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第3章 種族進化
第79話 サラと夜デート②
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アクセサリー店に入ると、なんかこうキラキラしてた。
うん、語彙力死んでいるなとは思うけど、キラキラしているなと言う感想と綺麗だなくらいしか思わない。
だってこんな所前世でも行ったことないんだもん。
今世でもダンジョンにしか行ってなかったからこう言うところには全く出向かなかった。
と言うか避けていた。
とうとうそのツケが来たと言うことか……。
俺は少しすくんだ足をサラにバレない様に装う。
「どうしてここ来たの?」
「ん? だってサラがここも見ていたから」
「……バレてた?」
「勿論。めちゃくちゃ分かりやすかった(※ソラ以外だとガン見しないとわからない)」
サラは俺にバレていたと知って少し恥ずかしそうに頬を染める。
俺はそれを見て、本当に感情豊かになったなと感じていた。
ゲームでも顔色ひとつ変えることなく常に無表情を貫いていたサラ。
ただ俺は何とかしてサラの表情が本当に変わっていないのか調べるために高画質TVにへばりついてやっていた。
それと無駄に細かいイラストのおかげでサラのほんの僅かな感情の変化を見つけ出した。
あの時ほどイラストを描いている人に感謝したことはない。
その時は思わずそのイラストレーターを神として崇めてしまったくらいだ。
しかし今のサラはその時よりも遥かに分かりやすく感情を表に出している。
なぜ始めから俺に対して態度が柔らかかったのかはゲームをやり込んだ俺ですらわからないけど。
そもそもサラについてはちゃんとした出自も分かっていない。
だからどんなところで生まれたのかも何もかも分からない。
ただそれをわざわざ聞こうとは思わない。
「……?」
俺の瞳を覗き込んで首を傾げるサラ。
俺にとってはサラが俺の隣にいてくれればそれでいいからだ。
「ははっ、何でもないよ。さぁ色々あるから観に行こう」
「……ん!」
サラは目を輝かせてイヤリングや指輪、チョーカーなどを真剣に吟味している。
うん、その姿もかわいい。
さすがこの世に舞い降りた女神だな。うん。
それにしてもこんなにアクセサリー好きだったんだな。
俺がそんなことを思っているとサラが俺の元に来て俺に2つの色違いのイヤリングを持ってきた。
「これが欲しい」
「これでいいの? 色違うけど……」
俺がそう言うと、サラは白を俺に渡して黒を自分で持ちながら、
「片方はソラの。だからいいの」
そう言って微笑む。
「あ、ありがとう……!」
まさか選んでもらえるとは思わずテンションが上がってしまった。
俺はすぐに店員にイヤリングを買ってもらい、お互いに俺が左に、サラは右につける。
やばい、めちゃくちゃ嬉しいんですけど。
何せサラとお揃いだぞ!?
一体に何円払えばいいんだ!?
するとサラが突然俺の手を引きながら走り出した。
「ど、どうしたんだ!?」
「あはは! 分からない! 何故か楽しいの!」
俺は今までに観たことがないほどの普通の女の子のような満面の笑みと大きな声でハキハキと話すサラ。
俺はその姿に思わず心臓が止まった様に感じた。
しかしそんなことはなく、ものすごい勢いで心臓が動き出す。
しかしそれと同時に笑みも漏れてくる。
「はははははは! 確かにめちゃくちゃ楽しい! ありがとうサラ!」
今俺の顔が真っ赤になっているだろうが、そんなこと全く気にならない。
もうサラしか見えなくなっていた。
「ねぇ、どっか2人になれるところにいこう?」
サラが突然そんなことを言い出した。
だが俺に断るなんて選択肢はあるはずがない。
「勿論だよ! 任せてサラ!」
俺はサラをお姫様抱っこして山の頂上にある花畑へと超速で行く。
その間サラは、
「ふふふっ、あははははは! すごいすごい!」
子供の様にはしゃいでいる。
こんな姿を俺だけが見れると思うと優越感が押し寄せてくる。
俺の速度をもってすればものの5分もかからずに目的地へと到着した。
「わぁぁぁ! 綺麗……!」
「そうだろう? 俺のお気に入りの場所だよ」
これは本当だ。
ゲームでも少し行き詰まった時はここで暇潰しをしていたし、この世界に来てからも、何度も訪れている。
多分【ダンスク】の中でサラの次に愛着があると思う。
しかしこの綺麗な花畑だけがここの魅力ではない。
「サラ、空を見上げてごらん」
俺上を指差しながらサラに告げる。
「ん? …………ぅぅ……」
サラは空を見上げたと同時に数秒固まると、突然涙を流し始めた。
「えっ!? ど、どうしたのサラ!? 俺、何かした!?」
俺は過去一焦るが、取り敢えずもしもの時のために持ってきていたハンカチをサラに渡す。
サラはハンカチを受け取るとすぐに涙を拭い、
「……大丈夫。少し昔のことを思い出していただけ」
「……そうか」
俺はそれ以上聞かなかった。
何故かこれ以上この話題に触れれば良くないと思ってしまったからだ。
「……サラ、取り敢えず何時間かはここでゴロゴロしておこう」
「……ん。それはいい」
サラは少し哀愁を漂わせながら笑う。
なんだかその姿はいつの間にか消えていそうで儚い笑顔だった。
☆☆☆
私は買ってもらった黒いイヤリングを触りながら、夜空を見上げる彼の横顔を見てソラに心の中で問いかける。
貴方は何故こんな私のそばに居てくれるの?
貴方は何故こんな私に笑顔を向けてくれるの?
貴方は何故———転生してまで私を助けようとするの?
私にはその理由が分からなかった。
------------------------------------
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ではではまた次話で。
うん、語彙力死んでいるなとは思うけど、キラキラしているなと言う感想と綺麗だなくらいしか思わない。
だってこんな所前世でも行ったことないんだもん。
今世でもダンジョンにしか行ってなかったからこう言うところには全く出向かなかった。
と言うか避けていた。
とうとうそのツケが来たと言うことか……。
俺は少しすくんだ足をサラにバレない様に装う。
「どうしてここ来たの?」
「ん? だってサラがここも見ていたから」
「……バレてた?」
「勿論。めちゃくちゃ分かりやすかった(※ソラ以外だとガン見しないとわからない)」
サラは俺にバレていたと知って少し恥ずかしそうに頬を染める。
俺はそれを見て、本当に感情豊かになったなと感じていた。
ゲームでも顔色ひとつ変えることなく常に無表情を貫いていたサラ。
ただ俺は何とかしてサラの表情が本当に変わっていないのか調べるために高画質TVにへばりついてやっていた。
それと無駄に細かいイラストのおかげでサラのほんの僅かな感情の変化を見つけ出した。
あの時ほどイラストを描いている人に感謝したことはない。
その時は思わずそのイラストレーターを神として崇めてしまったくらいだ。
しかし今のサラはその時よりも遥かに分かりやすく感情を表に出している。
なぜ始めから俺に対して態度が柔らかかったのかはゲームをやり込んだ俺ですらわからないけど。
そもそもサラについてはちゃんとした出自も分かっていない。
だからどんなところで生まれたのかも何もかも分からない。
ただそれをわざわざ聞こうとは思わない。
「……?」
俺の瞳を覗き込んで首を傾げるサラ。
俺にとってはサラが俺の隣にいてくれればそれでいいからだ。
「ははっ、何でもないよ。さぁ色々あるから観に行こう」
「……ん!」
サラは目を輝かせてイヤリングや指輪、チョーカーなどを真剣に吟味している。
うん、その姿もかわいい。
さすがこの世に舞い降りた女神だな。うん。
それにしてもこんなにアクセサリー好きだったんだな。
俺がそんなことを思っているとサラが俺の元に来て俺に2つの色違いのイヤリングを持ってきた。
「これが欲しい」
「これでいいの? 色違うけど……」
俺がそう言うと、サラは白を俺に渡して黒を自分で持ちながら、
「片方はソラの。だからいいの」
そう言って微笑む。
「あ、ありがとう……!」
まさか選んでもらえるとは思わずテンションが上がってしまった。
俺はすぐに店員にイヤリングを買ってもらい、お互いに俺が左に、サラは右につける。
やばい、めちゃくちゃ嬉しいんですけど。
何せサラとお揃いだぞ!?
一体に何円払えばいいんだ!?
するとサラが突然俺の手を引きながら走り出した。
「ど、どうしたんだ!?」
「あはは! 分からない! 何故か楽しいの!」
俺は今までに観たことがないほどの普通の女の子のような満面の笑みと大きな声でハキハキと話すサラ。
俺はその姿に思わず心臓が止まった様に感じた。
しかしそんなことはなく、ものすごい勢いで心臓が動き出す。
しかしそれと同時に笑みも漏れてくる。
「はははははは! 確かにめちゃくちゃ楽しい! ありがとうサラ!」
今俺の顔が真っ赤になっているだろうが、そんなこと全く気にならない。
もうサラしか見えなくなっていた。
「ねぇ、どっか2人になれるところにいこう?」
サラが突然そんなことを言い出した。
だが俺に断るなんて選択肢はあるはずがない。
「勿論だよ! 任せてサラ!」
俺はサラをお姫様抱っこして山の頂上にある花畑へと超速で行く。
その間サラは、
「ふふふっ、あははははは! すごいすごい!」
子供の様にはしゃいでいる。
こんな姿を俺だけが見れると思うと優越感が押し寄せてくる。
俺の速度をもってすればものの5分もかからずに目的地へと到着した。
「わぁぁぁ! 綺麗……!」
「そうだろう? 俺のお気に入りの場所だよ」
これは本当だ。
ゲームでも少し行き詰まった時はここで暇潰しをしていたし、この世界に来てからも、何度も訪れている。
多分【ダンスク】の中でサラの次に愛着があると思う。
しかしこの綺麗な花畑だけがここの魅力ではない。
「サラ、空を見上げてごらん」
俺上を指差しながらサラに告げる。
「ん? …………ぅぅ……」
サラは空を見上げたと同時に数秒固まると、突然涙を流し始めた。
「えっ!? ど、どうしたのサラ!? 俺、何かした!?」
俺は過去一焦るが、取り敢えずもしもの時のために持ってきていたハンカチをサラに渡す。
サラはハンカチを受け取るとすぐに涙を拭い、
「……大丈夫。少し昔のことを思い出していただけ」
「……そうか」
俺はそれ以上聞かなかった。
何故かこれ以上この話題に触れれば良くないと思ってしまったからだ。
「……サラ、取り敢えず何時間かはここでゴロゴロしておこう」
「……ん。それはいい」
サラは少し哀愁を漂わせながら笑う。
なんだかその姿はいつの間にか消えていそうで儚い笑顔だった。
☆☆☆
私は買ってもらった黒いイヤリングを触りながら、夜空を見上げる彼の横顔を見てソラに心の中で問いかける。
貴方は何故こんな私のそばに居てくれるの?
貴方は何故こんな私に笑顔を向けてくれるの?
貴方は何故———転生してまで私を助けようとするの?
私にはその理由が分からなかった。
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