ソラが行かないなら絶対に行かない。あとサラちゃんって呼ぶな」
冷たい目でシューマを見ながらそう返す。
「相変わらずサラちゃんは俺への態度が酷いなっ!」
シューマが何やらギャアギャアと五月蝿いので、言ってやるから静かにしろ、と言うとすぐに静かになった。
「……あいつずっと五月蝿かった」
サラが少しゲンナリしながら俺に行ってくる。
「まぁそれがあいつだしな。それにあんな感じだけどいい奴だろ?」
「……ん。まぁね」
サラがシューマを一瞥して言う。
どうやらこの夏休みの間に少しは仲良くなったようだ。
まぁシューマがサラに手を出そうとしたら禁足地に置いていくがな。
俺がそんなことを考えていると後ろで『ひっ!?』と言う声が聞こえた。
チッ、感のいい奴め。
そんなことを思っているとふとサラが俺の服を摘んだ。
勿論サラガチ勢の俺にはそれが何を示しているか分かっている。
「……ただいま———サラ」
「……ん。おかえり———ソラ」
月明かりに照らされたサラの笑顔はとても綺麗で、俺の疲れ切った心を一瞬で癒してくれた。
☆☆☆
ソラが2人と話していた頃、魔王城では側近であろう魔族たちが玉座に座っている魔王に注目していた。
「よく集まってくれたな、我が側近たちよ。———機は熟した。我らの計画を始めるとしよう」
側近たちは口々に魔王を褒め称え、人間との戦争を心待ちにしていた。
「そろそろ会えるであろう。勇者と———シャラグナを倒した人族よ」
ただ1人、魔王を除いては———。
---------------------------
これにて第3章も終わりです。
今回は全くゲームの物語とは外れていましたが、いよいよ次章、『共同戦線』ではモブ以下だったソラが本格的に本編へと介入させられていきます。
そのため久しく登場していない勇者たちも登場する予定です。
次章もよろしくお願いします!
面白い! まぁまぁかな? 続きが気になる!などと思っていただければ、お気に入り登録、感想などお願いします!
また、誤字脱字や改善点をご指摘して頂けるとありがたいです!
ではではまた次話で。
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