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第3章 種族進化

第89話 2人の実力の一端

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『やはり貴方は———のですね……』

 目の前で転生した時に夢に出てきた女神様が前回とは違って何処か悲しそうな顔をしている。

 それに途中何故か聞き取ることができなかった。

『どうしたのですか?』

 俺は口に出して驚く。

 前回は声を出すことは出来なかったからだ。

 俺の問いかけに女神様は無表情に戻ってはいるものの、何処か憂いでいるように見える。

『———なんて事はしなくてもいいのですよ。私はソラ、貴方と———ことを十分楽しんだのですから。いえ、私はどうやら本当に———なってしまったようです。ですから———』

 やはり聞き取れないところが多々ある。

 俺が不自然に思っていると、女神様は目に涙を溜め俺に頭を下げてきた。

『どうか私を———ください。……ふふっ、2人だけの秘密です』

 やはり最後の言葉は聞こえず、そこで俺の意識は暗転した。

 だが何故か、彼女の笑顔が最後の最後まで頭に残っていた。





☆☆☆





「……っっ……さま……ソラ様!」

 俺が目を開けるとエレノアが俺の肩を揺らして起こしていた。

 エレノアの顔色は心配で染まっている。

 どうしたのだろうか?

「おはようエレノア。それとどうしてそんな顔をしているんだ?」

 自分では心当たりがないため、聞いてみる。

「おはようございます。私はソラ様が泣いていたので驚いたのです」

 ……泣いていた?

 俺は目元を拭ってみると、指に水がつく感触がした。

 どうやら本当に泣いていたようだ。

 俺はエレノアに笑顔で返事をする。

「大丈夫だよエレノア。悪夢なんて見ていなかったから」

 ん? あれ?

 俺は自分が言った言葉に違和感を覚える。

 ……どうして俺はと分かったんだ?

 どんな夢を見たのか覚えていないのに。

 でもなんか大事な事だったような気がするんだよな。

「ソラ様?」

「ん? あ、ああなんでもないよ。それじゃあそろそろここを出るとしよう」

「……分かりました。それでは行きましょう」

 エレノアは俺が何を考えていたのか気になったようだが、俺は伝えようとは思わない。

 教えてはいけないような気がしたのだ。

 ただそれが何故なのか分からないので首を傾げながらもエレノアの後を追った。





☆☆☆






 《進化の選択》を抜けると、入った時と変わらない光景が目に入ってきた。

 一体俺たちはどれくらいいたのだろうか?

《約26時間ほどです》

 なるほどな……1日くらいずっと滞在していたと言うことか。

 俺が目覚めるのが遅かったからかな。

「ソラ様、今の所森の出口にモンスターの気配はしません」

「あれ? そんなに気配が感知できるの?」

「そう言えば出来るようになったみたいです」

 エレノアが今気付いたかのような反応をする。

 いや本当に今気付いたのだろう。

 と言うかこの森って普通は感知無効だった気がするんだけど……。

「そう言えば、エレノアってどんな種族になったんだ?」

 俺はすぐに選択を始めたから聞いていないんだよな。

「あ、私は———」

 エレノア声を遮るようにして頭上から何かが落ちてきた。

「エレノア!! 感知できていたか!?」

「いいえ! 突然来ました!」

 やはりエレノアもか。

 俺も落ちてくるまで気づかなかった。

「【鑑定】」

____________________
サンダーバード
上位種族 雷神鳥(幼鳥)
上位level:3
下位level:200(MAX)
____________________


 俺は鑑定で見た名前で何故感知できなかったのか分かった。

「雷だ!」

「え?」

「雷は気象として分類される! だから感知に掛からなかったんだ!」

 きっと雷と同化して過ごしていたのだろう。

 levelは神域の中では弱い方の個体だからな。

「それにこいつは子供だ! きっと親もいるぞ!」

「……では私が子供の方をやります! なので親の方をお願いしてもいいでしょうか?」

「ふむ……確かにステータス的には俺の方が高いだろうからそれのほうがいいか……よし、ならそれで行こう!」

「ありがとうございます。では私は行かせてもらいます。———【世界同化】」

 そう言った瞬間、エレノアが消えた。

 そう、

 俺はエレノアの見ていたのにも関わらず、姿も気配も視線も音も含めた全部が突然消えたのだ。

 こんなスキル知らないぞ……!?

 するといきなり『ドスンッッ!!』と言う何かが落ちる音が聞こえた。

 俺は音のした方をみると、あり得ない光景を目にしてしまった。

「な———ッッ!?」

 俺は思わず驚愕の声をあげてしまう。

 何故ならいつの間にかサンダーバードの首が落ちており、その横には魔剣の血を払っているエレノアがいたからだ。
 
 俺が攻撃に気付けなかっただと……?

 それにエレノアがいつそこまで行ったのかも分からなかった。

 いや強くなりすぎでは無いですかね?

《先程は【世界同化】を使用されていました》

 もしかしてそれって種族特典?

《その通りです》

 いやそんなスキル知らないし、どんな種族になったら手に入るんだ?

《固有種です。後のことはエレノアさんに聞いてください》

 そうすることにするよ。

「エレノア、結局種族は何にしたんだ?」

「私は《アサシン》と言う固有種族にしました」

 うん、めちゃくちゃエレノアと相性の良さそうな種族だな。

「そう言うソラ様はどんな種族にしたのですか?」

「ああ、俺は———」


 ドンッ!


「「…………」」


 …………イラッ。

 流石に2回連続はないんじゃ無いか?

「エレノア、あいつ倒したら教えるわ」

「わかりました。それでは私はここで待っておきます」

 俺はそれだけ聞くとサンダーバード(親)に向かって歩く。

「……親子共々話の腰を折ることをしないでくれよ」

 めちゃくちゃ腹立つからさ。

「すぐに終わらせてエレノアと情報交換しないといけないんだ。だからすぐに終わらさせてもらう。———【神気】」

 体の体の周りを白銀のオーラが包み込む。

 スキルを使えるようになったため、一瞬で発動できるようになっている。

 俺は一瞬で———雷の速度すら超えて懐に入り拳を振り抜く。

「———神技【擬似戦神アレス】ッッ!!」

 轟音。

 爆発音。

 そして爆風。

 サンダーバードは何をすることも、何かを発することすらも出来ず消滅する。

《level UP》《level UP》

 久しぶりのlevel UP音が頭に響く。

「ステータス」


______________
ソラ
神級種族 守護神
神位level:1→3
下位level:200(MAX)
タイプ:オールラウンダー

《アクティブスキル》
【全力ダッシュ:8】【怪力:7】
【加速:10】【身体強化:10】
【鑑定:10】【魔闘気:10】

《特殊アクティブスキル》
【絶対回避:8】【聖火:3】【制限:10】

《神アクティブスキル》
【神気:3→4】【未来視:1】【結界・神:1】

《パッシブスキル》
【家事:10】【超感覚:10】【完全記憶】【気配感知:10】【格闘術:10】

《特殊パッシブスキル》
【全耐性:10】

《神パッシブスキル》
【魔神剣術:1】【神スキル解放】
【習得速度UP】【スキル補正】【SP増加】
【全ステータス補正】【成長補正】

《魔法スキル》
【闇魔法:6】【光魔法:6】

SP:50→70
______________


 よしよし、ちゃんとlevelが上がっているな。

 俺はステータスを閉じ、エレノアに近づく。

 近くに寄ってみるとエレノアは呆けた顔をしていた。

「エレノア?」

「———はっ!? ソラ様、強くなりすぎではないですか!?」

「まぁ俺の種族は《守護神》と言うチート種族だからな」

「ちーと? というのは確か規格外の強さという意味でしたね。なるほど、とてもかっこよかったです!」

 そう言って尊敬の目を向けてくるエレノア。

「それを言ったらエレノアも強すぎだろ」

「これはしっかりと情報交換をしなければいけませんね」

「……ああそうだな」

 それから俺たちは歩きながらお互いの種族について詳しく語った。


---------------------------
久しぶりの俺TUEEE回でした。
うん、書いててめちゃくちゃ楽しかったです。

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 ではではまた次話で。 
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